「……だよな、やっぱりあるよな。毎年の事だけど……」
大晦日。自宅でテレビを見ていたところ、コマーシャルを見て深く溜め息をつく。
いつもと変わらないドライヴの宣伝。それだけなら良い。しかし、今は大晦日。そして、明日は元旦である。
『さあ、明日は元旦だ! フォース・コネクターによるバトル初めを見逃すな!』
バトル初め。書初めなどと同じで、年の初めをコネクト・バトルで迎えると言うイベントだ。
毎年、『フォース・コネクター』は他コネクターやファンのアンケートを元に、対戦相手が指定される。
その相手とバトルする事が目的なのだが、負ければ当然、『フォース・コネクター』の座剥奪である。
「今年ってアンケート取っていたのか、協会の人達……? つーか、作者」
そんな暇ありませんでした!(←まだ掲載して間もないからと言う理由でしなかった人)
「はぁ……このイベントで誰と戦うんだろな、俺……。先代とは当たりたくないよな……」
先代の『フォース・コネクター』と戦う事になれば、間違いなく勝てるかどうかも分からなくなる。
ただでさえ強い先代を倒すには、それなりの対策も考えておく必要がある。
「……ま、先代『ソード・マスター』は留学中だから、会う事はないだろうけど」
「そうねー。飛鳥は先代とはまず戦わないだろうから楽だよねー」
「俺としては、なるべく早めに終われる相手が良いんだよな……って、違う!」
いつの間にか隣にいる相手にツッコミを入れる。相手は勝手に緑茶を入れてたのか、ずずーと飲んでいた。
まだ大晦日だと言うのに、晴れ着で髪を結い上げている。
金色の髪、陽気な性格である『ストーム・クラウン』は、飛鳥のツッコミを見て笑っていた。
「あははは……。久々に飛鳥のキャラを見ちゃったー♪」
「何が俺のキャラだよ、何が……。つーか、人の家に勝手に上がり込む奴がどこにいるんだよ!?」
「勝手じゃないよ。家政婦さんって言う名前の人が入れてくれたー」
「……家政婦さんは名前じゃなくて、職業の事だよ」
溜め息をつく。
「と言うより、まだ晴れ着は早いだろ……。まだ大晦日だぞ、大晦日」
「あと3時間で元旦よ、飛鳥。だから、レッツゴー♪」
「……どこに?」
「神社。外で勇治とか亜美っちとか、あと明日香ちゃんも待ってるし」
「……お前だけ家に入ってきたのかよ!?」
「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて。ほらほら、準備して出掛けるよ〜」
その場から引っ張り出される飛鳥だった。
無理に引っ張り出され、さらには寒い夜道を歩く。飛鳥は途中で紅茶に飢えていた。
勇治は「コーヒーの方が良いぞ」と言うが、飛鳥は紅茶派のようで、滅多にコーヒーは飲まなかったりする。
「飛鳥君、寒いの?」
「寒い。凍え死ぬ。紅茶飲みたい……明日香は寒くないの?」
「うん。ホットカイロ持ってるから」
そう言って、コートのポケットに入れていたカイロを取り出す。
「飛鳥君もいる? 二つ持ってるけど」
「……別に良いよ。明日香も寒いだろ? だったら、明日香が持ってろよ」
「でも、寒いんじゃ……?」
「途中で紅茶を買う。絶対に」
その言葉に明日香が苦笑する。飛鳥はコートを着込んだ。
神社に向かう度に人混みが多くなっていく。時計を見ると、もう少しでカウントダウンが始まるようだ。
マリアが人混みの多さを見て言う。
「あちゃー、初詣は後にして、先にショップ行っちゃおうか、勇治〜」
「そうだな」
「何の話してんだよ、お前ら?」
「バトル初めの話だ。今年は、テレビ局の都合で0時30分からだそうだ」
「……ちょっと待て、俺はそんな事聞いてないぞ」
「当然だ。俺とマリアもさっきゴウさんからの連絡で聞いた」
「……はぁ、今度はショップかよ」
再び歩かされる事になる飛鳥だった。
ショップ。そこには、すでに最強チーム『ランドライザー・コマンド』のメンバーが揃っていた。
サブリーダーである紅葉が、飛鳥の姿を見つけてすぐにドライヴを向ける。
「『ソード・マスター』! 今度こそ、自分とバトルをして頂きます!」
「……あのな……。バトル初めで指定されてれば話は別だけど、普通はSRにならないと無理だって」
「またそう言って逃げるのですか!? 正々堂々と勝負なさい!」
「……何度言えば分かるんだよ。だから、俺とバトルするんだったらSRのトップになれって……」
溜め息をつく。そんな飛鳥を見て、ゴウは苦笑した。
「すまないな」と謝り、眠気覚ましに買っていたコーヒーを飲む。
「予定が早まった連絡は、マリア達から聞いているね?」
「ええ。まさか、カウントダウンをショップで迎えるなんて思いませんでしたよ」
自販機で結局買った紅茶を飲む。その時、ショップ内でカウントダウンが始まった。
時計を確認する。新年まであと30秒だ。
「カウントダウンか。いよいよ始まったな」
「飛鳥君は、去年はどこでカウントダウンしたの?」
「自宅のパソコンの前。しかも、アクティブ・ウェポン作りながら」
「……意外と地味だよ、それ」
「あまりノリ気じゃなかったからな……っと、あと10秒」
周りからカウントダウンの声がしてくる。
10、9、8、7、6……
5、4、3、2、1……
0!
『あけましておめでとう!』
「メリー・クリスマース!」
「飛鳥、年玉を俺にくれ」
「って、ちょっと待てい! 『A Happy New Year!』じゃないんかい、マリア!?」
新年早々、飛鳥がマリアにツッコミを入れる。
「だって、毎年同じ事言うのも味気ないからさ〜」
「そう言う問題じゃねぇ!」
「大丈夫だ、問題ない」
「問題ある! つーか、ボソッと年玉くれとか言ってんじゃねぇぞ、テメェ!」
「聞こえていたのか?」
「ったり前だ! って、久々のボケがそれか!?」
ツッコミの嵐。飛鳥は早くも肩を深く落とした。
まだバトル初めは始まっていないのだが、飛鳥のテンションは早くも全開である。
そんな時、バトル・フィールドから人影が現れる。
「レディース・エーンド・ジェントルメーン! 皆様、今宵は新年あけましておめでとうございます!」
なぜか黄金のタキシードで現れた審判。その名はリュウマチ小暮。
審判が早速ルールを説明する。
「今宵はバトル初め! ルールは簡単! こちらで用意した擬似コネクターとバトルするだけ!」
「擬似コネクターって……去年と違うぞ?」
「えー……突然の召集をかけてしまったので人選が集まらず、急遽行った事です」
「それで良いのか、バトル初めは!?」
あまりやりたくないとは言え、こう言うイベントはまともにやってもらいたい。
「と、とにかく、『フォース・コネクター』の方には頑張って頂きたいと思います! それでは、コネクトを!」
「……ちょっと待て、0時30分開始なら、まだ時間あるだろ?」
「コネクトをお願いいたします!」
「飛鳥、早くしろ」
「……時間無視かよ。つーか、良いのか、こんなんで……」
深く肩を落とす飛鳥である。
バトル・フィールドに『フォース・コネクター』である彼らのドライヴが構築される。
そして同時に、協会側が用意した擬似コネクターのドライヴが構築された。
「……って、なーんで本編で倒されたはずのキング・オブ・バリアがいるんだよ……?」
「安心しろ、お前の相手はセルハーツもどきのようだぞ」
「それはそれで嫌だな……。あれ嫌いだし」
そんな事を言いつつ、他の二体を見る。そして、すぐに肩を落とした。
一度も見た事もないドライヴが二体。鏡餅に手足を付けたようなドライヴとコタツに手足のドライヴ。
どう見ても、元旦と言う理由で作られた気がする。
「……あれって、絶対に狙ってるよな」
「バトルができればそれで良い。俺の相手はどいつだ?」
「あのな……」
「戦う相手は、マリアはセルギート(セルハーツもどき)、俺はキング・オブ・バリア。
勇治はコタツに手足のドライヴで、飛鳥は鏡餅型のドライヴのようだ」
「……バスターファルシオンで両断しても良いですか?」
「それは却下よ却下。ファンに申し訳ないでしょ、飛鳥の場合♪」
相手が相手なので肩を落とす飛鳥。ある意味、彼にとって今日は厄日である。
審判が大きく手を振り上げる。
「それでは……コネクトバトルゥゥゥッ、ファイッ!」
キング・オブ・バリアがすぐにゴウの乗るプラディ・ラ・グーンに襲い掛かる。
どうやら、こう言うところだけはプログラムされているようだ。ゴウが盾を構える。
「アルティメットシールドッ!」
キング・オブ・バリアの巨大な腕を受け止め、すかさず反撃を繰り出す。キング・オブ・バリアは後退した。
プラディ・ラ・グーンが砲身の長い銃を構える。
「ロングフレアカノン!」
撃つ。キング・オブ・バリアの目の前の地面で爆発を起こした。
キング・オブ・バリアが後ろへ倒れる。プラディ・ラ・グーンが駆け出す。
アルティメットシールドでバリアを形成し、自分とキング・オブ・バリアを囲む。
「ジェノサイドォォォッ、クラァァァッシュッ!」
機体から無数のビームが集中して放たれ、キング・オブ・バリアを攻撃する。
そしてトドメのラ・グーン・クラッシャー。『ディフェンド・キング』は圧倒的な勝利を掴んだ。
セルハーツを真似たドライヴ・セルギートが無造作に剣を振るう。マリアは当然空へ逃げた。
ややつまらなそうな顔で、ムササビ丸を変形させる。
「とりあえず……ドラゴンモードでパパッと片付けちゃおっと♪」
ムササビ丸が女性型の姿を変え、竜の姿を見せる。セルギートはガトリングガンを撃った。
竜へと変形したムササビ丸は軽く避け、口内にエネルギーを集中させる。
『ドライヴ=レガリア』であるワイヴァーン・ウイングが大きく開いた。
「ワイヴァーン・フレア♪ で、ついでに……」
放たれた波動にセルギートの半身が呑み込まれる。マリアはそれで手を止めなかった。
ムササビ丸が元の女性型に変形し、槍を構える。
華麗なる舞いを踊り、セルギートを切り刻んでいく。
「レディエンス・ワルツ。どう? 結構強いでしょう♪」
もはや戦闘不能になった敵に投げキッスを交わし、マリアが勝利を宣告した。
コタツ型のドライヴとは言え、その強さは意外だった。
コタツの下に隠れていた無数のミサイルが放たれ、ディル・ゼレイクを襲う。
しかし、勇治はそれでも動じなかった。目を鋭くし、全弾の軌道を読み取り、狙いを定める。
「出力10%。速射」
ディル・ゼレイクがサタン・オブ・マグナムを連射する。ミサイルを全て撃ち落とした。
素早く両肩のツインゴッドランチャーを構えて撃つ。コタツ型はそれを防いだ。
「なるほど、コタツのくせにビームを受け付けないか」
生意気だ、と言葉を付け足してさらに攻撃を加える。
狙っているのか、サタン・オブ・マグナムの連射でコタツ型を宙へと浮かしていった。
ディル・ゼレイクが足を固定し、スコープを装着する。スナイパーモードへと変形した。
『狙撃の瞳』で狙いを定める。
「出力100%に設定。フルパワーショット」
放たれる巨大な一撃がコタツ型を呑み込み、爆発させる。
三人のバトル終了を確認して、飛鳥はまたも溜め息をついていた。
なぜか知らないが、鏡餅型ドライヴは無茶苦茶に強い。特に武器の多さが。
頭部のミカン爆弾、餅の中から姿を見せる無数のミサイル、竹やりバズーカ。
ただ武器が多いだけならまだ良い。半端なほどに攻撃速度が速いのだ。
「……絶対イジメだろ、これって」
剣でミサイルを撃ち落とし、ミカン爆弾を打ち返し、竹やりバズーカを避ける。
どう見ても、人間離れならぬ超人離れの繰り返しを行っている飛鳥は、いい加減、嫌気が差していた。
「バスターファルシオンは却下されたし……仕方ない、技の連発で倒すか」
ファルシオンセイバーを大きく振るう。
「エアブレード!」
風の刃を放ち、一気に急接近する。鏡餅型はミサイルを放ってきた。
『鷹の瞳』で全て見切り、剣を構える。
「フラッシングソードッ! ぶっ続けでミラージュ・ブレイドッ!」
ミサイルを叩き落す。そして、瞬時に鏡餅型を斬りつけた。
切り筋から光が走り、その中心点を両断する。
鏡餅型ドライヴがやや後退する。セルハーツが接近して、ゴッドランチャーの砲身を密着させた。
「零距離、これで終わりだ!」
そのまま放たれたゴッドランチャーのビームが、鏡餅型ドライヴを吹き消した。
「……はぁ、ようやくバトル初めが終わった」
何か、自分の相手だけは異様な強さのように感じたが、どうにかバトル初めは終わった。
ショップからの帰り道で、明日香がそんな飛鳥を見て笑う。
「ふふっ……」
「……何が可笑しいの?」
「だって、バトルの時はやっぱり楽しそうだったし」
「……そう見えた?」
「うん」
笑顔の明日香。飛鳥はドキリとした。
確かに、バトル初めは嫌なイベントではあるが、やはり一番楽しいイベントでもある。
明日香が飛鳥の手を握る。
「あ、明日香……!?」
「今から初詣に行こう? もう今日はバトルの予定とかないんでしょ?」
「まぁ、ね……。帰っても、どうせアクティブ・ウェポン作るだけだろうし……初詣行ってみるか」
まだ恋人でもないので手を繋いで初詣に行く二人だった。
飛鳥 「って、まだ終わるな」
勇治 「早くしろ、飛鳥。皆待っているぞ」
マリア「そうそう。今日は、元旦なんだし♪」
亜美 「去年、私あまり出番なかったですぅ……」
紅葉 「今年こそ『ソード・マスター』に勝ってみせます!」
ゴウ 「その前にSRに上がるんだよ、紅葉」
優 「元旦なのに、出番これだけって虚しいねぇ、郁美」
郁美 「私達は隠居の身ですからね」
飛鳥 「……このメンバーはどう言う理由で選出したんだろうな……?」
明日香「さ、さあ……? あ、飛鳥君、時間」
飛鳥 「おっと、そうだった。皆さん、新年あけましておめでとうございます!」
明日香「今年も『Drive-Connect!』をよろしくお願いいたしますね!」
飛鳥 「じゃあ、今年も皆で……」
『ドライヴ・コネクト!
新年あけましておめでとうございます!』
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