Drive-Connect!

 NewYear-Episode in 2007
 『史上最大のバトル初め! バトルの相手は○○○!?』



 大晦日。この日、飛鳥は居間にノートパソコンを持ち込み、インターネットをしながらテレビを見ていた。

『さあ、いよいよカウントダウンだ! 1月1日のバトル初めの為にも、皆頼むよ!』

 テレビで人気アイドルグループが言う。そう、明日は毎年恒例となっているバトル初めの日だ。
 今回は、アンケートを取る事をせず、人気アイドルにドライヴをやらせようと言う話になっている。
「明日は『竜巻』とバトルか。セルハーツの調子、一応見ておくかな」
『竜巻』とは、ジョニーズ事務所と言う芸能プロダクションに所属する人気アイドルグループだ。
 たまたま4人メンバーと言う事で、彼らと『フォース・コネクター』がチーム戦を行う。
 それが、今回のバトル初めだった。
「たまには、セルハーツにシンクレアとカタルシスでも持たせてみるかな……」
「はい、紅茶入ったよ、飛鳥君」
 そう言って、明日香が紅茶を置く。この日、明日香は飛鳥の家に来ていた。
 そして、一緒に初詣に行こうと言う事で、今日は泊りがけだったりする。
 明日香に「ありがと」と言いながら、紅茶を飲む。そして、すぐに難しい顔をした。
「これ、パックの方使った?」
「う、うん。葉っぱの方は難しいから……」
「……だよな。わざわざ葉から淹れてる人って、あまりいないし」
 こればかりは仕方ない。
「とりあえず、カウントダウンが終わってからで良いよな、初詣?」
「うん。混んでないと良いね?」
「混んでるんじゃないかなぁ……。そう言えば、マリア達来なかったな。毎年この時間になると来るのに……」



 同時刻、『マグナム・カイザー』こと勇治。
「どうしようかなぁ〜! お兄ちゃんの応援したいけど、大友君の応援もしたいし……」
 亜美の言葉に、勇治が俊敏に反応する。
『竜巻』の一人・大友義樹(おおとも よしき)。グループの中でダントツの人気を持つ、勇治の対戦相手。
 今、亜美はその大友と兄のどちらを応援しようか迷っていた。
 当然、勇治はその大友を瞬殺する事に決めたのは言うまでも無い。
 そんな時、ドライヴから聴き慣れない着信音が鳴り響く。
「む?」
「ふぇ、その曲何?」
「『マグナム・カイザー、その銃は全てを撃ち貫く』だ」
 そう言って、電話に出る。ちなみに、先程の着信音の曲は、とある有名作曲家が作ったりしてる。
 そして、亜美では理解できない会話を行い、電話を切る。勇治が席を立った。
「部屋に戻る」
「え? だって、まだカウントダウン終わってないよ?」
「知らん。亜美、適当な時にコーヒーでも淹れろ」
 居間を後にする勇治。



 再び同時刻、『ストーム・クラウン』ことマリア。
「さあ、どんどん食べるわよ♪ 大晦日は、やっぱりこうでないとね〜」
 目の前に置かれたタイヤキと大判焼き、そしてたこ焼きにお好み焼きの山を見て言うマリア。
「って、これは流石に……」
 固まるチーム・メンバーの一人、浅倉美代子。(※ダイエット中)
「うわぁ、プラモなんて比べ物にならない大きさになってますね〜」
 手にしているディル・ゼレイクのプラモデルと比較する同じくメンバーの港紘美。
「まだまだ作りますよ、マリア様。お姉さま方もご遠慮なく頂いてくださいませ」
 次々と山を増やしていくサブリーダー、セリホ=ハーシェリー。
「これはこれで作り過ぎでしょ。ま、どのみちマリアが全部平らげるんでしょうけど」
「これだけの量を食べても太らないマリアが不思議だわ」
 驚く事はなくとも、いつもとは全く違うテンションな先代『マグナム・カイザー』と『ストーム・クラウン』。
 マリアは、チームのメンバー達と一緒に山ほどの食べ物を平らげていく。



 三度、同時刻。『ディフェンド・キング』ことゴウ。
「今年も寒いね」
「寒いですか? で、では、私が持っているカイロでも……」
「いや、別に良いよ。それより、晃鉄や他のメンバーとはぐれてしまったね……」
「全く、参謀たる人が……」
「まぁ、この人混みじゃはぐれるのも仕方ないけれどね。とりあえず、行こうか」
「はい!」
 人混みの中、頑張って初詣に行く。



「……ま、別に良いけどな。こうやってのんびりできるし」
 パソコンの電源を落とす。いよいよ、カウントダウンだ。
 テレビで人気グループ『竜巻』がカウントダウンを始める。飛鳥と明日香も一緒に始めた。
『5、4、3、2、1……0! あけましておめでとう!』
 二人して笑う。今年の大晦日は、特に何も無く終わった。


















































 気づけば、いつの間にか時間が来ていた。時計を見て、飛鳥が驚く。
 バトル初めの時間に間に合うよう、急いで準備を済ませて特設ステージの用意された場所へと向かう。
「どうにか間に合った……。けど、何だ、この静けさ……?」
 かなり不思議なまでに静かだった。いつもなら、バトル初めを見に来たファンで騒がしいと言うのに。
「……時間を間違えたか、俺? とりあえず、バトル・フィールドの調整とかするか」
 そう言って、設置されているコクピットランサーに乗り込んでドライヴを接続する。
 特設ステージでのバトルでは、必ずバトル・フィールドとコクピットランサーの調整が必要となる。
 それは、特設ステージがショップと違うからだ。
 普段は専門のスタッフが行うが、飛鳥や勇治はスタッフの調整に納得行かない為、好き勝手にやっている。
「まずは、バトル・フィールドの調整から……って、もう調整終わってるのか?」
 ドライヴをバトル・フィールドに構築する。特に何も問題はない。
 操作する感覚も大丈夫だ。今年のスタッフは手際が良いらしい。
「何だよ、時間が来るまで調整しようと思ったのに……?」
 瞬間、目の前に一体のドライヴが構築される。女剣士型のドライヴだった。
 青い装甲に覆われた、とても美しい仕上がりのドライヴ。
 その出来は、天才である先代『マグナム・カイザー』をも上回るだろう。
「……バトル初めの対戦相手……『竜巻』のドライヴか? けど、あいつらって男だよな?」
 確かに、男で女性型のドライヴを動かすコネクターはいるから、不思議ではないが。
「……けど、この威圧感は……どう考えても『フォース・コネクター』並――――!?」
 途端、敵ドライヴが突撃してくる。飛鳥は目を鋭くさせた。
 動きを『鷹の瞳』で見切り、剣で受け止める。セルハーツが後ろに少しだけ動いた。
「『鷹の瞳』でどうにか見切れた……! けど、まさかセルハーツが……」
 後ろに少しだけ動く。それは、セルハーツがパワー負けしている事を意味する。
 基本的に女性型は男性型に比べてパワーが劣る。
 しかし、目の前のドライヴはセルハーツを上回るパワーを持っている。
 女剣士型のドライヴが剣を振るう。
「フラッシングソード!」
 飛鳥も素早く反応する。凄まじき速さの斬撃が繰り出され、激しいぶつかりを起こした。
「ミラージュ・ブレイドッ!」
 光の斬撃を繰り出す。敵ドライヴは後ろにジャンプして回避した。
『ウインドシュート』
 回避したと同時に、敵ドライヴが剣を振る。風の槍が放たれた。
 セルハーツが跳躍して回避する。飛鳥の頬を冷たい汗が流れる。
「……ッ! エアブレード・アトモスフィアッ!」
 風の刃を無数に放つ。
『ソニア・ブレイド・エア』
 刹那、敵ドライヴが無数に剣を振るう。それは、まるで棘の剣のようだった。
 棘の剣が風の刃を生み、セルハーツの風の刃を全て弾く。
『ストーム・スティング』
 宙を舞うセルハーツへと向かって、敵ドライヴが突撃する。風の刃と共に。
 飛鳥が目を見開きつつ、セルハーツを動かす。攻撃をどうにか避けた。
 否、避けていない。セルハーツの右肩の装甲が吹き飛んでいる。
「避けれなかった……本当に、アイドルグループ『竜巻』なのか……!?」
 信じられない。この強さは、『フォース・コネクター』を凌ぐと言っても良いほどの強さだ。
『スラスト・ブルー』
 敵ドライヴが接近し、無数の突きを繰り出してくる。セルハーツは辛うじて避ける。
 攻撃が早い。少しでも隙を見せれば、簡単に負けてしまうだろう。
『ブルーローズ・テンペスト』
 敵ドライヴの姿が消える・飛鳥は目を見開いた。
『鷹の瞳』を使うのだが遅かった。敵ドライヴの姿を失ったのは初めてだ。
 そしてセルハーツの後ろから姿を見せる敵ドライヴ。飛鳥は舌打ちした。
「くそっ! セルハーツッ!」
 コンピュータを操作する。セルハーツのカメラアイが光り、敵ドライヴの攻撃を瞬時に避けた。
 使いたくなかった”本来の”セルハーツの片鱗。飛鳥が瞳を鋭くし、敵を捉える。
 敵ドライヴの後ろを取り、ゴッドランチャーを密着させた。
「零距離、くらえぇぇぇっ!」
『――――!』
 セルハーツが零距離ゴッドランチャーを放とうと瞬間、それは起きた。敵ドライヴが宙を舞ったのだ。
 飛鳥が驚く。零距離と言う避けられない技を避けられた事で。
「……零距離を避けた……!?」
『ソニア・ブレイド・エア』
 上空から風の刃が襲い掛かる。セルハーツの全身が切り刻まれた。
「うあぁぁぁぁぁぁっ!?」
 直撃を受け、その場に倒れるセルハーツ。飛鳥は歯を噛み締めた。
 セルハーツはもう動けない。完全な負け。初めての敗北だった。
「……そんな……負けたなんて……くそっ……! くそっ……! くそぉぉぉっ!」
 悔しがる。そんな飛鳥を見て、敵ドライヴを動かしていたコネクターは静かに言った。
『……まだまだね、飛鳥。けれど、お母さんは嬉しかったわ』
「……え……?」
『強いわね。本気を出さなかったら、お母さんの負けだったわ』
「……まさか……俺とバトルしていたのは……!?」
 飛鳥が顔を上げる。見えるのは剣士型のドライヴと、そのドライヴを動かしていたコネクターの顔。
 その顔は、絶対に会うはずも無い人の顔。
『飛鳥、あなたはまだ強くなれる。私よりも強く。そして、誰よりも強く……』
「……嘘……だろ……? 母……さん……母さん、だよね……?」
『飛鳥、あなたはまだその領域に足を踏み入れただけ。……またいつか、バトルしましょうね』
 目の前が眩しくなる。相手の――――母の姿が見えなくなっていく。

「母さん……母さん! 待ってくれ……待ってくれよ、母さん! 母さんッ! 母さ――――」






























「――――母さんッ!」
 大声を上げる。飛鳥はキョトンとしていた。
 視界に広がるのは、電源が入ったままのパソコンの画面。そして、自分の部屋の机。
 記憶が無い。いつ、居間から自分の部屋に移動してパソコンの電源を入れたか覚えていない。
「……夢? 夢……だったのか、あれって……?」
 信じられない。母とバトルした感覚や、本気の母の持つ威圧感が夢だなんて。
 試しに自分の頬を強く引っ張る。夢ではないと言う事を教えてくれる痛みがある。

『飛鳥くーん、朝ご飯作ったよー!』

 扉の向こうから聞こえる明日香の声。そして、開くドアの音。
「おはよう、飛鳥君。あ! 朝からパソコンの電源入れてる!」
 そう言って部屋に入ってくる。飛鳥は少し首を横に振ってパソコンの電源を落とした。
「……そりゃそうだよな。夢に決まってるか……」
「え?」
「いや、独り言。……それより、今何時?」
「今、朝の8時だよ?」
「……マジ?」
 明日香の言葉に、いきなり顔を青くする。飛鳥はすぐにメールを読んだ。
 バトル初めの開始時刻が書かれたメール。それには、「朝9時集合」とある。
 今回の為に用意された特設ステージまでの時間は約1時間。ギリギリで危ない。
「明日香、今すぐ部屋から出て!」
「え、どうして?」
「着替えるから! 寝過ごしたんだよ、俺!」
「ええ!?」
 明日香を部屋から追い出し、急いで着替える。その時間は約3分。
 パソコンに接続したままのドライヴを手に取り、部屋を出て玄関に置いてあるヘルメットを取る。
「先に行くから! 明日香、戸締りとか頼む!」
「う、うん……」
「頼むから間に合ってくれよ……!」
 バイクのエンジンをかけて、すぐに走り出す。
 何も無く終わった大晦日の翌日は、寝坊と言うミスを犯した飛鳥だった。

 ――――飛鳥、寝坊はダメよ?

 注意する母の声が聞こえた気がした。










飛鳥 「……ドタバタしたけど、新年の挨拶!」
明日香「そ、そうだね……。皆さん、新年あけましておめでとうございます」
飛鳥 「今年も『Drive-Connect!』をはじめとしたロボット小説数作、
    そして『勇気と希望と愛を』をよろしくお願いします」

勇治 「俺の出番はあれだけか?」
マリア「私の出番あれだけ? 少なくない?」
ゴウ 「ははは……流石にこればかり仕方ないんじゃないかな?」
輝凰 「他の先代は出番があって、俺だけないのか。ま、これが脇役か」
優  「何言ってんの、元最強のコネクターが」
郁美 「それに色々と仕方ないわよ。主役は飛鳥だもの」

飛鳥 「……って、新年の挨拶の時に何を……」
明日香「あはは……。そ、それでは、皆さんもご一緒に!」

『ドライヴ・コネクト!

 新年あけましておめでとうございます!』






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