Drive-Connect! - SPECIAL EPISODE -

  CONNECT03.『受け継がれた力と技』



 夜10時頃。飛鳥は指定されたショップに辿り着いた。
 そこの入り口で待っていた人物に話し掛ける。
「すみません、遅くなって……」
「いや、こちらこそ遅い時間にすまない」
「それで、晃鉄さん。事件って……?」
 そう、新『ディフェンド・キング』である佐々木晃鉄だ。頷き、ショップの方に目を向ける。
「『ドライヴ・マスター』からの指令だ。このショップのバトル・フィールドで、何かが起きているらしい」
「何か……? でも、ここのショップって、この時間は閉まってるから……」
「その辺は、コネクト協会が手配してくれている。俺達のドライヴで入れる」
 晃鉄がドライヴを入り口の前でかざす。すると、入り口の自動ドアが開いた。
 ショップ内に入り、バトル・フィールドへ向かう。飛鳥は目を疑った。
 バトル・フィールドの電源が入っており、起動している。
「一体何で……!? 確かに、夜中でもバトルできるショップはあるけど、これは……」
「とにかく、原因を確かめよう。コネクトする」
「分かりました。ドライヴ・コネクト!」



 すぐさまコクピットランサーに乗り込み、セルハーツをセットする。そして、バトル・フィールドに構築された。
 同時に、晃鉄のドライヴも構築される。
「晃鉄さん、そのドライヴ……」
 飛鳥が訊く。晃鉄のドライヴは、飛鳥の知っているドライヴではなかった。
 如意金剛棒を持った、純白のドライヴ。それは、先代『ディフェンド・キング』のドライヴに似ていた。
 晃鉄が笑みを浮かべる。
「これが、先代から受け継いだ俺のドライヴ。その名をヴィオ・ガ・ルーン
「ゴウさんから……じゃあ、プラディ・ラ・グーンの……?」
「ああ。プラディ・ラ・グーンで『ダーク・コネクター』に勝てなかった時の為の秘密兵器だったそうだ」
 ヴィオ・ガ・ルーンを動かし、晃鉄が構える。飛鳥も同じく構えた。
 バトル・フィールドの様々な場所から現れる反応。その数は『スカルナイツ』並みだ。
 そして、姿を現す。ゴーグルのようなカメラアイが赤く点灯しながら、左右に動いている。
 球体と棒状の物で構築されたかのようなドライヴ。どこか、不気味だった。
「こいつら、一体……?」
「オートマータ……しかし、なんて数だ」
 敵ドライヴが両腕を二人に向ける。両腕からビームが放たれた。
 素早く回避し、飛鳥が敵の中に突入する。そして、剣を大地に突き刺した。
「輝凰・斬王陣ッ!」
 数体のドライヴが破壊される。晃鉄のヴィオ・ガ・ルーンも動いた。
 左腕をゆっくりと引き、エネルギーを集中させる。
「ラ・グーン・クラッシャー!」
 殴る。それは、先代『ディフェンド・キング』の技だった。飛鳥がふっと笑う。
「やっぱり、その技を受け継いだんですね」
「ああ。これが、先代が託した想いだからな」
 二人の『フォース・コネクター』による攻撃は、謎のドライヴ達を圧倒していた。
 しかし、数が多過ぎる。
「……この数……! バスターファルシオンで一掃した方が早いか……?」
「いや、ここは任せてもらおう。新たなる盾の王として」
「晃鉄さん、何か考えが?」
「ああ。これを持っていて欲しい」
 如意金剛棒をセルハーツに渡し、ヴィオ・ガ・ルーンが構える。両腕を前で交差させた。
 エネルギーを集中させ、最大になったのか、それを知らせるかのように全身が光る。
「見せてやろう。これが、俺の新たなドライヴであり、力だと言う事を。グラウンド・ヴィオ・クラッシャーッ!」
 両腕を大地に叩きつける。亀裂が真っ直ぐ走り、大地が割れた。
 それだけではない。左右に割れた大地が中心にいたドライヴ達を捉え、そのまま挟み潰す。
 飛鳥が目を見開く。目の前に存在していた大量のドライヴが一気に破壊された事で。
「あの数を一撃で……!?」
 流石は、『ディフェンド・キング』と言わんばかりの実力だった。晃鉄が言う。
「まだ敵は残っている。気を抜くな」
「は、はい! だったら、今度は俺が――――」
 そう思った瞬間、残っていたドライヴ達が突然自爆する。二人は驚いた。
「自爆だと? これは一体……」
「何で自爆なんて……そもそも、今回の敵って一体……?」
 一体、何の目的があったのだろうか。
 分かっているのは一つ。『ダーク・コネクター』の復活の可能性、または同等の新勢力の出現
 どちらにしても、嫌な予感がする。
「……今回で終わりなら良いんだけど……!」
「ともかく、今回の事は俺の方から報告しておこう。すまなかったな、遅い時間に」
「いえ。むしろ、良い物を見させてもらいました。ヴィオ・ガ・ルーンと晃鉄さんの強さを」
 飛鳥の言葉に、晃鉄がふっと笑みを浮かべた。



 翌日。飛鳥はショップ内の喫茶店で、昨日の事を考えていた。
 大量のドライヴ。そして、一定数を撃破した後の自爆。色々と引っ掛かる事が多い。
「あのドライヴ達は一体何が……」
「くそう、あそこで油断しなければ……」
「どこが最強のコネクターなのかしら? 話にならなかったわ」
「この野郎……だったらもう一度だ!」
「…………」
 その時、明日奈と蓮が喫茶店に入り、飛鳥の所まで来る。二人の会話に飛鳥は溜め息をついた。
 なぜ、二人がバトルする事になったかは分からないが、蓮の敗北を聞いて、呆れて物も言えない。
「私と同じ『レア・ウェポン』所持者で、最強のコネクターだから期待していたのに、残念だわ」
「仕方ないだろ!? 女相手に本気出せるか!」
「あら? じゃあ、女性が相手なら誰でも負けるのね」
「蓮、お前な……」
 なんとなくで勧めたトーナメント出場で優勝したのは凄いが、その後がこれでは話にならない。
「大体、何でバトルする事になったんだ?」
「簡単よ。一人でトレーニングしているのを見ていたら、強そうだと思ったのよ。勘違いだったけれど
「なるほど……。まぁ、蓮の『レア・ウェポン』には弱点があるからな……」
 様々な属性を拳に付加できる『レア・ウェポン』のエレメント・ナックル。
 しかし、同時に複数の属性付加はできない為、使い方を間違えれば弱点にさえもなる。
「第一、蓮は技の数が少ないんだよ。俺が知る限りじゃ、四つの属性での技くらいしか持ってないだろ?」
「う……それを言うか、お前……」
「しかも、デカイ技ばかりで隙もある。もう少し、使い勝手の良い技を持てって」
「あのな、意外と難しいんだぞ、あの武器!? 二つ以上の属性を同時に使えねぇし、第一、俺に武器は似合わん!」
「だから、グロウネクサスを作ったんだけど……」
「本当、ダメダメな最強のコネクターね」
 飛鳥と明日奈に言い負かされる。蓮が最強のコネクターとして存在感が薄いのは、これが原因なのかもしれない。
 そう、飛鳥が思っていると、ドライヴから着信音が鳴り響いた。
 表示されたのは、叔母である月子の名前。
「……もしもし、月子さん?」
『飛鳥君、今日は早く帰って来てね? まだ、美緒ちゃんだって慣れていないし、私も久々に飛鳥君の為に料理作ってるから』
「わざわざ電話しなくても……」
『あ、明日香ちゃんとか明日奈ちゃん呼んでも良いわよ? 賑やかな方が楽しいものね。ドライヴもほどほどに』
「ちょっと、月子さん? ……切れた」
 うな垂れる。
「久々とは言え、月子さん楽しそうだな、うん……」
「少し聞こえたけれど、月子さんはいつまでいるの?」
「数日いるみたい。で、明日奈、来るか?」
「ええ。明日香も呼ぶわ」
「頼む。俺はもう少し蓮と話して、特訓してから帰るから」
「ん? 俺と何を話すんだ?」
 蓮の言葉に、飛鳥が溜め息をつく。
「新技についてだ。久々に、色々と教えてやるよ。グロウネクサスでの戦い方も研究したいし」



 同時刻。晃鉄は、またも『ドライヴ・マスター』の指令を受けて戦っていた。今度は『マグナム・カイザー』である勇治と共に。
 敵は、飛鳥と共に戦った時と同じドライヴ。その数は、ざっと50体前後。勇治が溜め息をつく。
「……面倒だ。すぐに片付ける」
 そう言って、サタン・オブ・マグナムを構える。
「システム移行、サタン・オブ・アブソリュート」
 勇治の言葉と共に、サタン・オブ・マグナムが『ドライヴ=レガリア』としての真の姿を見せる。
 如何なるもの全てを貫く弾丸を誇る、史上最強の銃『サタン・オブ・アブソリュート』。
『狙撃の瞳』を発動させ、瞬時に狙いを定める。
「マッハバースト」
 放つ。凄まじき銃声が鳴り響くと同時に、敵のほとんどが撃たれ、破壊された。
 その速度に晃鉄が目を見開く。
「知ってはいたが、それほどとはな……」
「これ位、どうって事はない。残ったのは、あと10体程度か」
「そのようだな。今度は、ヴィオ・ガ・ルーンで蹴散らす」
 そう思い、晃鉄が動き出そうとする――――が、それは叶わなかった。
 前回同様、残っていたドライヴ達が全て自爆する。
「……また自爆か」
「もう終わりか。つまらん……飛鳥の家に行く
「……いや、なぜそうなる?」
 流石の晃鉄でも、勇治の言葉に首を傾げる。勇治は答えた。
「飛鳥の家でゲームをする。最近、P○4やW○○Uを買ったらしいからな。マ○オ○○トも持っているはずだ」
「……そうか。俺は報告する必要があるから、コネクト協会に向かう。協力、感謝する」
「ああ」
 頷きながら、勇治がコネクト・アウトする。
「亜美とマリアを呼ぶか。大人数プレイも可能だったはずだ」
 本当に自分勝手な『マグナム・カイザー』だった。



「晃鉄の新型ドライヴは、調子が良いみたいだな」
「当然でしょ。当時は私が手掛けたドライヴで、晃鉄が使う前に色々と手を加えたみたいだけど」
 夜。晃鉄の戦いを見ていたゴウは、優、郁美と会っていた。
 理由は一つ。最近の謎のドライヴについてだ。
「ヴィオ・ガ・ルーンは元々、ゴウが『ダーク・コネクター』にプラディ・ラ・グーンで負けた時の為に作ったドライヴだし、
 性能はスキルヴィングに比べたら段違いよ」
「確かに。あの性能の良さには驚いたよ」
 輝凰のアーク・ウィザリオもそうだが、優の作るドライヴは、とても性能が良い。
 だからこそ、晃鉄に託した。新たなる『ディフェンド・キング』への祝いとして。
「けれど、今起きている事件は何なのかしらね?」
「謎のドライヴの事かい? 確かに、奇妙な感じではあるね」
 大量に出現するが、その後に全機自爆すると言う謎のドライヴ達。
 それが一体何なのか。何が目的で動いているのか。
 郁美が呟く。
「『ダーク・コネクター』の可能性は低いわね」
「ああ。彼らの場合は、『ドライヴ=レガリア』の入手が目的だったからね」
 敵が『ダーク・コネクター』であるならば、謎の大量のドライヴで動きを封じ、『ドライヴ=レガリア』を奪えば良い。
 しかし、今回は違う。大量に出現し、そして自爆すると言う奇妙な存在程度だ。
「分かっているのは、あれらは全部オートマータで動いている。あと、しばらく続く」
「続く? 優、それはどうして?」
「私の予想じゃ、大量の謎ドライヴは情報収集をしている感じに思う。今のところ回数は少ないけど、出現回数も増えるはず」
「情報収集ね。何の為に?」
「そこまで分かれば苦労しないわよ」
 郁美の言葉に、優がお手上げと言わんばかりに両手を上げる。
「でも、『フォース・コネクター』だけじゃ対処できないかもね。先代として、掛け合いよろしく」
「そこは僕の役目なんだね……」
「当然でしょ。きーは忙しい身だし、私と郁美は調べ物係だし」
「分かったよ。僕の方から『マスター・コネクティブ』に掛け合おう」
 優の言葉に、ゴウは抵抗せずに従うのだった。



 おまけ。

「お前、本当にゲームしに来ただけかよ!?」
「当然だ」
「ご、ごめんなさい、飛鳥さん……マ○オ○○ト出来るって聞いたから……」
 突如来訪して来た勇治と亜美に、飛鳥が溜め息をつく。
「仕方ないな……1時間だけだぞ。明日も学校あるし」
「よし。ちょうど星川が来ているなら、5人でレースだ」
「却下! つーか、そんなにコントローラー持ってねぇよ!」
「なぜ持っていない? 大人数で遊ぶ為にも買うのが普通だろう
「んな事言うならテメェが買え! 人ん家でプレイできるだけでもありがたいと思え!」
 相変わらずの飛鳥と勇治の会話は、日常でも行われるのであった。

 ちなみに、結局、W○○U用のコントローラーを買いに行ったのは余談だったりする。



次回予告

 飛鳥 「……最近、最後の展開がギャグ方面に走ってる気がする」
 明日香「あ、飛鳥君、そんなに落ち込まないで……」
 明日奈「そうね。悪いのは作者だものね」
 明日香「そうだよ! 悪いのは、最後にW○○Uとかマ○オ○○トとか書いた作者だよ!」
  ※だって、久々にネタとして書きたかったんで(殴

  次回、CONNECT04.『事件発生』

 飛鳥 「一体、何が起きてるんだ……!?」

 明日香「ドライヴ・コネクト! 次回は、まさかの大事件!」
 飛鳥 「ついに、このエピソードのメイン的な内容突入だな」
 明日香「あ、あれ? 意外と冷静な気が……」
 飛鳥 「だって、次回予告だから」
 明日香「あ、あはは……」



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