夜10時頃。飛鳥は指定されたショップに辿り着いた。 そこの入り口で待っていた人物に話し掛ける。 「すみません、遅くなって……」 「いや、こちらこそ遅い時間にすまない」 「それで、晃鉄さん。事件って……?」 そう、新『ディフェンド・キング』である佐々木晃鉄だ。頷き、ショップの方に目を向ける。 「『ドライヴ・マスター』からの指令だ。このショップのバトル・フィールドで、何かが起きているらしい」 「何か……? でも、ここのショップって、この時間は閉まってるから……」 「その辺は、コネクト協会が手配してくれている。俺達のドライヴで入れる」 晃鉄がドライヴを入り口の前でかざす。すると、入り口の自動ドアが開いた。 ショップ内に入り、バトル・フィールドへ向かう。飛鳥は目を疑った。 バトル・フィールドの電源が入っており、起動している。 「一体何で……!? 確かに、夜中でもバトルできるショップはあるけど、これは……」 「とにかく、原因を確かめよう。コネクトする」 「分かりました。ドライヴ・コネクト!」 すぐさまコクピットランサーに乗り込み、セルハーツをセットする。そして、バトル・フィールドに構築された。 同時に、晃鉄のドライヴも構築される。 「晃鉄さん、そのドライヴ……」 飛鳥が訊く。晃鉄のドライヴは、飛鳥の知っているドライヴではなかった。 如意金剛棒を持った、純白のドライヴ。それは、先代『ディフェンド・キング』のドライヴに似ていた。 晃鉄が笑みを浮かべる。 「これが、先代から受け継いだ俺のドライヴ。その名をヴィオ・ガ・ルーン」 「ゴウさんから……じゃあ、プラディ・ラ・グーンの……?」 「ああ。プラディ・ラ・グーンで『ダーク・コネクター』に勝てなかった時の為の秘密兵器だったそうだ」 ヴィオ・ガ・ルーンを動かし、晃鉄が構える。飛鳥も同じく構えた。 バトル・フィールドの様々な場所から現れる反応。その数は『スカルナイツ』並みだ。 そして、姿を現す。ゴーグルのようなカメラアイが赤く点灯しながら、左右に動いている。 球体と棒状の物で構築されたかのようなドライヴ。どこか、不気味だった。 「こいつら、一体……?」 「オートマータ……しかし、なんて数だ」 敵ドライヴが両腕を二人に向ける。両腕からビームが放たれた。 素早く回避し、飛鳥が敵の中に突入する。そして、剣を大地に突き刺した。 「輝凰・斬王陣ッ!」 数体のドライヴが破壊される。晃鉄のヴィオ・ガ・ルーンも動いた。 左腕をゆっくりと引き、エネルギーを集中させる。 「ラ・グーン・クラッシャー!」 殴る。それは、先代『ディフェンド・キング』の技だった。飛鳥がふっと笑う。 「やっぱり、その技を受け継いだんですね」 「ああ。これが、先代が託した想いだからな」 二人の『フォース・コネクター』による攻撃は、謎のドライヴ達を圧倒していた。 しかし、数が多過ぎる。 「……この数……! バスターファルシオンで一掃した方が早いか……?」 「いや、ここは任せてもらおう。新たなる盾の王として」 「晃鉄さん、何か考えが?」 「ああ。これを持っていて欲しい」 如意金剛棒をセルハーツに渡し、ヴィオ・ガ・ルーンが構える。両腕を前で交差させた。 エネルギーを集中させ、最大になったのか、それを知らせるかのように全身が光る。 「見せてやろう。これが、俺の新たなドライヴであり、力だと言う事を。グラウンド・ヴィオ・クラッシャーッ!」 両腕を大地に叩きつける。亀裂が真っ直ぐ走り、大地が割れた。 それだけではない。左右に割れた大地が中心にいたドライヴ達を捉え、そのまま挟み潰す。 飛鳥が目を見開く。目の前に存在していた大量のドライヴが一気に破壊された事で。 「あの数を一撃で……!?」 流石は、『ディフェンド・キング』と言わんばかりの実力だった。晃鉄が言う。 「まだ敵は残っている。気を抜くな」 「は、はい! だったら、今度は俺が――――」 そう思った瞬間、残っていたドライヴ達が突然自爆する。二人は驚いた。 「自爆だと? これは一体……」 「何で自爆なんて……そもそも、今回の敵って一体……?」 一体、何の目的があったのだろうか。 分かっているのは一つ。『ダーク・コネクター』の復活の可能性、または同等の新勢力の出現。 どちらにしても、嫌な予感がする。 「……今回で終わりなら良いんだけど……!」 「ともかく、今回の事は俺の方から報告しておこう。すまなかったな、遅い時間に」 「いえ。むしろ、良い物を見させてもらいました。ヴィオ・ガ・ルーンと晃鉄さんの強さを」 飛鳥の言葉に、晃鉄がふっと笑みを浮かべた。 翌日。飛鳥はショップ内の喫茶店で、昨日の事を考えていた。 大量のドライヴ。そして、一定数を撃破した後の自爆。色々と引っ掛かる事が多い。 「あのドライヴ達は一体何が……」 「くそう、あそこで油断しなければ……」 「どこが最強のコネクターなのかしら? 話にならなかったわ」 「この野郎……だったらもう一度だ!」 「…………」 その時、明日奈と蓮が喫茶店に入り、飛鳥の所まで来る。二人の会話に飛鳥は溜め息をついた。 なぜ、二人がバトルする事になったかは分からないが、蓮の敗北を聞いて、呆れて物も言えない。 「私と同じ『レア・ウェポン』所持者で、最強のコネクターだから期待していたのに、残念だわ」 「仕方ないだろ!? 女相手に本気出せるか!」 「あら? じゃあ、女性が相手なら誰でも負けるのね」 「蓮、お前な……」 なんとなくで勧めたトーナメント出場で優勝したのは凄いが、その後がこれでは話にならない。 「大体、何でバトルする事になったんだ?」 「簡単よ。一人でトレーニングしているのを見ていたら、強そうだと思ったのよ。勘違いだったけれど」 「なるほど……。まぁ、蓮の『レア・ウェポン』には弱点があるからな……」 様々な属性を拳に付加できる『レア・ウェポン』のエレメント・ナックル。 しかし、同時に複数の属性付加はできない為、使い方を間違えれば弱点にさえもなる。 「第一、蓮は技の数が少ないんだよ。俺が知る限りじゃ、四つの属性での技くらいしか持ってないだろ?」 「う……それを言うか、お前……」 「しかも、デカイ技ばかりで隙もある。もう少し、使い勝手の良い技を持てって」 「あのな、意外と難しいんだぞ、あの武器!? 二つ以上の属性を同時に使えねぇし、第一、俺に武器は似合わん!」 「だから、グロウネクサスを作ったんだけど……」 「本当、ダメダメな最強のコネクターね」 飛鳥と明日奈に言い負かされる。蓮が最強のコネクターとして存在感が薄いのは、これが原因なのかもしれない。 そう、飛鳥が思っていると、ドライヴから着信音が鳴り響いた。 表示されたのは、叔母である月子の名前。 「……もしもし、月子さん?」 『飛鳥君、今日は早く帰って来てね? まだ、美緒ちゃんだって慣れていないし、私も久々に飛鳥君の為に料理作ってるから』 「わざわざ電話しなくても……」 『あ、明日香ちゃんとか明日奈ちゃん呼んでも良いわよ? 賑やかな方が楽しいものね。ドライヴもほどほどに』 「ちょっと、月子さん? ……切れた」 うな垂れる。 「久々とは言え、月子さん楽しそうだな、うん……」 「少し聞こえたけれど、月子さんはいつまでいるの?」 「数日いるみたい。で、明日奈、来るか?」 「ええ。明日香も呼ぶわ」 「頼む。俺はもう少し蓮と話して、特訓してから帰るから」 「ん? 俺と何を話すんだ?」 蓮の言葉に、飛鳥が溜め息をつく。 「新技についてだ。久々に、色々と教えてやるよ。グロウネクサスでの戦い方も研究したいし」 同時刻。晃鉄は、またも『ドライヴ・マスター』の指令を受けて戦っていた。今度は『マグナム・カイザー』である勇治と共に。 敵は、飛鳥と共に戦った時と同じドライヴ。その数は、ざっと50体前後。勇治が溜め息をつく。 「……面倒だ。すぐに片付ける」 そう言って、サタン・オブ・マグナムを構える。 「システム移行、サタン・オブ・アブソリュート」 勇治の言葉と共に、サタン・オブ・マグナムが『ドライヴ=レガリア』としての真の姿を見せる。 如何なるもの全てを貫く弾丸を誇る、史上最強の銃『サタン・オブ・アブソリュート』。 『狙撃の瞳』を発動させ、瞬時に狙いを定める。 「マッハバースト」 放つ。凄まじき銃声が鳴り響くと同時に、敵のほとんどが撃たれ、破壊された。 その速度に晃鉄が目を見開く。 「知ってはいたが、それほどとはな……」 「これ位、どうって事はない。残ったのは、あと10体程度か」 「そのようだな。今度は、ヴィオ・ガ・ルーンで蹴散らす」 そう思い、晃鉄が動き出そうとする――――が、それは叶わなかった。 前回同様、残っていたドライヴ達が全て自爆する。 「……また自爆か」 「もう終わりか。つまらん……飛鳥の家に行く」 「……いや、なぜそうなる?」 流石の晃鉄でも、勇治の言葉に首を傾げる。勇治は答えた。 「飛鳥の家でゲームをする。最近、P○4やW○○Uを買ったらしいからな。マ○オ○○トも持っているはずだ」 「……そうか。俺は報告する必要があるから、コネクト協会に向かう。協力、感謝する」 「ああ」 頷きながら、勇治がコネクト・アウトする。 「亜美とマリアを呼ぶか。大人数プレイも可能だったはずだ」 本当に自分勝手な『マグナム・カイザー』だった。 「晃鉄の新型ドライヴは、調子が良いみたいだな」 「当然でしょ。当時は私が手掛けたドライヴで、晃鉄が使う前に色々と手を加えたみたいだけど」 夜。晃鉄の戦いを見ていたゴウは、優、郁美と会っていた。 理由は一つ。最近の謎のドライヴについてだ。 「ヴィオ・ガ・ルーンは元々、ゴウが『ダーク・コネクター』にプラディ・ラ・グーンで負けた時の為に作ったドライヴだし、 性能はスキルヴィングに比べたら段違いよ」 「確かに。あの性能の良さには驚いたよ」 輝凰のアーク・ウィザリオもそうだが、優の作るドライヴは、とても性能が良い。 だからこそ、晃鉄に託した。新たなる『ディフェンド・キング』への祝いとして。 「けれど、今起きている事件は何なのかしらね?」 「謎のドライヴの事かい? 確かに、奇妙な感じではあるね」 大量に出現するが、その後に全機自爆すると言う謎のドライヴ達。 それが一体何なのか。何が目的で動いているのか。 郁美が呟く。 「『ダーク・コネクター』の可能性は低いわね」 「ああ。彼らの場合は、『ドライヴ=レガリア』の入手が目的だったからね」 敵が『ダーク・コネクター』であるならば、謎の大量のドライヴで動きを封じ、『ドライヴ=レガリア』を奪えば良い。 しかし、今回は違う。大量に出現し、そして自爆すると言う奇妙な存在程度だ。 「分かっているのは、あれらは全部オートマータで動いている。あと、しばらく続く」 「続く? 優、それはどうして?」 「私の予想じゃ、大量の謎ドライヴは情報収集をしている感じに思う。今のところ回数は少ないけど、出現回数も増えるはず」 「情報収集ね。何の為に?」 「そこまで分かれば苦労しないわよ」 郁美の言葉に、優がお手上げと言わんばかりに両手を上げる。 「でも、『フォース・コネクター』だけじゃ対処できないかもね。先代として、掛け合いよろしく」 「そこは僕の役目なんだね……」 「当然でしょ。きーは忙しい身だし、私と郁美は調べ物係だし」 「分かったよ。僕の方から『マスター・コネクティブ』に掛け合おう」 優の言葉に、ゴウは抵抗せずに従うのだった。 おまけ。 「お前、本当にゲームしに来ただけかよ!?」 「当然だ」 「ご、ごめんなさい、飛鳥さん……マ○オ○○ト出来るって聞いたから……」 突如来訪して来た勇治と亜美に、飛鳥が溜め息をつく。 「仕方ないな……1時間だけだぞ。明日も学校あるし」 「よし。ちょうど星川が来ているなら、5人でレースだ」 「却下! つーか、そんなにコントローラー持ってねぇよ!」 「なぜ持っていない? 大人数で遊ぶ為にも買うのが普通だろう」 「んな事言うならテメェが買え! 人ん家でプレイできるだけでもありがたいと思え!」 相変わらずの飛鳥と勇治の会話は、日常でも行われるのであった。 ちなみに、結局、W○○U用のコントローラーを買いに行ったのは余談だったりする。 次回予告 飛鳥 「……最近、最後の展開がギャグ方面に走ってる気がする」 明日香「あ、飛鳥君、そんなに落ち込まないで……」 明日奈「そうね。悪いのは作者だものね」 明日香「そうだよ! 悪いのは、最後にW○○Uとかマ○オ○○トとか書いた作者だよ!」 ※だって、久々にネタとして書きたかったんで(殴 次回、CONNECT04.『事件発生』 飛鳥 「一体、何が起きてるんだ……!?」 明日香「ドライヴ・コネクト! 次回は、まさかの大事件!」 飛鳥 「ついに、このエピソードのメイン的な内容突入だな」 明日香「あ、あれ? 意外と冷静な気が……」 飛鳥 「だって、次回予告だから」 明日香「あ、あはは……」 |
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