病院。そこに、明日香は駆けつけた。 受付前の椅子に座っている月子を見つけ、話し掛ける。 「月子さん、飛鳥君は!?」 「明日香ちゃん……」 泣き続ける美緒を抱いたまま、月子が説明する。 「今はICUの方で眠っているわ。頭を強く打ったらしくて、まだ目は覚まさないけれど……」 「そんな……」 「大丈夫よ。内蔵とかは問題無くて、外傷程度で済んでいるって言っていたから……」 そう、車とぶつかったものの、飛鳥の怪我はそれほど酷くなかった。 しかし、吹き飛ばされた時に頭部を強打し、そのせいで目を覚まさない。 「先生は時期に目を覚ますって言っていたから」 「そうですか……」 「それより……」 ずっと泣いている美緒の頭を、月子が優しく撫でる。 「一番辛いのは美緒ちゃんの方……自分のせいで、飛鳥君がこんな状態になったから……」 「…………」 明日香が美緒の頭を優しく撫でる。 「大丈夫だよ。飛鳥君は……お兄ちゃんは絶対に大丈夫だから……」 ドライヴ・ショップ内の喫茶店。 飛鳥の事故は、輝凰によって勇治、マリア、晃鉄の『フォース・コネクター』に伝わった。 話を聞いたマリアが「うーん」と首を傾げる。 「まさか、こんな時に……ググロと戦う為の作戦があるって、飛鳥は言ってたのに」 「だが、起きてしまった事を今更言っても仕方がない。俺達だけでググロを倒す方法を考えよう」 「問題無い」 二人の会話に勇治が言い放つ。 「作戦が無くても、俺のファイナル・インフェルノなら、確実に倒せる」 「って言うけど……その肝心の必殺技、分析されてるから命中しないんじゃない?」 「…………」 「作戦はしっかり立てた方が良いな。レガリアの力を使わずに、どうやってアルティメット・ギャリオを倒すか……」 『御機嫌よう、フォース・コネクターの諸君!』 その時、ショップ内全ての照明が消え、設置されているテレビにドクター・ググロが映し出される。 『どうだい、レガリア無しでアルティメット・ギャリオを倒す方法は思い付いたかい?』 「ググロ……!」 『今日、私が君達の前にこうして姿を見せたのは、伝える事があるからだ』 そう言って、ググロがコンピュータを操作し、画面右端に数字を表示させる。 「6:00:00」と表示された数字。ググロが笑う。 『今から6時間後……アルティメット・ギャリオは完全体として完成する。そして、ドライヴ・マスターは破壊される』 ググロの言葉に、三人が目を見開く。 「何……!?」 「『ドライヴ・マスター』が破壊って……寄生してるんじゃないの、あれ?」 「俺に訊くな」 『アルティメット・ギャリオによる完全な寄生によって、ドライヴ・マスターの機能は完全に消える。つまり、破壊だよ』 三人の会話を聞いていたのか、ググロが言う。 『そして、私はアルティメット・ギャリオを介して全世界のネットワークを操作する。この意味が分かるかい?』 「……まさか!?」 全世界に構築されているネットワークの操作。つまり、支配すると言う事。 コンピュータ上で構築されるドライヴは、操作によってはネットワークを悪用する事もできる。 そして、それを阻止し、制御しているのが『ドライヴ・マスター』だ。 『世界中のネットワークを操作する事で、簡単に核の発射や市場操作もできる。つまり、神になれるのだよ』 「…………」 「『ダーク・コネクター』と同じ事をやろうとしてるわけ?」 「いや、それ以上だ。『ダーク・コネクター』はあくまで、『ドライヴ・マスター』の破壊が目的だった」 そう、『ダーク・コネクター』は『ドライヴ・マスター』の破壊で、コネクト協会に復讐するのが目的だった。 しかし、ググロは違う。ググロがやろうとしている事は、それを遥かに超える。 『あと6時間……止められるかな? ハハハハハハッ!』 表示されているググロの姿が消える。三人は拳を強く握った。 「……時間は無いようだな」 「みたいね。飛鳥の回復、待ってられない状況ね……」 「問題無い。倒せば良いだけだ」 勇治がドライヴを構える。 「レガリアは使えなくても、レガリアによるエネルギーの無限供給は使える。それで十分だ」 「とにかく攻撃するしかないと言いたいのか?」 「そうだ。俺とディル・ぜレイクで必ず奴を倒す」 勇治の言葉に、マリアと晃鉄が頷く。 「そうね。私達でどうにかしないといけないわね」 「仕方ない。ググロとの戦いの中で、倒せる方法を探す」 そう言って、ドライヴをコネクトさせる三人だった。 「どうだ、動けそうか?」 「無理。『ドライヴ・マスター』の機能がほとんど失われてるから、コネクトが全然できない」 同時刻。彼女の自宅に彼ら――――先代の『フォース・コネクター』は集まっていた。 表示された時間。この時間を過ぎれば、完全にドライヴは使用できなくなる。 「ググロと戦えるのは、やっぱりレガリアを持ってる『フォース・コネクター』だけ。先代の私達でも、どうしようもない」 「もどかしいね」 「仕方ないわ。ここは、マリア達に賭けるしかないわね」 「それでも無理なら……」 輝凰がドライヴを構える。 「勇治、マリア、晃鉄の三人でも無理なら、その時は俺が飛鳥のセルハーツからファルシオンを回収する」 「勝てる見込みがあるのかい?」 「無い。しかし、ただ指を咥えて待つよりはマシだ」 ドライヴをコネクトした三人は、その光景に目を見開いた。 目の前に広がる暗黒の空間。無数に群がるアンブロットと呼ばれるドライヴ。 そして、その中心にいる、巨大で悪魔のような姿をしたドライヴ。 「……あれが、アルティメット・ギャリオか」 「悪魔そのものじゃない、あれ」 禍々し過ぎる。そう、彼らは思わんばかりに息を呑んだ。 この状況を、残り6時間以内にどうにかしないといけない。それも、自分達3人だけで。 『やはり来たようだねぇ、フォース・コネクターの諸君?』 アルティメット・ギャリオと思われる、悪魔の姿をしたドライヴから、ドクター・ググロの声が発せられる。 『おや、一人足りないようだね。遅刻しているのかな?』 そう言いながら、ググロが少しずつ笑う。 『それとも、逃げ出したのかな? フォース・コネクターでも、アルティメット・ギャリオには勝てないと分かって』 「違うな」 勇治が口を開く。そして、ディル・ゼレイクが銃を構えた。 「飛鳥はいなくても、俺がいる。俺がいる限り、貴様は必ず倒される」 『君がこのアルティメット・ギャリオを倒すと? 荻原勇治君?』 「そうだ。お前程度なら、俺一人で十分だ」 勇治の瞳が鋭くなる。『狙撃の瞳』がアルティメット・ギャリオを捉えた。 構えていた銃が火を噴く。周囲のアンブロットが攻撃を防いだ。 ドクター・ググロが笑う。 『無駄だよ。君達の戦い方は全て記録され、解析されている。アルティメット・ギャリオには通用しない』 アンブロット達が三人を取り囲む。 『そして、アンブロットにも通用しない。君達の負けだ』 次回予告 明日奈「やっぱり、飛鳥がいないとダメみたいね」 マリア「いや、変わらない気がする。こっちの攻撃全部読まれてるし」 晃鉄 「正確に言えば、解析されている。ドクター・ググロは恐ろしい相手だ……」 勇治 「問題無い。俺が絶対に倒す」 マリア「珍しく燃えてるわね、勇治。それでこそ、私のナイトね☆」 明日香「飛鳥君……飛鳥君……」 次回、CONNECT07.『絶望と希望』 明日奈「次回は、予想外の展開連発らしいわ」 マリア「それは無いでしょ、あの作者だし。そもそも、主人公どうするのよ?」 明日奈「さあ?」 ※次回もドライヴ・コネクト! お楽しみに! |
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