飛鳥が搬送された病院の近くに建つショップ。そこで、明日香と明日奈の二人は肩で息をした。 目の前で光るコクピットランサーの画面。それを見た明日香が安堵する。 「良かった……間に合った……」 「……全く、無茶するわね……」 「それはお互い様、だよ……」 明日奈の言葉に、明日香が小さく笑いながら言う。明日奈も笑って返した。 ドクター・ググロによって、ドライヴはコネクト出来ない。 しかし、飛鳥のセルハーツにデータだけを送る事はできるのではないか。一か八かだった。 結果は成功だった。セルハーツはファイナルハーツへと姿を変え、両手には明日奈の持つ『レア・ウェポン』。 二人に出来た、飛鳥への贈り物。 「……勝てるよね、飛鳥君なら……!」 「当然よ。明日香と私、二人分の想いを託したんだから……!」 飛鳥が小さく息を吐き、アルティメット・ギャリオを睨む。瞳が鋭くなった。 発動される『鷹の瞳』。ファイナルハーツが動く―――― 一閃が、アンブロットの大群を切り裂いた。 あまりにも速過ぎる攻撃に、ドクター・ググロが驚く。 『一瞬だと……たかがドライヴに一瞬だと!?』 「フレイム&アイシクル……!」 ファイナルハーツの両手の剣から、それぞれ炎、氷が鞭状になって伸びる。 「ヴァイパァァァッ!」 繰り出される攻撃がアンブロットを破壊していく。ドクター・ググロは目を見開いた。 データには存在しない。目の前で起こっている現実に、アンブロットの解析が間に合っていない。 『アンブロットの解析を上回る機動性……こんな事があるわけ……!?』 「隙だらけだ」 アルティメット・ギャリオの腹部を、ディル・ゼレイクが殴る。ドクター・ググロがさらに目を大きくした。 『な……いつの間に……!? アンブロットは……』 「ぜーんぶ、初代のドライヴ達が破壊してくれたわよ」 「それも、見た事も無いほどの強さで」 セイレント・クイーンとヴィオ・ガ・ルーンも攻撃する。ドクター・ググロは歯を噛み締めた。 まさかのアンブロットの全滅。それも、たった八体のドライヴに。 ファイナルハーツが剣をアルティメット・ギャリオへ向ける。飛鳥が言った。 「これがドライヴだ。お前の言う、プロジェクト・アルティメットは絶対に止める!」 『ふざけた事を……! この計画は、私が神となる為にあるのだぁぁぁぁぁぁっ!』 アルティメット・ギャリオが巨大なビームを放つ。初代『ディフェンド・キング』がそれを無力化した。 ファイナルハーツに、初代『ソード・マスター』の――――母のドライヴが近づく。 ドライヴから光が放たれ、ファイナルハーツに宿った。 「これは……?」 表示されるデータ量。飛鳥は目を見開いた。そして、ふっと笑みを浮かべる。 「……ありがとう、母さん。この方法ならファイナルハーツでも倒せる……!」 コンピュータを操作する。ファイナルハーツに二つの武器が装備された。 飛鳥が自分で手掛けた実体剣と『レア・ウェポン』と呼ばれる雷聖弓の二つ。 「レガリアやファイナルハーツは、イレギュラーな存在。下手をすれば『ドライヴ・マスター』を破壊してしまう」 そう、どちらも作る過程で発生した”バグ”。『ドライヴ・マスター』でも予測できない強さを秘めた力。 アルティメット・ギャリオを倒せるが、『ドライヴ・マスター』を破壊する可能性がある危険な力。 だからこそ、この技だ。母が教えてくれた技。 「『レア・ウェポン』なら……この技なら!」 雷聖弓に実体剣をセットし、弦を引く。 「イクサ・グレイル、エネルギーリロード・フルッ!」 剣の柄が回転し、6発の薬莢が排出。そして、剣に雷が走る。 「俺達の勝ちだ、ググロ! ライトニング……ストラァァァァァァイクッッッ!」 雷聖弓から実体剣が放たれる。一閃の雷がアルティメット・ギャリオを襲った。 防ごうとしたドクター・ググロだったが、それは無駄だった。アルティメット・ギャリオの胸部に突き刺さる実体剣。 『馬鹿な!? 馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁぁぁぁぁぁっ……!?』 崩壊するアルティメット・ギャリオ。ドクター・ググロの叫びだけが、最後まで響いていた。 2週間後。飛鳥は問診で輝凰に何度も怒られた。 「大丈夫みたいだな。資質の方も、前みたいに長時間使っていないから、負担も小さかったようだな」 「はい。すみませんでした」 「本当だ。病院抜け出して……事故の怪我は大した事無かったとは言え、下手したら死ぬんでいたぞ」 そう言いつつ、輝凰が溜め息をつきながら訊く。 「……それで、ググロはどうなった?」 「コネクト協会と警察が動いて、逮捕されました。『ドライヴ・マスター』の方も復旧できたそうです」 「そうか。それにしても、初代のドライヴか……」 一部始終を聞いた輝凰でも、信じられない事だった。 ドクター・ググロを倒す為に、『ドライヴ=レガリア』が起こした奇跡。 「出せるなら、『ダーク・コネクター』の時から出してくれれば良かったのにな」 「確かに。そう思うと、不思議ですよね」 「何がだ?」 「どうして、レガリアは母さん達の時のドライヴだけを具現したのか……記憶として残っているなら、他のドライヴも……」 「それは、あれだろ」 輝凰がドライヴを取り出す。 「ググロの件は、初代の頃の話だから、初代の力で決着をつけろって事だろう」 「そっか……そうですよね」 同時刻。勇治達『フォース・コネクター』の3人は、正装していた。 以後、ググロ事件と呼ばれるドクター・ググロの計画によって、 全機能を奪われていた『ドライヴ・マスター』は、2週間もの時間を掛けて、ようやく復旧に至った。 つまり、彼らが正装しているのは、ドライヴ再稼働によるイベントの為である。 「……飛鳥は?」 「病院でしょ? それに事故の事もあるから、今日のイベントは免除でしょ」 「…………」 「正装したくないのは分かるが、『フォース・コネクター』のルールだ。諦めろ」 晃鉄の言葉に、勇治は舌打ちする。 ちなみに、後に勇治の正装姿は、飛鳥には届かないものの、凄まじい人気で週刊誌のトップを飾る。 「そう言えば……」 マリアが何かを思い出したかのように、ドライヴを手にする。 「結局、あれって何だったわけ? 初代『フォース・コネクター』のドライヴの反則みたいな強さとか」 「ググロの計画を阻止したいと言う、レガリアの意思が見せた幻。それが、『マスター・コネクティブ』から聞いた話だ」 詳しい事は分からない。『ドライヴ=レガリア』については、誰もが分からない点が多い。 そもそも、自分達はどのようにして『ドライヴ=レガリア』が誕生したのかを知らない。 「『マスター・コネクティブ』とかは知ってるんでしょうね、色々と。でも、訊いても無駄な気がするのよね」 「訊いても分かるわけないだろう」 「勇治、何か言った?」 勇治の頬を引っ張る。何が起きても、彼らは相変わらずだった。 病院を出た飛鳥は、墓参りに来ていた。 母の墓が建てられている場所。来る途中で購入した花束を墓前に供える。 「……ようやく、決着がついたよ」 母が解決した事件から、17年。『ダーク・コネクター』との戦いと今回のググロ事件。 全ては、17年前にドクター・ググロが起こした暴走ドライヴの事件から始まった。 「何で神になろうなんて思ったのか知らないけど、ググロは俺が……皆が倒した」 ファイナルハーツの発動には明日香が、ファイナルハーツが装備した剣は明日奈が。 そして、レガリアが力を貸してくれた。だからこそ、ググロの計画も阻止できた。 ポケットからドライヴを取り出し、強く握り締める。 「ありがとう、母さん。力を貸してくれて、ライトニング・ストライクって言う技を教えてくれて……」 飛鳥がドライヴの墓へ向ける。 「俺、なるよ。母さんが自慢できる位の『ソード・マスター』に、最強のコネクターに」 全てのドライヴを守る為、剣の王は脅威を倒した。 しかしそれは、彼一人の力ではない。 脅威は、ドライヴを大切にする者達によって、倒されたのだ。 Drive-Connect! - SPECIAL EPISODE - 〜fin〜 明日香「こんにちは明日香です」 飛鳥 「飛鳥です」 明日香「ついに完結だね、『SPECIAL EPISODE』! こんな話だったんだね!」 飛鳥 「ああ」 明日奈「…………」 明日香「どうかした、明日奈?」 明日奈「……一つだけ訊いて良いかしら?」 飛鳥 「何だ?」 明日奈「明日香は、どうやってSランクになったの?」 飛鳥&明日香『あ……』 ・・・ 蓮 「つーか、俺の出番少なくないか!? たった二話で少しだけだぞ!」 明日奈「それは当然よ。ザコなんだから」 蓮 「テメ……(#゚Д゚)」 明日香「と、とにかく、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!」 飛鳥 「引き続き、『Drive-Connect! - ULTIMATE EPISODE -』を読んで頂ければ幸いです。 それじゃ、最後は皆で!」 『ドライヴ・コネクト!』 |
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