いつにもなく寒い日が続く。そんな中、飛鳥は電気毛布の温もりに包まれて眠っていた。
こんな日はゆっくりと眠っていたいと言うのが、飛鳥の本心である。
そんな時、ドライヴからメールの着信音が嫌なほどに響いた。
「……んだよ、人はゆっくりと寝たいのに」
ぶつぶつ言いつつ、メールをチェックする。明日香とマリア、そして大滝美里からだ。
マリアと美里は共にクリスマスパーティーの招待メール。明日香だけは、いつものモーニングメールである。
クリスマスと言う文字を見て、「そう言えば、今日って」とカレンダーを見る。
「……やっぱり、今日はイヴじゃないか」
クリスマス・イヴ。カップルにとって大切な日である。
明日香と付き合い始めたのに、それらしい事をやっていない事もあってか、この日だけは何かしてあげたい。
「でも、どうしたものか……プレゼントは一応あるけど……」
机の上に置いてあるプレゼントの包み箱を見て考える。
「……とりあえず、イヴのデートとして人気の場所探して、その後に電話するか」
そうと決まれば、すぐにでもパソコンに向かう飛鳥だった。
しかし、ドライヴの着信音がうるさく鳴り響く。
「この脱力を誘う某ライブレの、とある曲がなると言う事は……」
とりあえず電話に出る。
『繋がったな』
「……やっぱりお前か。と言うより、お前しかいないか」
『飛鳥、すぐにショップに来い。ゴウさん達も来ている』
用件を言った後、すぐに切る電話の相手。
「……勇治の野郎、こっちが訊く前に切るなよ。つーか、どこのショップに行けって言うんだよ?」
その時、メールでショップの地図が送信されてきたのは言うまでもない。
昼頃、指定されたショップに到着する。
クリスマス一色の店内には、かなりの人がいた。
「……で、肝心の勇治達はどこだ?」
「ここだ」
「って、後ろから現れるな!」
後ろから声をかけてくる勇治にツッコミを入れる。
「……ったく、一体何の用だよ?」
「バトル・フィールドに変な物ができていて、それを破壊しろと言う事だ」
「変な物? つーか、その指令出したのって……」
「当然、『ドライヴ・マスター』だ」
「……分かったよ。早いとこ、ゴウさん達と合流するか」
何かありそうな予感がするが、とりあえず行動する飛鳥である。
「……って、明日香と明日奈がいるし」
バトル・フィールドの前に揃っているメンバーを見て、飛鳥が肩を落とす。
同じ『フォース・コネクター』であるゴウやマリアは分かる。
しかし、無関係だと思われるメンバーがいるのは不思議としか言えない。
明日香と明日奈、そして勇治の妹の亜美。さらには『ランドライザー・コマンド』の紅葉がいる。
「……まさか、明日香達も呼ばれた?」
「う、うん。マリアさんが『至急、指定のショップに来る事!』ってメールで……」
「マリアかよ!? つーか、巻き込むなよ!」
「だって、あれ見たら呼びたくなるわよ」
そう言って、バトル・フィールドの方を見る。飛鳥もそれを見て目を見開いた。
バトル・フィールドの中心に立つ巨大なクリスマス・ツリー。
いや、クリスマス・ツリーに見立てた巨大なドライヴだ。
「……何だよ、あれ? まさか、クリスマスのイベント用とか言わないよな?」
「多分そうでしょ。ほら、去年は皆忙しくてイベントやってない訳だし」
「それは俺らのせいじゃないし。むしろ作者のせいだし」
去年はそんな暇ありませんでした……_| ̄|○ (どこぞの作者の言い訳)
「……で、何で明日香達まで呼んだんだよ?」
「面白そうだったから」
「って、おい!」
「と言うのは冗談で、指定があったのよ。『コンビを組んで参加』って」
マリアが自分のドライヴに届いたメールの内容を飛鳥に見せる。
確かにそう書いてある。しかも、『フォース・コネクター同士のコンビは認めない』と。
「……なるほど、『ソード&マグナム』でイベントをやるなって事か」
「みたいね。お蔭で、パートナー探すのに苦労したわよ」
「セリホさんで良いじゃないか。何で明日奈だよ?」
「セリホは今海外なのよ。で、明日香ちゃんに連絡取ったら、たまたま一緒だったし」
「……明日奈、良いのか?」
「構わないわ。でも、今の私はCランクなんだけど、大丈夫なの?」
Aランク以上のコネクターは、同じAランク以上のコネクターとしかコンビを組む事ができない。
「良いんじゃないか? 明日香もBランクだし」
――――レディース・エーンド・ジェントルメーンッ!
その時、クリスマス・ツリー型のドライヴから、サンタクロースの格好をした男が姿を見せる。
「皆様、メリー・クリスマース! 本日はクリスマス特別イベントに御集まり頂き、ありがとうございます!
私はクリスマス限定審判! その名も!」
「リュウマチ小暮だろ」
飛鳥、フライング。
「ち、違います! 私はメリー小暮さんですっ!」
「……さいですか」
呆れる飛鳥。もはや、飛鳥にとってはどうでも良かった。
審判が説明する。
「今回のクリスマスイベントは、このキング・ザ・クリスマスを倒す事!
ただし! 1時間以内に倒せなかった場合、全員Eランクにランクダウンいたします!」
「って、『フォース・コネクター』だけじゃなく、他の奴らもか!?」
「当然です!」
「……あーもー! 何でそうやって……!」
「あ、飛鳥君、抑えて抑えて……」
飛鳥を明日香がなだめる。
「それでは、皆様! 早速コネクトをお願いします!」
審判がクリスマス・ツリー型のドライヴ――――キング・ザ・クリスマスの中に消えていく。
その姿を見送って、淡々と勇治が動き出した。
「とっと行くぞ。ドライヴ・コネクト、ディル・ゼレイク」
「あ、待ってよ、お兄ちゃん! え、えっと……エル・センティア、セットアップ! ……で良いよね?」
「僕達も続くとしよう。ドライヴ・コネクト! 出でよ、プラディ・ラ・グーンッ!」
「リーダーに続きます! クリムゾン・ティアーズ!」
「じゃあ、私も行くわ。ハデスハーツ、セットアップ」
「飛鳥、早くしないと剥奪決定よ? じゃ、お先に〜♪」
次々とドライヴをバトル・フィールドに接続していくメンバー。
「あ、あの、飛鳥君……?」
「……早いとこ終わらせよう。明日香にプレゼント渡したいし」
「え?」
「……何でもない」
「そ、そう? じゃあ、先に行くね。シルフィーナディア、セットアップ!」
明日香もコネクトする。飛鳥は、ポケットからドライヴを二つ取り出した。
セルハーツとグロウファルコン、どちらでコネクトしようか考える。
しかし、すぐにバスターファルシオンを使おうと思い、セルハーツを選んだ。
「……ドライヴ・コネクト。セルハーツ、セットアップ」
少しやる気がなかったりする。
バトル・フィールドに構築される8体のドライヴ。
倒すのはクリスマス・ツリー型のドライヴ。しかし、その大きさは半端ではなかった。
セルハーツ達の40倍はあると思われるクリスマス・ツリー型のドライヴ。
そして、そのドライヴの周辺には何かがいる。サンタクロースと赤鼻のトナカイだ。
「……出たな、クリスマスネタ用のドライヴが」
『えー、そう簡単にキング・ザ・クリスマスを破壊されては困りますので、用意しました。
サンタクロース型のサンタ駆呂宇須之助とトナカイ型の真っ赤な火の玉鼻のトナカイです』
「……どう言うネーミングセンスだ、おい」
キング・ザ・クリスマスから審判が言う。飛鳥は肩を落とした。
『また、今回はレガリアの真の姿は使用不可能ですので、ご注意ください』
「……バスターファルシオン一刀両断はダメか」
落ち込みつつ、邪魔なドライヴの数を調べる。軽く500体は超えていた。
ポケットからSDカードを取り出し、明日香に話しかける。
「明日香、しばらく待機するよ。ちょっと考えがあるから」
「う、うん……」
『それでは、クリスマス特別イベント、開始ぃぃぃっ!』
そして、一斉にサンタクロース型とトナカイ型のドライヴが動き出した。
・その1 勇治&亜美の兄妹コンビ
「フルパワーショット」
勇治、容赦なく全力で攻撃。当然、妹を敵から守る為に。
その圧倒的な強さの前に、無抵抗のまま散っていくサンタクロース型のドライヴ・サンタ駆呂宇須之助。
その数は、ざっと50体。しかし、数が多い。
「まだいるか」
「ふぇ……ど、どうするの、お兄ちゃん!?」
「一気に破壊する」
勇治のディル・ゼレイクが全ての武装を敵の大群へと向ける。
『狙撃の瞳』で全てに狙いを定めた。
「フルバースト・フレア」
全弾発射。サンタ駆呂宇須之助と真っ赤な火の玉鼻のトナカイの大群が一掃される。
「余裕だな」
しかし、ディル・ゼレイクが行動不能である事は、言うまでもない。
「……うぅ、私出番ないですぅ……」
兄に守られ、全く攻撃させてもらえない亜美だった。
・その2 マリア&明日奈の珍しいコンビ
「さ、どうする? 武装的に、これだけの数を相手にするのは無理だと思うけど?」
「問題ないわ。フレイムヴァイパーで一掃するだけよ」
「ふーん……じゃあ、こっちもワイヴァーン・キャノンで一気に仕留めちゃいますか♪」
ムササビ丸が竜へと変形し、空高く上昇する。
そして、ハデスハーツが右手の剣を構えた。
「フレイムヴァイパー!」
右手の剣から炎が発せられて鞭状になり、迫り来る大群の足を払っていく。
「ワイヴァーン・レイ。ちょっと可哀想な気もするけどね」
上空から、ムササビ丸が無数のビームを雨のように降らし、大群を一掃する。
意外なコンビネーションを見せる二人。マリアがVサインを決めた。
「これで、クリスマスの主役は私のものってところ?」
「それはないわね」
さり気なく言う明日奈がいた。
・その3 ゴウ&紅葉のチームリーダー、サブリーダーコンビ
「リーダー、私達の武装で、この数は辛いかと……」
「そう言う時は、気合と根性、技で乗り切るんだ」
ゴウの意外な熱血発言。そして、プラディ・ラ・グーンが左拳にエネルギーを込める。
「ラ・グーン……クラッシャァァァァァァッ!」
真っ赤な火の玉鼻のトナカイを殴り飛ばし、その後ろにいたドライヴもろとも破壊する。
必殺技で敵を殴り飛ばし、後ろにいる敵をも巻き込むその強さは、まさに最強を意味した。
紅葉も遅れまいと、クリムゾン・ティアーズを動かす。
「赤光三連撃! 紅牙!」
サンタ駆呂宇須之助を三度突き、プラディ・ラ・グーンと同じ要領で敵を倒していく。
「『ランドライザー・コマンド』がサブリーダー、鳴澤紅葉! 全力で参ります!」
「その意気だ、紅葉。あの巨大なツリーを破壊するぞ!」
「はい!」
大群の中へ、プラディ・ラ・グーンとクリムゾン・ティアーズが突撃していく。
・その4 飛鳥&明日香の主役コンビ
「とりあえず、ツリーの根元まで行かないとな」
そう言って、セルハーツが剣を振り上げる。
「明日香、飛べ!」
「え……!?」
「早く! 巻き込まれないうちに!」
「う、うん!」
シルフィーナディアがジャンプする。しかし、明日香はまだ理解できてなかった。
セルハーツが剣を大地に突き刺す。
「輝凰! 斬・王・陣ッ!」
突き刺した部分を中心にエネルギーを放出し、周囲から迫ってくる敵を一掃する。
シルフィーナディアを空へ飛ばしたのは、この攻撃から守る為である。
周囲の敵を一掃し終え、セルハーツが突撃していく。
「防御しながら突撃。目指すは、巨大ツリーの根元!」
「え? ど、どうして?」
「行けば分かる。地道に倒していくより楽だし」
「そ、そうなの……?」
それは違うような気がしている明日香である。
サンタ駆呂宇須之助、真っ赤な火の玉鼻のトナカイの大群は、一斉に攻撃されて30分で全滅した。
キング・ザ・クリスマスの前に立つ8体のドライヴ。改めて、その大きさに圧巻される。
「お兄ちゃん、これどうやって壊すの?」
「フルパワーショットを叩き込む。それで無理なら、レガリアの力を解放する」
「……お前さ、それ使用禁止になってるだろ」
「じゃあ、どうする気だ?」
「相手は木なんだから、やっぱり根元から切るしかないだろ」
そう言って、飛鳥がSDカードをドライヴに入れる。
「明日香、シールドバスターをこっちに」
「う、うん」
シルフィーナディアのシールドバスターを受け取る。そして、それをゴッドランチャーの先端に合体させた。
ゴッドランチャーを真っ直ぐに突き立て、構える。
「『スキル・プログラム』セット。ゴッドバスターソード、エネルギー最大!」
ゴッドランチャーの発射口から、一筋のビームが伸びる。
バスターファルシオンを元に、簡単に作った『スキル・プログラム』。
ゴッドランチャー並の威力を持ったビームセイバーなら、どうにかできるはず。
左手でプラズマセイバーを持ち、根元を斬りつける。光の切り筋が浮かび、中心点が見えた。
「ミラージュ・ブレイド!」
中心点を横に両断する。見事、キング・ザ・クリスマスの根元を切り裂いた。
しかし、まだキング・ザ・クリスマスは倒れない。
「あとは私達の出番ってところ? ゴウ」
「任せろ!」
ムササビ丸がプラディ・ラ・グーンを持って上空に舞い上がる。
ちょうど真ん中辺りで、ゴウが『金剛の瞳』を使って、敵の急所となる部分を見つけた。
「ラ・グーン……クラッシャァァァァァァッ!」
急所となる部分を殴る。その衝撃で、見事キング・ザ・クリスマスが大地に倒れた。
「……意外と呆気なかったな」
「俺の出番がなかったぞ」
「別に良いだろ。主役は俺だし」
しかし、勇治は納得がいくわけなかった。
終了後、飛鳥はコネクト協会に容赦のない抗議メールを送信した。
クリスマス特別イベントは認める。しかし、あの数の多い敵など、色々と抗議しておく必要はある。
「……今日だけは、ドライヴの事何もしないって決めてたのに……」
「あはは……でも、楽しかったよね?」
「……ろくなバトルしてないのに?」
「そ、そうだけど……」
明日香が持って来ていたバッグから、何かを取り出す。
「はい、クリスマスプレゼント」
飛鳥に渡す。それは、毛糸で編まれたマフラーだった。
特に何も施していない、一色の毛糸でできたマフラーだが、飛鳥は嬉しかったりする。
「飛鳥君、寒いの苦手だもんね」
「あ、ありがとう……そうだ、俺の方からも」
コートからプレゼントを取り出し、明日香に渡す。
「何が良いのか分からなかったけど……」
「ありがとう。開けて良い?」
「あ、それはダメ! そんなに良いものじゃないし……って、明日香!?」
明日香がプレゼントの中身を見る。そして驚いた。
少し頬が赤い。意外なプレゼントで、飛鳥らしいとも思えない。
「……い、良いの、これ!? 飛鳥君らしくないし……結構高そうだし……」
「……別に良いよ。ドライヴのポイントで買ってるわけだし。嫌なら、別のにするけど」
「い、嫌じゃないよ! あ、ありがとう……」
ちなみに、飛鳥が何をプレゼントしたのかは極秘にさせて頂きます。
−余談−
「…………」(←何も言わずにゴミ箱へ投げ入れる)
「……お兄ちゃん、マリアさんからのプレゼント捨てて大丈夫なの?」
「……亜美、黙っておけ」
こちらの方も、何を貰ったのかは謎だったりする。
あとがきでコネクト!
書くんじゃなかった(早速それか) 『Drive-Connect!』クリスマスエピソードでした。
飛鳥のプレゼントの中身や、マリアのプレゼントの中身は絶対に内緒です(何
無理やりバトルを盛り込ませてみました。これしかネタ浮かばなかったので……。
クリスマスと言う事で、敵はクリスマス・ツリーとサンタクロース、そしてトナカイ。
ちなみに、前に書いた正月エピソードで書いた奴らと比べて、そんなに強くないです(ぇ
次書くとすれば、正月エピソード。今度こそ、ちゃんと書きます(本当か
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