バトルを見ている時に、ドライヴのアラームが鳴り響く。飛鳥はすぐにドライヴを手にした。 『ダーク・コネクター』だ。通話ボタンを押して、勇治と連絡を取る。 『……誰だ?』 「俺だ。今どこにいるんだ?」 『マリアのところだ。飛鳥、今すぐ助けにk――――』 ブツッ。電話が切れる。どうやら、マリアが電話を切ったらしい。 まだこっちには来れそうもないようだ。ポリポリと頭を掻きつつ、コクピットランサーの方へ向かう。 「紗雪さん、これからちょっと片付けに行ってきます」 「ええ。気をつけて」 明日香の乗るグロウファルコンと、隆也の乗るドライヴは互角の戦いを見せていた。 「うう、天空機でも辛いよ〜」 「飛鳥君みたいな戦い方するね、やっぱり……」 射撃系の武器は持っていても、接近戦を貫き通す戦い方。まさに、飛鳥の持ち味とも言えるスタイルだ。 けれど、それとは別にこの子からは強いプレッシャーを感じる。 「光斬破!」 「カタルシス、お願い!」 再び放たれる光の刃。そして、それを受け止めるシールド。 明日香はまだ信じ難かった。自分が、グロウファルコンを完全に扱いこなしている事を。 いや、それほどまでに自分と息が合っている。それは、飛鳥によるものかもしれない。 「……飛鳥君は、やっぱり凄い人だよね」 ここまで、自分のドライヴを他人に合わせられる。グロウファルコンがもう一本の剣を構えた。 カタルシスと一組になっているもう一本の剣シンクレア。先端からビーム状の刃が姿を見せる。 グロウファルコンが駆ける。瞬間、雷の豪雨が降り注いだ。 明日香の乗るグロウファルコンと、隆也の乗る天空機がその場から吹き飛ばされる。 『すぅぅぅ……はぁぁぁ……』 大きく呼吸する一体のドライヴ。背中に巨大なコンテナを持ち、両腕をハンマーのようにしている。 『ふはぁーははははははぁぁぁーっ!』 『きーけけけけけけぇぇぇっ!』 そして、高笑いを上げるドライヴが二体。二本の大鎌を持つドライヴと妙に脚が長いドライヴ。 明日香はその三体のドライヴを見て、『ダーク・コネクター』だと大体分かった。 『砕け砕け砕けやぁぁぁ!』 両腕がハンマーになっているドライヴが大地をがむしゃらに叩く。バトル・フィールドが大きく揺れた。 『首斬れ首斬れ!』 大鎌を持つドライヴがグロウファルコンに襲い掛かる。カタルシスのシールドで明日香は大鎌を防いだ。 力負けしている。それは、どちらかと言えばコネクターとしての差だった。 『壊してやるぅ! けけけけけけぇぇぇっ!』 脚の長いドライヴが雷の豪雨を放つ。その強さは、普通のコネクターで言うとSランクに相当するほどだ。 「飛鳥君……助けてっ……!」 大鎌を受け止めながら、明日香が目を瞑る。 「ドライヴ・コネクト!」 コクピットランサーにドライヴをセットする。瞬間、エラーが出た。 「コネクト拒否!? 外部からのコネクトをガードしているのか……!」 コクピットランサーの中に入り、カタカタとキーボードを叩いていく。 外部からのコネクト拒否。ならば、それを元に戻さなければコネクトが出来ない。 ガードをかけている場所を着きとめる。しかし、エラーが連続で表示された。 「エラーかよ……ったく、早くしないと明日香達が危ないって言うのに……!」 「つーか、勇治の馬鹿は早く来やがれ!」と文句を言いたいが、マリアに捕まっていれば無理だろう。 状況を確認しつつ、素早くガードを破壊していく。その時、グロウファルコンが倒れる姿を見た。 キーボードをカタカタと叩きながら、それを見て激昂する。 「――――奴ら! くそっ、ドライヴ・コネクト!」 再びセットする。またエラーが返された。 『くぅぅぅけけけけけけぇぇぇぇぇぇっ! 終わりだぁぁぁっ!』 「くそっ! 明日香ぁぁぁっ!」 キーボードのエンターキーを強く叩き、ドライヴをセットする。エラーが返ってきた。 しかし、その瞬間、一筋の巨大な波動が大鎌を持ったドライヴを襲う。飛鳥はすぐに気づいた。 漆黒の大型マグナムを持つ『マグナム・カイザー』。ディル・ゼレイクの姿があった。 「勇治……意外と来るのが早い……!?」 『お前の電話の様子が変だったからな。どうにか間に合わせた』 「って、お前どこからコネクトしてるんだ!? こっちはエラーばっかで無理なのに!」 『すぐ近くのショップからだ。そこから、ネット回線を使ってこっちに来た』 「って、それは違法だろが!」 『安心しろ、協会の方には許可を取っている』 やや肩を落とす。しかし、今回は流石だ。 『早くコネクトしろ。そっちのガードは来る時に破壊した』 「……お前って、こう言う時だけ動き早くないか?」 そう言いつつも、ドライヴをコクピットランサーへとセットする。 勇治の乱入は、『ダーク・コネクター』をびびらせた。 簡単に敵を見て、勇治が呟く。 「ハンマー馬鹿に、死神もどき、足長おじさんと言ったところか」 『は、ハンマー馬鹿!?』 『死神もどき!?』 『あ、足長おじさんんんんんん!? 俺はまだ24歳だけけけけけけぇぇぇっ!』 「お前達の歳などどうだって良い。覚悟しろ、三馬鹿」 さらに言う。そして、サタン・オブ・マグナムを連射した。 相手に攻撃させる隙を与えず、難なく後ろへと後退させる。 そんな時、飛鳥のセルハーツが構築され、姿を見せた。 「……お前さ、いくらなんでもハンマー馬鹿、死神もどき、足長おじさんは酷いだろ」 「意外と良いネーミングだぞ」 「いや、良くない」 「それよりも、早く終わらせるぞ。でないと、マリアに見つかる可能性が高い」 「一体何やってんだよ、マリアと? まさか、あれか……?」 「……分かってるなら聞くな」 「……だよな。すまん、俺が悪かった」 あれを思い出すだけで、全身が震える。それほど、マリアの”あれ”は嫌だった。 明日香の乗るグロウファルコンを立たせる。 「明日香、隆也君達とすぐにコネクト・アウト。あとは、俺と勇治に任せて」 「え? で、でも、2対3じゃ……」 「大丈夫。なにせ、俺と勇治は最強のソード&マグナムだ」 あんな奴らには負けない。飛鳥の目がそう言っていた。明日香は頷く。 コネクト・アウトしていくドライヴ。そんな中、「出番少ないですぅ……」と言う亜美の言葉があった。 苦笑しつつ、セルハーツがゴッドランチャーを構えた。 「さて、久々に見せてやるか、ソード&マグナムの強さって奴を」 「それは良いが、早く終わらせろ」 「分かってるって。とりあえず、ぶっ続けで決めるか」 セルハーツとディル・ゼレイクが狙いをつける。 「『スキル・プログラム』セットッ! トリプルゴッドランチャーッ!」 二体がゴッドランチャーを構え、放つ。三本のビームが一つに重なり、巨大なビームとなった。 両腕にハンマーを持ったドライヴ以外の二体が呑み込まれる。続けて、セルハーツが接近した。 ファルシオンセイバーを構え、敵ドライヴの懐に入り込む。 『は、早ぇぇぇ!?』 「『スキル・プログラム』セットッ! お前らの負けだ!」 下段から振り上げ、敵を空高くへと押し上げる。 「ブレイバー・クロス・フレアッ!」 空中に上げられたドライヴを斬る。光の筋が走り、その中心をディル・ゼレイクが撃ち抜く。 高速で繰り返される斬撃と銃撃。敵は成す術もなかった。 ディル・ゼレイクがフルパワーショットでドライヴの中心点を射抜き、最後にセルハーツが両断する。 その威力は、言葉では言い表せないほど強力なものであった。 「いつやっても、呆気ないな」 「……だな。作った本人としても、そう思う」 互いに親指をグッと立てる。 二人の『フォース・コネクター』による最強のコンビ『ソード&マグナム』。 その凄さを見て、亜美は「ふぇぇぇ……」と感嘆していた。 「お兄ちゃん達って、なんだか凄いですね……」 「うん。久しぶりに見たけど。やっぱり飛鳥君と勇治君のコンビは強いよ」 激闘と呼べるバトルを行い、そして互いの実力を認め合った最強のコンビ。 それが、飛鳥と勇治だった。どんな経緯で二人がコンビを組む事になったのか、明日香は知らないが。 しかし、その反面、勇治が羨ましいと思う。 自分がドライヴを始めたのは、大好きな人がその世界で上を見ていたから。その役に立ちたいと思ったから。 だからこそ、いつの日かAランクになって、彼のパートナーになりたい。 「頑張らなきゃね、私も……」 「そう言えば、今日のバトルなんですけど……あの子供達強いですね。私、結局一撃も与えられませんでした」 「私もだよ。お互い、ランクアップする為にも頑張らなきゃね」 『亜美』 二人が話をしている時に、勇治がドライヴに乗ったまま割り込む。 『俺はこのままマリアから逃げる。もし連絡があっても、俺の事は絶対に話すな』 「う、うん。でも、そんな事して、マリアさん怒らないのかな……?」 『む……』 『……怒るだろうな、マリアは。なにせ、”あれ”だし……』 一体何なのか分からず、明日香と亜美は首を傾げるだけだった。 そしてこの日、今まで見た事のない兄の姿を見る事になる亜美なのだが、余談である。 次回予告 どもども、『チーム・アレス』の大滝美里です! え、誰だか分からないって!? 今までの本編読み返しなさい! 次回はいよいよ、曜がSRランクアップに挑戦! 頑張れ、曜! って、ちょっと、非常事態発生って何よ!? 次回、CONNECT14.『灼熱と狂気の剣』 ドライヴ・コネクト! 今回はいつもと展開違うわよ!? |
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