プラズマセイバーを突きつけるセルハーツ。紫電は目を見開いた。 歯を噛み締め、飛鳥を睨む。 『何のつもりだ、蓮杖ぉぉぉ!』 「言ったはずだぜ、あの時の決着をつけようって。なんせ、お前は俺が一番認めている相手なんだからな!」 その言葉に驚く。 「あの時セルハーツは未完成で、お前とは全力のバトルをやっていないんだ。だから、ここで決着だ!」 『……良いだろう、お前からソード・マスターの座を奪ってやらぁ!』 レーヴァティンが立ち上がり、灼熱の神槍を構える。飛鳥はにっと笑った。 これで、紫電は元の紫電に戻ることができる。 互いのドライヴが速攻を仕掛ける。その動きは、全くと言って良いほど互角だった。 「はぁぁぁ!」 『うぉぉぉ!』 明日奈は目を見開いた。紫電の変わりようを見て。 『ダーク=レガリア』であるラグレオスセイバーを破壊されて、紫電から憎悪を感じない。 『ダーク=レガリアは、その人間の憎悪につけ込み、その力を得る』 ガルノアが説明する。 『ラグレオスセイバーと言う存在が破壊された今、アサシン・ブレードは本来の己に戻った』 『……つくづく、疑問になるのだけれど? ダーク=レガリアにそんな力があると言うの?』 『ある。人の手で生み出されたダーク=レガリアは、人の憎悪を力とする。 そして、その力によってはドライヴ=レガリアの真の姿でなければ勝てない状態にもなる』 『……それで、このバトル、飛鳥は勝てると思う?』 『勝てるだろう。ソード・マスターは、私が初めて負けた相手と同じ瞳を持っているのだからな』 なぜ、彼がそんな瞳を持っているのか分からない。 しかし、間違いなく彼はあの相手の再臨とも言える。 『……総帥でも勝てぬ最強のコネクターに、誰も勝つ事はできん』 小さく呟いた。 セルハーツのプラズマセイバー、レーヴァティンの灼熱の神槍が激突を繰り返す。 しかし、上なのは灼熱の神槍だった。尽く、プラズマセイバーのビーム状の刀身が消える。 やはり『レア・ウェポン』と言う性能は高いと、飛鳥は苦笑した。 『熱月ッ!』 「フラッシングソード!」 神速の突きと同等の斬撃。互角とも言えるバトルは、まさに二人の技量が言わせているほどだ。 『鷹の瞳』を使って紫電の攻撃を見切り、セルハーツが懐に入り込む。 「ミラージュ・ブレイドッ!」 『させるかぁ!』 瞬時に灼熱の神槍で受け止められる。飛鳥は舌打ちした。 強い。素直にそう思える。久しぶりだった。 「……勇治の時とは、また違ってるよな」 苦笑する。剣と銃で激しいバトルを交わした勇治。剣と槍――――同じ接近戦でバトルを行っている今。 まだ、自分は『ソード・マスター』として、先代に追いついていない。 セルハーツが距離を置き、構える。これで最後にしようと飛鳥は思った。 紫電も同じなのか、レーヴァティンが灼熱の神槍に炎を絡ませる。 「……セルハーツ、このバトルが終わったら、ちゃんと整備するからな。それまで頑張ってくれよ……!」 深く深呼吸を一回する。自然と力が湧き上がってきた。 プラズマセイバーが光り輝き、その全貌を眩しい光に包まれた剣へと姿を変える。 飛鳥はその事に気づいていない。そして、両者の剣が同時に振り落とされた。 『フレア・ディユリートォォォッ!』 「ミラージュ・ブレイドォォォッ!」 振り落とされる二つの剣。しかし、激しいぶつかりを見せると思われたが、それは呆気なかった。 飛鳥の振り落とした剣から一直線に伸びる波動。その波動がレーヴァティンを呑み込む。 波動によってバトル・フィールドの端まで吹き飛ばされ、レーヴァティンが爆発する。 光り輝く剣と化していたプラズマセイバーは元に戻り、セルハーツがその場に片膝を大地についた。 「はぁ……はぁ……!」 セルハーツが思うように動かない。飛鳥は紫電の存在を確かめた。 レーダーにはレーヴァティンの姿など全くない。どうやら、勝てたらしい。 正直、何が起きたのか分からない。コンピュータに表示される数値を見て、飛鳥が目を見開く。 「……ミラージュ・ブレイドでクールダウンが300秒……どうなっているんだよ……!?」 アサシン・ブレードの敗北が決まった瞬間、ガルノアは目を見開いた。 『……あの技は……まさか……!?』 飛鳥が放った技に対し、その驚きを隠せない。 光り輝く、正真正銘の”究極の光剣”。ガルノアが明日奈に訊く。 『……アイス・ドールよ、ソード・マスターの名は……!?』 『……飛鳥、蓮杖飛鳥よ。これで残ったのはあなただけね、ガルノア!』 明日奈が構える。 『蓮杖飛鳥……そうか、私の心当たりは外れてくれたか……』 ガルノアが降参を告げる。 『……私がダーク・コネクターであり続ける理由はなくなかった。私を倒すのなら、好きにするが良い』 『ダーク・コネクターを裏切るの……!?』 『そうだ。私は……これで真実を知る事ができた』 その意味深な言葉に、明日奈がガルノアへ向ける剣を下ろす。 「……あの、私の出番これだけなんだけど……。一応ヒロインなのに……」 一人置いてきぼりにされている明日香の姿があった。 クールダウン終了まで残り200秒。飛鳥はとてつもない疲労を感じた。 セルハーツにドライヴを変えて、ようやく掴んだ必殺技ミラージュ・ブレイド。 しかし、あの技にはクールダウンと言う代償はない。間違いなく、さっきのは自分の知っている技ではない。 「……くっ……はぁ……はぁ……」 『お疲れのようですね、ソード・マスター』 瞬間、漆黒の翼を持ち、暗黒のローブを纏うドライヴが姿を見せる。飛鳥は目を見開いた。 「エヴィル……アスラフィル……! イブリスッ……!」 『ダーク=レガリアを破壊した事については見事でした。流石は、あの先代を倒したコネクターです』 イブリスのドライヴ――――エヴィル・アスラフィルが手を前に出す。 炎が生じ、それが密集して火の玉となった。 「くそっ……こんな時に……!」 『アサシン・ブレードは負けましたが、あなたのレガリアは頂きます。死になさい』 「……!」 放たれる火の玉。刹那、巨大な剣がそれを防いだ。 ガルノアのオーガノスがセルハーツの前に立ち、イブリスを睨みつける。 イブリスはその姿を見て、やや瞳を鋭くした。 『裏切りですか、全てを悟りし者よ』 『……私には、彼を守る役目がある。総帥である存在ではなく、彼を守るのが、私の役目だ』 『総帥は、あなたが守るべき対象ではないと?』 『そうだ。私は、このバトルにおいて全てを知る事が出来た』 そして飛鳥の方を見る。スピーカーから聞こえる呼吸音で、かなりの疲労を感じていると悟った。 やはり、あの技は本物だ。彼は無意識とは言え、それを放った。 間違いない。彼こそ、自分が守らなければならないコネクターだ。 イブリスが右手をオーガノスへ向ける。 『では、あなたには消えてもらいましょう。裏切り者には死を……デス・ハン――――』 『アイシクルエッジ!』 エヴィル・アスラフィルを氷の刃が襲う。エヴィル・アスラフィルはそのまま直撃を受けた。 否、暗黒のローブがエヴィル・アスラフィルの周りにバリアを生成し、氷の刃の軌道を変えて防ぐ。 『防いだ……!?』 『あなたも裏切りですか、アイス・ドール』 『……ええ。飛鳥は私の事を見てくれる。私の居場所はダーク・コネクターじゃない!』 『幹部二人が裏切りとは。良いでしょう、ソード・マスターも含めて、始末します』 エヴィル・アスラフィルが両手から雷を生み出す。 『ボルト・プロディネンス』 ――――システム、守護のダスト・コート。 三体に放たれた攻撃が、バリアによって防御される。飛鳥は何が起きたか分からなかった。 セルハーツの周りを囲む数個の羽根状の物体。そして、一体のドライヴがセルハーツの前に現れた。 六枚の翼を持つ天使の姿をしたドライヴ。飛鳥が目を見開く。 「……シルバー=メルクリウス……郁美さん……?」 「ええ。飛鳥、負けていないわね?」 「……はい。今、クールダウン中なんで……負けているように見えますけど……」 「郁美さんこそ、どうしてここに?」そう訊こうとした時、もう一体のドライヴが現れる。 赤熱のドレスを身に纏うドライヴ。「やっほ〜」とイブリスに銃を向けたまま話し掛ける。 「あすあす、その様子だと、『ダーク=レガリア』は壊せてないのかな?」 「……壊しましたよ。ってか、二人ともどうして……?」 「マリアから連絡受けてね。ちょうど、近くに来てたから寄って見たの」 「マリアも来るって言っていたけれど、あなたは負けてないって思ったから、来ないで良いって返しちゃったわ」 「ただ、イブリスが動くだろうと予測してたわけ」 優がそう言って、郁美が微笑む。 「ラグレオスセイバーの破壊は良くやったわね、飛鳥。流石はあの人が認めた人だわ」 「……ははっ、白銀の薔薇に褒められましたね……光栄ですよ、本当……」 「紅蓮の薔薇も褒めちゃうけど? さーて、イブリス、あなたの相手は私達よ」 二人の先代『フォース・コネクター』がイブリスに対峙する。エヴィル・アスラフィルは何もしなかった。 イブリスが静かに言う。 『あなた方と戦うほどの勇気はない。今回は身を引く事とします』 「裏切り者の始末もつけないで?」 『裏切り者においては、いずれ始末をつけます。今、私は倒れるわけにもいきませんので』 そう言ってイブリスが姿を消す。優は「……ま、良いか」と溜め息をついた。 「さぁて、まずはお祝いだね。あすあすが『ダーク・フォース』の一人を倒した事に」 「そうね」 「もちろん、費用はあすあす持ちだけど♪」 「……酷いですよ、それ」 ただでさえ疲労があると言うのに、さらに疲労が増える飛鳥だった。 次回予告 明日香「こんにちは、明日香です」 明日奈「明日奈よ。今回から、次回予告の方法が変わったらしいわ」 明日香「これからは、複数人で次回予告をいたします。 えっと、次回は明日奈が飛鳥君とキス……!? ち、ちょっと! 明日奈、どう言う事!?」 明日奈「さぁ? 飛鳥に訊いてみたら?」 明日香「うぅ〜」(←これでも怒ってます) 次回、CONNECT20.『今明かされる全て』前編 明日奈「次回は本編初の前編・後編の二部構成ね」 明日香「飛鳥君の……飛鳥君の馬鹿ぁぁぁっ!」(←涙を流しながら走り去る) 明日奈「大丈夫よ。飛鳥は明日香一筋なんだから」(←言うの遅い) 飛鳥 「……俺、次回で死ぬのか? 主人公なのに(汗) つーか、全然次回予告じゃないし……」 |
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