CONNECT20.『究極の光剣』


 プラズマセイバーを突きつけるセルハーツ。紫電は目を見開いた。
 歯を噛み締め、飛鳥を睨む。
『何のつもりだ、蓮杖ぉぉぉ!』
「言ったはずだぜ、あの時の決着をつけようって。なんせ、お前は俺が一番認めている相手なんだからな!」
 その言葉に驚く。
「あの時セルハーツは未完成で、お前とは全力のバトルをやっていないんだ。だから、ここで決着だ!」
『……良いだろう、お前からソード・マスターの座を奪ってやらぁ!』
 レーヴァティンが立ち上がり、灼熱の神槍を構える。飛鳥はにっと笑った。
 これで、紫電は元の紫電に戻ることができる。
 互いのドライヴが速攻を仕掛ける。その動きは、全くと言って良いほど互角だった。
「はぁぁぁ!」
『うぉぉぉ!』



 明日奈は目を見開いた。紫電の変わりようを見て。
『ダーク=レガリア』であるラグレオスセイバーを破壊されて、紫電から憎悪を感じない。
『ダーク=レガリアは、その人間の憎悪につけ込み、その力を得る』
 ガルノアが説明する。
『ラグレオスセイバーと言う存在が破壊された今、アサシン・ブレードは本来の己に戻った』
『……つくづく、疑問になるのだけれど? ダーク=レガリアにそんな力があると言うの?』
『ある。人の手で生み出されたダーク=レガリアは、人の憎悪を力とする。
 そして、その力によってはドライヴ=レガリアの真の姿でなければ勝てない状態にもなる』
『……それで、このバトル、飛鳥は勝てると思う?』
『勝てるだろう。ソード・マスターは、私が初めて負けた相手と同じ瞳を持っているのだからな』
 なぜ、彼がそんな瞳を持っているのか分からない。
 しかし、間違いなく彼はあの相手の再臨とも言える。
『……総帥でも勝てぬ最強のコネクターに、誰も勝つ事はできん』
 小さく呟いた。



 セルハーツのプラズマセイバー、レーヴァティンの灼熱の神槍が激突を繰り返す。
 しかし、上なのは灼熱の神槍だった。尽く、プラズマセイバーのビーム状の刀身が消える。
 やはり『レア・ウェポン』と言う性能は高いと、飛鳥は苦笑した。
『熱月ッ!』
「フラッシングソード!」
 神速の突きと同等の斬撃。互角とも言えるバトルは、まさに二人の技量が言わせているほどだ。
『鷹の瞳』を使って紫電の攻撃を見切り、セルハーツが懐に入り込む。
「ミラージュ・ブレイドッ!」
『させるかぁ!』
 瞬時に灼熱の神槍で受け止められる。飛鳥は舌打ちした。
 強い。素直にそう思える。久しぶりだった。
「……勇治の時とは、また違ってるよな」
 苦笑する。剣と銃で激しいバトルを交わした勇治。剣と槍――――同じ接近戦でバトルを行っている今。
 まだ、自分は『ソード・マスター』として、先代に追いついていない。
 セルハーツが距離を置き、構える。これで最後にしようと飛鳥は思った。
 紫電も同じなのか、レーヴァティンが灼熱の神槍に炎を絡ませる。
「……セルハーツ、このバトルが終わったら、ちゃんと整備するからな。それまで頑張ってくれよ……!」
 深く深呼吸を一回する。自然と力が湧き上がってきた。
 プラズマセイバーが光り輝き、その全貌を眩しい光に包まれた剣へと姿を変える。
 飛鳥はその事に気づいていない。そして、両者の剣が同時に振り落とされた。
『フレア・ディユリートォォォッ!』
「ミラージュ・ブレイドォォォッ!」
 振り落とされる二つの剣。しかし、激しいぶつかりを見せると思われたが、それは呆気なかった。
 飛鳥の振り落とした剣から一直線に伸びる波動。その波動がレーヴァティンを呑み込む。
 波動によってバトル・フィールドの端まで吹き飛ばされ、レーヴァティンが爆発する。
 光り輝く剣と化していたプラズマセイバーは元に戻り、セルハーツがその場に片膝を大地についた。
「はぁ……はぁ……!」
 セルハーツが思うように動かない。飛鳥は紫電の存在を確かめた。
 レーダーにはレーヴァティンの姿など全くない。どうやら、勝てたらしい。
 正直、何が起きたのか分からない。コンピュータに表示される数値を見て、飛鳥が目を見開く。
「……ミラージュ・ブレイドでクールダウンが300秒……どうなっているんだよ……!?」



 アサシン・ブレードの敗北が決まった瞬間、ガルノアは目を見開いた。
『……あの技は……まさか……!?』
 飛鳥が放った技に対し、その驚きを隠せない。
 光り輝く、正真正銘の”究極の光剣”。ガルノアが明日奈に訊く。
『……アイス・ドールよ、ソード・マスターの名は……!?』
『……飛鳥、蓮杖飛鳥よ。これで残ったのはあなただけね、ガルノア!』
 明日奈が構える。
『蓮杖飛鳥……そうか、私の心当たりは外れてくれたか……』
 ガルノアが降参を告げる。
『……私がダーク・コネクターであり続ける理由はなくなかった。私を倒すのなら、好きにするが良い』
『ダーク・コネクターを裏切るの……!?』
『そうだ。私は……これで真実を知る事ができた』
 その意味深な言葉に、明日奈がガルノアへ向ける剣を下ろす。
「……あの、私の出番これだけなんだけど……。一応ヒロインなのに……
 一人置いてきぼりにされている明日香の姿があった。



 クールダウン終了まで残り200秒。飛鳥はとてつもない疲労を感じた。
 セルハーツにドライヴを変えて、ようやく掴んだ必殺技ミラージュ・ブレイド。
 しかし、あの技にはクールダウンと言う代償はない。間違いなく、さっきのは自分の知っている技ではない。
「……くっ……はぁ……はぁ……」
『お疲れのようですね、ソード・マスター』
 瞬間、漆黒の翼を持ち、暗黒のローブを纏うドライヴが姿を見せる。飛鳥は目を見開いた。
「エヴィル……アスラフィル……! イブリスッ……!」
『ダーク=レガリアを破壊した事については見事でした。流石は、あの先代を倒したコネクターです』
 イブリスのドライヴ――――エヴィル・アスラフィルが手を前に出す。
 炎が生じ、それが密集して火の玉となった。
「くそっ……こんな時に……!」
『アサシン・ブレードは負けましたが、あなたのレガリアは頂きます。死になさい』
「……!」
 放たれる火の玉。刹那、巨大な剣がそれを防いだ。
 ガルノアのオーガノスがセルハーツの前に立ち、イブリスを睨みつける。
 イブリスはその姿を見て、やや瞳を鋭くした。
『裏切りですか、全てを悟りし者よ』
『……私には、彼を守る役目がある。総帥である存在ではなく、彼を守るのが、私の役目だ』
『総帥は、あなたが守るべき対象ではないと?』
『そうだ。私は、このバトルにおいて全てを知る事が出来た』
 そして飛鳥の方を見る。スピーカーから聞こえる呼吸音で、かなりの疲労を感じていると悟った。
 やはり、あの技は本物だ。彼は無意識とは言え、それを放った。
 間違いない。彼こそ、自分が守らなければならないコネクターだ。
 イブリスが右手をオーガノスへ向ける。
『では、あなたには消えてもらいましょう。裏切り者には死を……デス・ハン――――』
『アイシクルエッジ!』
 エヴィル・アスラフィルを氷の刃が襲う。エヴィル・アスラフィルはそのまま直撃を受けた。
 否、暗黒のローブがエヴィル・アスラフィルの周りにバリアを生成し、氷の刃の軌道を変えて防ぐ。
『防いだ……!?』
『あなたも裏切りですか、アイス・ドール』
『……ええ。飛鳥は私の事を見てくれる。私の居場所はダーク・コネクターじゃない!』
『幹部二人が裏切りとは。良いでしょう、ソード・マスターも含めて、始末します』
 エヴィル・アスラフィルが両手から雷を生み出す。
『ボルト・プロディネンス』

 ――――システム、守護のダスト・コート。

 三体に放たれた攻撃が、バリアによって防御される。飛鳥は何が起きたか分からなかった。
 セルハーツの周りを囲む数個の羽根状の物体。そして、一体のドライヴがセルハーツの前に現れた。
 六枚の翼を持つ天使の姿をしたドライヴ。飛鳥が目を見開く。
「……シルバー=メルクリウス……郁美さん……?」
「ええ。飛鳥、負けていないわね?」
「……はい。今、クールダウン中なんで……負けているように見えますけど……」
「郁美さんこそ、どうしてここに?」そう訊こうとした時、もう一体のドライヴが現れる。
 赤熱のドレスを身に纏うドライヴ。「やっほ〜」とイブリスに銃を向けたまま話し掛ける。
「あすあす、その様子だと、『ダーク=レガリア』は壊せてないのかな?」
「……壊しましたよ。ってか、二人ともどうして……?」
「マリアから連絡受けてね。ちょうど、近くに来てたから寄って見たの」
「マリアも来るって言っていたけれど、あなたは負けてないって思ったから、来ないで良いって返しちゃったわ」
「ただ、イブリスが動くだろうと予測してたわけ」
 優がそう言って、郁美が微笑む。
「ラグレオスセイバーの破壊は良くやったわね、飛鳥。流石はあの人が認めた人だわ」
「……ははっ、白銀の薔薇に褒められましたね……光栄ですよ、本当……」
「紅蓮の薔薇も褒めちゃうけど? さーて、イブリス、あなたの相手は私達よ」
 二人の先代『フォース・コネクター』がイブリスに対峙する。エヴィル・アスラフィルは何もしなかった。
 イブリスが静かに言う。
『あなた方と戦うほどの勇気はない。今回は身を引く事とします』
「裏切り者の始末もつけないで?」
『裏切り者においては、いずれ始末をつけます。今、私は倒れるわけにもいきませんので』
 そう言ってイブリスが姿を消す。優は「……ま、良いか」と溜め息をついた。
「さぁて、まずはお祝いだね。あすあすが『ダーク・フォース』の一人を倒した事に」
「そうね」
「もちろん、費用はあすあす持ちだけど♪」
「……酷いですよ、それ」
 ただでさえ疲労があると言うのに、さらに疲労が増える飛鳥だった。




次回予告

 明日香「こんにちは、明日香です」
 明日奈「明日奈よ。今回から、次回予告の方法が変わったらしいわ」
 明日香「これからは、複数人で次回予告をいたします。
     えっと、次回は明日奈が飛鳥君とキス……!? ち、ちょっと! 明日奈、どう言う事!?」

 明日奈「さぁ? 飛鳥に訊いてみたら?」
 明日香「うぅ〜」(←これでも怒ってます)

  次回、CONNECT20.『今明かされる全て』前編

 明日奈「次回は本編初の前編・後編の二部構成ね」
 明日香「飛鳥君の……飛鳥君の馬鹿ぁぁぁっ!」(←涙を流しながら走り去る)
 明日奈「大丈夫よ。飛鳥は明日香一筋なんだから」(←言うの遅い)

 飛鳥 「……俺、次回で死ぬのか? 主人公なのに(汗) つーか、全然次回予告じゃないし……」



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