CONNECT27.『グロウファルコンでも強い奴』


『アサルト・ハンター』と呼ばれる『ダーク・フォース』の存在が現れた次の日、飛鳥はいつも通りだった。
 ゴウに連絡を受けたのだが、今回は勇治だけでどうにか勝てるだろう。
「……はぁ」
 溜め息をつく。なぜかやる気が起きなかった。
 今日は新発売のアクティブ・ウェポンだけ確認して、真っ直ぐ帰ろうと思う。
「蓮杖」
 そんな時に呼び止められる。その声を聞いて飛鳥はウンザリとした表情で彼を見た。
 いかにも真面目そうな好青年。全く持って、自分とは違ったタイプの人間だ。
 そんな彼が、飛鳥にモップを渡す。
「何だよ、これ?」
「掃除当番の荻原がサボったんだ。だから、親友である蓮杖が代わりにやってくれ」
「断る。何で、俺があいつの代わりにやらないといけない? お前がやれよ、生徒会」
「生徒会って呼ぶな。俺には剣那悠太(つるぎな ゆうた)って名前がちゃんとある」
「生徒会役員だから生徒会で良いだろ。それに、今度は生徒会長になるんだしさ、お前」
 そう、飛鳥は彼をあまり良く思っていない。いつも真面目な態度を取れるなと思う為に。
「と言う事で、あの馬鹿の代わりに掃除するなんてのは却下。つーか、お前が気づいたんなら、お前がやれよ」
「俺はこれから用事があるんだ。お前はショップに寄って帰るだけなんだろ?」
「お前だって、用事は俺と同じなんだろ、どうせ」
 その言葉に、彼が口ごもる。飛鳥は「図星だな」と心の中で思った。
「ま、お前の事だから、掃除を理由にデートに遅れたくないとか言いたいんだろうな」
「ち、ちょっと待て、何でそれを蓮杖が……」
「んだよ、本当に彼女がいるんだ?」
 悠太が目を見開く。
「蓮杖、お前な!」
「ただ吹っ掛けてみただけだろ。別に彼女がいるって事隠さなくても良いじゃないか」
「いや、それは……」
「照れんなよ、生徒会。じゃ、掃除頑張れよ」
 ポンポンと彼の肩を軽く叩きつつ、飛鳥がその場から去る。
 ちなみに、飛鳥も人の事は言えないのは、当然言うまでもない



 飛鳥のクラスの隣、C組で『チーム・アレス』の大滝美里は燃えていた。
 ようやく、新しいアクティブ・ウェポンが完成し、例のアクティブ・ウェポンも手に入れた。
 これで、チームはより強くなる。間違いない。
 鞄を持ち、勢い良くチームの主戦力である黒石曜を誘う。
「さあ、曜! 今からショップでテストを兼ねてバトルやるわよ!」
「って、美里、曜のドライヴはまだ直ってないんじゃなかったっけ?」
 チームに所属する天鷹姫里が訊く。美里はチッチッチッと指を振った。
「ドライヴの方は、きっと蓮杖君が凄いパワーアップしてくれていると思うから問題なし!」
「じゃあ、どうやってバトルするのよ?」
「だから、急遽作ったドライヴで、手に入れたアクティブ・ウェポンの調整を行うわけ!」
 つまり、前から入手しようと思っていたアクティブ・ウェポンは曜の為だと言う。
 姫里が再び訊く。
「じゃあ、肝心のバトルの相手は?」
「あ……」
「……美里、バトルするのは別に構わないけど、相手がいないとバトルできないでしょ……」
「あーうー……なんてね♪」
 再びチッチッチッと指を振る。
「バトル相手は決まってるわよ。チーム名は『アンリミテッド』!」
「『アンリミテッド』って、確か蓮杖君と同じクラスの剣那君がリーダーのとこよね?」
「そうそう。あの生徒会長のチーム! 曜の練習用にバトルお願いしてるんだな、これが」
「……でも、今日千里は習い事でもう帰ったんだけど」
「えぇ!?」
 大滝美里、チームメンバーの予定などを全く考えずに動いちゃうリーダー。
 こればかりは流石に困った。「仕方ないなぁ」とぼやく。
「向こうの弱みは握ってるから、3対3にしてもらうように頼むしかないか」
「弱みって、美里……」
「さあ、そう言う事だから、レッツゴー! 曜行くわよー!?」
 張り切って行こうとしたところ、曜は動く気配がなかった。
「曜?」
「……美里さん、私……コネクターを引退しようかなと……」
「何ですとぉー!?」
 美里が曜の両肩を掴む。
「何で!? どうして!? 作者が某ラクス嬢に萌えてるくらいに何故!?」
「最後のは何よ、最後のは……?」
「……あの時の蓮杖君の戦いを見て思ったんです。自分には才能がないって……」
 自分が戦いたいと思った相手は、半年もかからずに『フォース・コネクター』になった人間だ。
 それに、自分とは全く違った戦い方で、実力の底が全く見えない。
 彼こそ本当の天才だと、つい心の中で思ってしまう。
「どれだけ頑張っても、私じゃ蓮杖君とバトルなんて……」
「……うわ、やる前からネガティブ過ぎ。そんなのやってみないと分からないでしょ」
「でも、蓮杖君は……」
「確かに強いよ、蓮杖君は。結構有名だった先代の人達が認めているほどって聞くし。
 でも、自分じゃ絶対に勝てない相手って思うのは、バトルしてみないと分からないじゃない」
「……一度負けてます」(第2話参照
「あれはノーカウント! 正直、ブラックダイヤモンドじゃ曜の実力の半分も引き出せてないはずだし」
 逆に、他人が手掛けたドライヴであそこまで強くなれる方が凄いと美里は言う。
「ある意味、曜の強さってまだ分からないって事なのよ。上手く行けば、蓮杖君と互角かもしれないわけだし」
「でも……」
「はいはい、ネガティブは終了。ブラックダイヤモンドが戻ってきてからでも結論は遅くないでしょ?」
 美里の言葉に、曜は小さく頷いた。



 学校の近くにあるショップで、彼は何度も時計を見ていた。
 約束の時間から10分が経っている。向こうから言っておいて、遅刻するとはどう言う事だと問いたい。
 そんな事を思っていると、遠くから『チーム・アレス』の3人がやって来た。
「ごめんごめん、ちょっと手間取っちゃって」
「10分の遅刻だ。そっちが決めた時間なんだから、ちゃんと守ってもらいたい」
「別に良いじゃない。来ないだけマシでしょ、生徒会」
「生徒会って呼ぶな!」
 いきり立つ彼に、隣から彼女が「まぁまぁ」となだめる。
「悠太君だって、ちょっと遅刻したじゃない」
「何、真面目君も遅刻したわけ? うわー、自分が遅刻しておきながら、相手を責めるなんてサイテー」
「今度は真面目君か……掃除をやっていたから遅れたんだ」
 美里の言葉に、彼――――剣那悠太は小さくぼやいた。
 そんな様子を彼のチームのメンバーである一人が「ま、それは良いとして」と事を進める。
「とっととバトルしようぜ。これに勝てりゃ、『アンリミテッド』は総合Aになるんだしよ」
「総合Aになれば、最強チームを決めるトーナメント戦に出れるからな」
 総合Aランク以上のチームでのみ行われる公式トーナメント。
 有名である『ランドライザー・コマンド』、『レディエンス・ビューティーズ』と本気でバトルができる。
 チームとして総合Aランクに燃える『アンリミテッド』。一方、美里は何かを鞄の中から探していた
 姫里が気になって訊いてみる。
「どうしたの、美里?」
「……ない。SDカードはあるけど、今日曜に使ってもらう予備のドライヴがなくなってる!?」
「単に忘れただけでしょ、美里の場合」
「あちゃー、どうしよう姫里!? このままじゃ曜の練習できないじゃん!」
「相手を練習台にするのは失礼でしょ……」
 美里が頭を抱え込む。
「こんな時に限って……こうなったら、姫里、千里を呼ぶしか……!」
「それは無理。習い事やってる時は電源切ってるから、千里って」
「そんなオチってあり!? これって、私に対する神様のイタズラ!?
「違うと思うわよ。と言うか、忘れた美里が悪いんでしょ
 グサリと何かが刺さる。
「あぁ、そんな事言うわけ!? リーダーである私に!? オーディーンを作って上げた私に!?」
「だって、忘れたんでしょ?」
「……何してるんだよ、お前ら」
 そんな時に飛鳥が割り込んで来る。姫里は驚く事もなく「どうも」と挨拶を交わした。
 瞬間、美里が飛鳥に迫る。

「蓮杖君! これらを星川さんに見られたくなかったら、
 大人しくグロウファルコンを貸して!」


 そう言って、ドライヴに保存してある写真を一枚見せる。飛鳥と同級生の女の子が写っていた
 確かに、これを明日香が見れば、間違いなく嫉妬して二、三日は口を聞いてくれないだろう。
「……嫌な脅し方だな。つーか、人に頼む態度じゃないぞ、大滝」
「そう言う事を言わない! とっととドライヴ貸して!」
「……頼む態度じゃないな、既に。生憎、セルハーツが調整中だから、手元にはグロウファルコンしかない
「何ですってぇ!? 何でこんな時に調整なんかやってるのよ!?」
「別に良いじゃないか、俺のドライヴなんだし」
 思いっきり、美里に文句を言われる。しかし、飛鳥は当然何も悪くない
 姫里が美里をなだめる。飛鳥が「そう言えば……」と言いつつ、鞄から何かを取り出す。
 そして、それを曜に渡した。
「これは……」
「黒石さんのドライヴ。テストはしてないけど、完成はしてるよ。バトルもできる」
「本当ですか?」
「うん。色々と改造してあるから、ブラックダイヤモンドとは別物だけどね」
「なーんだぁ、ブラックダイヤモンド直ってるんじゃない! 曜、ちょっと貸して」
 曜からドライヴを取り、近くのコンピュータに接続して早速データを見る美里。
「わー……ブラックダイヤモンドの面影ないんじゃない、これ?」
「結構手を加えたからな。削れる所は全部削った」
「ふむふむ……でも、ちょっと物足りないかなぁ……。よし、ちょこっと改造しちゃおう!」
 容赦なく、美里の改造が加えられる。その動きは早かった。
 そんな美里の姿を見て、姫里が肩を落とす。
「美里、まだどれ位強いのか分からないのに、いきなり改造がないんじゃない?」
「何を言ってるのよ! あの蓮杖君が手掛けたんだから、私が手掛ければもっと強くなるわよ!
「前向き……と言うか暴走ね、もう……」
「いや、逆に手を加えるところはないと思うけどな……」
 しかし、それでも美里は容赦なく改造を始める。止めるのは無理だと飛鳥は判断した。
 グロウファルコンの入っているドライヴで『ダーク・コネクター』の動きを確認する。
 その時、飛鳥と同じクラスである剣那悠太が話しかける。
「蓮杖……」
「よう。これから、こいつらとバトルするのか?」
「ああ。その前に、お前とバトルがしたい」
 ドライヴを突きつける。
「俺とバトルをしろ、蓮杖。『ソード・マスター』になって調子に乗っているお前を倒してやる」
「別に、『ソード・マスター』だからって調子に乗ってはいないけどな。お前、ランクは?」
「Aだ」
「じゃあ、却下。つーか、『フォース・コネクター』に挑戦できるのはSRのトップだけだ」
 あくまで、そこにはこだわる飛鳥。いや、こだわらなければならないのだ。
 でなければ、間違いなく毎日がバトルになってしまう。
「俺とバトルしたいなら、SRになれよ。俺を倒す自信があるんなら、すぐにでもなれるだろ?」
「…………」
「悠太君、今日は蓮杖君とバトルしに来たわけじゃないよ」
「そうだぜ。今日は大滝んとこ倒して、総合Aになるんだからよ」
 彼をなだめる同じチームのメンバー。飛鳥は彼のチームのメンバーを見た。
 どう見ても4人だ。『チーム・アレス』も4人チームだが、一人足りない。
 美里の暴走に呆れている天鷹姫里に話し掛ける。
「そう言えば、もう一人のメンバーは? 3人しかいないみたいだけど」
「ああ、千里ね。あの子、今日は習い事があるからいないの」
「習い事……お前はしないの?」
「私は途中放棄。習い事よりスポーツの方が好きだし」
「……3対3で了承してるのか、生徒会のチームは?」
 そう訊くと、姫里が「あ……」と声を漏らす。
「そう言えば、まだ言ってなかったよね、美里のせいで。あのさ、3対3でお願いできる?」
「断る。4対4で引き受けたバトルだからな」
「別に良いじゃないか、3対3で勝てば良いわけだし」
「4対4の方が、確実に総合Aになれるんだ」
「意外と強情だな、お前……。仕方ない、俺が加わってやる」
 ドライヴを取り出し、飛鳥が鋭く悠太を見る。
「俺はレガリアもセルハーツも使わない。セルハーツは手元にないってのもあるけどな。
 ただし、これは非公式のバトルだ。勝ってもランクは上がらない」
「非公式だと?」
「当たり前だろ、チームじゃない奴が加わるんだから。嫌だったら3対3でやれよ」
 飛鳥の言葉に、悠太が悩む。
 確かに、飛鳥とはバトルしたい。自分の方が『ソード・マスター』より強い事を証明する為に。
 しかしチームの総合ランクAになれば、強豪チームが出場するトーナメントに出場できる。
 必死に悩む悠太。そんな彼を見て飛鳥は内心呆れていた。
「……悩むなよ、生徒会」
「生徒会じゃない! 俺には剣那悠t――――」
「で、どうするんだ?」
「……分かった、4対4の非公式で良い。お前に勝てれば、自信がつくからな」
「分かった。じゃあ、ハンデだけど、俺はパワーゲージ20%で良い」
 その言葉に、姫里が驚く。
「20%って、一、二撃で倒されちゃうわよ、蓮杖君!?」
「俺はSRだからね。それに要は、一撃も当たらなければ良いわけだし」
 余裕の笑みだった。その自信はどこから来るのか謎である。
 そして、ようやく美里がドライヴの改造を終えた。
「できたー! これぞ曜の最強ドライヴ! その名もキシン!」
「……ちょっと待った。キシンって何よ、キシンって!」
「この鬼の面からキシン! どう、カッコイイでしょ!?」
「……勝手にしてくれ」
 もはや、彼女を止める事はできない。そう飛鳥は悟った。
 美里が曜にドライヴを渡す。
「曜、これなら全力を出せるはずよ! 私と一応蓮杖君を信じて!」
「一応なのかよ、俺は……」
「美里さん……私、もう一度だけやってみます」
「そうこなくっちゃ! さあ、バトルスタートと行きましょうか!」

 ――――それでは、参ります!

 バトル・フィールド中心に穴が開き、そこからタキシードを纏った眼帯のおじさんが出てくる。
「さて皆さん! いよいよコネクト・バトルの時間がやって参りました!
 審判はこの私ドッグ飯塚が務めさせて頂きます!」
「また変なのが出てきたな、審判……つーか、今回は非公式だって……」
 審判の姿に呆れる飛鳥。そんな飛鳥など気にせず、審判は続ける。
「対戦するのはチーム『アンリミテッド』と『チーム・アレス With ソード・マスター』!
 ルールは総当たり戦! チームメンバー全滅によって勝敗が分かれます!
 ハンデは『ソード・マスター』がパワーゲージ20%! Sランクは60%、Aランクは80%です!」
「ちょっと待った! Aランクもハンデをつけるのか!?」
「そりゃつけるだろ、両チーム共にBランクがいるんだから」
「くっ……」
「それでは、両チーム、ドライヴの準備を!」
 悠太がドライヴを飛鳥に向ける。
「俺は絶対にお前に負けない! お前を倒して、俺が『ソード・マスター』になってみせる!」
「セルハーツじゃないからって、俺を甘く見るなよ。グロウファルコンでも、俺は絶対に負けない」



「ドライヴ・コネクト! グロウファルコン、セットアップッ!」
 平原をイメージされたバトル・フィールドに、飛鳥のドライヴが形成される。
 鷹をイメージしたカラーリングが施され、両手の実体剣が目立つグロウファルコン。
 飛鳥が昔使っていたそのドライヴは、装備していたローブを取り払っていた。
「シールドクロークは必要ないな。それにしても、久々の感覚だな、グロウファルコン」
 3年振りに動かすドライヴ。しかし、それでも調整は怠っていなかった。
 下手すると、セルハーツよりも調子が良い。
「これが……新しいブラックダイヤモンド。”キシン”……!」
 グロウファルコンの隣に構築された曜のドライヴ。曜はその全体図を見て驚いた。
 鎧武者だった全身が削られ、黒曜石のように輝く鎧を纏った女性型に変わっている。
 美里が取り付けた鬼の面も、なぜか不思議と似合って、以前の面影など残っていない。
 そして最も驚いたのが、グリップを握っただけで伝わるキシンの強さ。
 これが、天才と呼ばれる蓮杖飛鳥の為せる業だと、曜は分かった。
「うわっ、ブラックダイヤモンドの面影ないんじゃない?」
「でも、今の曜にはピッタリな感じねー。どれ位の強さか期待できそうじゃない」
 同時に姫里のドライヴ・オーディンと、美里のローズウェルが構築される。
 その時、姫里が美里のドライヴを見て気づいた。ウイングユニットのようなものが背中に装備されている。
「美里、それって……」
「もち! これぞ、ローズウェル・アリアカスタム! 空中戦用装備が結構カッコイイでしょ!?」
「と言うか、某打撃ガ○○ムに似てるんだけど」
「それは言わないお約束! ローズウェルのカスタムシリーズの中で一番気に入ってるんだから!」
「つーか、燃費悪い武器ばっか装備してないか、お前……」
 飛鳥がローズウェルを見て言う。
「ま、今回はキシンの性能がどれほどか試したいところだし、敵の動き次第で先陣は黒石さんにお願いするよ」
「え、私ですか……!?」
「大丈夫。キシンの性能は、ブラックダイヤモンドと違って半端じゃないから」
 その言葉に曜が頷く。そしてチーム『アンリミテッド』のドライヴが構築された。
 ファルシオンセイバーに似た実体剣を持つ、背中に円形状のアクティブ・ウェポンを持つドライヴ。
 間違いない、あれが生徒会長のドライヴだろう。
「……初代頑駄○○将軍のような装備だな、おい。いや、某天帝○○ダムか?」
『そんな訳あるか! これが俺のドライヴ、ロード・プロヴィデンスだ!』
「へー、カッコイイ名前だ事」(←思いっきり棒読み)
『馬鹿にしているのか、蓮杖……!』
 ふつふつと怒りが湧き上がる。それを見て、飛鳥は軽く笑みを漏らした。
 ドライヴの作りは悪くない。だが、基本に忠実な作りとも言える。
「……もう一度言っておく。セルハーツじゃなくても、俺は絶対に負けない」
 飛鳥が静かに睨みつける。その威圧感は、まさに『フォース・コネクター』としての風格を思わせた。
 審判が両チームのドライヴを確認し、手を振り上げる。
「それでは、コネクト・バトル……レディィィッ、ゴォォォッ!」
『先手を取らせてもらうぞ、蓮杖! エネルギーチャージ!』
 悠太の動かすロード・プロヴィデンスの背中の装備が高速回転を始める。
『グラビトンライフル、バーストクラスター!』
 背中の装備の高速回転によって得られたエネルギーが、手に持つライフルに回り、巨大な重力弾が放たれた。
 グロウファルコンへと迫る重力弾。飛鳥は何も迷わず防御に入った。
 グロウファルコンの持つ実体剣カタルシスが大きく展開し、ビームシールドを形成する。
 重力弾を受け止める。グロウファルコンの無傷な姿を見て、悠太は目を見開いた。
『無傷だと……!?』
「確かにセルハーツの方が強い。接近戦の強さだけ見ればな
 接近戦重視の高機動性型ドライヴ。それが、セルハーツだ。
 グロウファルコンも似た作りで、性能はセルハーツより低い。
 しかし、総合的な強さから見れば、セルハーツなど勝ち目のないドライヴでもある。
「見せてやるよ、先代を打ち負かしたグロウファルコンの強さをな」
 飛鳥の言葉が、悠太にとてつもないプレッシャーを与える。



次回予告

 明日香「こんにちは、明日香です」
 飛鳥 「同じく、飛鳥です」
 明日香「ねぇ、本編でも言っていたけど、セルハーツよりグロウファルコンの方が強いの?」
 飛鳥 「総合的に、ね。でも、どう足掻いてもセルハーツには負けるけど」
 明日香「グロウファルコンの方が強いのに?」
 飛鳥 「うん。なにせ、防御とか考えずに接近戦と回避だけ考えれば良いし
 明日香「そ、そうなんだ……」

  次回、CONNECT28.『二人がケンカした理由』前編

 明日香「次回も前編・後編の二部構成! あと、ようやく飛鳥君と勇治君がケンカした理由も分かるよ!」
 飛鳥 「けど、俺は絶対に仲直りしないけどな」(←まだ根に持ってる)
 明日香「あ、飛鳥君……」



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