勇治と『アサルト・ハンター』による銃撃戦が始まる。 しかし、そのバトルは前と同じ結果だった。ディル・ゼレイクの攻撃が全て撃ち落とされる。 『それが本気か? 弱いな』 「……!」 敵の言葉に触発され、サタン・オブ・マグナムの出力を上げる。 今度こそ、一人で倒すと言う想いが焦りを生んでいた。 『金剛の瞳』でディル・ゼレイクの銃弾の中心点を見極め、レイ・マキシマムが全て撃ち落とす。 その差は、まさしくコネクターの差だった。 『確かに狙いは良い。だが、俺の資質の前では通用しない』 「くっ……」 『おやおや、ソード・マスターの姿がありませんね』 レイ・マキシマムの後方から、2体のドライヴが姿を見せる。 漆黒の翼を持ち、暗黒のローブを纏うドライヴと神話に出てくるオーディーンを模した漆黒のドライヴ。 「イブリス……あと、”闇夜の姫君”朧か……!」 『ファイナル・ロード様の為にも、サタン・オブ・マグナムを頂きます』 『覚悟しなさい、マグナム・カイザー……』 イブリスのエヴィル・アスラフィルと、朧のオーディーンが構える。 勇治の頬を、冷たい汗が流れ落ちる。 勇治達がバトルしているバトル・フィールドの状況を見つつ、晃鉄が手を強く握る。 『アサルト・ハンター』である村瀬将射の強さは、格段に上がっている。 「3対1……これでは、いくら『マグナム・カイザー』でも……」 「危険でしょうね、あれじゃ。私も戦うしかないかなぁ……」 隣で彼女が言う。晃鉄はすぐに気づいた。 「逢坂……来てたのか?」 「今来たのよ。ゆうゆうの妹ちゃんと一緒にね」 そう言って、勇治のバトルの様子を見る。明らかに不利なのは確かだった。 朧のドライヴ・オーディーンの姿を見つけ、亜美が目を見開く。 「あれは朧さん!」 「ん? あのドライヴのコネクターと知り合い?」 「は、はい……けど、朧さんはお兄ちゃんの敵なんかじゃ……」 「『ダーク・コネクター』だから、ゆうゆうの敵だと思うけど?」 「そんな事ないです! 朧さんは、本当は良い人なんです!」 そんな亜美の言葉に、「ふーん」と優が返す。 しかし、優は何か疑問を抱いていた。目の前の朧と亜美の言う朧の違いに。 3体のドライヴを相手に苦戦せざる負えない勇治の姿を見て、晃鉄がドライヴを手にする。 「逢坂、ドライヴを修理して彼の手助けをしたい。手伝ってくれないか?」 「それはダメ。奴らと戦えるのは『フォース・コネクター』だけって、知ってるでしょ?」 「しかし、このままでは、彼は負けてしまう」 「分かってるって。ちゃーんと助っ人は呼んであるから」 「お、お待たせしましたっ……」 その時、明日香が駆けつけた。走ってきたのか、肩で息をして疲れている。 「ご苦労さん」と優が声をかけ、飛鳥の姿を探す。 「……あれ? あすあすは?」 「それが……セルハーツを取りに……」 「何、今日はセルハーツを持ってなかったわけ、あすあす?」 呆れる。こんな時に自分のドライヴを持っていなかった飛鳥は、あとでお仕置きだ。 途端、勇治のディル・ゼレイクが倒れる姿が映し出された。 「お兄ちゃん!」 「うわ、このままだと持たないみたいね……」 「……!」 その言葉を聞いて、亜美がコクピットランサーまで駆ける。 「ちょっと待って、妹ちゃん。さっきも言ったように――――」 「そんな事言ってられないです! お兄ちゃんが危ないんです!」 3対1と言う状況は、流石に『フォース・コネクター』でも不利な状況だった。 なにせ、3体の強さはSRランク同等かそれ以上。 そんな強さを持つ複数の敵を倒すには、間違いなくパートナーの力が必要だ。 「…………」 歯を噛み締め、ディル・ゼレイクを立ち上がらせる。勇治は意地でも一人で倒そうと思った。 相手が複数でも負けるわけにはいかない。自分はまだ、自分の限界を超えていない。 サタン・オブ・マグナムを構え、集中する。 「……サタン・オブ・マグナム、システム移行……?」 反応がなかった。勇治が目を見開く。 「なぜだ……なぜ、真の姿を見せない……!?」 サタン・オブ・マグナムの真の姿。その強さは、どんな相手でも太刀打ちできない強さへと変わる。 しかし、その反応がない。『アサルト・ハンター』が鼻で笑う。 『レガリアに見放されたようだな、マグナム・カイザー』 「くっ……!」 『イブリスや朧がいなくても、十分、お前を倒せるようだ。これで終わりしてやろう』 「そんな事させない!」 ディル・ゼレイクの前に、1体のドライヴが立ちはだかる。 亜美の乗るエル・センティアだ。 「お兄ちゃんは絶対に倒させない! お兄ちゃんは私が守ってみせるもん!」 『どけ、純粋な少女よ。俺はお前を撃ちたくない』 「どかない! まだお兄ちゃんは負けてないから!」 『もはや、マグナム・カイザーは負けた。だから、どけ』 「どかない!」 『どけ。でなければ……』 『私があなたを斬る』 オーディーンが刀を構える。 「朧さん……」 『オーディーンの斬鉄剣は、レア・ウェポンの中でも一撃必殺を誇れる刀。邪魔をするなら、容赦はできない』 「違う……。今の朧さんは朧さんじゃない!」 『違わないわ。私は私、どこも違わない』 「違うよ! だって朧さん、凄く優しかったもん! 知り合った時、良い人だって思えたもん!」 『そんなのは、ただの戯言よ。人には必ず仮面がある。偽りと言う名の、ね』 「朧さん!」 『本当はあなたを斬りたくないけれど、仕方ないわね……』 斬鉄剣がオーディーンのエネルギーを得て刀身を光らせる。同時に、レイ・マキシマムも銃を構えた。 襲い掛かるオーディーンとレイ・マキシマムの攻撃。亜美が目を瞑る。 瞬間、一閃の風がオーディーンの斬鉄剣を受け流し、レイ・マキシマムの攻撃を全て弾いた。 鮮やかな青い装甲が目立つドライヴ。その右手に握るのは、全てを断つ力を秘めた剣。 そして、ドライヴと同じ大きさの赤熱の盾を持ったセルハーツの姿があった。 「飛鳥……」 「飛鳥さんっ」 「…………」 飛鳥がようやく到着した瞬間だった。 飛鳥到着を確認し、優は「ギリギリセーフ」と一安心した。 もう少し遅ければ、間違いなく勇治は倒され、サタン・オブ・マグナムは敵の手に渡っていただろう。 「それにしても、何で盾を装備してるわけ? あすあすは盾を使わないはずだけど」 「それを私に聞かれても……」 明日香が苦笑する。しかし、セルハーツに盾と言う組み合わせは珍しかった。 いや、剣だけで戦える飛鳥が今更盾を使うのは変である。 新装備なのかどうか、それは明日香ですら分からない。 「でも、これで大丈夫かな、一応。あとは、妹ちゃんをコネクト・アウトさせないとね」 優がドライブを構える。 「もう少し様子を見て、ヤバイと思ったらコネクトしますか」 勇治と亜美の元に駆けつけた飛鳥。『アサルト・ハンター』がレイ・スペル・ショットを構える。 そして連射。飛鳥は瞳を鋭くさせ、銃弾全てを見切った。 ファルシオンセイバーが振り下ろされ、放たれた銃弾を全て弾き落とす。 敵を睨みつつ、飛鳥が言う。 「どんなに連射に優れていても、銃弾は真っ直ぐにしか飛ばない。それさえ見切れれば、簡単に弾き落とせる」 『流石はソード・マスターだな。あのアサシン・ブレードが負けたのも頷ける』 「…………」 飛鳥と『アサルト・ハンター』の両者が睨み合う。その時、ディル・ゼレイクが立ち上がった。 かなりボロボロになってはいるものの、まだ戦えるようだ。 ディル・ゼレイクが立ち上がったのを確認すると、セルハーツがディル・ゼレイクの前に剣を突き向けた。 「……!」 「ふぇっ……あ、飛鳥さん!?」 飛鳥の意外な行動に驚く勇治と亜美。飛鳥が勇治を睨む。 「一つだけ答えろ。何で、またオーバー・ドライヴ・システムを使おうと思ったんだ?」 「…………」 「答えろ。答えないなら、容赦なく俺自らがお前を斬る!」 「……お前に勝つ為だ」 勇治が口を開く。 「お前ともう一度バトルする時、俺は俺の本気でお前を倒そうと思っている。 だからこそ、あのシステムの連続使用が必要だと思ったからだ」 「だったら、自分で使えば良いだろ。何で亜美ちゃんに使わせた?」 「あのシステムの負荷を中和するシステムを作る事ができたからだ。失敗したがな」 「…………」 セルハーツが剣を下ろす。 「……亜美ちゃんで実験したのは、俺との約束があったからだな?」 「そうなる。だが、失敗するとは思っていなかった」 「失敗するに決まってるだろ。お前は、アクティブ・ウェポンとか作れないんだからな」 セルハーツが敵へと姿を向ける。 「一度くらい相談しろよ、相棒だろ、俺達?」 「そうだな……俺と飛鳥はコンビだったな……」 「ああ。……イブリスと朧は任せろ。必ず勝てよ」 「当然だ」 互いに笑みを浮かべる。そして、セルハーツとディル・ゼレイクが構えた。 最強のコンビ復活。イブリスのエヴィル・アスラフィルが宙へと浮き上がる。 『幹部二人を相手にすると言うのですか、ソード・マスター?』 「ああ。勇治の邪魔は絶対にさせない」 セルハーツがエル・センティアに盾を渡す。 「ふぇ……?」 「前に亜美ちゃんが作ろうと思ってたアクティブ・ウェポン。テストもちゃんとしてる」 「もう出来たんですか!?」 「意外と単純な作りだったからね。名前はレオハルト・シールド。援護は頼むよ」 「は、はい!」 そして、勇治が再び『アサルト・ハンター』と睨み合う。 「今度こそ、その銃を破壊してみせる」 『レガリアに見放されたマグナム・カイザーが俺に勝てると思うな』 最強のコンビが、『ダーク・フォース』と『ダーク・コネクター』の幹部2人に挑む! 次回予告 明日香「こんにちは、明日香です」 飛鳥 「どうも、飛鳥です」 明日香「ようやく仲直りしたね、飛鳥君」 飛鳥 「まーね。ここからが、俺と勇治の強さってところかな?」 勇治 「必ずあの銃は破壊する」 亜美 「お兄ちゃんの真剣な表情って、意外と珍しいかも……」 次回、CONNECT31.『姫君の真実』 明日香「次回は亜美ちゃんが大活躍!?」 亜美 「私ですか!?」 勇治 「頑張れ、亜美」 明日香「そう言えば、亜美ちゃんに渡した盾って、凄いの?」 飛鳥 「それは次回のお楽しみ。それじゃ、次回も皆でドライヴ・コネクト!」 |
<< CONNECT29. CONNECT31. >> 戻る トップへ
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||