CONNECT33.『友情の天翔蒼破絶靭斬』


 勇治が『サタン・オブ・アブソリュート』を目覚めさせた。
 そして繰り広げられる『マグナム・カイザー』と『アサルト・ハンター』によるバトル。
 しかし、『サタン・オブ・アブソリュート』の前に、『アサルト・ハンター』は無力だった。
「マッハバーストッ……!」
 勇治が何十発も撃つ。その動作は速く、レイ・マキシマムを圧倒的に寄せ付けない。
 レイ・マキシマムが銃型のドラウニプル・モードへと変形する。
『ドラウニプル、発射……!』
「無駄だ」
 レイ・マキシマムの放った攻撃を、呆気なくディル・ゼレイクが阻止する。
 そして、ディル・ゼレイクが『サタン・オブ・アブソリュート』を肩上へ持っていく。
 ディル・ゼレイクのカメラアイが赤色へ変わり、機体全体がオーラを纏う。
 その姿は、まさに悪魔であり、それを見た飛鳥は目を見開いた。
「……勇治の奴、やっぱオーバー・ドライヴ・システムを積んでやがったな……! つーか、まさか……!?」
 嫌な予感がすると思ったら、それは思いっきり的中した。
『サタン・オブ・アブソリュート』の銃口にエネルギーが集中し、赤熱の球体が生成される。
 赤熱の球体は、銃からエネルギーを得ているのか徐々に巨大化していった。
 ディル・ゼレイクの全長を数倍上回るほどの巨大な赤熱の球体。まるで小さな太陽である。
 それを見た『アサルト・ハンター』も勝負に出た。
『ナイン・ヘッド・ラグーン』
 9つの砲門が開き、一斉に波動が放たれる。
「ファイナル・インフェルノッ……!」
 同時に、ディル・ゼレイクが赤熱の球体を放ち、9つの波動と共にレイ・マキシマムを呑み込んだ。
 そして大爆発が起き、その爆風でディル・ゼレイク自らが吹き飛ばされる
「ったく、あの馬鹿……」
 セルハーツは爆風に吹き飛ばされないように耐える。そして爆風が止んだ。
 すぐに『アサルト・ハンター』の姿を確認する。反応はない。
 どうやら、『ダーク=レガリア』と共に破壊したようだ。
 爆風で吹き飛ばされたディル・ゼレイクは、仰向けで倒れている。間違いなく、もう動けないだろう。
 呆れつつ、その場から飛鳥が話し掛ける。
「勇治、生きてるか?」
「…………」
「……まさか、前みたいに気を失ってるんじゃ……!?」
「……疲れた」

「ちょっと待ていッ!」

 飛鳥が肩を落とす。
「人が心配した時に『疲れた』、じゃねぇっ!」
「疲れたから、素直にそう言っただけだ」
「……ああ、そうだろうよ。お前はそんな奴だったって事を忘れてた俺が悪いよ!」
 しかし、苛立ちが収まらない。
「……ったく、疲れるに決まってるだろ。システム発動させてる上に、あの技使ったんだから」
 勇治が最後に放ったファイナル・インフェルノは、コネクターに相当な疲労感を与える。
 さらに、オーバー・ドライヴ・システムを使ったとなれば余計に、だ。
「これで連続使用だったら、間違いなく今度は資質失くしてたぞ」
「だろうな」
「……ま、今回はそんな事ないみたいだな」
 飛鳥の言葉に、勇治が頷く。
「ああ。飛鳥、頼みがある……」
「何だよ?」
「コーラ奢ってくれ」
「自分で買え! つーか、疲れてんだったらポカリにしやがれっ!」
「そんなのは俺の自由だ。ポーションでも良いぞ
「誰が奢るか! って、久々のボケがそれか、それなのか!?」
 深く肩を落とす。すっかり、勇治は元に戻りきっていた。
 もはや、ディル・ゼレイクにオーバー・ドライヴ・システムを積んでいた事に対して訊く気も起こらない。
 ディル・ゼレイクの近くまで行こうとする。その時、ファルシオンセイバーが反応した。
「反応してる……? まさか、『アサルト・ハンター』はまだ……!?」
 その時、奴らは姿を見せた。



 暗い闇の中に一つだけ無気味に光る液晶画面。その部屋で、彼は一体のドライヴを眺める。
『ダーク・コネクター』と言う存在を作り、彼らの総帥『ファイナル・ロード』。
 ドライヴが表示される液晶画面の隣の画面に、一つの人影が表示される。
「どうやら、『レイ・スペル・ショット』は破壊されたようだな」
『……申し訳ありません、ファイナル・ロード様』
「構わん。まさか、お前ほどの者がダメージを受けるとは。流石だ、『ソード・マスター』」
 前より確実に実力を増している。イブリスのエヴィル・アスラフィルにダメージを与えたのが証拠だ。
 エヴィル・アスラフィルの性能は、どんなに精通しているコネクターでも作れない。
「さて、次の手を打つ必要があるな」
『いえ、もはや手は打ってあります。今度こそ、必ずレガリアを……』
 そう、今度こそ『ドライヴ=レガリア』を手に入れる。



 突然現れる3体のドライヴ。一体だけ、かなりの巨体を誇る。
 その中の一体――――全身をローブで覆い、姿を隠すドライヴの持つ盾に飛鳥が目を見開いた。
 ダーク・ブルーで施され、闇に染まる女神のレリーフが刻まれた盾。
ティシフォネの盾!? 三人目の『ダーク・フォース』!?」
『アサルト・ハンターの支援に来ましたが、遅かったようですね』
 盾を持つドライヴを駆る『ダーク・フォース』が呟く。
 その隣の紫の戦乙女――――ヴォルト・デュラハンが、不敵な笑みを浮かべた。
『けれど、マグナム・カイザーは動けないようですね、クイーン様』
『そのようですね』
『どうなさいますか?』
 巨大なドライヴを駆る『ダーク・コネクター』が訊く。飛鳥は舌打ちした。
「こうも早く、三人目が動き出すなんて……!」
『ここは、ヴォルト・デュラハンに任せます。支援の対象がいないのならば、私の出番はありません』
「……撤退する気か? お前達にとっては、好都合な状況だぜ……!?」
『動けないマグナム・カイザーを仕留めるのは、ヴォルト・デュラハンで十分ですので。
 あと、これは私なりの警告です。あなた達では、我々を倒す事などできません』
「何だと……!?」
『我らが総帥は、究極のドライヴを手に入れました。いずれ、全ては我らの物です』
 盾の『ダーク・フォース』と巨大なドライヴが姿を消す。
 ヴォルト・デュラハンがバトル・フィールドの地中から、一体のドライヴを出す。
 巨大なラフレシア型のドライヴ。中心部にエネルギーがチャージされ、ディル・ゼレイクへと向けられる。
 それを見た飛鳥が、ファルシオンセイバーを構える。
『その距離から私のラフレシアを破壊できるとでも?』
「できるさ。『バスターファルシオン』を使えば……!」
 しかし、五分五分だった。間違いなく、時間ギリギリの勝負だ。
「ファルシオン、封印解――――!」
 言葉を止める。飛鳥は目を見開いた。
 気のせいだとは思うが、セルハーツが語りかけてきた。
「……セルハーツ……? 俺にあの技を使えって言うのか……!?」
 その言葉に答えるかのように、セルハーツのカメラアイが一瞬だけ強く光る。
 ラフレシアの中心部からビームから放たれようとする。飛鳥は迷わず動いた。
 無謀かもしれない。しかし、セルハーツを信じたい。
 ディル・ゼレイクの前――――少し距離を置いた場所に立ち、剣を構える。
「……頼むぜ、セルハーツッ!」
 友を守る為にも、力を貸してくれ。その言葉に、セルハーツが応えた。
 セルハーツの周囲から凄まじき闘気が発生し、ファルシオンセイバーが姿を変える。
 全てを眩い光に包まれた剣。飛鳥の瞳が鋭くなり、敵を睨む。
『何をしようとしているか分かりませんが、無駄ですよ』
 ラフレシアがビームを放つ。しかし、セルハーツの周囲から発せられる闘気に阻止された。
(力が漲る……これなら……!)
 光の剣が、その光をさらに増す。
「うぉぉぉおおおおおおっ!」
 周囲の闘気が、まるで灼熱の炎の如く燃え上がる。
 セルハーツが「今だ!」と言っているような気がする。飛鳥が光の剣を大きく振り上げた。
「天翔蒼破ぁぁぁっ……絶・靭・斬ぁぁぁぁぁぁんッッッ!」
 振り下ろす。一直線に伸びる波動がラフレシアを呑み込んだ。
 その場からバトル・フィールドの端まで吹き飛ばされ、爆発するラフレシア。
 ヴォルト・デュラハンが目を見開く。光の剣がファルシオンセイバーへ戻った。
 とてもつない疲労感に襲われ、セルハーツが肩膝を大地につき、クールダウンを開始する。
「クールダウン300秒……これが、本当の天翔蒼破絶靭斬……!」
 ドライヴと心を通い合わせる。それは、自分のドライヴを信じ、その鼓動を感じる事。
 鼓動は、原型となる剣を媒体に光の剣に姿を変え、絶大な破壊力を得る。
 それが母の残した”究極の光剣”、天翔蒼破絶靭斬だと飛鳥は知った。
『あのラフレシアを簡単に……しかし、そのお陰でソード・マスターも行動不能ですか』
「くっ……!」
 ヴォルト・デュラハンが雷の鞭を振るう。
『剣と銃……二つのレガリアは頂きます』
「――――そうはさせぬ!」
 刹那、大地が轟き、衝撃波がヴォルト・デュラハンを襲う。
 巨大な剣を持ったドライヴがセルハーツの前に立ちはだかる。
「『ソード・マスター』は私がいる限り、絶対に倒させはせん」
「が、ガルノア……? あんた、何で……!?」
「言ったはずだ、お前を守ると。それが、今の私の役目だ」
「いや、だって……」
 元『ダーク・コネクター』の幹部だったとは言え、今は普通のコネクターだ。
 現『フォース・コネクター』と先代を除いて、一般のコネクターは敵とのバトルは許されない。
「協会より特例で許可は得ている。今の『マスター・コネクティブ』は、私の事を知っているからな」
「…………」
 疲れてて何も言えない。特例を出す協会も協会だが、ガルノアもガルノアだった。
 やや置いてけぼりの状態だったヴォルト・デュラハンが雷の鞭を構える。
『まさか、あなたが出てくるとは……”全てを悟りし者”ガルノア』
「その名は捨てた。今の私は、『ソード・マスター』を守る盾に過ぎん。戦うのであれば、私は容赦せぬ」
『勝つ確率が低いバトルは興味ありませんので、撤退させて頂きます』
 そして、ヴォルト・デュラハンも姿を消した。



 コクピットランサーから出て、飛鳥は優と亜美の姿がない事に気づいた。
「優さんと亜美ちゃんは?」
「優さんは病院に行ったよ。朧さんって人の検査をするって……亜美ちゃんもそれについて行って……」
「そうなんだ。どうする?」
 勇治に訊く。
「……病院に行く」
「言うと思った。バイクで来てるから、後ろに乗って行くか?」
「それは遠慮する」
「おい……」
 意外と運転は信用されていなかったりする。しかし、それも当然だった。
 勇治が飛鳥にSDカードを渡す。
「オーバー・ドライヴ・システムの負荷を中和させるシステムだ」
「やってみるけど、本当に中和させる方法が分かったのか?」
「当然だ。とあるゲームを元に作ったからな
「って、ちょっと待て、それ!」
 飛鳥がすぐにSDカードをドライヴにセットする。
 まるでメールを打つかのように素早く中身を確認し、そして肩を落とす。
「……やっぱり。これ、ただのミニゲームじゃねぇか!」
「そうなのか?」
「そうなのかって……エラー出まくってるのが分からねぇのか、テメェ!?
 ドライヴに表示されるエラーの文字。やはり、勇治は勇治だったりする。
 いや、それ以前にゲームを元に作る事の方が凄い。流石と言えば流石か。
 飛鳥がため息をつく。
「結局、中和は無理って事か。……けど、もうどうても良いか」
 ドライヴからSDカードを取り出し、勇治に返す。
「連続使用は絶対にするなよ。あと、それプラス、ファイナル・インフェルノもな」
「当然だ。お前とバトルをする前に、力を失う気などない」
 互いにふっと笑う。
(……けど、あの『ダーク・フォース』の声、どこかで……)
 思い出せない。飛鳥は、新たな『ダーク・フォース』の事が気になっていた。



次回予告

 明日香「こんにちは、明日香です」
 飛鳥 「ようやく、アサルト・ハンターとのバトルが終わったな」
 明日香「うん。次回から、また新展開だね」

  次回、CONNECT34.『最強チームの敗北』

 明日香「次回は、あのチームが敗北!?」
 飛鳥 「……明日香、チーム名言わないと分からないって(汗)」
 明日香「だって、台本に書いてないんだもん……」
 飛鳥 「な、何だよ、台本って……?」



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