ジャイアント・サイクロプスが拳を振り落とす。プラディ・ラ・グーンが受け止めた。 その隙を狙い、アーク・ウィザリオが剣を振るう。 「セット! 『スキル・プログラム』、鳳凰紅蓮ッ!」 獅王紅蓮姫が二つの銃で攻撃し、アーク・ウィザリオが斬りつける。 「『スキル・プログラム』セットッ! 白銀鋼王ぉぉぉっ!」 プラディ・ラ・グーンが殴り、シルバー=メルクリウスが無数のレーザーで撃つ。 4体のドライヴがジャイアント・サイクロプスの周囲に立ち、そして敵を睨む。 「気高き紅蓮の炎よ」 獅王紅蓮姫のカメラアイが光る。 「唸り轟く鋼王の鼓動よ!」 プラディ・ラ・グーンのカメラアイが光る。 「吹き荒れる白銀の風よ」 シルバー=メルクリウスのカメラアイが光る。 「天を舞い、悪を貫く鳳凰よ!」 アーク・ウィザリオのカメラアイが光り、4体のドライヴが両腕を敵へと向ける。 ジャイアント・サイクロプスを中心に、光の円が描かれた。 「4つの力よ、一つとなり無限の力となれ!」 輝凰が一枚のSDカードを取り出し、ドライヴに装填する。 『スキル・プログラム! フォース・ジェノサイド・バーストッ!』 4体のドライヴの両手から波動が放たれ、重なり合って共鳴波動となる。 共鳴波動がジャイアント・サイクロプスを襲い、大爆発が連続で起こった。 輝凰、優、郁美、ゴウの4人が誇り、誰も真似できない二段階式『スキル・プログラム』。 大ダメージを受けたジャイアント・サイクロプスの動きは、完全に止まった。 4体のドライヴが同時にクールダウンを始める。 「クールダウン120秒……相変わらずトドメ専用だな、こいつは」 「久々にやると疲れるわね」 「動きは止まったけれど、倒せたのかしら?」 「いや、まだのようだ……!」 ゴウが睨む。止まったはずのジャイアント・サイクロプスが動いた。 今の自分達じゃ動く事ができない。ゴウが舌打ちする。 ジャイアント・サイクロプスが腕を振り上げる。刹那、振り上げた腕が吹き飛んだ。 「……ようやく、動けるようになったか、飛鳥」 「……あとは任せてください、先代!」 青く輝く、長い光の刀身。全てを断つバスターファルシオンを手にしたセルハーツの姿。 『――――』 サタン・ビックフットが雄叫びを上げる。 ジャイアント・サイクロプスが斬り飛ばされていない方の腕を振り落とす。 飛鳥が敵を睨みつけ、バスターファルシオンで受け止めた。 否、振り落とした腕はバスターファルシオンの前に、綺麗に二つに割れていく。 集中力を増し、飛鳥がその鼓動を感じる。 「敵を断て、ファルシオンッ!」 振り上げたバスターファルシオンの刀身が、セルハーツの20倍以上の長さに伸びる。 「バスタァァァ、クラァァァァァァシュッ!」 振り落とし、ジャイアント・サイクロプスが盾と共に両断される。 大爆発を起こすジャイアント・サイクロプス。再生が起きていない事を確認し、飛鳥が剣を肩上に持っていく。 バスターファルシオンが光の刀身を光の粒子へと拡散させ、元の姿に戻った。 そして、バトルは終わった。 コクピットランサーから降りて、輝凰が飛鳥の頬を叩く。 そして、深い溜め息をついて呆れた。 「こよみの事はともかく、一人で動いてどうする気だったんだ、飛鳥?」 「すみません……」 「お前の事だ、どうせ自分のせいだとか思っていたんだろ?」 思いっきり図星だった。輝凰が話を続ける。 「お前は悪くない。イブリスの方が一枚上手だっただけだ。 こよみが洗脳されたのは、奴が変装でもして騙したからだろう」 「そう、ですかね……?」 「そうだ。俺が来なかったら、お前も『ダーク・コネクター』になっていたな」 「…………」 「まぁ、最後のバスタークラッシュは流石だった」 輝凰が飛鳥の肩に手を置く。 「あれから3年。また強くなったな、飛鳥」 「輝凰さん……」 飛鳥が顔を俯く。輝凰が頭に「?」を浮かべた。 褒めたつもりなのだが、なぜか落ち込んでしまった。 そんな輝凰に、飛鳥がドライヴを出す。 「……輝凰さん、ファルシオンセイバーを受け取ってください」 「どうしてだ?」 「……今の俺は、こいつに相応しくない。だから……」 「あすあす、馬鹿な事言ってるんじゃないの」 突然、後ろから頬を強く引っ張られる。 「バスターファルシオンが使えるって事は、あすあすを所有者として認めてるのよ、ファルシオンは」 「けど、俺は……」 「相応しくないって事はないと思うよ?」 「――――!」 声のした方へ振り向く。そこに、その人はいた。 3年前に比べて、大人びた魅力を持った女性。まだ自分の知っている面影を残している。 「こよみ……さん……」 「ごめんね、私のせいで。けど、飛鳥君のせいじゃないからね?」 「……いいえ、あなたが『ダーク・フォース』になったのは俺のせいです」 「違うよ」 こよみが飛鳥に近づく。そして、飛鳥の額に軽くデコピンする。 「今回は私が悪いの。輝凰さんの偽者って気づかなかったから」 「けど……」 「飛鳥君は悪くないの。悪いのは、洗脳された私に躊躇いもなく本気で攻撃した輝凰さんだから」 「……俺のせいか?」 「当然だと思いますけど? 恋人である私に本気出すなんて、最低です」 そう言って、飛鳥の腕に抱きつく。優はまだ頬を引っ張っているままだ。 輝凰に対し、こよみがペロっと舌を出す。 「飛鳥君と付き合っちゃおうかな? 輝凰さんより若いし、可愛いところあるし」 「……良く言いますよ。3年前は思いっきり輝凰さんが好きだって言ってたのに……」 「と言うより、残念だったね、こよちゃん。あすあすには、もう恋人がいるのよ、こう見えて」 「……と言うか、いい加減離してください。痛いんですけど」 まだ頬を引っ張られている状態。そんな状態でまともに喋れたりするのは、そこまで引っ張られてないからだ。 しかし、流石に痛い。飛鳥の表情を楽しみながら、優は手を止めない。 「別に良いじゃない、これくらい。一人で行動した罰」 「罰って事は、今日は一日中、飛鳥君を借りちゃおうかな?」 「あら、楽しい事をしてるわね。私も参加して良いかしら」 そう言って、今度は先代『ストーム・クラウン』が絡んでくる。 年上の女性三人に絡まれる飛鳥。その姿は幸せそうで幸せではない。 そんな光景を見ている輝凰に、ゴウが話し掛ける。 「そう言えば、こっちに帰って来て、何をするんだい?」 「何って、医者に決まってるだろ。その為に、アメリカに行ってたんだからな」 「そうだったね。しかし、君に白衣は似合わないと思うけどね、僕は」 「大きなお世話だ」 暗い闇の中に一つだけ無気味に光る液晶画面。 その部屋で、総帥『ファイナル・ロード』は、イブリスからの報告を聞いていた。 「……ほう、洸月輝凰が」 『はい。その強さは、今のソード・マスターよりもまだ上かと』 「それはない」 ファイナル・ロードが否定する。 「洸月輝凰は、所詮は剣を得意としていただけに過ぎんコネクターだ。 しかし、『ソード・マスター』は違う。彼は、恵まれた素質を持っている」 『恵まれた素質、ですか?』 「そうだ。なにせ、お前に傷をつけたコネクターでもあるからな」 イブリスの強さは、どんなコネクターでも太刀打ちできない。 それが、たとえ最強と言われた先代『ソード・マスター』の輝凰であっても。 「『ソード・マスター』を倒す術を頼むぞ。イブリス」 『……分かりました、ファイナル・ロード様』 飛鳥は、まだ女性三人に絡まれていた。 そこに、バッドタイミングとも言える時に明日香がやって来た。 「あ……明日香……」 今の自分の状況から、破局の瞬間が頭の中に浮かび上がる。 自分のせいで関係が拗れつつあるのに、この状況はさらにそれを拗れさせる。 そう思った矢先、明日香が飛鳥に近づいて来る。 そして、優とこよみ、そして郁美の三人から飛鳥を引き離し、飛鳥の腕に強く抱きつく。 「……は?」 予測していなかった行動に対し、飛鳥が頭に「?」を浮かべる。 「飛鳥君に変な事しないでください!」 明日香がムッとした表情で言う。 どちらかと言えば、変な事と言うより絡まれていたのだが。 「……って、それ以前に。明日香、怒ってないの……?」 「うん。だって、ゴウさんから聞いてから。でも……」 「で、でも……?」 「好きって言ってくれないと、許してあげない」 明日香は明日香で、意地悪だった。飛鳥が苦笑する。 そんな飛鳥に、輝凰が「それくらい簡単だろ」と追い詰めた。 「それに、明日香ちゃんに礼を言わないとな」 「れ、礼……?」 「俺が駆けつける事ができたのは、明日香ちゃんが俺に教えてくれたからだ」 「そうだったんですか……」 「そうだ」 飛鳥が明日香に頭を下げる。 「……明日香、ごめん。そして、ありがとう……」 「飛鳥君、好きって言わないと許さないって言ったよ?」 「…………」 「それとも、私の事が嫌いになったのかな?」 「そんな事はない! 俺は明日香が好きだ!」 「うん。私も大好きだよ、飛鳥君っ」 首に腕が回り、明日香がキスする。飛鳥の顔が瞬く間に赤くなっていく。 二人の姿に優が「ひゅー」と茶化し、他のメンバーも可笑しそうな顔をする。 ゆでだこ状態の飛鳥。そんな飛鳥を見て、輝凰が笑った。 「おいおい、キスくらいで真っ赤にしてると、これからの展開で苦労するぞ」 「な、何ですか、これからの展開って!?」 「それは俺の口からは言えないな。まぁ、明日香ちゃんに嫌われないようにな」 「き、輝凰さん!」 その瞬間、輝凰が真面目な顔をする。 「良いか、飛鳥? 奴らを最も倒す力があるのはお前だ。それを忘れるな」 「え……?」 「『ソード・マスター』として、絶対に負けるな。頼んだぜ、俺の後継者」 「……はい。そのお言葉、しっかりと受け止めておきます。先代『ソード・マスター』」 飛鳥が頷く。輝凰がふっと笑う。 先代『ソード・マスター』から、今の『ソード・マスター』への心強い言葉。 そんな二人に心動かされたか、ファルシオンセイバーが少しだけ反応する。 その瞬間、脱力感漂う着信音が鳴り響き、雰囲気を崩した。 「……何だ、その着信音は?」 「……某ライブレードの曲です」 そう答えながら、電話に出る。 「何か用か、勇治?」 『片付いたようだな。さっき電話した時と声が違う』 「……ああ。悪かったな、色々と」 『いや、別に良い』 「それより、どうしたんだよ?」 訊く。電話の向こうの勇治が黙った。 「勇治?」 『負けた』 「何……?」 『マリアが負けた。ストーム・クラウン戦において、マリアが負けた』 勇治からの意外な一言が、新たな展開を呼んだ。 次回予告 明日香「こんにちは、明日香です!」 飛鳥 「飛鳥です。……って、元気そうだね、明日香?」 明日香「だって、次回予告での出番が増えたから」 飛鳥 「……それ聞くと、あの人達のキャラの濃さが良く分かるよ……」 明日香「それより、前から気になってたんだけど、あの着信音って……」 飛鳥 「勇治にピッタリだろ?」 明日香「ど、どうだろう……?」 ※某ライブレードの、某じじいキャラのテーマ曲。 どんな曲かは、ライブレファンなら分かるはずw 次回、CONNECT41.『新たなるストーム・クラウン』 明日香「次回は早くも新『ストーム・クラウン』登場!」 飛鳥 「どんな奴になるんだか……」 明日香「あれ、飛鳥君も知らないんだ?」 飛鳥 「うん。あまり興味ないから」 明日香「あははは……」 |
<< CONNECT39. CONNECT41. >> 戻る トップへ
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||