バトル・フィールド。飛鳥のセルハーツとゴウのプラディ・ラ・グーンが敵に囲まれている。 『へっ、これでフォース・コネクターかよ? 笑わせるぜ!』 「笑わせてくれるのは、お前らだろ? 幹部でもない『ダーク・コネクター』が調子に乗るなよ」 飛鳥が言う。そして、ゴウが自分達の周りにだけバリアを展開した。 その瞬間、空から無数の銃弾が雨のように降り注ぐ。 雨のような攻撃が止んだのを確認し、セルハーツが剣を構えた。 「ゴウさん!」 「任せる!」 プラディ・ラ・グーンが跳躍する。 「輝凰! 斬・王・陣ッ!」 セルハーツが剣を突き刺し、エネルギーを放出する。周りを囲んでいたドライヴが一掃された。 全滅までわずか3分。飛鳥が上空にいる”彼”にグッと親指を立てる。 上空を舞う、白金のドライヴ。その姿はかすかに魔術師を思わせる。 そのドライヴを駆る新生『ストーム・クラウン』のカリスが笑顔で答えた。 「お疲れ様です、飛鳥さん、ゴウさん」 「カリスもな。しかし、まさか初めての上からの命令が奴らとのバトルだなんて、嫌だったろ?」 「いいえ、そんな事はありません。それに、皆の為に戦っているわけですから」 カリスの真面目な意見に、飛鳥が「そうか」と軽く流す。 「これでバトルは終了だ。二人とも、昼前だから何か食べに行かないか? 年上として奢るぞ」 「あ、ゴウさん、俺はちょっと用事があるので失礼します」 ゴウにそう言って、飛鳥がコネクト・アウトする。 別のショップにて、勇治は”それ”を追い詰めた。 ゲームで登場するようなバハムートの姿をした、巨大な竜のドライヴ。 銃を構えつつ、勇治が訊く。 「貴様が『ジャッジメント・ウィザード』だな?」 相手は答えない。しかし、敵意があるのは間違いないようだ。 「ふん、暇潰しにはちょうど良いか……」 そう言って、勇治がディル・ゼレイクを操作する。プラズマライフルを肩上へと持って行った。 銃口にエネルギーが集中し、赤熱の球体が生成される。そして、徐々に巨大化していった。 それを見た竜の姿をするドライヴが、すぐに消える。 反応が完全に消えたのを確認し、勇治が舌打ちしつつ、その攻撃を止めた。 「一撃で倒されるのを恐れたか。今度の『ダーク・フォース』はザコだな」 ショップ内に設置されている喫茶店。ゴウ達と別れた飛鳥はその相手に出会った。 「待たせたか、ガルノア?」 「構わん。『ダーク・コネクター』とのバトルをやっていたのだろう?」 「……良く分かるな。その通りだけどさ」 飛鳥の用事。それは、元『ダーク・コネクター』の幹部だったガルノアと会う事だった。 ガルノアの前の席に座り、簡単に注文をする。 そして、すぐにガルノアに訊いた。 「ガルノア、あんたに訊きたい事がある」 「何だ?」 「奴らの言う究極のドライヴって、一体何だ?」 飛鳥の質問に、ガルノアの眉が一瞬だけピクリと動く。飛鳥は、やはり、と心の中で思った。 イブリスが撤退する前に言っていた究極のドライヴ。 全てを悟りし者と呼ばれいたガルノアなら、絶対に知っていると飛鳥は確認していた。 ガルノアが飛鳥の瞳を見つつ、答える。 「究極のドライヴ……それは、レガリアを上回る性能を持つドライヴの事だ」 「レガリアを上回る……!?」 「そうだ。真の姿となったレガリアですら倒せぬと言われるドライヴ。それが究極のドライヴだ」 真の姿となった『ドライヴ=レガリア』でも倒す事が出来ないドライヴ。 それが究極のドライヴであり、『ダーク・コネクター』はそのドライヴを手に入れた。 飛鳥が少しだけ息を呑む。そして、一つの疑問が浮かんでいた。 「……けれど、そんなドライヴを完成させたなら、レガリアを手に入れる必要なんてないんじゃ……?」 「それは違う。どんなに強いドライヴでも、所詮は『ドライヴ・マスター』の支配下に過ぎない」 全てのドライヴを管理し、ドライヴの世界における”神”と言っても良い『ドライヴ・マスター』。 究極のドライヴでも、『ドライヴ・マスター』を超える事はできない。 ガルノアが話を続ける。 「だからこそ、レガリアを手に入れようとする。レガリアは唯一、『ドライヴ・マスター』を破壊できるものだ」 「レガリアだけは、『ドライヴ・マスター』の支配下に存在するものじゃないって事か?」 「そうだ。レガリアは作られたアクティブ・ウェポンではない」 「……作られたものじゃない……!?」 「『ドライヴ=レガリア』は、過去の開発時期における”バグ”に過ぎん」 ガルノアが説明する。 約20年前、一人の開発者がこの世に生み出した携帯ツール『ドライヴ』。 そのドライヴの量産計画中に、それは起きた。 突然の異変。一つのドライヴに入力されたデータが4つのアクティブ・ウェポンに変化したのだ。 全てを断つ力を持つ、青く輝く光の剣『バスターファルシオン』 禍々しい銃口より、絶対的な貫通力を持つ弾丸を撃つ銃『サタン・オブ・アブソリュート』 如何なる物も受け入れない、神々の鎧『フルディフェンス・アルティメット』 決して捉える事ができない光の翼『ゴッドステルス・ワイヴァーン』 バグによって誕生した4つの武器は、『ドライヴ=マスター』をも破壊できるほどの力を秘め、 開発者達はそのデータを解析しようとしたが、数値が取れるだけで解析は全く不可能。 そして、それと同じものは愚か、近い性能のものは作れない事が判明。 しかし、コネクターには害がない事も判明し、当時のコネクト協会は、 『フォース・コネクター』と言う4人の王を設け、その4人に所持できる権限を持たせる事に決定。 その王の証として、『ドライヴ=レガリア』と言う名がつけられた。 「……そして、レガリアは真の姿を維持できない為、仮の姿になって力を封印する。 その影響で、装備したドライヴは無限に近いエネルギーを持つのだ」 「……たまにあるって言う、拒絶反応は?」 「それは、レガリアが意思を持っているからだ。レガリアは、なぜか悪意を持つ人間を拒絶する」 どんなに小さな悪意でも、自身を悪用すると判断した場合、拒絶反応を示す。 過去、『フォース・コネクター』の座を手に入れたコネクターが、レガリアに拒否されて剥奪された事もある。 「レガリアは、ドライヴの世界を守る為に存在する。だからこそ、悪意を持つ人間を拒むのだ」 「拒むなら、奴らは手に入れる事なんてできないんじゃ……?」 「そこが私も疑問に思っている点だ。総帥は、何かを知っているのだろう」 ガルノアの話に、飛鳥が少し恐れる。自分の持つファルシオンセイバーには、とてつもない秘密があった。 下手をすれば、『ドライヴ・マスター』を破壊し、ドライヴの世界を崩壊させる事が出来る武器。 『ドライヴ=レガリア』が誰にも作れず、誰にも解析できないのは、その脅威を秘めている為。 飛鳥の強張った表情を見て、ガルノアが少しだけ笑う。 「安心しろ、ソード・マスター。お前ならば、決して誤った道を取る事はしないだろう」 「……それは、俺が母さんの息子だから?」 「そうだ」 「……そうか」 母がどんな人だったかは分からないが、きっと自分と同じような人だったのだろうと思う。 セルハーツの入ったドライヴを握り締める飛鳥。その時、ドライヴが強い反応を見せた。 「奴らか……? いや、ファルシオンが反応しているって事は……!」 瞬間、バトル・フィールドの方から雄叫びが上がる。飛鳥がすぐに反応した。 誰もコネクトしていないバトル・フィールドに存在する、蛇のように長い身体を持つ竜のようなドライヴ。 神話で言うところのリヴァイアサンだ。ガルノアがリヴァイアサンを睨む。 「かなりの大型のようだ。私もコネクトしよう」 「いや、あんた今は一般コネクター……って、そう言えば、特例で許可貰ったって前言ってたな」 「そうだ。参るぞ、ソード・マスター」 「ああ。とりあえず、コネクト――――!?」 リヴァイアサンが姿を消す。飛鳥は目を見開いた。 現れてすぐに撤退した。それも、自分がコネクトする前に。 「退いた? 何で……!?」 敵の行動に謎だけが残る。 その日の夜。飛鳥は勇治と電話で話をする事にした。 内容は今日現れた敵に関して、である。 「……バトルしたのか、お前?」 『いや、すぐに逃げられた。ファイナル・インフェルノを恐れたかどうか知らんが』 勇治が話を続ける。 『今回のダーク・フォースは、どうやら某FFに出てくるバハムートのような奴だ』 「バハムート? こっちはリヴァイアサンだったぜ? ファルシオンも反応してたし」 『何だと? じゃあ、こっちのは何だと言うんだ?』 「知るかよ……けど、妙だな」 レガリアが反応した敵と言う事は、間違いなく『ダーク=レガリア』を持ったドライヴに違いない。 しかし、二人が見たドライヴは全く異なるドライヴだ。 「……まさか、『ダーク=レガリア』が二つ存在する……?」 『それはない』 「だよな。ちゃんと破壊してるし……。じゃあ、お前の時のバハムートと俺の時のリヴァイアサンは一体……?」 飛鳥が悩む。 「『ダーク・コネクター』とまた違う敵がいるって事はないし……」 『デ○○ウェポンの可能性はどうだ?』 「……それはない。つーか、お前、何のパクリだよ……」 『当然、電○に決まっているだろう』 「やっぱりな……」 勇治と話をしていても、謎はさらに深まるだけだった。 次回予告 明日香「こんにちは、明日香です!」 亜美 「う〜……」(←隅でイジケ中) 明日香「あ、亜美ちゃん……?」 亜美 「……最近、私の出番ないですぅ……」 明日香「あ、あははは……」 勇治 「飛鳥、もっと亜美の出番を増やせ」 飛鳥 「いや、俺に言うな。言うなら、作者に言え」 次回、CONNECT43.『奪われたセルハーツ』 飛鳥 「次回は俺のセルハーツが奪われ……ちょっと待てぃ!」 明日香「奪われたらヤバイよね……」 飛鳥 「それ以前に、何をどうしたら奪われるんだよ、作者!?」 ※それは次回のお楽しみw |
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