突然現れた『ダーク・コネクター』を相手に、ゴウとカリスが戦う。 プラディ・ラ・グーンが敵一体を巻き添えにバリアで囲む。 「ジェノサイドォォォッ、クラァァァッシュッ!」 無数のビームがプラディ・ラ・グーンの全身から解き放たれ、敵ドライヴを襲った。 仲間が倒される姿を見た、もう一体の『ダーク・コネクター』が逃げようとする。 それに気づいたメシア・オブ・カイルスがライフルを構える。 「逃がしません!」 撃つ。散りばった銃弾がもう一体を襲った。 その好機を狙って、プラディ・ラ・グーンが急接近する。 「ラ・グーン……クラッシャァァァーッ!」 殴る。これで、現れた『ダーク・コネクター』は全滅した。 カリスが一息つく。 「ふう……」 「疲れたか?」 「いいえ、大丈夫です」 「そうか。しかし、まだレガリアの力を引き出せないようだな」 ゴウが言う。『ドライヴ=レガリア』の力を引き出す、それは真の姿を解放させる事を意味する。 「まだ難しいです……ワイヴァーン・ウイングの意思って言うのが分からなくて……」 レガリアの真の姿。それを解放させるには、レガリアの意思を知る必要がある。 意思を知り、そして共感する事。それが、レガリアの力を引き出す鍵となる。 まだそれができないカリスに対し、ゴウが優しく言う。 「焦らずゆっくりで良い。まだ、『ダーク・フォース』は動いていないみたいだからね」 「はい」 自宅にて、飛鳥はドライヴをパソコンに接続した。 セルハーツの事で頭が一杯である飛鳥は、『チーム・レザリオン』の子供達の練習を終わらせたのだ。 「……構築データが消えてる……他は……!」 調べる。ドライヴの情報全てをパソコンに表示し、何もかも調べる。 その時、玄関の方からチャイムが鳴るのが聞こえた。 構わず調べていると、家政婦が声を掛ける。 「飛鳥坊ちゃん、明日香さんがお見えになりましたけど」 「……すぐに部屋に来てって言ってください。くそっ、やっぱりこれだけは無理か……」 パソコンがエラーを表示している。飛鳥はエラーを表示した部分以外を調べた。 特に問題なし。あとは、エラーを表示した部分のみ。 「飛鳥君、入るね?」 明日香が部屋に入ってくる。 「何か用? 突然呼ばれたから、私びっくりしちゃった……」 「ドライヴ貸して」 「え?」 「シルフィーナディア、持って来てるだろ? ちょっと貸して欲しいんだ」 「う、うん……」 訳も分からないまま、明日香は飛鳥にドライヴを渡す。受け取った飛鳥はすぐにパソコンに接続した。 信じられないほどの手つきでキーボードを叩き、画面に様々な情報を表示させていく。 明日香の目が点になる。目の前で行われている作業は、もはや明日香からすれば別次元だ。 「ここも異常ないか……となると、奪われたのは構築データだけか……」 シルフィーナディアの入っているドライヴを接続したまま、顔を歪める。 それを見て、明日香が首を傾げる。 「え、えっと……どうかしたの?」 「……セルハーツの構築データが奪われた」 「……構築データって何?」 「ドライヴの基本構造だよ。構築データがないと、ドライヴは存在できないんだ」 「じ、じゃあ、セルハーツは……」 「……このままじゃ、二度と使えない」 飛鳥が歯を噛み締める。間違いなく怒っている。それも、今まで見た事がないほどに。 「難しいけど、構築をデータをどうにかしないと……」 「……できるの?」 「やろうと思えば。シルフィーナディアの構築データを元にできるはずだし」 「シルフィーナディアじゃないとダメなの?」 「ああ。シルフィーナディアはセルハーツを元に作ってるからね、これでも」 そう言って、再びキーボードを素早い手つきで叩き始める。 暗い闇の中でイブリスが不敵に笑う。 「ふふふふふふ……これは何とも素晴らしい……」 セルハーツの構築データを見る。これほどまでに素晴らしい出来のドライヴを見た事が無い。 基本に忠実なようで、全く異なる作りを持つ完成されたドライヴ。 操者の実力によって、このドライヴは無限に強くなれるほどの出来だ。 「これが『ソード・マスター』のドライヴの正体ですか……流石は、輝凰を上回る男だ」 現在の『フォース・コネクター』の中でも、最も長けた才能を秘めるコネクター。 なにより、自分の駆るエヴィル・アスラフィルに傷を入れた相手だ。 まさに、輝凰をも上回る強敵だろう。 「さて……『ブラッディ・ファング』」 後ろを振り向く。一人の少年がイブリスを睨んでいた。 「…………」 「絶対的な力、欲しいのだろう?」 「……ああ。誰にも屈しない力……それがあれば、俺だって……!」 「では、私があなたにその力を与えてあげましょう。あなたなら、『ソード・マスター』を超えるはずですよ」 一体のドライヴを『ブラッディ・ファング』に渡す。 「馬鹿か、お前は?」 『悪かったな……まさか、構築データを取られるなんて誰も思わないぜ』 「馬鹿は認めるのか?」 『テメ……!』 飛鳥からの電話で、セルハーツについて聞いた勇治。思いっきり飛鳥を馬鹿にしていた。 「奴らにドライヴのデータを奪われる奴は馬鹿以外にいないぞ」 『……あのな、相手はあのイブリスだぞ、おい』 「関係ないな。用件はそれだけか?」 『……そうだ。まぁ、レガリアは死守してるから安心しろ。じゃあな』 電話を切る。勇治はふっと鼻を鳴らした。 そして、ショップに設置されているシミュレータに近づく。 マリアがシミュレータでトレーニングしていた。 「はぁ……何、この子……? とんでもないじゃじゃ馬……!」 「じゃじゃ馬はお前の方だ」 「何ですって!? 誰がじゃじゃ馬よ、誰が!」 勇治を睨む。睨まれた勇治は、平然とした顔で買って来たコーラをマリアに渡す。 「飲め。俺の奢りだ」 「…………」 「何だ?」 「……勇治が奢るのって、かなり珍しくない? 普段は奢らせるのに」 「飲みたくないなら飲まなくて良いぞ」 「誰も飲まないって言ってないってば」 そう言ってコーラを飲む。炭酸が完全に抜けていた。 飲んだ後に、勇治の頬を引っ張る。 「ちょっと、炭酸抜けてるじゃないの、これ!」 「ひゃれがふふうのほーらをのまへるとおもっはは」(訳:誰が普通のコーラを飲ませると思ったか) 「うわ、酷っ」 「しはし、はにをはっている? しんははをうまふあふはえてないのは、ほまえらひくないほ」 (訳:しかし、何をやっている? 新型を上手く扱えてないのは、お前らしくないぞ) 勇治の一言に、マリアが目を見開かせる。 「……気づいてた?」 「あひゃひまえは。ほへふはいのぼふぁいぶなら、ふぐにあふはへるはろ」 (訳:当たり前だ。それくらいのドライヴなら、すぐに扱えるだろ) 「そんなわけないでしょ……」 勇治の頬から手を離し、ドライヴを握り締める。 「もう一度『ストーム・クラウン』に戻るには、あのカリスって子とバトルしないといけない。 けどさ、今の私じゃSRランクに上がれるかどうか……」 「…………」 「勇治は良いわよね……優姉さまの後継者で、負ける事ないし……」 「マリア」 「何……――――!?」 勇治がいきなりマリアの頬を引っ叩く。乾いた音が響いた。 一瞬唖然としたマリアが、勇治を睨みつける。 「何するのよ!?」 「ふざけた事を言うな。お前らしくもない」 「だからって叩く!?」 「馬鹿な事を言ったからだろう。お前、まだ気づいていないのか?」 「え……?」 勇治が自分のドライヴをマリアに見せる。マリアが目を見開いた。 「ちょ……これ……!?」 「言ったはずだ、お前以外を『ストーム・クラウン』として認めないと。これがその証拠だ」 「…………」 「こんな所で弱気になるな。とっとと、空の女王として戻って来い」 「……うん」 勇治に抱きつく。そして、キスを交わした。 しかし、勇治の表情は変わらない。マリアが「ありがとう」と耳元で言う。 「勇治は、私にとってのナイトね……3年前から、ずっとそう……」 「礼を言うなら、『ストーム・クラウン』に戻ってから言え」 「そうね。でも……」 勇治の頬を強く引っ張る。 「さっきのビンタは流石に痛かったわよ、勇治。この落とし前、キッチリとつけるわよ!」 「ふなほほをふるひははあうははほへーにんふしろ」(訳:んな事をする暇があるならトレーニングしろ) 「トレーニングよりも、こっちが優先よ優先! 勇治、覚悟なさい!」 マリアに拉致される勇治の姿があった。 次回予告 飛鳥 「……勇治がまともな事しやがった。それも久々に」(←前に一度見た事あるらしい人) 明日香「あんな勇治君、初めて見たかも……」(←意外だと思った人) 亜美 「お兄ちゃん、何だかんだ言いながら、マリアさんの事気にしてるよね」(←兄の事分かってる妹) 勇治 「…………」(←黙る馬鹿カイザー) マリア「勇治ぃ〜、今日は”あれ”行っとく?」(←すぐ調子に乗る元女王) 飛鳥 「……殺すなよ、マリア」 明日香(”あれ”って一体……?) 次回、CONNECT45.『ジャッジメント・ウィザード』 明日香「次回は、いよいよ最後の『ダーク・フォース』登場!」 飛鳥 「……なんとなく、予測されてる可能性あるな」 明日香「飛鳥君、それを言ったらダメだよ……」 マリア「良いわよね〜、そんな楽しい事があって」 勇治 「だったら、すぐに『ストーム・クラウン』になれ」 明日香「……そう言えば、カリス君の存在薄いね」(←一度も会っていないヒロイン) 勇治 「当然だ。奴は所詮脇役だからな」(←自分は主役だと思ってる脇役) 飛鳥 「お前が言うな、お前が」(←ツッコミが担当な主役) カリス「……僕って一体……」(←かなり影の薄い新『ストーム・クラウン』) |
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