CONNECT46.『戦乙女、それは白銀の翼と共に』


 バハムートとリヴァイアサンの攻撃をプラディ・ラ・グーンが防ぎ止める。
 そして、勇治が空中に浮かび上がったままのメシア・オブ・カイルスに攻撃を仕掛けた。
『ははは、無理だよ』
 カリスが避ける。ディル・ゼレイクの攻撃は、カリスにとって全く通用しなかった。
 いや、ディル・ゼレイクの持つ装備では通用しなかった。
 今の勇治は、己が『マグナム・カイザー』であると言う証を持っていない。
 飛鳥がドライヴにSDカードを入れる。すると、勇治が断った。
「必要ない。それに言ったはずだ。マリアが『ストーム・クラウン』に戻るまで、俺もレガリアは使わない」
「んな事言ってる場合か! つーか、マリアの『ストーム・クラウン』は継続だ!」
「何を言う。あいつは負けた。だからこそ、一度Eランクからやり直させる」
「あのなぁ……」
 飛鳥が頭を掻く。こう言う時の勇治は強情だったりする。
 メシア・オブ・カイルスが銃とランチャーを前後で直結させる。
『テラフレアの威力、見せてあげるよ』
 直結させたランチャーから、無数のビームが雨のように放たれる。
 勇治はそれを『狙撃の瞳』で撃ち落し、飛鳥は回避する。
「その程度か、弱い」
 勇治が挑発する。カリスが可笑そうに笑った。
『これが本気なわけないだろう? けど、君達を相手に本気は出さないけどね』
「何だと?」
 勇治が睨む。
『君達には、こいつが相手をしてくれるよ。出て来い、ヤマタノオロチ』
 その一声と共に大地が割れ、巨大なドライヴが姿を見せる。
 長い龍の首と尾を八つ持つ巨大な怪物――――ヤマタノオロチが飛鳥と勇治の前に立ち塞がった。
「リヴァイアサン、バハムートの次はヤマタノオロチかよ……全く、厄介な物ばかり……!」
「関係ない。ぶっ倒せば良いだけだ」
「確かにな!」
 セルハーツとディル・ゼレイクが特攻する。ヤマタノオロチの八つの首が同時に炎を吐いた。
「チッ! 勇治!」
「分かっている」
「『スキル・プログラム』セットッ! トリプルゴッドランチャーッ!」
 同時に構え、そして同時に撃つ。巨大なビームが炎を掻き消した。
 その隙を狙い、セルハーツがヤマタノオロチの懐へ潜り込む。
 ファルシオンセイバーが光り輝いた。
「輝凰! 斬・王――――」
『飛べ、ヤマタノオロチ』
 瞬間、ヤマタノオロチの背中から翼が現れ、空へと舞い上がる。飛鳥は目を見開いた。
 先代より教わった技を読まれていた。勇治がプラズマライフルで狙いをつけて撃つ。
 しかし、全く通用しなかった。
『無駄だよ。そんな弱い武器じゃ、ヤマタノオロチに傷一つ付けられない』
「…………」
『まずは君から葬ってあげるよ、マグナム・カイザー』
 ヤマタノオロチの八つの首がディル・ゼレイクへと狙いを定める。
 その時、風が八つの首のうち、一つを奪った。



 バハムートとリヴァイアサンと言う巨大なドライヴを相手に、ゴウは『金剛の瞳』を使った。
 二体のドライヴの急所が全て見える。プラディ・ラ・グーンがバハムート・ティアを構える。
「バハムゥゥゥト・ブレイクッ!」
 大地へ振り落とし、地割れを起こす。バハムートが空を飛んで回避した。
 しかし、リヴァイアサンの動きが封じられる。再び、『金剛の瞳』を使う。
「ラ・グーン……クラッシャァァァーッ!」
 エネルギーが込められた左腕で殴る。リヴァイアサンの急所が貫かれた。
 大地に倒れ、そのまま爆発するリヴァイアサン。リバイヴシステムによる復活はしない。
 プラディ・ラ・グーンの強力な一撃が、リバイヴシステムごとリヴァイアサンを撃破した。
 続いて、バハムートを睨みつける。バハムートが咆哮を上げた。
 口から灼熱の炎が吐き出される。
「その程度の攻撃、『ディフェンド・キング』には通用せん!」
 アルティメット・シールドが受け止める。そして、プラディ・ラ・グーンが高く跳躍した。
 空中でバハムートをバリアで囲み、逃がさないようにする。
 プラディ・ラ・グーンの砲門が開く。
「ジェノサイドォォォッ、クラァァァッシュッ!」
 全身から無数のビームが放たれ、バハムートを襲う。
 バリアに囲まれた事で、逃げたくても逃げられないバハムートが無数のビームの餌食となった。



 ドライヴの調子を確認する。流石と言って良いほどに好調だった。
 いや、逆に好調過ぎると言っても良い。それほど、このドライヴは最高の仕上がりになっている。
「ドライヴの状態良し、と。お待たせ♪」
 ヤマタノオロチの首の一つを破壊し、飛鳥と勇治の前に現れた彼女がウインクする。
 鎧を纏った女騎士を思わせ、その全長よりも大きなバイクに跨っているドライヴ。
 そのドライヴを見て、飛鳥が訊いた。
「意外と早かったな、マリア。そいつの調子はどうだ?」
「バッチリ♪ 流石は優姉さまと飛鳥のお陰で生まれ変わったムササビ丸だわ」
「その様子なら、SRに戻って来たか」
「当然でしょ。あとは、空の女王に戻るだけってところかな」
「そうか」
 勇治がドライヴを操作する。ディル・ゼレイクから一筋の光が放たれ、マリアのドライヴの背中に宿った。
 姿を見せる竜の翼。『ドライヴ=レガリア』の一つ、ワイヴァーン・ウイング。
「ただいま、ワイヴァーン。久々に暴れさせてもらうわよ」
 そう言って、マリアがカリスを睨む。
「あの時負けたのは、正直言って油断してた。だから、今度は私の本気を見せてあげる」
『本気? 君じゃ僕には敵わないよ、ストーム・クラウン』
「そう思う? だったら、じっくり見せてあげる。
 私と生まれ変わったムササビ丸改めセイレント・クイーンは、とんでもなく強いわよ?」
 セイレント・クイーンと呼ばれたドライヴがバイクのグリップを回す。一気に加速して空へと舞い上がった。
「何だ、あのバイクは? 飛んだぞ」
「飛行を可能にしたバイク型アクティブ・ウェポン『ワルキューレ・エイル』。俺の最高傑作の一つだ」
「違法にならないのか?」
「ギリギリな。ただ、本物のバイクを元にしてるから、運転できないと使えないと言うのが欠点だ」
マリアは乗れるのか?
「乗れるんだ、これが。しかも、大型バイクの免許まで持ってる
 飛鳥がドライヴを操作し、セルハーツの手にサタン・オブ・マグナムが装備される。
 そして、それをディル・ゼレイクへと投げ渡した。
「マリアが戻って来たなら、遠慮なく使えるよな?」
「当然だ。手加減をする必要はないからな」



 飛鳥と勇治がカリスとの戦闘を行おうとしている間に、マリアがヤマタノオロチと交戦する。
「おっきなドライヴね。でも、敵じゃないって感じ?」
 そう思ってしまう。いや、このドライヴだとそう感じてしまうのだ。
 セイレント・クイーンがヤマタノオロチを空中でかく乱し、手に構えた槍で攻撃する。
 高速移動と斬撃。ヤマタノオロチの全身が傷ついていく。
「レディエンス・ワルツ♪ でも、まだまだこれからだったりするのよね」
 そう言って、マリアが笑みを浮かべる。
「ワイヴァーン、本領発揮するわよ。ゴッドステルス・ワイヴァーン、レッツ・ゴー♪」
 コンピュータが『OK!』と答える。ワイヴァーン・ウイングから、光の翼が姿を現した。
 さらにマリアはドライヴを操作する。
「そして、これが本当のセイレント・クイーンの戦い方。エイル、モードチェンジ開始♪」
 セイレント・クイーンがバイク型のワルキューレ・エイルから離れる。ワルキューレ・エイルが姿を変えた。
 前後のホイールが側面に移動し、トカゲのような腕を出す。後ろから長い尻尾が伸びた。
 前面から竜の顔が姿を見せ、セイレント・クイーンが背中に乗る。それは、竜に跨る戦乙女。
「どう、カッコ良いでしょ?」
 マリアがウインクする。ヤマタノオロチが襲い掛かった。
 襲い掛かるヤマタノオロチ相手に、余裕を見せるマリア。
「ドラグーン・ブレス」
 竜へと変形したワルキューレ・エイルの口から蒼い炎が無数の弾丸として放たれる。
「そして、これがフィニッシュっと♪」
 ヤマタノオロチの上空に移動し、槍を構える。エネルギーが槍とワルキューレ・エイルに集中した。
 光り輝き、突撃する。セイレント・クイーンがヤマタノオロチを呆気なく貫いた。
 悲鳴を上げるヤマタノオロチ。
「クイーン・ザ・ブレイク。どう、空の女王の強さは?」
 爆発するヤマタノオロチに投げキッスを送る。
 それは、まさに『ストーム・クラウン』マリア=ローゼニの完全復活を意味した。



 カリスのメシア・オブ・カイルスを相手に、ディル・ゼレイクのサタン・オブ・マグナムが炸裂する。
「出力40%、速射型命中重視」
 そして、勇治が瞳を鋭くさせる。『狙撃の瞳』がメシア・オブ・カイルスを完全に捉えた。
 サタン・オブ・マグナムの弾丸が無数に放たれ、カリスが舌打ちする。
『レガリアを手にした途端、これか……厄介だね、マグナム・カイザー……!』
 サタン・オブ・マグナムの特性はイブリスから聞いていたので知っていた。
 驚いたのは、それを完璧なまでに扱いこなす勇治の技量だ。
 イブリスのエヴィル・アスラフィルに傷を入れた飛鳥、そして銃の特性を把握し、全て発揮する勇治。
 二人の天才の実力を知り、カリスが笑みを浮かべた。
『ふふ……あはははっ……。まさか、そこまで実力があるなんてね。予想外だったよ』
 メシア・オブ・カイルスがテラフレア・ブラストを構える。
『お陰で僕も楽しめるよ……ストーム・クラウンとのバトルなんて目じゃない……!』
「マリアを馬鹿にするな。本来のマリアなら、お前程度のザコは余裕だ。だが……」
 勇治が鋭く睨み、ディル・ゼレイクが銃を構える。
「お前は俺が倒す。木っ端微塵にな」
「って、お前……俺は用無しかよ」
「当たり前だ。お前がいなくても余裕だ」
「おい……」
 勇治の言葉に、飛鳥が溜め息をつく。しかし、確かにその通りだった。
 今の勇治は、いつになく本気だ。この状態の勇治は先代ですら勝てないと思っている。
 それに、セルハーツは完全じゃない。ここは、もしもの為に備えておこう。

『お前の相手は俺だぁっ! ソード・マスターッ!』

 瞬間、セルハーツに向けられて一つのビームが放たれた。
「――――!」
 向かってくるビームに対し、『鷹の瞳』を使う。
 ビームの動きを見切り、飛鳥が避ける。そして、放たれた場所を睨んだ。
 漆黒の装甲に包まれ、赤熱と化したような刀身の実体剣を持つドライヴ。
 飛鳥が目を見開く。その姿は、セルハーツと全く同じだった。
「セルハーツ……まさか……!?」
『そうです。あなたのドライヴの構築データを元に作ったドライヴ・カイゼルハーツです』
 漆黒のセルハーツ――――カイゼルハーツの前に、イブリスのエヴィル・アスラフィルが姿を見せる。
『このカイゼルハーツは、あなたのセルハーツの問題点であった操縦性を改善し、強化したドライヴです』
「操縦性の改善だと?」
『ええ。その高い機動性を保持する為に犠牲となった操縦性。それを補ったのがカイゼルハーツです』
 カイゼルハーツの赤いカメラアイがセルハーツを睨みつけるかのように、不気味に光る。
 飛鳥の頬を嫌な汗が一筋走る。刹那、カイゼルハーツが仕掛けてきた。
『うぉぉぉっ!』
 振り下ろされる赤熱の刀身。飛鳥はすぐに受け止めた。
 セルハーツの足が地面に少しだけ埋まる。
「……なるほど、攻撃力も上げているか……!」
『ソード・マスター! このカイゼルハーツさえあれば、俺はお前より強くなれる!』
「で、動かしているのはブラッディ・ファングか。今まで使っていたドライヴはどうした?」
『ふん、壊したに決まってるだろ』
「何……?」
 カイゼルハーツに乗る幹部『ブラッディ・ファング』――――緋月歩の言葉に、飛鳥の眉がピクリと動く。
『俺は絶対的な強さを手に入れる為にダーク・コネクターになった。そして、それこそがこのドライヴだ!
 今まで使っていたドライヴになんか用は無い。最強の力さえあれば十分なんだよ!』
「最強の強さ、か……。お前は間違っている」
 セルハーツのカメラアイが一瞬だけ強い光を放つ。
 飛鳥の瞳がカイゼルハーツを睨む。その瞳から、とてつもない威圧感を放った。
「どんなに強いドライヴを手に入れても、お前は俺には勝てない。それを目の前で見せてやるよ……!」
『ふん、テメェなんかに負けるわけ無いだろ、この俺とカイゼルハーツがッ!』
 セルハーツとカイゼルハーツ。二体のセルハーツが同時に剣を構えた。



次回予告

 明日香「祝、マリアさん大復活! ですね!」
 マリア「当然でしょ。なんてたって、お姉さまの作ったドライヴだし♪」
 飛鳥 「……エイルは俺が作ったんだがな。つーか、一つだけ聞いて良いか?」
 マリア「何々?」
 飛鳥 「……エイルを作る時に必要だったドライヴポイントは、誰持ちだ?」
 マリア「当然、飛鳥でしょ? だって、私が作ったんじゃないし?」
 飛鳥 「……マリア、今の俺のポイントってどれ位だと思う?」
 マリア「うーん……どんなに使っても困らない位
 飛鳥 「んなわけあるか! あれ作るだけで半分も減ったんだぞ!」
 マリア「あはは、ご愁傷様〜♪」
 飛鳥 「ご愁傷様じゃねぇぇぇっ!
 明日香「……久々に飛鳥君のツッコミ見たかも……」

  次回、CONNECT47.『飛鳥の強さの法則』

 明日香「次回は飛鳥君の本領発揮!」
 マリア「敵はセルハーツ! いつもより弱いセルハーツで飛鳥は勝てるのか?」
 明日香「え、えっと……勝利の鍵はこれだ!
 マリア「じゃじゃーん! 勝利の鍵は、飛鳥の実力!?」
 飛鳥 「某勇○王のパクリはやめい! つーか、明日香も何やってんの!?」
 明日香「あ、あははは……」



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