拳と拳がぶつかる。戦うのは、『ディフェンド・キング』ゴウと『劫火の戦神』ネクロフィス。 「ラ・グーン……クラッシャァァァーーーッ!」 『おおおっ!』 二体のドライヴの激突が衝撃波を生み、周囲を襲う。 ネクロフィスが口元を歪ませ、笑みを浮かべる。 『なるほど、輝凰と互角の実力か。ダーク・コネクター以外でこれほどの実力を持つ奴がいたか』 「違うな。俺は、輝凰よりも下だ。そう……あいつは、最強のコネクターだ!」 『だったら、お前は俺に負ける。輝凰よりも弱いならな!』 劫火の戦神が灼熱に燃え上がった拳を振るう。それが、全ての決着だった。 盾を持たない左腕で防御し、敵に無防備な姿を晒させる。 ゴウの瞳が鋭くなり、敵ドライヴの急所を一瞬で見抜いた。右腕にエネルギーが集中する。 「ラ・グーン・クラッシャァァァーーーッ!」 繰り出される右。ネクロフィスのドライヴの腹部を捉え、一気に貫いた。 目を見開くネクロフィス。その呆気ない敗北と圧倒的な強さに対して。 『お前、輝凰以下だと言うのは嘘だな……!?』 「嘘ではない。だが、俺はあいつの次に最強の領域に立つ男だ!」 『笑わせるな……俺には分かる。お前こそが、最強のコネクターだと言う事がな……』 そう言って倒れる。『劫火の戦神』ネクロフィスは、『ディフェンド・キング』の前に敗れた。 三体のドライヴが合体したヴォルト・ラファエル。それを相手に戦う勇治とマリア。 マリアのセイレント・クイーンが仕掛ける。 「ワイヴァーン・キャノン」 放たれる一閃。ヴォルト・ラファエルは瞬時に回避した。 素早い蜘蛛の下半身を狙って、今度は勇治が仕掛けた。 「出力40%、速射型。フレアマグナム」 撃つ。が、またしても回避された。 「何、嘘みたいに機動性高いわよ、あれ?」 「蜘蛛はあんなに素早い虫だったか?」 「素早いわよ。この間も叩こうとしたら逃げられたもの」 「それはゴキブリだろう」 「そうそう。もう、あの黒い物体は本当始末しないと」 「…………」 「ん? どうかした、勇治?」 「……いや、なんでもない」(←飛鳥のようにツッコミを入れてくれなくて虚しい奴) 敵――――それも幹部と言う強敵を相手に、くだらない話を余裕でする二人。 ヴォルト・デュラハンが攻撃を仕掛ける。 『ヴォルト・スティング!』 雷の鞭が真っ直ぐと伸びる。マリアがすぐに受け止めた。 刹那、背中のラフレシアから無数のレーザーが放たれ、セイレント・クイーンを襲う。 「出力最大、フルパワーショット」 「エイル、モードチェンジ! ドラグーン・ブレス!」 勇治が阻止し、マリアが瞬時にカウンターを繰り出す。ラフレシアが破壊された。 『無駄ですわ! ヴォルト・バースト!』 しかし、ヴォルト・デュラハンは劣る事無く、攻撃する。ヴォルト・ラファエルの全身から雷が放たれた。 舌打ちしつつ、雷を器用にも撃ち落す勇治。そして、空中に回避するマリア。 ヴォルト・デュラハンが攻撃を繰り返す。 『まだまだ、こんなものではありませんよ? ヴォルト・スパーク!』 下半身の蜘蛛から雷が放たれる。勇治のディル・ゼレイクが大地へ向けて撃った。 飛び散った大地の欠片が雷を防ぐ。 「うわ、そんな防御普通ありえないでしょうに」 「飛鳥に借りたゲームで鍛えたからな」 「……鍛えたって、どこが」 「で、気づいたか?」 「もちろん。あんなに攻撃してエネルギー消費してるはずなのに、全く停止する気配がないわね」 攻撃をすればするほど、ドライヴはエネルギーを消費し、最終的にはエネルギーが尽きるはず。 しかし、ヴォルト・ラファエルは違う。 「優姉さまの言ってた『レア・ウェポン』……確か、プラズマエクシアだっけ」 「それだけじゃないな。ライトニング・コアも持ってるようだぞ」 「うわ、色んな意味で無敵ねぇ」 雷系の武装による攻撃を使用するほどエネルギーを供給する『レア・ウェポン』プラズマエクシア。 そして、通常の武装に雷の力を加える、同じく『レア・ウェポン』ライトニング・コア。 この二つが揃っている事で、ヴォルト・ラファエルは無限に戦えると言う事だ。それも全力で。 勇治が「仕方ない」とぼやきつつ、一つのライフルを取り出す。 「何それ、新装備?」 「飛鳥が試しに作った奴だ。簡易的にファイナル・インフェルノの縮小版の奴が作れるんだと」 「それまた便利なもの作ろうとしてるわね、飛鳥って。私も作って何か作ってもらおうかな」 「もう作ってもらっただろ」 そう言って、ワルキューレ・エイルを指差す。 「それに、飛鳥の作った武器は全部俺の物だ」 「それ、飛鳥が聞いたらツッコミの嵐になりそうね」 いつの間にか、くだらない会話になっていた。 飛鳥の頬を冷たい汗がつうっと流れ落ちていく。 七色に輝く翼を生やしたエヴィル・アスラフィルに、一つの傷もつけられない。 「はぁ……はぁ……!」 『どうした、その程度か? まぁ、無理もない。この翼がある限り、エヴィル・アスラフィルは倒れない』 エヴィル・アスラフィルが右手を前に出す。 『イフリート・ブリット』 放たれる無数の炎弾。飛鳥はすぐに回避した。 セルハーツが背中に装備しているゴッドランチャーを構える。 「くらえぇぇぇっ!」 放たれる巨大なビーム。エヴィル・アスラフィルが七色の翼を閉じ、完全に防いだ。 どんなに攻撃しても、七色に輝く翼が完全に無効化する。 先代である輝凰がイブリスを倒せないのは、イブリスにこの技があったからだ。 イブリスがさらに攻撃を続ける。 『ボルト・プロディネンス』 「……っ!」 放たれる雷を避ける。飛鳥は必死に考えた。あの翼を打破する方法を。 (『ファイナル・ロード』と言う最大の敵がまだ残っている状態で、バスターファルシオンは使えない……!) このバトルに決着がついた時、間違いなく『ダーク・コネクター』の総帥は動く。そう飛鳥は読んだ。 だからこそ、レガリアをここで解放するわけにはいかない。 しかし、それ以外の方法は思い浮かび上がらない。セルハーツの本来の性能を引き出す以外の方法は。 『グラビティ・ボール』 続けて、巨大な重力弾が放たれる。セルハーツは剣で両断した。 その直後、エヴィル・アスラフィルの上空まで跳躍し、斬りかかる。 「ミラージュ・ブレイドッ!」 『無駄だ』 七色の翼が防ぐ。そして、セルハーツを吹き飛ばした。 『セルファレアムレインボーの前には、どんな攻撃も通用しない。この翼は、私自身の力そのものだからな』 「イブリスの力……!?」 『レガリアを渡してもらおう。そしてドライヴ・マスターを破壊する』 「渡せるか……! ドライヴ・マスターが破壊されたらどうなるか、お前も分かるはずだ!」 『無論だ。ドライヴが世界中のネットワークのセキュリティを破壊し、混乱を招く事ができる』 ドライヴ・マスターは全てのドライヴを管理する。それは、一つの大惨事を防ぐ為でもある。 インターネットと言う媒体を利用して、コンピュータのセキュリティを破壊。それがドライヴなら可能なのだ。 悪意ある者達がドライヴを使えば、簡単に世界経済を混乱させる事ができるのだ。 だからこそ、ドライヴ・マスターと言う存在が開発され、全てのドライヴを管理している。 「そんな事は絶対にさせない! 第一、そんな事して何になる!?」 『簡単だ。私はドライヴを使って全てを支配する。復讐の為に』 「復讐……?」 イブリスが「そうだ」と答える。 『流石に輝凰は話していないようだな。お前も知りたいだろう、なぜ輝凰がダーク・コネクターになったかを』 「…………」 『私と輝凰は共に家族を殺されたのだ、権力と言う名の力によってな』 「家族を、殺された……?」 『そうだ。私と輝凰は幼なじみで、一緒に遊ぶ事もあれば、ケンカする事もある……どこにでもいる子供だった』 そう、両親が親友同士と言う事で一緒に育った、ごく普通の幼なじみ。 『ごく普通の家庭があり、いつもと変わらない生活。しかし、それはすぐに終わった。 自殺したのだ。一生を懸けても払いきれない借金を苦に、私達の両親は自殺。 そして、私達は誰にも引き取られず、施設へと入った』 「…………」 『だが、私達は施設に入って知った。両親が自殺したのは、己が抱えた借金ではなく、他人の罪を償う為だと。 そして、そうさせたのは権力を持つ者……そう、当時の総理大臣と言う立場にいた人間による、な』 当時、二人は施設で暮らしている時に、たまたまその事を聞いた。 自分達の両親が死んだのは、他人の罪を背負わされて償う為だったと。 それを聞いた二人は、権力者を憎んだ。自分の罪を他人に背負わせて殺した権力者を。 そして復讐する為の力を欲した。 『私達は力を欲した。そんな時に一人の男が私達を引き取ったのだ』 「……それが、『ファイナル・ロード』……!」 『そうだ。ファイナル・ロード様は、私と輝凰にドライヴを教え、力を与えてくれた』 ドライヴと言う力を得た時、イブリスは確信した。この力なら、復讐できると。 全てを支配できる力。それがドライヴにはあると分かったのだ。 『ドライヴ・マスターを破壊して、私は全てを支配する。そして、私から幸せを奪った人間を殺す。 ただ殺すだけではなく、絶望のどん底まで陥れて、だ。それが絶望へ誘う者としての私の復讐……』 「……けるな。ふざけるな!」 セルハーツが剣を構える。 「そんな理由で『ドライヴ・マスター』を破壊するなんて許さない! 他人を巻き込む復讐なんてさせない! なにより、ドライヴは俺にとって大切な物……それを壊されてたまるか!」 『ならば私を倒してみろ、ソード・マスター。このエヴィル・アスラフィルを!』 雷が襲い掛かる。この時、飛鳥の瞳が鋭く、イブリスを睨みつけていた。 まるで、鷹の如く鋭い瞳で。 ヴォルト・ラファエルを相手に、勇治とマリアが仕掛ける。 「マリア、上手く時間を稼げ」 「私に囮をやれって事? 私のナイトにしては、結構扱いが酷いわね」 「ふざけるな。……ちゃんと礼の一つくらいはしてやる」 「言ったわね? それじゃ、そろそろ本気で行きますか♪」 セイレント・クイーンがヴォルト・ラファエルに突撃する。 それに応じて、ヴォルト・デュラハンが構えた。 『あなたの動きは、もう分かりましたわ! ヴォルト・カウント・ソニア!』 雷の鞭が無数に振るわれ、セイレント・クイーンへと襲い掛かる。マリアは少しだけ笑みを浮かべた。 勢いよく空へと飛び上がり、ワイヴァーン・レイによる攻撃で動きを封じる。 「その技使うの待ってたのよ、実は♪ 動き封じるには、ワイヴァーン・レイが効果的だもの」 『そうみたいですわね。しかし、私のヴォルト・ラファエルはこの程度では負けませんわ!』 「だからこそ、私と勇治のラブラブアタックなのよ♪」 「誰がラブラブだ、誰が」 ディル・ゼレイクがライフルにエネルギーを集中し、小さな火球を作り出す。 「お前の負けだ、ヴォルト・デュラハン。インフェルノ・レイ」 火球を上空に撃つ。そして、火球を狙ってサタン・オブ・マグナムが轟音を上げた。 それを見たマリアが素早く回避する。上空で撃たれた火球が無数の火の玉となって降り注がれた。 動きを封じられたヴォルト・ラファエルを襲う無数の火の玉。 『きゃぁぁぁぁぁぁっ!?』 装甲が散り、倒れるヴォルト・ラファエル。ヴォルト・デュラハンが目を見開いた。 『この私が……ヴォルト・ラファエルが倒れるなんて……!?』 「呆気ない終わり方だったな、ヴォルト・デュラハン。ドライヴ三体を合体させても、俺に勝てん」 「……って、私は? 勇治が攻撃できたのは、私のお陰でもあるんだけど?」 「ふん」 「うわ、ワザとらし。”あれ”決定ね」 『私は……まだ……!』 ヴォルト・デュラハンが立ち上がろうとする。 『……イブリス……愛しいイブリスの為にも……私は……!』 「無駄だ。お前にもう戦う力はない。それでも立ち上がるなら、確実に仕留める」 『愛しい……イブリスの為にも……!』 「…………」 サタン・オブ・マグナムが轟音を上げる。ヴォルト・ラファエルの胸部を撃ち抜いた。 勇治の取った行動を見て、マリアが言う。 「何で『ダーク・コネクター』にいるのかは分かっていたけど、まさかイブリスに恋してたなんてね」 「そんな事はどうでも良い。周りのザコ共を片付けるぞ」 「あれ、イブリスを倒さなくて良いの?」 「俺にはイブリスを倒す力は無い」 勇治が断言する。 「もちろん、お前にもだ。だが、飛鳥ならイブリスに勝てる。俺はそう信じている」 「そっか。じゃ、周りを片付けますか」 イブリスの攻撃を回避し、飛鳥は一つの事に気づいた。 「あの翼を出してから、イブリスは斬王陣や他の技をあまり使っていない……!」 ボルト・プロディネンスなどと言った技ばかりで、強い技は出していない。 斬王陣を使っていないのが証拠だ。イブリスはあの翼を出す代わりに、強大な技が使えなくなっている。 「だったら、あの翼をどうにかすれば勝てるかもしれない……けど、どうやって……?」 その時、セルハーツが反応する。飛鳥は目を見開いた。 「天翔蒼破絶靭斬を……!? けれど、あの翼ごとイブリスを倒せるか分からないのに、そんな事は……」 そう言うと、カメラアイを一瞬だけ強く光らせる。「自分を信じてくれ」と言わんばかりに。 飛鳥が「分かった」と頷き、剣を構える。それを見たイブリスは、少しだけ笑みを浮かべた。 『まだ挑もうとするか、ソード・マスター?』 「……当然だろ。俺は負けるわけにはいかない。そして、俺は大切な物を守る為に……イブリス、お前に勝つ!」 セルハーツの周囲を凄まじき闘気が覆う。セルハーツのカメラアイが緑から青へと変わった。 ファルシオンセイバーが眩い光を放ち、”究極の光剣”の姿となる。 「うぉぉぉおおおおおおっ!」 闘気が灼熱の炎の如く燃え上がる。イブリスがそれに応じるかのように氷の剣を生成し、構えた。 七色の翼が大きく羽ばたき、セルハーツへと狙いを定める。 その姿は、先代『ソード・マスター』である輝凰のアーク・ウィザリオと似ていた。 『これで終わりにしてやろう。エクス・ハザード・ガルーダ!』 剣を先端にして、七色に輝く鳥となって突撃する。 「天翔……蒼破ぁぁぁッ! 絶ッ! 靭ッ! 斬ぁぁぁぁぁぁんッッッ!」 剣を振るう。一直線に伸びる波動がエヴィル・アスラフィルへと放たれた。 激しく衝突する技と技。バトル・フィールド全体の大気が震える。 そして大爆発。イブリスは目を見開いた。 七色の翼が砕け散り、放たれた波動に呑み込まれるエヴィル・アスラフィル。 それは、まさしく”絶望へ誘う者”イブリスの敗北だった。 (馬鹿な……セルファレアムレインボーが破られるわけが……!?) あの技は、例え『ドライヴ=レガリア』でも破る事はできない最強の技。 しかし、それを飛鳥は破った。イブリスがその姿を見る。 剣を構えるセルハーツの姿は、まさしく百獣の王・ライオン――――獅子の如き。 放たれた力は、飛鳥の心の強さ。まさしく龍の如き。 そして、鋭い瞳は正真正銘、鷹の如き。イブリスはふっと笑みを浮かべた。 『そう言う事か……流石は、輝凰を超えたコネクター……』 「……俺の勝ちだ、イブリス……!」 セルハーツが片膝を大地につく。多大な疲労感が飛鳥を襲った。 歯を食いしばりながら、イブリスの方を見る。 「『ダーク・コネクター』を捨てろ……そして……」 『それは無理だ』 イブリスが続ける。 『言ったはずだ、私は復讐すると。その為にも、この力が必要なのだ』 「まだそんな事を……!」 『当然だ。だからこそ――――』 『もう良い。ここで消えろ、イブリス』 瞬間、エヴィル・アスラフィルを襲う無数の波動。飛鳥は目を見開いた。 ”究極の光剣”から元に戻ったファルシオンセイバーが強い反応を示す。 純白に身を包まれたドライヴが、そこにいた。 『まさかイブリスを倒すとはな……見事だったぞ、ソード・マスター』 「……お前は……!?」 『初めまして、と言うべきか。私こそがダーク・コネクターの総帥ファイナル・ロードだ』 「ファイナル……ロード……!」 思わず息を呑む。ついに姿を見せたファイナル・ロードの前に、飛鳥は舌打ちした。 まさか、このタイミングで現れるとは予想していなかった。 そして感じる強さ。ファルシオンセイバーの反応は、自分に警告しているかのようだ。 『イブリスを倒した事は褒めてやろう。だが、お前達の負けだ』 「何……!?」 『私自らが動き出した。お前達フォース・コネクターですら私は倒せぬ……そう、究極のドライヴにはな!』 ファイナル・ロードが飛鳥に剣を向ける。飛鳥は言葉を失った。 漆黒の刀身に天使のような輪がいくつも存在する。それは、もう二度と見たくなかった剣の姿。 「デスブレード・ラグレオス……!? そんな……なぜ『ダーク=レガリア』が……!?」 『簡単だ。ダーク=レガリアは私が手掛けた物……破壊されても作り直す事はできる。 しかし、このドライヴが持つダーク=レガリアは完全体。真のドライヴ=レガリアにも匹敵する力を持つ』 「レガリアに匹敵する……? そんな事……」 『それを今から証明してやろう、お前を倒す事で』 究極のドライヴがデスブレード・ラグレオスを振り上げる。 『ラグレオス……――――』 「ジ・ハード・セイバーッ!」 瞬間、黄金の一閃が究極のドライヴを襲う。ファイナル・ロードは呆気なく阻止した。 黄金のビームセイバーを持った黄金のドライヴ――――アーク・ウィザリオ。 その姿を見て、ファイナル・ロードがふっと笑う。 『そのドライヴは輝凰か……』 「………お久しぶりです、ファイナル・ロード……」 『そうだな、久しぶりだな。7年前に私を裏切って以来か』 「裏切っていない。俺は間違いに気づいた、ただそれだけだ」 『それが裏切ったと言うのだ、輝凰!』 アーク・ウィザリオを吹き飛ばす。ファイナル・ロードは銃を構えた。 銃口が縦に三つ並んだ、長い銃身を持つレイ・スペル・ノヴァ。 『……フォトン……ランサー』 刹那、巨大な光の槍がファイナル・ロードへと放たれる。ファイナル・ロードは盾で防いだ。 今度は暗黒のビームシールドを展開させたティシフォネ・ザ・ナイトメア。 破壊されたと思われたエヴィル・アスラフィルの姿がそこにあった。輝凰が訊く。 「無事だったのか?」 『当然だ。エヴィル・アスラフィルにはリバイヴシステムもある。それより、お前は仕事じゃないのか?』 「お前のメール見て早退したんだ。お陰で、今度の休み返上だがな」 二人がファイナル・ロードを睨む。 『……ファイナル・ロード、私を消そうとしたと言う事は、もはや私は用無しか?』 『当然だ、イブリス。フォース・コネクターに負けたお前など、もはや必要ない』 「必要ない、か。あなたのやり方は、7年前と全く変わっていない……!」 アーク・ウィザリオが右手を前に出す。 「ファイナル・ロードを倒すぞ、イブリス……いや、神! 力を貸せ!」 『前に言ったはずだ、私はもう鳳堂院神(ほうどういん しん)ではないと……お前に言われるまでもない』 「……行くぞ。アーク・ウィザリオ、輝凰形態! 輝凰剣、召喚ッ!」 『出でよ、セルシウスキャリバー。そして再び羽ばたけ、セルファレアムレインボー』 二体のドライヴのカメラアイが光る。アーク・ウィザリオの背中から光の翼が生え、右手に剣が現れる。 そして、エヴィル・アスラフィルの背中には七色の翼、右手には氷の剣が現れた。 その光景を見た飛鳥が目を見開いた。輝凰とイブリスの姿は、全くと言って良いほど似ている。 輝凰が飛鳥に言う。 「まだ時間掛かるんだろう、飛鳥? だったら、時間稼ぎ位はしてやる。倒すかもしれないがな」 『確かに。私とお前なら、ファイナル・ロードでも勝てはせん』 瞬間、二人の最強がファイナル・ロードに挑んだ。 次回予告 明日香「ついに登場だね、『ファイナル・ロード』!」 飛鳥 「ああ。それにしても、まさか輝凰さんとイブリスが……」 明日香「最強のコンビだね」 勇治 「違うな。最強は俺だ」 飛鳥 「俺は入ってないのかよ、おい」 明日香「あ、あはは……」 次回、CONNECT52.『起死回生と言う名の最後の力!』 明日香「次回は、『ファイナル・ロード』の正体が明らかに!」 飛鳥 「まさか、あの人だったなんて……やっぱり、俺が『ファイナル・ロード』を倒さないと……!」 明日香「飛鳥君、本気モード?」 飛鳥 「良いや、まだ60%」 明日香「…………」 |
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