バトル・フィールドに構築されるセルハーツ、プラディ・ラ・グーン。 今回のバトル・フィールドは普通の空間。障害物など何もない、地面だけが存在する。 「それじゃあ、用意は良いネー!?」 審判が右手を上げる。飛鳥とゴウが互いを睨む。 「コネクト・バトル、ファイトYeah〜!」 バトル開始。ついに、飛鳥とゴウのバトルが始まりを告げられた。 セルハーツが先手を取る。 「ゴッドランチャー!」 放たれるビーム。プラディ・ラ・グーンは右手の盾で受け止めた。 しかし、その瞬間にもセルハーツの攻撃は続く。 「エアブレード!」 風の刃を放つ。――――が、やはりプラディ・ラ・グーンは盾で防いだ。 ゴウも負けじと反撃する。 『ロングフレアカノン!』 セルハーツ目掛けて撃つ。放たれた弾丸をセルハーツは素早く避けた。 それを狙っていたのか、プラディ・ラ・グーンが次の武器を構えている。 『フォースビーム!』 回避行動後のセルハーツの動きを予測してビームを撃つ。飛鳥は瞳を鋭くさせた。 ビームの軌道を読み、そして見切る。見事、セルハーツが回避する。 空へと飛び、剣を振るう。 「エアブレード・アトモスフィアァァァッ!」 今度は風の飛礫を放つ。ゴウは余裕で防いだ。 いや、防いでいなかった。盾で防御する事を分かっていた飛鳥が、一気に勝負に出る。 プラディ・ラ・グーンへと急接近し、剣を振るう。 「ミラージュ・ブレイドッ!」 直撃を狙う。しかし、次の瞬間、飛鳥は目を見開いた。 プラディ・ラ・グーンが右手の盾をすぐに戻し、完全にセルハーツの攻撃を受け止めている。 「防がれた――――!?」 『ラ・グーン・クラッシャーッ!』 その直後、プラディ・ラ・グーンの左腕から繰り出される攻撃。飛鳥は舌打ちした。 瞳を鋭くさせ、『鷹の瞳』を発動させる。そして、プラディ・ラ・グーンの動きを見切った。 迫り来る攻撃をセルハーツが寸前で回避する。 「避けれたっ……!」 『避けた……!?』 セルハーツが距離を取り、体勢を整える。 二人のバトルに歓声が沸く。その中で、紅葉は目を見開いていた。 「リーダーのラ・グーン・クラッシャーを避けた……!?」 「流石は『ソード・マスター』だ。カウンター時のあの技を避け切るとは……」 カウンターの際に繰り出すラ・グーン・クラッシャーの命中率は、間違いなく90%を超える。 それを飛鳥は回避した。晃鉄がメガネをくいっと上げる。 「これは、リーダーも本気を出さざる得ないな……」 「何を言っているのですか? リーダーは最初から全力では……?」 「違う。リーダーはまだ、半分も力を出していない」 一方、同じように二人のバトルを見ていた輝凰は思わず息を呑んだ。 ゴウのラ・グーン・クラッシャーを回避した飛鳥。流石と言うべき実力。 「あの状態からゴウの攻撃を避けた……流石、郁美から様々な戦い方を教わったあすあすね」 「そう? 教えたけれど、あまり活かされてない気もするけれど」 「基本的に飛鳥君は輝凰さんと同じタイプですからね。輝凰さん、お待たせしました」 そう言いながら、優、郁美、こよみの三人が席に座る。輝凰が「遅かったな」と言った。 「トラブルはやっぱり飛鳥か?」 「正解。あすあすってば、正装したくないって拒んでたのよ」 「確かに、着たくない気持ちは分からなくもないけれどね」 「困った後継者だな、飛鳥は」 「仕方ないですよ。飛鳥君、凄い人気みたいですから。ね、明日香ちゃん?」 こよみがそう言いながら、明日香の方を見る。明日香は何も聞いていなかった。 否、飛鳥とゴウのバトルに見入り、聞こえていない。 優が輝凰に話し掛ける。 「やっぱり、きーはあすあすが勝つって予想してるんでしょ? なにせ、最強のコネクターの後継者だし」 「……どうだろうな」 輝凰の顔が険しくなる。 「俺が最強でいられたのは、ゴウがチームを作ったからだ。あいつがシングルだったら、どうなっていたか……」 「勝てないって事はないでしょ?」 「いや、勝てない。俺が知るゴウボーグ=レンダリムの強さは、あのイブリスさえも本気を出す必要がある」 まだ、『ダーク・コネクター』だった頃、輝凰はどうやってもゴウには勝てなかった。 下手をすれば、あのイブリスですら勝てないだろう。それが、輝凰の知るゴウである。 「飛鳥がゴウに勝てるかどうか、流石に分からない。しかし、これだけは言える」 「何?」 「本気を出さないと飛鳥には勝てない。久々に見れるだろうな、ゴウの本気が」 ラ・グーン・クラッシャーを回避されたゴウは、少しだけ笑みを浮かべた。 流石は彼の後継者。それでこそ、『ソード・マスター』だ。 『まだ早いと思っていたが、そうも言ってられないか……』 そう言いながら、右手の盾を左腕に装備する。そして、右腕を構えた。 飛鳥が首を傾げる。 「右腕でラ・グーン・クラッシャ−? わざわざ右にする必要なんて……!?」 『ラ・グーン……クラッシャァァァーッ!』 瞬間、右腕から繰り出される拳。空を切り、衝撃波となってセルハーツへと放たれた。 飛鳥が目を見開く。反射的に剣を振り下ろした。 衝撃波を受け止める剣。しかし、このままでは剣は砕かれ、セルハーツは倒れる。 「くっ……まだ使いたくなかったけどっ……! イクサ・グレイル、エネルギーリロードッ!」 飛鳥の声と同時に、剣の柄が回転し、何かが飛び出す。薬莢だ。 剣の刀身が光り、衝撃波を受け切った。ゴウがやや目を大きく広げる。 「まさか衝撃波が出るなんて……今のが、本当のプラディ・ラ・グーン……!」 『そうだ。しかし、驚いた。右腕のラ・グーン・クラッシャーを……』 「実体剣……いや、弾光剣イクサ・グレイル。これが、俺の誇る最強の剣です」 専用の弾丸を装填し、それを使用する事で一時的に攻撃力を3倍まで引き上げる剣。 それが飛鳥の作った剣、弾光剣イクサ・グレイル。 「まだそんな手が残っていたなんて、思っていませんでしたよゴウさん。 こうなると、俺もいつまでも隠しているわけにはいきませんね」 『……?』 飛鳥が剣を構える。 「エアブレード……ストームッ!」 繰り出す。剣から竜巻が放たれた。 プラディ・ラ・グーンが左腕に装備した盾で防ぐ。が、竜巻によって少しずつ後ろへと下がっていく。 竜巻を防ぎ切ったものの、セルハーツとの距離がかなり開いていた。 『……威力の高い技だ。直撃を受けていたら、プラディ・ラ・グーンでさえ危なかった……』 思わず、口元が歪む。嬉しくて。これほどまでに強いコネクターと戦えて。 「私が作った最高傑作の盾グレアー・ラ・シルドで防いでも後ろに下がるって……」 「考えたな、飛鳥の奴。エアブレードの攻撃力を高めた技、ストームか」 「そして、攻撃力を一時的に上げる事ができるオリジナル・ウェポン。考えたわね、飛鳥」 どんなに強くなろうと、決してそこで止まろうとしない。それが飛鳥だ。 優がセルハーツの持つ実体剣を見て、「やっぱり作ったわけね」とぼやいた。 「エネルギーを収縮した弾丸を使用する事で攻撃力を一時的に高める……私も作ろうと思った武器よ」 「作らなかったのか? 輝凰剣を作った優なら、簡単に作れただろう」 輝凰の言葉に、首を縦に振る。 「ウィザリオ・スペリウス・ブレードは半年も掛けて作ったのよ。あれに比べたら、全然マシ」 「作ろうとしなかったのは、別の理由か?」 「正解。コストが高過ぎるのよ、あの武器」 一時的に攻撃力を高める事が可能な武器。それは、誰もが作ろうと一度は考えている武器。 しかし、それには大きな問題があった。 「専用の弾丸をわざわざ作らなきゃいけない上に、弾丸1発で1000ポイント使うのよ? コスト高過ぎ」 「なるほど、作りたくてもそんなにコストがあったら作らないな」 「そ。まだ無敗で『フォース・コネクター』のあすあすだからこその武器って感じ」 そう言いながら、優がバトルを見る。 「3年前と比べて、かなり手強くなってるわよ、あすあす。これは見られるかもね、とんでもない物が」 同じように、別の場所でバトルを見ていた紅葉が息を呑む。晃鉄が説明した。 「プラディ・ラ・グーンは右と左でパワーバランスが全く異なる。 右腕は左腕の約4倍のパワーを持ち、わざわざ封印まで施していた」 「なぜ、リーダーはそんな事を……?」 「負担が大きいからだ。下手をすれば、プラディ・ラ・グーンが二度と使えなくなる」 その言葉に、紅葉が目を見開く。 「プラディ・ラ・グーンが……!?」 「そうだ。まだリミッターが掛かっているが、それを外した場合、プラディ・ラ・グーンは全壊する。 それはつまり、リミッターを外せば、二度とプラディ・ラ・グーンは使えなくなる事を意味する」 セルハーツが攻撃を繰り返し、プラディ・ラ・グーンが攻撃を受け止める。 そしてカウンター。飛鳥が『鷹の瞳』を使って回避する。 『流石だ。輝凰を受け継ぎ、超えたコネクターとして、最高の相手だ……』 そう言いながら、プラディ・ラ・グーンの右腕に目をやる。 『……このリミッターを外して挑める相手が、ようやくここまで強くなってくれた』 そう、ゴウは3年前から引退をすでに考えていた。蓮杖飛鳥と言うコネクターと出会っていた頃から。 バトルの度に強くなっていく天才。あの頃から、ゴウの中では血が騒いでいた。 自分が最強と認めた洸月輝凰を超えると確信できたコネクター。 だからこそ、このバトルは今までのバトルで最も熱くなれる。 「エアブレード・アトモスフィアッ!」 飛鳥が風の飛礫を放ち、ゴウはそれを防御する。 「ゴッドランチャー、シュートッ!」 『ラ・グーン……クラッシャァァァーッ!』 右腕から繰り出される衝撃波が、セルハーツの放ったビームを相殺する。 そして、ゴウが動いた。プラディ・ラ・グーンが急加速し、セルハーツに迫る。 「――――! 今の一瞬で!?」 『フルパワァァァ・ディオォォォスッ……クラッシャァァァァァァーッ!』 右腕にエネルギーが集中し、繰り出される。飛鳥は目を見開きつつも、その瞳を鋭くした。 『鷹の瞳』でプラディ・ラ・グーンの拳の動きを捉え、回避する――――が、間に合わなかった。 プラディ・ラ・グーンの拳がセルハーツの左腕を奪う。 「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!?」 飛鳥が絶叫する。この時、誰もがゴウの勝利を確信していた。 セルハーツの左腕が破壊された瞬間、観ていた明日香が声を上げる。 「飛鳥君!」 片腕を失い、その場に立ち崩れるセルハーツ。 「おい、もう決着ついたんじゃねぇのか?」 「これは、どうやっても『ディフェンド・キング』の勝ちだな」 「凄いバトルだったけど、やっぱり最後は呆気ないな。盾の王の勝ちなんてよ」 飛び交う声。「気にするな」と輝凰が言う。 「まだ飛鳥は負けていない。飛鳥はまだ諦めていない」 「輝凰さん……」 「周りは早くもゴウの勝ちだと言っているが、ここからだ。飛鳥が信じられないほどの強さを見せるのは」 それは、誰よりも彼の事を知っているからこそ分かる。 『ソード・マスター』と言う座を賭けた戦い。あの時のように、飛鳥は劇的な強さを見せるはず。 セルハーツの左腕を破壊され、飛鳥はすぐにプラディ・ラ・グーンから離れた。 剣を構え、セルハーツの状態を確認する。 「……左腕を破壊されただけ……他は大丈夫か」 まさか、プラディ・ラ・グーンが加速して接近するとは思わなかった。流石は、最強の王・ゴウだ。 先代の『ソード・マスター』から聞かされていた最強のコネクター。話通りの相手。 深呼吸し、集中力を高める。 「……イクサ・グレイル、エネルギーリロード」 剣の柄が回転し、空になった薬莢が排出される。 「エアブレード・ストーム!」 繰り出す。放たれた竜巻がプラディ・ラ・グーンを襲う。 盾を構え、防御するゴウ。飛鳥の瞳が鋭く捉えた。 「リロード! エアブレードッ!」 再び剣の柄が回転して薬莢を排出。そして、風の刃を放つ。 竜巻を受け切ったゴウが右腕を繰り出して風の刃を相殺する。 『ラ・グーン・クラッシャーッ!』 衝撃波が放たれる。飛鳥はこれを待っていた。 「リロード!」 『鷹の瞳』で衝撃波の動きを見切り、衝撃波を剣で回避する。 「リロード! もう一回、リロードだ!」 柄が二回転し、二発の薬莢が連続で排出。瞬間、セルハーツが一気に仕掛けた。 プラディ・ラ・グーンに迫り、自分が誇る技で挑む。 「ミラージュ・ブレイドォォォッ!」 走る太刀筋。それを見切っていたゴウは左腕の盾を構えて防御した。 受け止められる技。そう、誰もが思っていたが違った。 盾に亀裂が走り、砕ける。そして、ミラージュ・ブレイドが見事左腕を捉えた。 『何……!?』 ゴウが初めて驚きの表情を見せる。プラディ・ラ・グーンの左腕が破壊された。 『まさかこの盾を破壊するとは……』 そう言って飛鳥を見る。飛鳥はセルハーツの状態を確認し、剣を構えた。 それを見たゴウがふっと笑みを浮かべる。 『もうそろそろ限界か、飛鳥?』 「……そうみたいです。だから、次の一撃で決着をつけます……!」 セルハーツから、強いオーラのようなものが見える。ゴウは「こっちもそのつもりだ」と答えた。 コンピュータを操作し、プラディ・ラ・グーンの状態を確かめる。 『プラディ・ラ・グーン、リミッター解除!』 プラディ・ラ・グーンの右腕から蒸気が激しく噴き出す。 『おおおおおおっ!』 咆哮を上げる。飛鳥もそれに応じるかのように集中力を高める。 「まだ未完成だけど……この技で……! セルハーツ、行くぞ!」 セルハーツのカメラアイが一瞬だけ光り、構える剣が”究極の光剣”へと姿を変えた。 そして瞬間、セルハーツがプラディ・ラ・グーンへと向かって加速する。 ゴウが右腕を引く。そして、放った。 『ファイナル……! ラ・グーン……クラッシャァァァァァァッ!』 繰り出される右腕。空を切り裂きながら衝撃波を起こし、その拳が巨大化したかのように見える。 加速して向かってくるセルハーツに迫る。刹那、飛鳥の瞳が鋭くなった。 目の前に広がっている”世界”が変わる。そして、プラディ・ラ・グーンの攻撃を紙一重で回避した。 ゴウの目が見開かれる。セルハーツが懐に入り込み、剣を振るう。 「うぉぉぉおおおおおおっ!」 振り下ろされた剣がプラディ・ラ・グーンを斬る。プラディ・ラ・グーンが吹き飛ばされた。 バトル・フィールドの端まで吹き飛ばされ、大爆発を起こす。 「ウィナー、蓮杖飛鳥〜! コングラッチュレイショ〜〜〜ン☆」 バトル終了の声が掛かる。飛鳥は拳を強く握った。 「勝った……! ゴウさんに……最強のコネクターに……勝った……!」 途端、歓声が沸き上がる。バトルは飛鳥の勝利で終わりを告げた。 歓声が上がる中、輝凰はふっと笑みを浮かべた。 「良くやったな、飛鳥。これで、お前こそが本当の意味で最強のコネクターだ」 「輝凰さん、飛鳥君勝ちましたね! あの飛鳥君がゴウさんに……」 隣でこよみが涙を浮かべる。 「泣くな、こよみ。飛鳥の勝ちなんだぞ」 「そうですけど、嬉しくて……」 「グレアー・ラ・シルドを破壊……あすあす、お仕置き決定」 「却下」 優の言葉に、すかさず郁美が釘を打つ。 「盾の一つくらい許してあげなさい」 「許せるわけないでしょ、ラ・シルドよ、ラ・シルド! あの盾、作るのに二ヶ月掛かってるのよ!」 「あら、MERCURY-SYSTEMよりも短い期間よ」 「だけど!」 「いい加減にしろ、優。もう、飛鳥は俺達の知る飛鳥じゃない」 輝凰が割り込む。優が大人気なく頬を膨らませる。 バトル・フィールドの方を見つつ、輝凰は言葉を続けた。 「あいつは最強のコネクターになったんだ。ゴウと言う最強の敵を倒してな」 バトルが終了し、ゴウはコクピットランサーから出てきた。 飛鳥の勝利に沸き上がっている歓声を聞いて、自分は負けたのだと改めて確認する。 「負けたか、やはり……」 「うわ、負けるの分かっててバトルしたの?」 いつの間にか観客席から会場の方へと降りていたマリアが話し掛ける。その隣には勇治もいる。 勇治がマリアの前に立ち、静かにゴウの前に右手を出す。 「今までお疲れ様でした、『ディフェンド・キング』」 「ああ。こちらこそ、今までありがとう、『マグナム・カイザー』」 そう言って、握手する。「あーあ」とマリアがため息をついた。 「ゴウが引退したら、誰が私達の指揮を取るのよ?」 「それは、一応『フォース・コネクター』のリーダーになっているマリアの仕事だよ」 「そうだけど、私じゃ飛鳥と勇治は言う事聞かないし」 「そんな事ないさ。……今までありがとう、『ストーム・クラウン』」 「ええ。今までお疲れ様」 マリアがゴウと握手をする。それと同時に、「リーダー!」とゴウを呼ぶ声が響いた。 ゴウが作り上げたチーム『ランドライザー・コマンド』のメンバー達。 チームの参謀を務める晃鉄がゴウの前に出る。 「リーダー……いえ、『ディフェンド・キング』。大役、ご苦労様でした」 「ああ。……翌日から、早くも『ディフェンド・キング』を決める為のトーナメントが始まるはずだ。 必ずその座を手にしてくれ、晃鉄。決して負けるんじゃないぞ」 「はい。あなたの後継者として、必ず」 「頼むぞ。そして、紅葉」 紅葉の方を見る。今にも泣きそうな顔。ゴウは優しく笑った。 「紅葉、これからは君が『ランドライザー・コマンド』のリーダーだ。頼むよ」 「リーダー、本当に引退……」 「ああ。リーダーとして頑張ってくれ、紅葉」 「リーダー……」 紅葉がゴウに抱きつく。 「……ないで……! やっぱり辞めないでください……!」 「無理を言わないでくれ、紅葉。もう決めた事なんだから」 「ですけど……!」 「ゴウさん!」 と、その時飛鳥が姿を見せる。そして、頭を下げた。 「……『フォース・コネクター』としての役目、ご苦労様でしたっ! 今まで……今までありがとうございましたっ……!」 「……ああ。こちらこそ、ありがとう、飛鳥。最高のバトルだった」 「ゴウさん……」 「『ソード・マスター』蓮杖飛鳥!」 紅葉がゴウから離れ、飛鳥に指を差す。 「……あなただけは絶対に許しません……! リーダーの仇、私が取ります!」 そして告げられる。飛鳥は「ああ」と答えた。 「強くなって挑んで来いよ。全力でバトルして、俺が勝つ」 「言いましたね。必ず、あなたを倒してリーダーの仇を取ってみせます!」 そう言って立ち去っていく。やれやれと少しだけ首を横に振りながら、晃鉄も去る。 ゴウが二人の姿を見送った後、飛鳥に話し掛けた。 「覚えているかい、3年前の事を」 「……はい」 「あの時、僕は輝凰が羨ましかった」 「え?」 「君のようなコネクターと、もう少し早く会っておきたかった。君を僕の後継者として育てたかった」 「ゴウさん……」 飛鳥の肩にゴウが手を置く。 「飛鳥、僕が教えた事を絶対に忘れるな。……君と出会えて良かった」 出会えて良かった。その言葉に、飛鳥は思わず目に涙を浮かべた。 絶対に流さないと決めていた涙。唇を強く噛み、堪える。 「……ゴウさん、俺も……です……。俺も……ゴウさんと出会えて良かった……」 「今以上に強くなれ、飛鳥。これからも頼むぞ、『ソード・マスター』」 「はい……」
今ここに、最強の称号を持ったコネクターがその舞台から去った―――― イメージソング:「Drawing days」 アーティスト:SPLAY 次回予告 明日香「引退しちゃったね、ゴウさん……」 飛鳥 「ああ。けど、これで終わりじゃない」 明日香「そうだね。あ、イメージ曲は、ゴウさんとのバトル終了の時から流れるイメージです」 飛鳥 「今思うと、イメージ曲ってあまり使ってないような……。 つか、なぜ家○○師ヒッ○○ンR○B○○N!の曲……」 明日香「作者の趣味なんじゃ……?」 ※それを言ってはいけません。 次回、CONNECT-FINAL.『これからの事』 明日香「次回は最終回! ……ええ、最終回!?」 飛鳥 「ついに最終回。明日香、準備は良い?」 明日香「え、準備って?」 飛鳥 「ドライヴ構えて。それじゃ、最終回もドライヴ・コネクト!」 明日香「ど、ドライヴ・コネクト!」 |
<< CONNECT56. CONNECT-FINAL. >> 戻る トップへ
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||