バトル・フィールドに、マリアとセリウスのドライヴが構築される。 マリアがセリウスのドライヴを見て訊く。 「それ、自分で作ったの?」 『……父さんが作ってくれた』 「良い父親ね。それじゃ、始めますか」 マリアのセイレント・クイーンが動き出す。セリウスも同時に動いた。 ドライヴの背中から幾つもの飛行体が射出され、セイレント・クイーンを取り囲む。 そして、セリウスのドライヴがビームを撃つ。自ら射出した飛行体に向けて。 「何となく予想してるけど……」 マリアの予想は当たっていた。取り囲む飛行体に当たったビームが反射して、セイレント・クイーンに襲い掛かる。 予想できていた為に、普通に操作して回避する。マリアは様子を見ていた。 9歳でSRランクと言う少年の実力を。 「命中率は良い方かな」 二人のバトルを見ている飛鳥は、セリウスのドライヴのデータを見ていた。 驚くくらい、性能は良い。そして、注目すべきなのは武装だ。 「機体名はアクアレイスン。『レア・ウェポン』を持っているのか……しかも、空とは合いそうにないような物を」 「飛鳥君は、どっちが勝つって思ってるの?」 明日香が訊く。飛鳥はすぐに答えた。 「マリアが勝つ。確かに実力は凄いかもしれない。けれど、セリウスって子はまだ未熟だ」 SRランクと言う実力は認める。しかし、それだけで『フォース・コネクター』には勝てない。 それに、マリアは遊んでいる。本気を出していない。 「本気を出すか分からないけど、マリアなら勝つよ。勝ってくれないと困るって言うのもあるけれど」 「困る……?」 「勝ってくれないと、チームのトーナメント戦でマリアとバトルできなくなるだろ。体裁的に」 「あ、なるほど……」 妙に納得できる明日香だった。 セリウスの攻撃を回避しながら、マリアは考えていた。 「攻撃方法は申し分ないし、結構命中率良いのよね……回避も大変だし」 なんとなくだが、彼は素質を持っている。勇治と同じ『狙撃の瞳』を。 だからこそ、命中率は良い。しかし、それが活かされていないのも事実。 その辺は9歳の少年か、と思う。 「ちゃんと教えたら、結構良い感じになるかも……」 『アクアドラゴン』 セリウスのドライヴ――――アクアレイスンが剣から発生した水を纏い、龍の姿となって突撃してくる。 マリアは風の流れを読んだ。ワルキューレ・エイルをバイク型から竜型へと変形させて回避する。 そして、セリウスの持つ剣を見て、へぇ、と言葉を漏らした。 「もしかしてと思ったけど、やっぱり『レア・ウェポン』のアクアカインみたいね」 『…………』 「意外と面白いわね、君。ちょっと気に入ったかも♪」 そう言って、セイレント・クイーンを大地に降ろす。セリウスは首を傾げた。 マリアがセリウスに狙いを定める。 「見せてあげる。これでも、射撃は得意ってところを☆」 ミサイルを放つ。セリウスはドライヴを動かし、回避に徹した。 しかし、放たれたミサイルがそれを読んでいたかのように飛んでくる。 「残念。ちゃんと動きは読んでるのよ」 ミサイルがアクアレイスンを襲う。セリウスは舌打ちした。 『……っ!』 「さあ、どうする?」 『…………』 追い詰められるセリウス。その時、彼は意を決した。 剣を構え、エネルギーを集中して大地へと振り下ろす。 『ノア・ザ・アーク……!』 大量の水が発生し、大津波が起きる。 ひゅー、とマリアが感嘆しながら、セイレント・クイーンを空中へと逃がす。 「驚いた。そんな事が出来るのね」 セリウスが技を放った後の状態を見て、飛鳥は驚いた。 バトル・フィールドが水に覆われ、大地と言う大地が消えている。 「『レア・ウェポン』でバトル・フィールドを強制的に水に……!」 確かに、そう言った力も秘めている可能性があるのが『レア・ウェポン』だが、本当にできるとは思わなかった。 「けど、このバトル中は二度と使えないはず」 いくら、『レア・ウェポン』と呼ばれる武器でも、限界と言うものがある。 バトル・フィールドを水へと変えたと言う事は、その武器の全エネルギーを使ったはずだ。 「ああ言う使い方を知っているなんてな」 「マリアさん、本当に勝てるの?」 「勝てるよ。確かに、セリウスの実力は大したものだ。弱点があるのも分かった」 「弱点?」 「俺が見た限りじゃ、セリウスは『狙撃の瞳』を持っている。多分、マリアも気づいている」 ミラービットと言う反射を利用した攻撃での命中率の高さ。ただ反射させているだけでは、そう簡単にはいかない。 「けど、資質の使い方は歩同様、全然分かっていない。歩よりは上手いけど」 その言葉に、遠くで聞いていた歩が落ち込んだのは言うまでもない。 バトル・フィールドが水一面に変貌しても、マリアはマリアだった。 セリウスが攻撃する。しかし、マリアには当たらなかった。 「決着つけますか。そろそろ、資質も限界でしょうし。たこ焼き食べたくなってきたし」 セイレント・クイーンが、その機動性を増す。セリウスは目を見開いた。 今までとは全く違う速さ。これが、『ストーム・クラウン』の実力。 「実力はあるけど、そこまでね。もう、必殺技もないんでしょ?」 『……!』 「ま、その辺はまだこれからの頑張り次第ね。と言う事で、私の勝ち♪」 機動性を増し、空高く舞い上がったセイレント・クイーンが光を纏い、竜へと化す。 「レディエンス・ドラグーン」 光の竜が、セリウスのアクアレイスンを呑み込んだ。 バトルが終了した直後、マリアは早速セリウスを捕まえた。 「一つ聞いても良い?」 「……何?」 「何で『ストーム・クラウン』になりたいわけ? 今の子達って『ソード・マスター』とか『マグナム・カイザー』でしょ?」 「…………」 確かに、マリアの言うとおりだ。今、誰もがなりたいと思うのは、『ソード・マスター』か『マグナム・カイザー』が多い。 特に『ソード・マスター』に至っては、飛鳥のバトルを観てと言うのが起因となっている。 マリアの問いに、セリウスが答える。 「……良かったから」 「良かった?」 「前に見た『ストーム・クラウン』戦……5歳の時くらいに見たのが、格好良かったから」 「と言う事は、お姉さまの時か。ごめんね、当人とバトルしたかったでしょ?」 「別に……今の『ストーム・クラウン』も格好良いから……」 意外と素直だった。マリアの目が光って見えた。 「じゃあ、チームに来る? 実力も申し分ないし、歓迎するわよ」 その言葉に、『レディエンス・ビューティーズ』の浅倉美代子が反応する。 「ま、マリア様、本気ですか!?」 「もちろん。今日のバトルでEランクに落ちたけど、実力的には申し分ないし」 「確かにそうですけど、男の子をチームにって……」 「別に良いじゃない。私の作ったチームだし」 「ですけど……」 「マリア様が決めた事ですから、反対しても無駄ですよ」 「そうですけど……」 「戦力としては十分だし、諦めたら?」 と、セリホと里香の二人に言われる。美代子は溜め息をついて、諦めた。 セリウスが首を横に振ろうとするが、それをマリアが止める。 「断らないの。私が決めたんだから。君を後継者にするって」 「…………」 「私が『ストーム・クラウン』にしてあげる。ちゃんと教えてあげるから、チームに入りなさい」 「…………」 セリウスが頷く。マリアにとって、予想外だが嬉しい展開となった。 マリア達のやり取りを見ていた飛鳥は、やれやれと言った感じだった。 暇だったから買っていた紅茶を飲みながら、「帰るか」と言い出す。 「多分、あのまま流れ的にたこ焼きだろうし、マリアの場合」 「そうだね……でも、バトルしなくて良かった気もするかな」 なにせ、今回の予定していたバトルでは、マリアが相手だったからだ。 「当面は、いつも通りで良いか。どうせ、メンバー集めもしないといけないし」 「メンバー集めって……まだやるの?」 「もちろん。今のままじゃ、トーナメントで優勝なんてできない。不安要素もまだあるしな」 そう言って、歩を見る。気づいた歩が反発した。 「何で俺だよ!?」 「お前以外に不安要素がいると思うか? まだ、俺や明日奈、蓮とまともに連携できていないだろ」 「それは……」 「瑞樹との連携だけじゃダメなんだ。最低限、蓮との連携ができないと困る」 チームとしてバトルする為にも、最低限の事はできるようにする。それが、飛鳥の言葉だった。 歩が落ち込む。そんな歩に明日香が声を掛けた。 「だ、大丈夫だよ。またトレーニングすれば良いんだから」 「なかなか成果が出ないけれどね」 「あ、明日奈!」 「……本当、何で俺スカウトされたんだろ……」 どんな時でも精神的ダメージを受ける歩だった。 一方、『レディエンス・ビューティーズ』は、マリア宅で地獄が始まっていた。 「今回はたこ焼きスペシャル〜♪」 「スペシャルって……何ですか、このカラフルなたこ焼き……」 出されたたこ焼きに青ざめる浅倉美代子。隣に座る天野里香も同じだった。 赤、青、緑、黄、紫、黒。六つの色に染まったたこ焼き。 赤色のたこ焼きを食べたセリホが感想を言う。 「これは唐辛子と紅ショウガですね? 流石はマリア様、良い出来です」 「でしょ?」 「……いつも思うけど、何であの人は平気なわけ?」 「私が知るわけないでしょ……」 二人は思う。なぜ、彼女は食べても平気なのか。 マリアが二人に近づく。そして、その手にはたこ焼きがあった。 「ほら、二人も食べないとね♪」 「いや、私、ダイエット中なので……」 「じ、実は私も……」 「大丈夫大丈夫。ダイエットにも効果はあるはずだから☆」 「何を根拠に……って、ちょっと待って……――――!?」 美代子の口に運ばれた緑色のたこ焼き。それを食べさせられた瞬間、彼女は白目で気絶した。 「うん、気絶するほどの美味しさと。流石は私ってところかな♪」 「いや、この反応は違うと思う……」 「ほら、次は里香」 「ち、ちょっ!?」 今度は、紫色のたこ焼きが里香の口に運ばれる。そして、同じように気絶した。 その一部始終を見ていたセリウスは恐怖に震えていた。 マリアがセリウスの隣に座り、捕まえる。そして、今度は青色のたこ焼きを持っていた。 「セリウスは水系の武器持っていたから、それに青で行こうか?」 その言葉に、高速で首を横に振るセリウス。しかし、マリアは容赦なかった。 この日、マリアの後継者は、一生消える事の無いトラウマを背負った。 次回予告 明日香「……えっと、最後のって……」 飛鳥 「久々の”あれ”だな……」 マリア「うーん……やっぱり勇治も呼ばないといけないわね」 勇治 「断る」 ※流石に末恐ろしいマリアの”あれ”でした(汗 次回、CONNECT17.『最強チームの危機』 ゴウ 「さて、どうしたものか……」 明日香「次回の主役はゴウさん!」 飛鳥 「って、ちょっと待て! ゴウさんが主役!?」 マリア「引退したのに何やってんだか……」 飛鳥 「と言うか、タイトルからして主役は紅葉とか晃鉄さんなんじゃ……」 ※まぁ、それは次回のお楽しみって事で。 飛鳥 「おいこら、逃げるな作者」 明日香「最近の次回予告が酷くなってる気がする……」 ※目指せ、次回予告が面白い作品!(待 |
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