チーム『ランドライザー・コマンド』の敗北から二週間。 飛鳥はチーム『レザリオン』の特訓を明日奈に任せていた。 「動きが遅いわね。また、あなたの負けよ」 ハデスハーツの斬撃が、アルトリアス・ツヴァイを捉えて撃破する。 歩、またしても敗北。それを見ていた蓮、瑞樹が溜め息をつく。 「歩、進歩無さ過ぎ……」 「お前、頭悪いだろ……」 「うぅ……」 流石に何も言えない歩。明日奈が小銭を歩に渡す。 「罰ゲームね。私はオレンジジュースで良いわ。果汁100%の物をお願い」 「って、バシリかよ!?」 「当然でしょう? それとも、もう一度バトルして勝てるのかしら? 次負けたら、全員に奢りよ?」 「う……」 「ま、諦めろ。俺アクエリな」 「あんたまで……」 「じゃあ、私はお茶で。あ、自販機で売ってるのなら何でもいいから」 「って、瑞樹もかよ!?」 バトル当日。待ち合わせしているショップのバトル・フィールド内に『ランドライザー・コマンド』は集まった。 晃鉄の後継者であり、サブリーダーである輝がメンバーを見て肩を落とす。 「……まさか、お前ら4人なのかよ……」 「まさかとは何だ、まさかとは!」 「こう見えても、俺らはAランク!」 「そして、お前と同い年!」 「二軍だからって馬鹿にするな!」 二軍――――それも、桃太郎御一行だった。輝が溜め息をつく。 「よりにもよって……大体、お前らAランクのくせに実力無さ過ぎなんだよ。ドライヴも弱いし」 「ちょ、おまっ……!」 「喧嘩売ってんのか、この野郎!」 「そうか、売ってんなら買ってやる! いくらだ!?」 「金払うんかい!」 「…………」 ギロリ。紅葉の鋭い瞳が、輝を含めた桃太郎御一行を睨みつける。5人は黙った。 その様子を見て、今度は晃鉄が溜め息をつく。これで大丈夫なのかと。 「今日のバトルの作戦を伝える。紅葉、輝は好きなように戦え。二軍のお前達は、俺の指示に従え」 「うっす」 『サー! イエッサー!』 「分かりました。リーダーとの特訓の成果、見せてあげます」 紅葉の気合は十分だ。どんな特訓をしたのかは分からないが、先代が引退する前の頃に戻っている。 これなら、任せても良いだろう。 「見せてもらうぞ、紅葉。リーダーとしてのお前を」 「はい。『ランドライザー・コマンド』リーダー、鳴澤紅葉。新型、クリムゾン・アストライアと共に参ります!」 同時刻。飛鳥は明日香と一緒に様々なバトルを見ていた。 飛鳥の言う、メンバー集め。その為に、様々なコネクターのバトルを見る。それが飛鳥のやり方だった。 「やっぱりいないな……あと一人なんだけどな……」 「あと一人って……結構集まったと思うよ?」 「いや、今のままじゃダメなんだ。あと一人……どうしても必要なメンバーがまだ揃ってない」 「必要なメンバー?」 「ああ。リーダー、サブリーダー以外にチームを統率できるコネクター。それが欠けているんだ」 チームバトルでは、リーダーとサブリーダーがバトル出来ない状況もある。 その時、いくら個々が強くても負けるチームはある。それをどうにかするメンバーが必要になる。 リーダーの代理として、チームを統率できるコネクター。飛鳥が今欲しいメンバーだ。 「ガルノアは、あくまで指南役としてだし。明日奈は冷静過ぎるし、蓮は考え無さ過ぎる。歩と瑞樹は経験的に無理。 それを考えたら、必要なんだよ。俺と明日香以外で、チームをまとめられる奴を」 「そうなると……」 明日香がうーんと頭を捻る。自分の知る人間の中で、飛鳥の言う条件を満たしている人物。 「……この前バトルした、織野君? とか?」(第4話参照) 「却下。確かに、織野は統率力あるけど、あいつはプロに行く為にチーム入らないから」 呆気なく却下された。 チーム『カトストロフィ』とのバトルが始まった。 敵の一機が輝のゼオ・エクシードに迫る。 『くらえ!』 放たれるミサイル。ゼオ・エクシードが右腕をミサイルに向け、攻撃を受け止める。 そして、左に持つ盾を逆に構える。砲身が現れ、エネルギーが充填された。 「まずはビーム!」 ビームを放つ。敵が回避する。それと同時に、今度は構えを元に戻し、複数もの砲身を出現させる。 「続いてガトリング!」 実弾を無数に撃つ。またも敵は回避するが、それを読んでいた輝は、盾を構えて突撃した。 「超振動ナックル!」 右腕に超振動を発生させつつ殴る。相手は盾で受け止めた。 『甘い!』 「そっちも!」 カウンターを仕掛けてくる敵に対し、盾から刀身を出現させ、それで受け止める。 そして距離を取り、ゼオ・エクシードが盾を前突き出して分離させた。 超振動を発生させる右腕に、分離した盾が円を描くように集まり、そのまま高速回転を生み出す。 「これでフィニッシュだ!」 殴る。攻撃を読んでいた敵は盾で防御したが、呆気なく貫通され、そのまま撃破された。 輝がガッツポーズを取る。 「よし……まずは一勝!」 一方、二軍メンバー4人に指示を出しつつ、晃鉄は紅葉の戦いを見ていた。 深紅だった全体が、燃え盛る炎のようなカラーリングに変わった新型ドライヴは、かなりの高性能だ。 間違いなく、先代が天才に頼んだものだろう。 「流石は、先代『マグナム・カイザー』だ。これなら、どうにか勝てるだろう」 正直、晃鉄にとっては半分賭けだった。 自分の後継者である輝はともかく、紅葉の実力はまだ低い。未だにAランクと言うのが現状だ。 だからこそ、先代『ディフェンド・キング』のゴウに任せた。 「見せてみろ、紅葉。リーダーとして、先代との特訓で強くなったお前の実力を」 そして戦況を見る。輝が一体撃破したのを確認し、首を傾げる。 敵は残り6体。しかし、1体だけどこにも見当たらない。 「何か企んでいるのは間違いないだろうが……一体どこにいる?」 『お前の後ろだ!』 晃鉄のヴィオ・ガ・ルーンの後方の地面から敵ドライヴが出現する。「なるほど」と、晃鉄は頷いた。 「奇襲としては良い考えだ。地中に潜って後方を取ったのは褒めてやる。しかし……」 左拳にエネルギーを集中させる。 「俺には通用しない!」 振り向くと同時にラ・グーン・クラッシャーを放つ。 紅葉の新型ドライヴ、クリムゾン・アストライアがチーム『カタストロフィ』のリーダー機に挑む。 「赤光!」 繰り出される一閃。敵は剣で軌道を逸らした。 『遅い。はぁっ!』 剣を大地に叩きつけ、その衝撃波でクリムゾン・アストライアを吹き飛ばす。紅葉はすぐに後ろへ回避した。 シールドを投げ、内部に搭載しているミサイルを雨のように降らす。 「紅華!」 『無駄だ』 敵が降り注がれるミサイルを後ろへと移動して回避する。紅葉はそれを読んでいた。 武器を構え、クリムゾン・アストライアが突撃する。 「赤雨! 紅牙ッ!」 無数の突きを繰り出し、敵を攻撃する。敵は全て剣で受け止めた。 強い。そう、紅葉は感じた。自分の技が通用しない。 敵が剣を再び大地に叩きつけ、衝撃波を放つ。そして、紅葉に言い放つ。 『その程度か? 所詮はAランクか?』 「……まだです。私は、絶対に負ける訳にはいかない!」 ゴウの特訓、ゴウが天才である先代『マグナム・カイザー』に頼んでパワーアップしたドライヴを無駄にしない為にも。 槍を構え直し、集中する。 「自分は『ランドライザー・コマンド』がリーダー、鳴澤紅葉! 全力を尽くしてでも勝つ!」 クリムゾン・アストライアのカメラアイが強い輝きを放つ。全身から炎が上がった。 敵を目を見開いて驚く。今まで戦ってきた相手の中で、見た事が無い事が起きている為に。 後ろへと下がって、様子を窺おうとする。が、それは出来なかった。 クリムゾン・アストライアの全身から発せられる炎が、気づけば、敵ドライヴを取り囲んでいる。 『これは……!?』 「はぁぁぁぁぁぁっ!」 敵を見据えた紅葉が、クリムゾン・アストライアが突撃する。 「神槍……劫火ッ!」 炎がクリムゾン・アストライアの槍を包み、刀身と化して敵ドライヴを一気に貫く。 敵は防御したが、それを呆気なく破られた。 『何……!?』 爆発。それと同時に、クリムゾン・アストライアがその場に崩れる。 全身の炎が消え、水蒸気が吹き出る。目の前に表示される情報を見た紅葉が、その目を見開いた。 「クールダウンに200秒……!? それに、武装が全て……」 使用不可。初めて見た状態だった。 編み出した新技の神槍『劫火』。特訓では、こんな事は一度も無かった。 それなのに、今はこうして動く事も出来ない。 「どうして……!?」 「どうやら、その技は使い勝手が難しいようだな」 敵を全滅させた晃鉄が近づく。 「良くやった。それでこそ、チームのリーダーだ」 「……はい。もう大丈夫です、これでチームは負けません。『ランドライザー・コマンド』は最強です」 そう言って、紅葉は微笑むのだった。 次回予告 明日香「『ランドライザー・コマンド』、完全復活だね!」 飛鳥 「ああ。紅葉も強くなったみたいだし、トーナメント戦が楽しみだね」 明日香「私としては、戦いたくないんだけど……強いから……」 次回、CONNECT20.『最後の一人』 飛鳥 「見せてやるよ、俺のチーム『レザリオン』を」 明日香「次回は久々の私達! そして、チーム戦!?」 飛鳥 「早くメンバー揃えて、最強チームにしないとな」 明日香「そう言えば、歩君の特訓、大丈夫かな……?」 歩 「また俺の負け……」 蓮 「次はコーラな」 明日奈「私は紅茶で良いわ。喫茶店で販売している方でお願い」 瑞樹 「じゃあ、私はポカリで……歩、早くね?」 ※まだ続けてました、罰ゲーム(笑 |
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