CONNECT21.『敗北の予感』


 翌日。飛鳥達、チーム『レザリオン』とチーム『クルセイド』のバトルの日。
 ショップ内のバトル・フィールド前に集まった、両チーム。『クルセイド』のリーダーが軽く頭を下げる。
「今日はよろしく頼もうか、チーム『レザリオン』。リーダーの時任風牙(ときとう ふうが)だ」
「チーム『レザリオン』の……って、俺の事は知っているか」
「そうだな。常戦無敗の『ソード・マスター』蓮杖飛鳥、その実力、見せてもらうぞ」
「見せれたらな」
 飛鳥と時任が互いに威圧する。それを見ていた明日香は、思わず息を呑んだ。
 飛鳥がバトル内容を再確認する。
「バトルは7対7の総当り戦。ハンデは俺だけ全性能半減」
「それで良い。しかし、条件を追加させてもらうぞ」
 時任の言葉に、飛鳥が首を傾げる。
「追加だと?」
「そうだ。お前達が負けた場合、Sランク以上のコネクターは、『クルセイド』のメンバーになってもらう
 そう聞いた明日香達が目を見開いて驚く。飛鳥の言う通りだった。
 チーム『クルセイド』。強いチームを作る為に、戦った相手チームから、容赦なくメンバーを引き抜く手段を取る。
 それが、このチームであり、『レザリオン』を狙って来た理由だ。
 飛鳥が鼻で笑う。
「断る。勝つのは、『レザリオン』だからな」
 強気の発言。時任の口元から笑みが浮かび上がった。
「言ってくれる。必ず、お前を俺の配下に置く」
「やれるものなら、やってみろ。俺達は絶対に負けない」

 ――――そのバトル、両チームの合意と確認しましたっ!

 バトル・フィールド中心に穴が開き、そこからタキシードを纏ったおじさんが出てくる。

「ただ今より、このバトルは公式バトルと認められました。審判は私、リュウマチ小暮さんがやりますっ!」
 審判がバトル内容を説明する。
「バトルは7対7の総当り戦! 相手チームを全滅させたチームが勝利となります!
 また、今回のバトルでは、『ソード・マスター』は全性能半減のハンデです。よろしいですか?」
「ああ。審判、すぐに始めてくれ」
「分かりました! それでは、各チームのメンバーはコネクトを!」



 バトル・フィールドに構築される、チーム『レザリオン』のドライヴ。メンバーである歩は息を呑んだ。
 自分と瑞樹を除いたメンバーのランクと、そのドライヴの性能の桁違いの差。
 これが、自分がスカウトされたチームの最強メンバー。瑞樹が訊いてくる。
「どうしたの、歩?」
「……本当に俺達がレギュラーで良いのか? この中で、目立つくらい弱いぞ……」
 二人のランクと、ドライヴの性能。その差は、あまりにも大き過ぎる。
 弱気になる歩に、飛鳥が「心配するな」と声を掛ける。
「言ったはずだ。お前と瑞樹にピッタリの役割があるから、最強メンバーの一員だって」
「け、けど……」
「大丈夫だ。昨日、俺が教えた事は忘れていないな?」
「あ、ああ……」
「だったら、必ず勝てる。『風の瞳』、ブライト・オブ・ボルテッカは自分の判断で使え」
 飛鳥の言葉に、歩が頷く。そして、蓮へと続けて飛鳥が話し掛ける。
「蓮、分かっているな?」
「ああ。ようやく、お前が俺に盾を渡した理由が分かったぜ」
「遅いわね。やっぱり、最強と言うよりは最弱ね」
「な……!?」
「明日奈、それ位にしておけ。仮に事実だとしても
「おい!?」
「冗談だ。それより、来るぞ」
 飛鳥の一言に、全員が見る。チーム『クルセイド』のドライヴが構築された。
 瑞樹がコンピュータを操作して言う。
「飛鳥さんの言う通り……全員がSRランク……」
「ここまでは予想通りか。問題は……」
 問題は、全員がSRランクと言う難敵がこちらの狙い通りに動いてくるかどうか。
 リュウマチ小暮がフィールドの中心に立つ。
「準備はよろしいですね? それでは、コネクト・バトルゥゥゥ……ファイトォォォッ!」
 審判の合図と同時にバトルが開始する。すぐに『クルセイド』のドライヴが一体、動き出した。
 飛鳥達のドライヴの倍近い大きさのドライヴ。
『一気に終わらせてやるよ。この一撃でな! ギガントブレイクモードッ!』
 ドライヴが飛び出し、各部を変形させて巨大な拳となる。そして、『レザリオン』へと一直線に突撃した。
 一瞬の出来事。しかし、それは飛鳥に読まれていた。
 蓮のグロウネクサスが前に立ち、盾を構える。敵ドライヴの一撃を見事に防いだ。
『何!? ギガントブレイクモードを止めただと!?』
「初めて使ったけどよ、良い盾じゃねぇか。飛鳥、こいつは俺が相手する。良いな!?」
「ああ。元々から、そのつもりだからな。明日香、明日奈!」
「うん!」
「ええ!」
 シルフィーナディアが両手の銃を連結させる。
「ルナライトブラスター!」
 広範囲にビームが放たれる。『クルセイド』のメンバーが散開して回避した。
 ハデスハーツが攻撃を仕掛ける。
「フレイムヴァイパー!」
 放たれる炎の鞭。散開する6体のうち、2体のドライヴを集中して攻撃し、その場に留まらせる。
 そして、2体の前に明日香と明日奈の二人が立つ。
「貴方達の相手は、私と明日香よ」
『女二人で俺達と戦うだと? ふざけているのか?』
『まぁまぁ、落ち着いてくださいよ、先輩。女が相手でも勝てば良いんですから』
「勝てると思っているの? SRランクでも、それほど強くないでしょう?」
「明日奈、それは流石に挑発し過ぎ……」



 明日香と明日奈が敵を散開させた直後。飛鳥と桐生も同時に動いていた。
 敵のリーダーである時任を中心に、3体のドライヴを相手にする。
『3体を相手に、2体で戦う気か?』
「ああ。2体も3体も同じだからな」
 セルハーツがプラズマセイバーを構える。桐生は飛鳥に驚いていた。
(ここまで全て、作戦通りになるとはな……)
 そう、飛鳥の作戦は全て成功していた。敵の動きが飛鳥には読めていたのだ。
 思わず、口元が緩む桐生。前とは比べ物にならないほど強くなった飛鳥を見て。
「蓮杖、見せてもらうぞ、お前の今の強さを。そして、お前が俺に渡した、この武器の性能をな」
「ああ。頼むぜ、桐生!」
 飛鳥と桐生が『クルセイド』のドライヴ3体にバトルを仕掛ける。



 飛鳥達がそれぞれで敵チームと戦い、最後の1体とバトルする事になった歩と瑞樹は驚いていた。
 ここまで、全てが飛鳥の作戦通り。敵の行動や戦う相手までもが、飛鳥の狙い通りになっている。
『おいおい、俺の相手はBとCのザコかよ……』
「ザコって言うな! 俺だって『レザリオン』のメンバーだ、負ける訳にはいかない!」
『たかがCランク程度で、俺に勝てると思うな!』
 敵が銃を構えて、撃つ。歩のアルトリアス・ツヴァイも動いた。
 ブラッディ・ファングを振りかざす。
「いけぇぇぇっ!」
 弾丸を回避し、斬りかかる。しかし、相手はその動きを読んでいたかのように盾で防御した。
『動きが遅いんだよ! 俺のヒューストルには通用しない!』
「だったら!」
 アルトリアス・ツヴァイが剣を振りかざす。
「カイザーネイル!」
『遅いって言ってるだろ!』
 敵が再び盾で防御する。歩が再び攻撃を繰り出す。
 それを見ていた瑞樹が歩に言う。
「歩、距離を取って! もう少し考えて攻撃しないと……!」
「うるせぇ! 俺だけでも一人は倒すんだ!」
「何言ってるの! 飛鳥さんに言われた事忘れてるの!?」
「忘れてない! 『風の瞳』とブライト・オブ・ボルテッカはちゃんと考えて使う!」
「そっちじゃない!」



 蓮が相手するドライヴは、防御力がとても高かった。
 グロウネクサスが攻撃を何度も繰り出しては、何度も防がれている。
「チッ、意外と堅いな……!」
『当たり前だ。ガンゴウオンの装甲は、どんな奴が相手でも破れる事はない』
「言うじゃねぇか。それでこそ、倒し甲斐があるってもんだ」
 グロウネクサスの拳に炎が纏わる。
「装甲が堅いなら、それを砕けば良いだけだよな」
『ふん、Sランク如きで俺に勝てると思うな!』
 ガンゴウオンが両腕から刃を出現させ、斬りかかる。グロウネクサスが動いた。
 回避し、その懐に入り込む。
「バーン・ブレイジングッ!」
 腹部を殴る。しかし、敵の装甲が厚い為か、ほとんど通用していない。
 しかし、蓮はそれを分かっていた。だからこそ、このタイミングなのだ。拳に水が宿る。
「ランサー・スプラッシュ!」
 再び腹部を殴る。蓮は確実に捉えたと思った。
 しかし、それは違った。ガンゴウオンの装甲にほとんどダメージはない。
「何!?」
『急激な温度変化で装甲を砕こうなんて考えは甘過ぎるだろ』
「……みたいだな。さて、どうしたものか」
『今度は俺の番だ! ギガントクラッシュッ!』
 両腕の刃が振り下ろされる。蓮はグロウネクサスの拳に氷を纏わせた。
 刃を氷に滑らせて回避し、一気に距離を取る。
 敵の強さに、蓮は苦笑いを浮かべていた。
「マジかよ……! こりゃ、勝てる気しねぇかもな……」
 本気でそう思う蓮だった。



次回予告

 明日香「す、凄く強いんだけど……」
 明日奈「流石に手強いわね……」
 飛鳥 「まぁ、相手はSRランクだからな。それでも、このバトルは絶対に勝つ!」

  次回、CONNECT22.『流れを変える一撃』

 飛鳥 「流れは変わる。俺はそう信じている……!」

 明日香「次回は反撃開始!」
 明日奈「そうね、負けるわけないわね。私と明日香なら」
 蓮  「お前らは良いよな、二対二で……」
 明日奈「あら、あなたは負けたら、今度から最弱のコネクターその1って呼ぶわよ」
 蓮  「んな!?(;゚Д゚)」
 歩  「最弱のコネクター……(*′艸`)」
 瑞樹 「その1って事は……歩がその2なんじゃ……(^^;)」
 歩  「何!?Σ( ̄□ ̄;」
 明日奈「当然でしょう?」
 桐生 「緊張感が無いが、良いのか?」
 飛鳥 「良いって、次回予告だし」
 明日香「良いのかな……」



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