宿命の聖戦 〜Legend of Desire〜
  お正月特別エピソード 皆で羽根つき大会






「よっしゃ、お正月特別イベントぉ! 羽根つき大会だぁぁぁ!」
 元旦の神崎家の庭で、ハヤトのクラスメイトである丸坊主頭の亀田豊が吼える。
 毎年恒例の儀式を終えて、なぜか現れた彼らにハヤトは溜め息をついた。
「はぁ……神崎家でやってる儀式が終わって、ようやく初詣できると思ったのに……」
「まぁまぁ……。それに、たまには皆でお正月を祝うって言うのも良いと思うし……」
 学級委員長を務める片桐美香が苦笑する。亀田はそんな事など気にせずに言葉を続けた。
「ルールは簡単! クジ引きでペアを決め、トーナメント方式で羽根つき!
 優勝したペアには、デートができる権利を与えましょう!」
「……いや、お前が与えるのって変だろ」
「それでは、皆、クジ引けぇぇぇ!」
 一人だけ盛り上がっている。そんな状態だ。いや、すでに彼の頭にシナリオが描かれている。
 ハヤトは溜め息をつき、もう何も言わずに黙る事を決めた。



 クジ引きの結果で、亀田が不満を上げる。
 そんな彼を見て、彼の親友である眼鏡をかけた館林慎吾が溜め息をついた。
「ぬぉぉぉ、どうしてお前とコンビにならにゃぁいかんのだぁぁぁ!?」
「クジ引きでそうなったんじゃないか……」
「加賀見さん、頑張りましょう!」
「うむ。勝負事なら勝つ為にも努力する」
 アリサはハヤトの親友である加賀見陽平とペアになった。
 そして、ハヤトは片桐美香とペアを組み、残った御堂えんなと後輩の紺野美咲である。
「……あたしらは残り物みたいな言われ方……」
「御堂先輩、誰に向かって言ってるんですか?」
「……気にしないで。独り言だから」
 とにかく、彼らの羽根つき大会が幕を開けるのだった。





 一回戦、亀田豊&館林慎吾ペア VS アリサ&加賀見陽平ペア

 羽根を手に、亀田が陽平を睨みつける。
「加賀見ぃぃぃ、俺が勝ったら、ペアを交代だ!」
「……俺と館林を交代するのか?」
「んなわけあるかい! 慎吾と神崎さんを交代する! 俺の彼女として――――へばぁっ!?」
 その瞬間、後頭部に強烈な一撃を受ける。当然、亀田は気絶した。
 後ろには羽子板を片手に振り落としているハヤトの姿がある。
「……馬鹿な事言うと、次は連続で放つぞ?」
 どうやら、ハヤトが亀田を攻撃したらしい。おそらく、アリサの為に。
「ハヤトさん……。大好きです」
 アリサがハヤトに微笑む。ハヤトはそんなアリサを見て照れる。
 一回戦は、亀田の負傷によりアリサ&陽平ペアの不戦勝だと言う事は、お決まりである。





 二回戦、ハヤト&片桐美香ペア VS 御堂えんな&紺野美咲ペア

 ハヤトが羽子板を構えて瞬時に羽根を打つ。その姿は、まるで華麗なるテニスプレーヤー。
 羽根が意思を持ったかのように御堂えんなと紺野美咲の間に落ちる。先制点。
「ちょっと、最初から本気は卑怯よ、ハヤト!」
「そうです! でも、これが先輩の愛の形なら、私、ちゃんと受け止めます!」
「そう言う事を言ってる場合じゃないでしょ、あんたは! 今のハヤトは敵! 良いわね!?」
「敵でも、私と先輩の愛には関係ありません!」
 紺野美咲、この頃暴走の激しいハヤトの追っかけと言う事を自覚していない後輩。
 立て続けにハヤトの連続点。美香が苦笑する。
「神崎君、どうしてそんなに上手なの……?」
「要はテニスと同じだろ? だったら、ある程度呑み込めるし」
 流石は天才。どんな事であろうとも、一瞬にしてプロ唖然の実力を得る。
 結果、二回戦はハヤト&美香ペアが圧勝。





 早くも決勝戦。ハヤト&片桐美香ペア VS アリサ&加賀見陽平ペア

「頑張ろうね、神崎君!」
「頑張るのは頑張るんだけど……これって、亀田がデートしたいから計画したんじゃ……」
「そう言えば……優勝したら神崎君とデートできるんだよね……?」
「……まぁ、そうだけど」
 美香の言葉にハヤトは頷く。美香は頬をやや赤らめていた。
 そう、彼女もハヤトに恋心を抱いているのだ。誰も気づかない理由は、彼女がそれを隠しているからである。
 アリサは頬を赤くしている美香を見て、笑顔でハヤトに言う。
「ハヤトさん、お互い、悔いのないように頑張りましょうね?」
「あ、ああ……」
 ハヤトは一瞬で感じた。アリサから伝わってくる怒りに。
 どうやら、優勝したら酷い目に遭いそうで恐い。陽平が羽根を持ってハヤトに言う。
「……優勝したら、とりあえず亀田を始末するか? 手伝うぞ」
「……いや、そんな事するくらいなら、お前を優勝させた方が早い」
「確かに……」
 陽平が羽根を打つ。それを美香が打ち返し、アリサの方へ向かう。
「ハヤトさん」
「何?」
「……私の想い、受け止めてくださいね♪」
「……何!?」
「えいっ!」
 アリサが打つ。弾丸の如く羽根が返された。しかも、美香の方向に。
 ハヤトが素早く彼女の前に立って打ち返す。羽根は宙を舞い、ポトリと落ちた。
 アリサ&陽平ペア先制点。ハヤト、まさかのミス。
「やっぱり、失敗する時は失敗するものだな」
「大丈夫だよ。次も頑張ろう!」
 美香の励まし。アリサがそれを見て不満そうな顔をする。
 ハヤトは悩んだ。どうやって負けるか。
「はぁ……。誰か俺と交代してくれ……」
 この後、ハヤトと陽平の打ち合い(二人の策略)で決着がつかず、両ペア優勝となったのは言うまでもない。

 ちなみに、アリサと美香からデートに誘われたハヤトは、心の底から逃げたいと思うのだった。






「いやはや、もう終わりですか、羽根つき大会は」
「少しは楽しめたね。まぁ、ハヤトにとっちゃ、災難だったかもしれないけど」
 縁側で二人、シュウハとコトネが日本酒を口にしつつ言う。
 彼らの後ろには、もう飲み尽くされた日本酒が数本。顔色が変わらない二人は、とても強い。
「今年は、また賑やかな年ですね」
「それよりシュウハ、つまみが切れたぞ。何か適当に持って来い」
「適当になかった場合には?」
「買って来い」
 コトネの言葉に、シュウハは渋々とその場を立った。






 カンザキのあとがき=言い訳
  失敗(汗)。今回はハヤトとアリサのお話ではなく、ギャグ方面へ。
  しかし、なぜかハヤトと片桐美香の雰囲気を考えました。アリサより良いかも……(滅)。
  さぁ、クリスマス、お正月とエピソード書きましたので、今度は本編です!
  今年こそ、聖戦は完結させたいです。そして、第二作へ取り掛かりますよ!(何

  それでは皆様、今年もよろしくお願いいたします。m(_ _)m




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