ゼルサンス国首都。その首都へと迫る大量の化け物――――グルヴァル。 そして、グルヴァルから守る為に作られた城塞。その城塞の前に、一機のロボットが立った。 漆黒のロボット。名は霊兵機アスティード。 「凄ぇ……本当に俺の意思で動くのか」 『グルヴァルの接近を確認。戦闘準備』 霊兵機アスティードに搭載された”スラフシステム”と呼ばれるコンピュータ・ガイアが言う。 『戦闘方法について、説明する。まず――――』 「んな必要はねぇ! とにかく攻撃だ!」 アスティードを突撃させる。そして、グルヴァルを容赦なく殴った。 殴られ、悲鳴を上げるグルヴァル。ガッツポーズを取るロードに、ガイアが呆れ口調で話す。 『まさか素手で戦うとは……しかし、素手は有効な攻撃方法ではない』 「じゃあ、武器でもあるのか?」 『当然だ。アスティードには、接近戦用の武器として、霊剣ザンクトゥアーリウム。射撃武器に――――』 「よし、霊剣ザンクトゥアーリウムだ!」 『……了解』 諦めたかのような口調で、ガイアが答える。アスティードが剣を手にした。 迫り来るグルヴァルを相手に、ロードがニッと笑う。 「剣なら、一気に倒してやるぜ! 玄武正伝掌ッ!」 力を集中させ、剣を振り抜く。グルヴァルを真っ二つに断ち切った。 『キシャァァァァァァッ!』 グルヴァルが咆哮を上げる。 宿命の聖戦 〜THE FINAL LEGEND〜 第一部 希望と優しき心 ロード編 第五章 初めての戦い モニター越しにロードのバトルを見る。そして、ガリュドスは難しい顔をした。 霊兵機の動きは良い。だが、どこか不安がある。 「霊力の扱いが出来ていない」 それは、霊剣を見れば分かる。霊剣には、霊力の流れ様な物は一切感じられない。 近くにいる兵士にコンピュータを操作させる。 「霊兵機アスティードの霊力解放率を出してもらえるか?」 「はい。霊力解放率は……」 「解放率は10%程度よぉ〜。意外と低いわね」 ベティオムが答える。ガリュドスの目が若干見開いた。 「10%……低過ぎる」 いくら、霊力を必要としない霊兵機とは言え、霊力者である人間としては低過ぎる。 つまり、ロードは霊力の扱い方がまるで分かっていない。 「……これは、厳しい戦いになりそうですね」 グルヴァル相手でも苦戦するだろう。しかし、これでは”ゾレア”に対抗など出来ない。 「やはり、ここは……」 『こちら、ゼイオンレイディア。任務完了の為、帰還致します』 突如、通信が入る。通信先の声に向かって、ガリュドスが笑みを浮かべた。 「クレーメル=シンドルネニサ将軍か。意外と早かったな」 『ええ。私の部隊は優秀な人材ばかりですから。しかし、なぜガリュドス将軍がそこに?』 「話は後ほど。今は、グルヴァル殲滅の為に、アスティードの援護を」 『アスティード? なぜ、私の部隊の最新機が? そもそも、あれには操者が……』 「ですから、話は後ほど致します」 『……分かりました。首都での戦況が確認でき次第、援護を行います』 アスティードを操作して、ロードがグルヴァルを倒していく。ガイアが喋った。 『霊力の解放率が低い。これでは、”スピリット”の発動ができない』 「スピリット? 何だ、それ?」 『スピリットとは、霊力を一時的に増幅させ、戦闘力を上昇させるシステムの事だ』 「んだよ、そんなのがあるなら、とっとと使えよ」 ロードの言葉に、ガイアが溜め息をつく。 『今の君の霊力解放率では発動は危険だ。それに、アスティードのスピリットシステムは――――』 「っと、そんな場合じゃねぇな! ガイア、他の武器!」 『……射撃武器の霊力銃アルク・リボルバー、装備』 アスティードの左手に銃が装備される。ロードがすぐに引き金を引いた。 しかし、何も起きない。 「……おい、何も出ないぞ。弾切れか?」 『……今の君では無理のようだな』 「は、俺のせいか!?」 『当然だ。霊力銃アルク・リボルバーは、操者の霊力によって霊力弾が装填される仕組みだ』 つまり、霊力を霊兵機へ上手く伝えない限り、この銃は使えない。ガイアが呆れる。 『霊兵機の操作も知らなければ、霊力の解放も上手くできないとは……素人にも程がある』 「テメ……機械のくせに……!」 『私は事実を述べたまでだ』 「ぐっ……」 ガイアの言葉に反論が出来ないロード。 自分では霊力を上手く扱えていると思っていたが、違っているらしい。 いや、それもそのはず。ロードは霊力の修業を我流でしかやっていない。 だからこそ、正しい霊力の解放の仕方も分からないのだ。 『さて、グルヴァル程度ならスピリット無しでも良いだろう。しかし、グルヴァル・ゾレアは難しいな』 「……やっぱ、ゾレアって言うのは、霊力がないと無理なのか?」 『無理だ。アスティードのスピリットシステムを使いこなすには、霊力は必要不可欠と言っても良い』 「まともな霊力の扱い方、無理言ってでも教えてもらえば良かったな……我流とかじゃなく」 とにかく、今は周囲のグルヴァルをどうにかしないといけない。 そう思っていた矢先、グルヴァル・ゾレアが襲い掛かってきた。 巨大な爪がアスティードを襲う。 「ぐぁっ!?」 『右胸部ダメージを確認』 「この……!」 剣を振るう。グルヴァル・ゾレアは剣を回避した。 『運動性がデータと違うな』 「だったら、朱雀爆輪剣!」 振るう。しかし、何も起こらなかった。 「……何も起きねぇ? まさか、霊力を引き出さねぇと、霊兵機の時じゃ上手く技も出ねぇのかよ!?」 『アスティードを動かせても、戦闘がこれでは……』 「こう言う時、何か考えるのがコンピュータとしての役目だろ!」 『仕方ないだろう。私も、今回が初戦闘だ』 「初戦闘で偉そうな口叩いてたのか――――!?」 瞬間、吹き飛ばされる。アスティードのカメラアイが消灯した。 『アスティード、戦闘不能』 「マジかよ……!?」 『キシャァァァァァァッ!』 グルヴァル・ゾレアが腕を振り上げる。ロードは目を閉じた。 咆哮と共に、腕が振り下ろされる――――が、その腕が吹き飛んだ。 グルヴァル達が吼える。その後で、首が次々と吹き飛ばされていく。 「グルヴァル、残数確認。殲滅」 「残ったのは、ゾレアだけね。相変わらず、良い腕してるわ」 「まぁ、この程度の数ならゼイオンレイディアだけでも十分だったろうがな。で……」 グルヴァルを殲滅した人間達がアスティードを見る。 「あれはメルが言っていたアスティードだろ? 何で動いている?」 「ようやく、動かせる操者が見つかったって事じゃない?」 「ゾレアを撃破。任務完了」 「おい、俺達の出番無いじゃねぇか。とりあえず、アスティードを回収する。手伝え、セリーヌ」 「私なの?」 「当たり前だ。俺とお前だけ、何もやってないんだからよ」 そう言って、アスティードに近づく。 ゼルサンス国、ゼイオンレイディア収容格納庫。そこに、アスティードは収容された。 コクピットを開けながら、メカニックのベティオムがアスティードの状態を確認する。 「結構やられちゃったわねー☆ ロードちゃん、大丈夫?」 「……ああ。カッコ悪いなぁ、俺……」 「初戦闘だものね。気にしない、気にしない☆」 そう言いながら、ロードを引きずり出す。その光景を見ている人間が三人いた。 そのうちの一人、長身の女性が近づき、ロードを見るなり、ふーんと頷く。 「この子がアスティードの操者? 顔はまぁまぁね。名前は?」 「……ロード=エルナイス=カンザキ」 「珍しい名前ね。こっちは――――」 「セリーヌ、自己紹介は後にしてもらいます。このお方は私の客人ですので」 と、そこへガリュドスが現れる。三人が敬礼する。 「ガリュドス将軍のお客ですか?」 「ええ。このお方には、陛下への謁見があります為、失礼します」 そう言って、ロードを引っ張る。セリーヌの後ろで立っているだけの二人も驚いていた。 メルが欲しがっていた霊兵機アスティードの操者。それがまさか、将軍の客人とは。 ゼイオンレイディアから降りたメルが、すぐにアスティードに近づく。 「ファイクさん、アスティードの操者は?」 「先程、ガリュドス将軍が連れて行かれました。陛下へ謁見との事です」 「陛下の所?」 メルが首を傾げる。なぜ、自分ではなく陛下に会わせるのか。 予想できる理由は一つ。霊兵機アスティードの操者は、何か特別な事情がある。 そして、それにはガリュドスも絡んでいるのだろう。 しかし、そんな事はメルにとってどうでも良かった。アスティードを動かした人間が誰なのかを知る必要がある。 ただ、それだけだった。そう決めた途端、メルが歩き去っていく。 一方で、ベティオムがアスティードのコクピット付近から足元へ降りる。 「アスティードの内部は問題無いわね。ガイアちゃ〜ん、他にどこか悪い所とかある?」 『アルク・リボルバーへの霊力伝導率が低い。もう少し上がらないだろうか?』 「そう言われても、アルク・リボルバーは試作段階なのよね〜」 「おい、こいつ喋れるのか?」 ダルバンが話し掛ける。にっこりと笑ったベティオムが頷いた。 「そうよぉ〜☆ 知らなかった?」 「知るわけないだろ。そう言う説明すら無かっただろ、ベティオム」 「あら、そうだったかしら? でも、ダルバンちゃんじゃ動かせなかったものね、この子」 だからこそ、ついに操者が見つかって、初戦闘を迎えたわけだが。 セリーヌが訊く。 「それで、アスティードに乗ってた子って何者? ガリュドス将軍の客人って言っていたし」 「ロードちゃん? あの子は地球人なのよ☆」 「地球人? どうして、地球人がネセリパーラにいるわけ? そもそも、地球人がガリュドス将軍の客人……?」 「詳しい話はガリュドス様かメルちゃんに訊いたら? 陛下の所で色々とお話するでしょうし」 ゼルサンス国首都の中心に立つ城。そこに、ロードは連れて来られた。 そして、ただっ広い空間。目の前には階段らしき段差と、王様が座るような椅子がある。 そこの椅子には、ロードと同じ歳くらいの女の子が座っていた。 「陛下、ご紹介いたします。この方はロード=エルナイス=カンザキ。地球の人間です」 「地球の? どうして、地球の御方がこちらの世界へ?」 「それが、どうやら時空の歪みが発生したようです」 「……なぁ」 ロードがガリュドスに話し掛ける。 「……もしかして、この子があんたの言ってた陛下?」 「ロード様、何を今更……」 「だって、普通陛下とか言ったら、もっとこう、おっさんで……」 「貴様、陛下に対して何たる言葉を!」 近くにいた兵士が剣を抜き、ロードに向ける。その剣をガリュドスが制した。 一瞬のうちに引き抜いた剣で兵士の剣を吹き飛ばし、睨みつける。 「行動は慎みなさい。この方は地球の人間です。手荒な真似をしてはいけない」 「し、しかし、ガリュドス将軍……!」 「そうです。それに、私は普通にお話して頂ける方が、気が楽です」 そう言いながら、陛下が椅子から立ち上がり、ロードに向かって礼をする。 「初めまして、ロード=エルナイス=カンザキ様。私はシルファリア=プリセス=ゼルサンスと申します。 お話は全てガリュドス将軍から伺っております。私共の国の為に戦って頂き、ありがとうございます」 「別に。結局、ボロボロだったけどな」 お陰で、課題は出来た。霊力のちゃんとしたやり方で引き出せるようになる事だ。 そうすれば、あの霊兵機とか言うロボットでまだ強くなれる。 ガリュドスが話を続ける。 「陛下、御話し致しました通り、ロード様が我々の一員に加わる件、ご許可をお願い致します」 「はい。ロード=エルナイス=カンザキ様は、それで宜しいでしょうか?」 「ああ。どうせ、地球に帰っても面白くないしな。つーか、ロードだけで良いぜ、シルファリア」 「分かりました。以後、宜しくお願い致します、ロード様」 「おう」 もはや、周囲にいる兵士達は諦めていた。ロードの言葉遣いや態度については。 なにせ、相手は地球人でガリュドスの客人だ。下手をすれば、自分達が怒られる。 さらにガリュドスが話を進める。 「それでは、ロード様は私の部隊に配属を――――」 「お待ちください!」 バン、と扉が強く開かれる。現れたのは、紫のセミロング――――メルだった。 ガリュドスの隣まで歩き、シルファリアに敬礼する。 「失礼します。クレーメル=シンドルネニサ、任務遂行の為、帰還致しました」 「はい。ご苦労様です、シンドルネニサ将軍」 「いえ。それで、彼の件で御座いますが」 そう言いながら、ロードを見てシルファリアへと再び目線を戻す。 「彼は、私の部隊にて開発された霊兵機アスティードに搭乗した操者です。私の部隊への配属を希望します」 「待ちなさい、シンドルネニサ。彼は地球の人間です。あなたに彼を預ける訳にはいきません」 「地球人!? なるほど、だから陛下への謁見を……それに、今朝倒れていたと言う人間は、彼と言う事ですね」 これで納得した。霊兵機アスティードに乗れたのは、地球人と言う特別な存在だった。 しかし、それも関係無い。メルがロードに近づく。 「私は『流華』の将軍クレーメル=シンドルネニサと申します。あなたは?」 「……ロード。ロード=エルナイス=カンザキ」 「カンザキ? 確か、その名は……」 「ええ。彼が、聖戦を終結させし王の子です」 「やはり……分かりました」 だから、ガリュドスは自分の部隊で預かろうとしている訳だ。 だからこそ、やはり欲しい。アスティードの操者として。 「私の部隊に来ていただけませんか、ロードさん? 私の部隊なら、あなたも気に入るはずです」 「んな事言われてもなぁ……あのロボット動いたけどよ、霊力の特訓しねぇと、まともに戦えないぜ」 そう、ロードが説明する。しかし、メルは引かなかった。 「でしたら、霊力についてはガリュドス将軍にお願い致します。しかし、彼は私の部隊にください」 「アスティードの操者として、ですか?」 「はい。それに、見たところファイクさんと同年齢のようですし、彼の為にも」 「……分かりました。陛下、それで宜しいでしょうか?」 メルの言葉に、ガリュドスは納得してしまっていた。ロードは思った「こんな事で良いのか」と。 話に入れず、ただ見ているだけだったシルファリアが頷く。 「良いでしょう。ロード様はシンドルネニサ将軍の部隊に」 「ありがとうございます。では、行きましょうか、ロードさん」 「え? お、おう……」 再び、どこかへ連れて行かれる。ガリュドスが溜め息をついた。 「……相変わらずだな、シンドルネニサは。しかし、流石は『流華』か」 自分のように先陣に立つ者とは違う。しかし、将軍として考えている事が違う。 霊兵機アスティードについては、ベティオムに聞いた程度だけだが、あの霊兵機は扱い慣れれば力強い。 少なからず、意識しているはずだ。グルヴァル・ゼイオとの戦闘を。 「へ、陛下っ……!」 突如、一人の兵士が謁見の間に姿を現せる。その姿を見て、ガリュドスは目を見開いた。 ボロボロな全身。そして、失われている左腕。血が止まる事無く、滴り落ちている。 「何がありました? 所属は?」 「ヴィ、ヴィトラス部隊……たった一機の謎の敵機と思われる存在に……全滅……!」 「全滅……? あの、ヴィトラス部隊が?」 その事態は、ガリュドスまでもが驚愕するほどだった。 クレーメルと言う女性に連れて来られたのは、アスティードを格納している倉庫だった。 再び戻ってきた場所。そこには、何人もの人間が整列している。 「改めて、私は『流華』の将軍クレーメル=シンドルネニサです。メルとお呼びください」 「ロード=エルナイス=カンザキだ。よろしく……」 「そして、この子はミーユ=ラニエア。一応、私の補佐役です」 手招きして呼び寄せた少女の自己紹介をするメル。ミーユと呼ばれた少女を見て、ロードは目を見開いた。 「確か、ガリュドスに薬飲まされる前に話し掛けてきた……」 「はい。あの時は命令でご挨拶できなかったですけど……」 「んじゃ、改めて。ロードだ、よろしくな」 「はい! 宜しくお願いします!」 「それで、あの中年がダルバン=オルキニシス、ただのおっさんです」 「おっさんって、メル、お前な……」 メルに指差された男が頭を掻きつつ、溜め息をつく。 「……ダルバン=オルキニシスだ。メルはああ言っているが、これでも元ヴィトラス部隊の隊長だ」 「ヴィトラス……?」 「ダルバン、地球の人がヴィトラスとか知るわけないでしょ。それに、隊長職クビになった身なんだし。 あ、私はセリーヌ=エマンね。ようやく自己紹介できたわね、ロード君」 「お、おう……」 「で、この子はファイク。多分、同年代でしょ? ファイク、今いくつだっけ?」 「17だ。ヴェルファイク=リュークレルゾン、宜しく」 「俺と同い年……さっきメルの言っていたファイクがお前か……」 無愛想な顔だ。それも、表情がほとんど変わらない。 ロードに集まるメンバー達を見ながら、メルが話を進める。 「彼は、とある事情で地球からネセリパーラに来てしまった地球人です。しかし、それはどうでも良いでしょう。 分かっているのは、ロードさんには今後、霊兵機アスティードの操者として、皆さんと一緒に戦って頂きます」 「やっぱそうなるか。しかし、大丈夫なのか? 見た限りじゃ、アスティードを上手く乗れていないようだぞ」 と、ダルバンが痛いところを突く。メルが「大丈夫」と笑顔で言った。 「これから強くさせます。霊力についてはガリュドス将軍に、霊兵機の戦い方はダルバンさんに任せますので」 「俺かよ……」 「ま、妥当でしょ。ただの中年のようで、実は凄腕なんだし」 「セリーヌ、その言い方は酷くないか」 「自業自得ですよ」 メルがトドメを刺す。その様子をロードは顔を引きつらせながら、ファイクは無表情に見ていた。 「しかし、これで私の考えていた部隊のメンバーが揃いました。これなら、二人の将軍達やヴィトラス部隊にも――――」 「シンドルネニサ将軍、大変ですっ!」 一人の兵士が話の腰を折る。メルの瞳が鋭くなり、その兵士を睨みつけた。 よくも、人が話している途中に現れたな、そう言わんばかりに。 「大変って、何が? 内容によっては……」 「グルヴァルとは別の敵により、ヴィトラス部隊が全滅! 数は……たったの一体との事!」 「全滅!?」 メルが驚く。その様子を見ていたロードが首を傾げた。 「……何だよ、ヴィトラス部隊って?」 「ヴィトラスとは、かつて世界を救いし《霊王》の霊戦機ヴァトラスを模した霊兵機の事だ」 「霊戦機? 模した?」 「性能は霊戦機ヴァトラスと同等かそれ以上と言われ、ヴィトラス部隊とは、霊兵機ヴィトラス10機による最強部隊」 「……マジか」 ファイクの説明を聞いたロードが驚く。霊戦機とか分からない事ばかりだが、とても優れた部隊なのだろう。 しかし、その部隊が全滅した。それも、たった一体の敵によって。 表情を険しくしながらも、メルが兵士に訊く。 「敵の特徴とか、情報は?」 「分かっているのは、敵は霊兵機のような姿としか……」 「霊兵機と同じような姿……まさか、怨霊機の類……?」 考え込む。再び、ロードが首を傾げる。 「……今度は怨霊機かよ。ガリュドスが言ってた《霊王》と《覇王》の戦いと関係でもあるのか?」 この時のロードは、まだ何も理解できていない。 しかし、戦いは始まっていた。ロードにとって、全世界にとっての新たなる聖戦が―――― |
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