聖霊機ライブレード正伝 君の想いが俺に届くまで・・・ 第2話 戦う意思

「晃――――!!」  フォルゼンという男の車に乗り込んだところで、晃一郎を見かける。瞬間、目を見開いた。  制服を着た晃一郎が、同じように制服を着た男と歩いている。その男は、紛れもない自分自身だ。 「今、俺がいた……? いったいどういうこと、だ……」 「……あの人物こそがこの世界での君であり、ここにいる君は存在していないことになっているんですよ」  車を出しつつ、フォルゼンが答える。トウヤは眉間にしわを寄せた。 「言ってる意味がわかんねぇよ……それに晃一郎の奴、学生服だったぞ……。さっきまで私服だったのに……」 「不安定な存在としての君がいなくなり、この世界の刻は秩序を取り戻した。そういうことです」 「……?」  トウヤが首を傾げる。フォルゼンは苦笑した。 「うーん……」とやや困った顔をしつつ、話し出す。 「そうですね……君が暮らしているこの世界も日々様々な出来事が起こっていますよね?  色々な選択をして未来を構築していく……つまり、不安定だった世界が選択によって確定されてゆくのです。  しかし、君も一度は思ったことがあるはずです。もし、あの時、別の選択をしていたら、と」 「……何が言いたいんだ?」 「つまりですね。君の住んでいた世界も大きな分岐の一つだった、そう言う事です。  選択によって世界が変貌するワケではなく、世界は変貌せずにつねにそこにあります。  ただ我々の認識の限界としてあたかも世界が一つしかない。そう思っているだけなのです」 「……別の世界がいくつも存在する……。そう言う事か?」  その言葉に、フォルゼンが頷いた。 「はい。この世界とは違った、”また別の場合”の世界。  起こりうるあらゆる状況が用意された世界もあると言う事です」 「でもここは……」 「はい。君がいた世界ですよ。ですが、君の存在が不確定になった事で、別の可能性の世界になっただけです。  変貌ではなく分岐という変化をとげた瞬間です。だから、本来ここにはいない君が消されかけたと言う事です」 「しかし、俺はこうしてここに存在している……なぜなんだ?」 「簡単な事ですよ。君はもうこの世界の人間ではない、と言う事です」 「は、はぁ?」  目の前の信号機が赤に変わったのを確認し、フォルゼンがブレーキを踏む。  そして、トウヤの方を向いて、静かに言った。 「正確にはこの世界との関係を断ち切り、新たな世界と関係を結んだのです。  我々の住む世界、アガルティアとね」 「……アガルティア……? 何だ、それは?」                                       to be continued...



 第3話 少女の決意

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