Drive-Connect! 〜Episode of Arbitrator〜


  - プロローグ 『一日の始まり』 -



 季節は夏、時刻は登校時間。

 いつもの道を急いで走る彼の名前は時雨光哉(しぐれ こうや)。
 成績優秀で礼儀正しい少年だが、今回は寝坊したらしく、時間との戦いを繰り広げていた。
「ったく…『アクティブ・ウェポン』のチェックをしていたらこんな時間になるなんてな」
 とりあえず自分の状況を口に出してみるが何にもならない。

とにかく、光哉には急ぐしか無かった。『遅刻』と言う『敵』に 負けない為に…。




 今では流行となった携帯ツール『ドライヴ』。光哉もその『コネクター』の一人である。
 コネクターにはランクと言うものがあり、コネクターの実力の差を現す階級のようなものである。
 主にE、D、C、B、A、S、SR(ソーラレイカー)の7つに分かれており、
 光哉は『SR(ソーラレイカー)』ランクのコネクターである。




 そして、舞台は移り変わり学校へ。
「光哉君…遅いな…」
 教室で光哉を心配する少女の名前は如月沙由華(きさらぎ さゆか)。
 多少、天然の入った性格だが、基本的にしっかり者の少女。

 光哉君の事を考える度に、自分が彼と付き合い始めた頃の事が鮮明に思い出させる。



 光哉君とは中学三年生になった入学式の日に、自分がナンパされている所を助けて貰ったのが始まりだった。
 三年生になってからはクラスも同じで、席が隣同士だったからせいか、光哉君はよく私に話しかけてきてくれた。
 私は、ナンパから助けて貰った事もあり、彼の話を聞く度に興味を持つ様になって行った。
 その時は、まだ自分の感情が『恋』であるなんて思いもよらなかった。

 私が光哉君を好きだと認識したのはこれから一週間後の事。
 ショップに行き、新しいアクティブ・ウェポンを購入しに出かけた時だった。
 私がショップに着くと、彼が悪い事をしているコネクター達と戦っていた。
 その時の光哉君の姿はとても強くて、格好良くて…私が彼に惹かれていくのは時間の問題だった。

 それから数日して、私は光哉君のことばかり考えている自分に気付いた。
 クラスの男の子を光哉君を基準に見比べていたり、放課後に街を歩いては偶然出会えるのではないかと彼の姿を探していたりしている自分が居た。
 そして、私はその気持ちが『恋』だとようやく気付いた。
 友達にこの事を相談したところ、やはり『恋』だと言われた。
 この時に漸く、私の気持ちが分かった気がした。

 それから、私は光哉君と様々な所に出かけたりするようになった。
 一緒にショップに行って買い物したり、同じコネクターだと言う事で話が盛り上がったりして…とにかく楽しかった。
 光哉君と出かける度に彼が好きだと言う気持ちがどんどん大きくなっていって…。
 私は光哉君に告白しようと思った。


 それから、ある日の放課後…。私は光哉君を公園に誘った。
 今日こそ光哉君に私の気持ちを伝えるために…。
 光哉君は快く私の誘いにのってくれた。


 暫く、光哉君とお話をしながら公園を歩いていく。
 時間も夕方になり始めた頃、私は光哉君に声をかける。
「あの…光哉君…」
「ん…? どうしたんだい?」
 光哉君は優しい瞳で私を見つめてくる。
 私は光哉君を見つめて、遂に決心した。

「聞いて欲しいことがあるの…………光哉君…私、貴方の事が…」
 私が告白をしようとしたその時
「待って…そこからは俺に言わせてくれないか?」
 光哉君から私にとって、意外な言葉がかけられる。
「えっ?」
 私は驚いて顔を上げる。光哉君は真剣な表情だった。
「俺は…俺は、沙由華が……」
 光哉君は言い詰まる。
「俺は、沙由華の事が好きだ」
 光哉君は、はっきりと私の瞳を見つめて言ってくれた。
 正直、信じられなかった。光哉君が私の事を好きだなんて。
 私の片想いだと思っていたから…本当に彼の言葉は嬉しかった。
 彼のしてくれた告白は本当に暖かい感じがした…。
 だから私は…
「私も…光哉君の事が…好き」
 自分の精一杯の想いを伝える…。


そして…その言葉の後から、私達は恋人同士になった。



それから三ヶ月が経ち、季節は夏。間も無く夏休みである。


「何とか間に合ったか…」
「光哉君!」
 俺が教室に入って真っ先に声をかけて来るのは俺の大切な人。
 俺は沙由華の隣の席である、自分の席に腰掛け、挨拶を交わす
「沙由華、おはよう」
「おはよう光哉君!」
 沙由華も笑顔で挨拶を返してくれる。俺はそんな沙由華を可愛いと思う。

「それで…今日はどうして遅くなったの?」
 沙由華が上目使いで聞いてくる。
「(か、可愛い)」
 正直、沙由華は凄く可愛いと思う。俺が師匠と呼んでいる人の彼女よりも可愛いと思う。
 まぁ…俺がそう考えているだけかもしれないが。
 俺は理性を抑えながら応える。
「『ライトブリンガー』のデータをチェック…していたんだ」
「本当に?」
「うん、でも…まだ足りない」
「光哉くん…」
 沙由華が心配そうに見つめてくる。
 沙由華はいつも、自分の事のように俺の事も考えてくれる。

「今の段階では、師匠の『ファルシオンセイバー』との違いも分からないし、俺の両親が遺した『レガリア』のデータの事も詳しくは分からないし…」
 『ファルシオンセイバー』とは格闘戦のスペシャリストと呼ばれる『ソード・マスター』の証。
 全てを断つ力を秘めており、現在の所有者は『蓮杖飛鳥』。
 バスターファルシオンと呼ばれる、光の剣を出した状態が真の姿であり、
 その威力は、どんなに強力な防御でも無意味と化すほど。
 ドライヴ=レガリアの中でも最強を誇っている。


 ドライヴ=レガリアとは、四つしか存在しない最強かつ、未知数の力を秘めたアクティブ・ウェポン。
 『フォース・コネクター』の証であるが、自らの意思を持っており、自ら主を選ぶと言われている。



 『蓮杖飛鳥』。
 過去に俺にコネクターとして正しい道を教えてくれた人であり、フォース・コネクターの一人である。
 俺はフォース・コネクターの『称号』などにはあまり興味は無い。
 かつては『強い力』だけを求めていたが、師匠と出会ってその考え方は変わった。

 師匠との出会いは語りだすと中々、止まらないから…詳しい話はまた、近いうちにしようかと思う。


「光哉君…そんなに焦らないで」
 沙由華はいつも俺の事を考えてくれる言葉をくれる。
「ありがとう、沙由華」
「うん…♪」
 沙由華としばらくドライヴの事や今日の予定の事を話す内に、始まりのチャイムが鳴った。





 チャイムから暫くして、先生が教室に入ってくる。
 こうして、本日も授業が始まる。




 一日はまだ始まったばかりだ。








次回予告

 こんにちは、沙由華です。
 次回は、光哉君のアクティブ・ウェポンについてのお話です。
 ……私も見せて貰ったことはあるけど…どうして光哉くんは隠しているのかな?

 次回、CONNECT01.『目覚めぬ剣』

 ドライヴ・コネクト! そんな光哉君も大好きだよ♪



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