俺は早速、コクピットランサーへとドライヴを接続しようとする。 「光哉。今回は、シュナイダーを使うのか?」 師匠が俺に尋ねてくる。 俺は暫く考えて、二つのドライヴの中の一つを取り出した。 「……いえ、『アービトレイター』を使おうと思います。師匠と組む事は全くありませんし、色々と見て貰いたいと考えていましたから」 俺は愛用のドライヴであるアービトレイターを選択した。 愛用とは言っても、性能が高い反面、師匠くらいの操縦性が要求されるドライヴだ。 特に高速戦に秀でており、加速性や運動性に優れているが、最大加速時は『鷹の瞳』を使う事もあり、俺への負担も大きい。 俺自身はある程度の段階までは問題無いから、アクティブ・ウェポンで機動性を制限している。 「分かった。久々にじっくりと見せて貰う」 師匠はそう言って、セルハーツを取り出し、コネクトする。 「俺の方こそ色々と参考にさせて貰いますよ」 俺も師匠に続いてアービトレイターをコネクトする。 『蓮杖飛鳥&時雨光哉』 VS 『スカルナイツ』の戦いが始まった。 「(――――今のところ、相手は50体か。……なら!)」 戦闘開始と同時に相手に狙いをつけ『アクセルスナイパー』で仕掛ける。 アクセルスナイパーは瞬間的に相手を撃ち抜く技だ。 攻撃が相手のドライヴに直撃し、機能を停止させる。 ―――――1体 続けて飛び込んで来たドライヴ3体に対しメガレーザーブレードの二刀流で一閃。 そのまま数体のドライヴを斬り伏せる。 ―――――4体 背後からドライヴがアービトレイターに対して攻撃を仕掛けてくる。 俺は瞬時に攻撃を察知し、V.X.B.Rで撃墜する。 ―――――5体 師匠は流石と言うべきか、俺よりも早く5体撃墜している。 ……しかし、相手の数が多すぎるな。 まず、突っ込んできたドライヴ数体をすれ違い様にまとめて切り捨てる。 ―――――3体 そのまま次のドライヴとの間合いを一瞬で詰めて一閃。 ―――――4体 続けて斬り込んできたドライヴに対して斬撃。 ―――――5体 俺は光哉の方を見る。 光哉は俺が教えた事を踏まえて戦っている。動きにも無駄が少ない。 光哉も5体目を撃墜。流石だな。 俺はアービトレイターを加速させ一気に間合いをつめて切り伏せる。 ―――――1体 続けざまに2体並んでいたドライヴをまとめてV.X.B.Rで撃ち抜く。 ―――――3体 俺は集中力を高める。 そして、素早く思考を組み立てる。 「(――――アービトレイターの射線軸の敵は……軽突撃型3、重突撃型2、長距離砲撃型2。……右・左・右・左・右・右・左、まとめて撃ち抜く!)」 V.X.B.Rを構え、エネルギーをチャージ。 そのままV.X.B.Rを撃ち、相手のドライヴをまとめて撃墜する。 ―――――10体 ……正直、地道に倒すと時間が掛かり兼ねない。まとめて片付ける事も考えた方が良いな。 ゴッドランチャーを撃ち、空中に飛んでいたドライヴをまとめて破壊する。 ―――――4体 そのまま次のドライヴとの間合いを一瞬で詰めて切り伏せる。 ―――――5体 続けて背後から狙ってきたドライヴ5体に対してエアブレードを放ち、機能を停止させる。 ―――――10体 光哉の方も地道に倒すよりは、まとめて倒す事を考えている様だ。 途中で乱入してくる奴も居たからな……確かにさっさと片付けた方が良いか。 「師匠。あまり時間も掛けたくありませんし……まとめて片付けますか?」 俺は師匠に提案する。相手は乱入をして来るので正直、きりが無い。……残り20体になったのに、また40体程乱入してきたし……。 「そうだな……。大技の一つでもやれ。相手がザコでもな」 少しだけ考えて師匠が俺に指示を出す。 「分かりました。”あの技”を使います。ただ、師匠が巻き込まれない様に調整するのは難しいと思いますが……」 「俺の事は気にするな。避ければ良いだけだろ?」 師匠は普通には出来ない様な事も簡単に言ってくる。流石としか言い様が無い。 「分かりました」 俺は師匠に了解し、フィールドの中心に向かって行く。 フィールドの中心に到着した俺は、集中力を高め、再び素早く思考を組み立てる。 「(――――敵の数は残り……60体。……これで片付ける!)」 『ソードブレイカー』を抜き、エネルギーを集中させる。 ソードブレイカーは俺が最も製作に苦労したアクティブ・ウェポンだ。 師匠を始めとした人達からアドバイスを受けて、漸く完成した武器。 だからこそ、高い攻撃力を持ち、俺もかなりの愛着がある。 この剣の特徴は、一定時間であれば『氷』の属性を付加できる点だ。 当然の様に敵の集団は停止しているアービトレイターに集まってくる。 チャージ時間を作っているのは敵をアービトレイターの周囲に集めるためと、できる限り攻撃範囲を広げるためだ。 敵の集団がアービトレイターを狙ってきたが、次々に師匠のセルハーツに撃墜されていく。 俺はソードブレイカーのエフェクトを発動させ、氷属性のエネルギーを纏わせる。 暫くして、エネルギーが溜まり、技を放つ。 「ABSOLUTE・ZELO(アブソリュート・ゼロ)!」 『ABSOLUTE・ZELO』は俺が現段階で使える大技の一つだ。 だが、敵味方を識別するのが非常に難しい技でもある。 まぁ……今回は相手の数が多すぎるから仕方が無いけど。 ソードブレイカーに付加された氷の力が周囲を包み込む。 そして冷たい風が吹き荒れ、氷の刃、衝撃波となって解き放たれ、敵ドライヴの集団を斬り裂く。 その光景の中で、セルハーツだけがABSOLUTE・ZELOを完全に回避していた。 ABSOLUTE・ZELOによって敵の集団は殆ど全滅した。 撃墜できなかったドライヴもセルハーツによって撃墜されている。 「さて、後はお前だけだな」 師匠が柏木影二に言い放つ。 『くっ……ラルク!』 柏木影二のドライヴ、『ゴールドマスター』を守る様に銀色の装甲で両腕に鋭い爪を持ったドライヴが立ち塞がる。 『ラルク! コイツらを片付けろ!』 『……分かりました』 銀色のドライヴ――――『シルバー・レジオル』がブーストによる加速で攻撃を仕掛けてくる。 仕掛けてきたシルバー・レジオルに対し、アービトレイターがソードブレイカーで受け止める。 「貴方だけは……違うな」 『………』 相手は何も言ってこない。 俺はアービトレイターを操作し、シルバー・レジオルを吹き飛ばす。 「師匠。彼は俺が片付けます。……良いですか?」 俺は師匠に声を掛ける。 「ああ。好きな様にしろ。向こうは俺が片付けておく」 師匠が俺に許可を出してくれる。 「はい。ありがとうございます」 俺は師匠に御礼を言い、相手と対峙する。 俺は集中力を高める。相手はSランクで接近戦に特化している。 「(――――ブレード、シルエット、三手以内で仕留める!)」 素早く相手の性能とアービトレイターの性能を比較する。 「バーストブレイド!」 瞬時に間合いを詰め、斬り込む。 シルバー・レジオルがソードブレイカーを受け止める。 これは予想通り。そのまま、次の攻撃に移る。 「バーストシルエット!」 俺はアービトレイターの残像を発動させ斬撃を加える。 シルバー・レジオルも反撃するがアービトレイターの残像にしか当たらない。 「これで最後だ!」 残像で敵を撹乱し続け、連続で斬り込んでいく。 ソードブレイカーによる斬撃がシルバー・レジオルを斬り裂き、機能を停止させる。 ちょうど、シルバー・レジオルとの戦闘が終わった時、柏木影二の声が聞こえた。 『ま、待て――――』 「お前の負けだ」 師匠のセルハーツが零距離ゴッドランチャーでゴールドマスターの機能を停止させる。 ……ワザと俺が相手を倒すタイミングに合わせるなんて流石は師匠だな。 こうして『蓮杖飛鳥&時雨光哉』 VS 『スカルナイツ』の戦いは終わった。 スカルナイツのメンバーが捨て台詞を残しお約束の様に逃げて行く。 何度倒しても懲りずにやって来るから……その根性だけは良い意味で認めても良いのだが。 「漸く終わった……」 「確かにあの数は面倒ですよね……」 俺と師匠はコネクトアウトする。 「飛鳥君、お疲れ様。はい、これ」 明日香さんが師匠に紅茶を渡す。……師匠は紅茶派だからな。バトルの後の紅茶はあり難いだろう。 「光哉君、大丈夫? ……疲れてない?」 沙由華が俺にスポーツドリンクを渡しながら俺を心配そうに見つめてくる。 「いや、大丈夫だよ。……流石にうんざりだけど」 俺はため息をつく。 「光哉君。ため息なんてついたら駄目だよ。……幸せが逃げちゃうよ?」 沙由華は天然だから簡単に突拍子も無い事を言ってくる。……そこがまた、可愛いけど。 「じゃあ……沙由華が幸せを分けてくれるか?」 「こ、光哉君……///」 沙由華は顔を真っ赤に染めて俯く。 「二人ともうまくいってるみたいだね」 明日香さんが微笑ましそうに沙由華を見つめる。 師匠は呆れながらも笑っている。 何はともあれ、漸くゆっくり出来そうだ。 次回予告 光哉です。これで、骸骨騎士団とのバトルも終了か……。 このまま、沙由華や師匠達と一緒にゆっくりと出来そう……かも? そう言えば……今まで忘れてたけど、紡は勇治さんと何をやっているんだろう? 次回、CONNECT05.『沙由華の仕事』 ドライヴ・コネクト! 次回は沙由華が中心の筈なんだけど……実際は、仕事と言う程じゃ無いんだよな。 |
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