Drive-Connect! 〜Episode of Arbitrator〜


  - CONNECT06.『一日の終わり』 -



 暫く雑談した後、俺と沙由華は師匠達と別れた。
 師匠達は別に用事があるみたいだしな。
「光哉君。今日の夕飯はどうするの? 光哉君が良ければ、私が作るけど……」
 沙由華が俺に尋ねてくる。
「そうだな……」
 俺は少し考える。
 沙由華の料理はとても美味い。俺も料理はできるけど、沙由華には敵わないと思う。
「じゃあ……頼む。 けど、家の方は良いのか?」
 俺は念の為に沙由華に確認する。
「うん。大丈夫だよ♪」
 予想通りの応えが帰ってくる。
 しかし、沙由華の親は何も言ってこないのだろうか? 俺には親が既に居ないから問題は無いが……。
「そうか。じゃあ……行こうか」
「うんっ♪」





 光哉君と一緒にゆっくりと街を歩いていく。
 光哉君は私と一緒に歩く時は、いつも私の歩く速度にあわせて歩いてくれる。
 とても些細な事だけど、光哉君の優しさが伝わってとても嬉しい。
「(――――手を繋ぎたいな……)」
 ふと、私はそんな事を考えてしまう。
 でも、光哉君は意外にもそう言う事はあまりしてくれない。
 学校でも普段は私から光哉君の傍に居る感じかな?
「あの……光哉君」
 私は光哉君に遠慮がちに声を掛ける。
「ん?」
 私は少し言い悩む。でも……やっぱり言わないと。
「手……繋いで良い?」
 光哉君は良いって言ってくれるかな?





「手……繋いで良い?」
 沙由華が俺に聞いてくる。
 沙由華はあまりこう言う事は聞いてこない。
 実際、俺も沙由華と一緒に居るだけで嬉しいと言うか……何と言うか。
 結構、自分で言うのもどうかとは思うが……俺は沙由華に対して意思表示をしない。
 流石に、沙由華と一緒に居ると気が緩みそうだ……とは言えない。
 普段の俺はそんなイメージは無いしな。
 まぁ……沙由華に対して冗談とかはよく言ってるけどな。
「……ああ」
 俺は沙由華と手を繋ぐ。
「ありがとう。光哉君♪」
 沙由華が俺に御礼を言ってくる。何か嬉しそうだ。
 俺達は手を繋いだまま街を歩いていく。





「あの……光哉君。今日の夕飯は何が良い?」
 私は光哉君に声を掛ける。
「そうだな……俺は沙由華の料理なら何でも良いけど」
 光哉君はいつも私の作った料理なら良いと言ってくれる。
 私としては光哉君の好きなものを作ってあげたいけど……。
「うん。じゃあ……私に任せてくれる?」
「分かった、頼むよ」
 光哉君にそう言われたら何か頑張ろうって思えてくる。
「じゃあ、楽しみにしててね♪」
 私は光哉君に笑顔で言う。
「ああ、楽しみにしてる」
 何故か私は光哉君の些細な言葉だけで嬉しくなってしまう。
 やっぱり、光哉君が好きだから……かな。





 沙由華と話ながら買い物をしていく。
 やっぱり一人で買い物をするより断然良いと思う。
 ……沙由華と一緒に居るだけでも嬉しくなるからな。
「あ、光哉君。これは……どうかな?」
「そうだな……良いんじゃないか?」
 こんな感じの会話をしながら街を歩いていく。
 暫く歩いていると見覚えある人が歩いている。
 ――――荻原勇治さん。師匠のパートナーだ。
「勇治さん」
 俺は勇治さんに声を掛ける。
 しかし、勇治さんは俺の声が聞こえないのか、そのままどこかへ歩いていく。
「……む、無視された……」
 確かに、勇治さんとはそこまで親しいわけじゃ無いから、無視されるのは当然か。
 けど、同時に残念だとも思う。
 勇治さんは、師匠が認めた数少ない人物の一人。それだけでも俺にとっては尊敬できる相手だ。
 後、師匠とのコンビで有名なコネクターだと言う事もあるしな。
 しかし、やけにふらついていた様な気がする。……何かあったんだろうか?
 ……師匠が”アレ”がどうこう言っていたから、それの影響か?
「……”アレ”って一体?」
 俺に分かるのは、少なからずマリアさんが関係していると言う事だけだ。
 とりあえず、勇治さんの姿を見る限り、余程とんでも無い事にあっていた事だけは予想できる。
 ……けど、何か聞いたりしたらいけない気がした。
「光哉君……」
 沙由華が俺に声を掛ける。
「気にしない事にしよう」
 とりあえず、気にしない様にするしか無い。……そんな気がした。





 一通り買い物をすませてから光哉君の家に向かって歩いていく。
 そう言えば、途中で羽山君に会ったかな。
 羽山君は急いでいたからあまりお話はできなかったけど……。
 光哉君とお話しながら歩いて、漸く光哉君の家に到着した。
「沙由華。入って良いぞ」
「うん♪ おじゃましま〜す」
 私は光哉君に家に入れてもらう。
 早速、キッチンの方に行かせてもらい準備をする。
「じゃあ……すぐに作るからね。光哉君はゆっくりしてて」
「ああ。楽しみにしてる」
 光哉君が私の作る料理を楽しみにしてくれてる。……頑張らなきゃ。






 沙由華が料理をしてる間、俺は何をするかを考える。





 ――――ライトブリンガーのデータを調べる。

 これは確かに在りだろうな。
 師匠のお陰でこのアクティブ・ウェポンの戦闘数値の高さの秘密はある程度解ったし。
 ただ、師匠が言っていたリミッター以外にも何かあった気がする。
 ……だからこそ、俺はレア・ウェポンかもしれないと考えていた。
 後、気になる項目も在ったからそれも調べたいと思う。
 まぁ……じっくり調べないと意味が無いから後にした方が良いか……。





 ――――トレーニングをする。

 これは早朝にやっているしな。
 内容はあまり言えないが、このトレーニングは俺が幼い頃からずっと続けているものだ。
 まぁ……初めは父親に言われて嫌々ながらやっていたな……。
 俺も、何でこんな事をする必要があるのかと思ったくらいだ。
 けど、今ではちょうど良い感じの運動になっている。
 実際に、様々な局面で役に立っているしな。





 ――――とりあえず、寝る。

 流石に今からは眠れない。まだ、夕方になって少し時間が経っただけだ。
 正直、沙由華が居る時に寝たくは無い。
 寧ろ、寝てる時間が勿体無い。





 色々と俺が考えているうちにドライヴにメールの着信が入ってくる。
 俺はメールの相手を確認する。





 その相手は――――









次回予告

 うっす。羽山紡だ。
 ん? 結局、あれからどうなったって?
 実際、俺も分からないんだよな。 あの後、勇治さん達の姿を見失っちまったし……。
 と言うか、勇治さんって、かなり足速くないか?

 次回、CONNECT07.『今と過去と親友と』

 ドライヴ・コネクト! 次回は、何気にシリアスな展開!? 因みに俺は出ないけどな……。



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