Drive-Connect! 〜Episode of Arbitrator〜





「寛樹、準備は良いんだな?」
「うん」
「解った。いくぞ!」
 俺達はコクピットランサーにドライヴを接続する。





『ドライヴ・コネクト!』










  - CONNECT08.『蒼き閃衝』 -





 バトルフィールドに二体のドライヴが構成される。
 一体は光哉のアービトレイター。
 そして、もう一体は寛樹のブラストセイバー。
 ブラストセイバーは高機動かつ、砲撃戦をメインとしたドライヴ。
 方向性的には互いに高速戦闘を得意とするタイプだと言える。
 僅かな時間、二体のドライヴが睨みあったと思った瞬間――――アービトレイターとブラストセイバーが同時に動き出す。





『アクセルスナイパー!!!』
 俺と寛樹が最初に打った手は高速の先制射撃技であるアクセルスナイパー。
 アクセルスナイパーは元々、寛樹の編み出した技であり、俺が使っているのは『Reproduction』したものだ。
 寛樹の技を俺に合わせて再構成させたものだから、同じ技でも特性は違ってくる。
 例えば俺のアクセルスナイパーの場合は速射性と先制射撃に特化している。
 しかし、寛樹の場合は速射と言う点は変わらないが、俺のものに比べて威力が高く、命中精度においても勝っている。
 技の出は俺が勝っているとしてもぶつかりあってしまえば俺の方が負ける。
「ちっ……!」
 同じアクセルスナイパー同士だが、俺の方が本職では無いだけあって寛樹のものに比べるとどうしても劣ってしまう。
 そう思ったのも束の間、俺の撃ったアクセルスナイパーがものの見事に打ち消された。
 その光景と同時に俺は咄嗟にディフェンダーシールドを構える。
 しかし、アクセルスナイパーは小型シールドだけじゃ防げないと踏み、更にビームシールドを展開させるのだった。





「……やるね」
 アービトレイターがシールドを展開し、ダメージを防いでいるのを確認しながら呟く。
 防御力に欠ける小型シールドから更にビームシールドを展開させて、防御力を高めている。此方の攻撃力を良く把握している防御法だった。
 やっぱり、アクセルスナイパーだけではそう簡単にダメージを与えられない。
「だったら……これでいく!」
 このままじゃアービトレイターにダメージを与えられないと踏み、ヴェルバーカノンとマグナムランチャーを展開する。
 双方とも火力の高い武装であり、シールドくらいであれば撃ち抜けると僕は踏んだ。
「ツインブラスト!」
 ツインブラストは二つの武装による同時射撃による必殺技。
 集中射撃、広角射撃と使い分け出来、使い勝手も良い。
 光哉とアービトレイターの組み合わせは機動性で相手を抑え込み、高速格闘戦で一気に制圧するタイプ。
 正直に言えば、光哉自身の技量と相余ってアービトレイターとの組み合わせはやり難い相手だと言える。
 しかし、集中射撃と広角射撃と使い分け出来るツインブラストなら光哉が相手でも対処がしやすい。
 それに、ツインブラストの威力ならアービトレイターのシールドでもそう簡単には防げない。
(どう出る、光哉?)





「くっ、ツインブラストかっ……! 厄介な技を――――」
 アクセルスナイパーを防いだのを認めた寛樹が次に取った行動は得意技の一つであるツインブラスト。
 ツインブラストはビームと実弾の同時射撃であり、防御がし辛い。
 シールドとビームシールドの二段防御が可能なディフェンダーシールドでも完全に防御するのは難しい。
 寛樹の力量を考えれば防御をしたとして、次の一手がすぐに来るのは間違いない。
 迂闊な防御行動は命を縮めるだけでしか無かった。
(仕方が無い――――)
 ツインブラストは避けれても、広角射撃に切り換えられてしまえば簡単に捉えられてしまう。
 その上、シールドで防いでもダメージを受けてしまうだけの威力も持ち合わせている。
(だったら、狙いを定めさせなければ良い――――)
 寛樹の攻撃を回避しながら、ドライヴを操作する。アービトレイターの全身からエネルギーが放出され始めた。
 エネルギー放出の影響でアービトレイターの周りが青白く輝き始める。
「ドライヴシルエット!」
 ドライヴシルエットの発動をトリガーにエネルギーが剥離現象を起こすようにアービトレイターの残像が展開される。
 アービトレイターが動く度に放出されたエネルギーがアービトレイターの姿のまま留まり、僅かな間をおいて消えていく――――。
 これはアービトレイターの機動性とエネルギー放出から発生する現象でコネクターの視覚に対して撹乱を引き起こさせるもの。
 相手から見ればアービトレイターが複数に見えると言った状態だ。
 狙いを絞らせないようにすると言う意味合いでもツインブラストに対抗するにはこれが一番、有効な手段だ。
 俺はドライヴシルエットを発動させたまま、ブラストセイバーへと突撃した。





(残像――――!?)
 アービトレイターの動きに一瞬だけ目を奪われる。
 残像の展開は光哉が得意とする、高機動の戦闘方法の一つ。
 この状態に入られると見極めが難しく、狙いも絞りにくい。つくづく、厄介な相手だ。
(だけど、光哉の戦法は知り尽くしている!)
 残像を展開されても本体ごと残像を全て撃ち抜けば良い。
 普通に捉えられないなら纏めて落とすまで――――。
(プラズマライフル、スレイプニル、ヴェルバーカノン、マグナムランチャー……動作OK)
 僕はブラストセイバーの武装の全てを展開させる。
 ブラストセイバーの持つ最大の必殺技を撃つために射撃系全ての武器の状態を確認する。
 現状、武装の残弾は問題無い。使用出来る――――。
(残り使用回数は2回……。だけど、光哉が相手ならこれでケリをつけるしかない!)
 残像を含め、目の前のアービトレイター全てに対してロックオンをする。
「ターゲット、マルチロック……! いっけぇぇぇぇぇっっっ!!!!」
 ブラストセイバーの展開した銃口の全てが光り、一斉射撃が放たれる。
 フルコンタクトシュート。僕とブラストセイバーの使える最大にして最強の大技。
 使用回数が少なく、全ての武装の残弾も計算しておかなければ使用出来ない、限定条件の必殺技だ。
 これなら、単体でも広範囲でも関係は無い――――。
 ブラストセイバーの全ての武装の弾がアービトレイターの周囲を中心にして降り注ぐ。
(幾ら、光哉とアービトレイターでもこの技は凌ぐことは難しいはずだ――――それに、光哉が鷹の瞳を使ったとしても次の一手は既に準備してある)
 目の前で起こる爆風と爆煙の中で僕は勝利を確信した。
 もし、光哉が資質を使って凌いだとしてもツインブラストか追撃に適した技であるコンビネーションアーツの準備は既に終わっている。
 幾ら光哉でも鷹の瞳を持続させるなんてことは出来ない、既に光哉は術中にはまっている――――。
 だけど、僕がそう思った瞬間、アービトレイターが思わぬ速さで斬り込んできた。
「なっ……!?」
 いったい、何が起こったのか解らない。そう思えるほどにアービトレイターの動きが今までと比べると歴然としていた。
 アービトレイターが斬り込んできたと思った瞬間、突撃と斬撃のダメージを受けてドライヴが機能を停止した。
 唯、今の光景で解ったことはアービトレイターが今までとは全く違う動きをしてきたと言うこと――――それだけだった。





(不味い……!)
 此方の動作に気付いたブラストセイバーが武装を展開する。
 このまま、格闘戦に持ち込めば俺の方が圧倒的に優位だが、寛樹はそうはさせないつもりらしい。
 あの構えはフルコンタクトシュート。寛樹の最大の大技だ。
 遠距離での撃ち合いであれば回避で対処出来るが、今の状況はドライヴシルエットからそのままバーストシルエットに持っていこうしてる最中だ。
 まだ、位置関係としては接近戦の距離では無いがレンジとしては近距離と言ったところだ。
 この距離からフルコンタクトシュートを避けるのは難しい。
(鷹の瞳とバーストシルエットの組み合わせで凌ぐか?)
 確かに俺には鷹の瞳とバーストシルエットと言う回避をしつつ攻撃するのに適した物を持ち合わせている。
 フルコンタクトシュートを回避しながら仕掛けるのは不可能じゃない。
 しかし、寛樹は俺の一手を見極めているだろう。恐らく、このまま凌いでも追撃を受けるだけだ。
 だったら、回避と攻撃を同時に行えば良い。しかし、今の状態ではそこまでの余裕なんて出来ないだろう。
 そう、あくまで”今の状態”であれば、だが。
(……やるしか無いか)



 俺はドライヴを操作し、『ARBITRATOR-SYSTEM』を画面に表示させる。
 コンピュータの画面には『ARBITRATOR PHASE-1』の文字が表示されており、すぐに『STANDING BY』の表示が現れる。
 後は俺の意志でシステムを起動させるだけ。本当は躊躇うところだが、そうも言ってはいられない。
(システム起動――――!)
 俺がドライヴのキーを押すと『ARBITRATOR-SYSTEM PHASE-1』の文字が表示され、アービトレイターの封印されていた機動性の一部が解放される。



(アービトレイター、リミッター解除……第一段階)
 俺はアービトレイターのリミッターを解除した。
 師匠の指摘の通り、元々のアービトレイターの機動性はSRランクを示している。
 しかし、そんなドライヴを制御することなんて不可能に近い。
 余りにも高すぎる機動性にコネクター自身の身体もついていかないからだ。
 師匠曰く、鍛え上げられている俺の身体能力と反応速度でも制御は難しいとのこと。
 だから、俺は『ARBITRATOR-SYSTEM』で機動性を制御すると言うことをしている。
 現在、『ARBITRATOR-SYSTEM』によってリミッターの一部を解除したアービトレイターの機動性は本来の機動性の約30%程度。
 この段階の機動性で師匠のセルハーツと同等の段階にまで跳ね上がる。
 セルハーツの機動性も師匠が操作性などを計算し尽くした上での性能だ。
 そのセルハーツと同等の段階まで引き上げたと言うことは既にアービトレイターの機動性は操作性も考慮すれば限界に近い。
 ましてや、師匠に技量の及ばない俺だ。アービトレイターの一段階目のリミッターでも厳しいと言える。
(だが、これなら――――)
 この状態を長く維持するのは今の俺には出来ないが、寛樹の攻撃を凌ぐのは容易い。
 今のアービトレイターはそれだけの機動性を引き出せるのだから。
 俺はアービトレイターを操作し、メガレーザーブレードを二刀流の形態へ移行する。
 そして、そのまま弾幕を避けながらブレードを構え、アービトレイターをブラストセイバーに突撃させる――――。
「BLUE・IMPULSEっっっ!!!!」
 今の俺とアービトレイターが使える最大にして最強の必殺技。『BLUE・IMPULSE』――――。
 この技はリミッターを解除したことによる機動性とその際に放出されるエネルギーがアービトレイターを包むように蒼く輝くことからBLUE・IMPULSEと言う名前をつけた。
 BLUE・IMPULSEはバーストブレイド、バーストシルエットをも凌ぐ威力を誇る最強の接近戦用技にしてあの技を除く必殺技の中でも最速の技。
 突撃から続く斬撃で相手を一瞬で斬り伏せ、それでも倒せないなら更に追撃を加えていくと言う瞬速の技――――それがBLUE・IMPULSEと言う必殺技だ。
 突撃から斬撃。斬撃から追撃。この一連の動作を一瞬の内に全て行わなくてはいけないこの技はコネクター依存度が非常に高い。
 師匠曰く、BLUE・IMPULSEは俺だからこそ出来る必殺技であるらしい。
 それだけ難易度も高く、威力の高い技であるBLUE・IMPULSEは師匠クラスの実力者で無ければ見切ることすら難しいだろう。





 蒼い衝撃の如く、そして蒼き閃光の如く――――。





 先程とは比べ物にならない速度で斬り込んだアービトレイターがブラストセイバーを斬り裂いた――――。













次回予告

 こんにちは、光哉です。 ふぅ……寛樹は強かったな。
 俺が、リミッターを解除した相手はあの時の事も含めても殆どいないからな。

 次回、CONNECT09.『決着の後に』

 ドライヴ・コネクト! 俺と寛樹の過去話も後、僅か! え、だけど……紡がいない?



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