ネオリーム 第4話 招かれざる訪問者(後編) 男は黒魔法が当たって一瞬よろけた。その隙にディルはゼルを男の腕から離した。 「くっ、この低級部族が…!!」 「今のうちに逃げろ!早く、早く走れ。」 男の顔はみるみる変化していき…恐ろしい形相になった。ゼルはその顔を見て鳥肌が立った。 「殺す、殺してやる!!私に恥を掻かせた事を後悔させてやる。」 男はものすごい勢いで向かってきた。ゼルは足をつまずき転んでしまい、男に捕まってしまった。 「死ね、邪魔者!全員殺してやる。まずはこいつだ!死ねぇぇぇェェ!」 「う、苦しい…助けて…お姉ちゃん。」 男はゼルに向かって手を向けた。すると手から真っ赤な刃が飛び出してゼルの胸へ… 「やめろー!」 ハルが叫んだ。と同時にハルの腕輪が激しい光を出し輝き始めた。ハルが母親からもらった形見の腕輪だ。 「なっ、何だ!この光は!?」 「何?お母さんの形見の腕輪が…。」 「ぐァあああア!!」 男の叫び声だ!ゼルは目の前の男を見て唖然とした。なんと男を女の人が光の輪で縛り付けているのだ! 「何、これ…?」 「お姉ちゃん!」 そこにハルがやってきた。ハルも何がなんだか分からない様子だ。 「急に腕輪が光りだして…。」 「このクソがァ…俺をなめるなぁ!!」 男は力を入れたが…!辺りに暖かい空気が流れ込んだ。女の人の声だ! 『この者たちは殺させない!私たちの…希望だから…。邪魔をするなら消えてもらう、光の監獄で一生嘆き苦しむがいい。』 そう言うと男の体が消え始めた。 「くそ、もう少しのところで…。すいません…ベ…リ…。」 男は消えた。そして腕輪の光も消え始めた。 「ちょっと、あなたは誰?何なの?……!」 『いつか私のことを知ることになるでしょう。あなた達は私たちの希望です。100年前に起きた世界大戦を防ぐ…もう時間がありません、最後にあなたに光の力を授けましょう。』 「僕?僕なんか何も出来ないのに…。」 『大丈夫、あなたは再生の力が宿っています。この力で皆を癒してあげて下さい……。また…会え…る、と…。』 光は消え女の人も消えていった。ハルに新たな力を授けて…。新たな力、下級回復呪紋【ヒール】。 「回復の力…!」 「なにがあったのか良く分からなかったけど、なんとか助かったみたいね。いい力も与えてもらったみたいだし。」 「そうだな、じゃあひと休みしたら街の方へ行こう。」 それから4人は街へ行き、殺された人たちの供養をした。助ける事の出来なかった悔しい想いと共に…。 全てが終わったのは深夜近くだった。4人は家に戻り、すぐに就寝した。 Next Stories... |
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