星の輝く中に歌われた鎮魂歌

 1章「過去の清算」




「むう……………。」
 今日もいつもどおり、カガリのボディガードを………
 と思ったら今日がOFFの日だとカレンダーを見て気づいた。
 昨日まではちゃんと覚えていたのだが、夢のせいで休みだということも忘れてしまっていたのだろう。
 あまり見たくない夢だったからな………。



 最近の世界情勢の緊張とともに張り詰めていたためにカガリが休みをくれたのだった。
 ボディガードの人数も増員したらしいし………。
「最近根詰めていたからな。お前。明日ぐらい休めよ。ああ、『大丈夫』って言っても休ませるからな」
 …………カガリは俺の性格をよく知っている。
 そう思って、昨日の段階ではぐっすり休もうと思ったのだが…………。





 う〜〜〜〜〜〜ん。

 どうしようかな。

 いくつか選択肢があるな。



 @忘れてもう一度寝る

 A気を紛らわすために仕事に無理やり行く

 B気分転換にラクスたちに会いに行く

 C父さんと母さんに会いに行く





 よしCだな。
 今持っているピストルで頭を打ち抜けば、父さんと母さんに会えるぞ。
 そうすれば、両親と分かり合える時間が作れて俺の問題解消だ。










 …………………って、何で俺が今死なないといけないんだ……………。
 死ぬのは後50年先でいいぞ………。
 当たり前だが却下だ。
 ………なんでこんな選択肢思いついているんだ?
 相当疲れているのかもしれん。



 @の寝るでもいいんだが、歯磨き洗顔して気分はすっきりしたから却下だ。

 Aでボディガードの仕事に行ってもいいが………多分、カガリに追い出されるな。
 休め!!って言われること間違いなしだ。

 ということで、キラやラクスに会いに行こう。
 最近の仕事の忙しさもあって、会ってなかったからな二人には。





 …………………………………………。





 …………………。





 ………。





 俺は車に乗って、駆けていく。
 ラクスたちに会いにいくためだ。
 駆けていくたびに変わりゆく景色が俺の目に映し出されている。
 人が歩いていたり、自転車に乗っていたり……。
 建物も通り過ぎていく。
 最初は、地球のオーブだといこともあってあらゆる景色が新鮮だった。
 プラントでは見られない建物も数多く存在したし、人の服装も多種多様。
 車ごしに見られる景色でも新鮮だった。



 1年以上すると次第に慣れてくるが……それでもまだ新鮮かもしれないな。
 季節が存在して……地球独特の匂いとかあって……。
 プラントのコロニーのように人工的に調節されていない自然さが新鮮だ。
 こういうのを考えると、地球に住みたがる人間の気持ちも分かる。

 …………ふっとそのとき、父と母の会話を思い出した。





『今から、あの子に婚約者ですか?』
『別にいいじゃないか』
『そうですね………。あの子のことを考えるといいかもしれませんね』
『とても素直で純真な子だ。それに俺と共にプラントを築いたシーゲルの娘だからな』
『嬉しそうな顔をしてますね』
『いつだって、子の幸せは望むものって言ったのはお前だろ』
『ふふふ』





 ……………………。





 思えば………両親同士は仲は良くなかったかもしれない。
 ………しかし、俺を愛していたのは確かだったような気がする。
 でないと、とっくに離婚とかもしていただろうに。

 俺を愛しているから、ラクスといういい相手を紹介したんだ。

 俺を愛していたから、二人は離婚という決断をしなかったんだ。





 ………父さん、母さん。



                                               (続く)



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