星の輝く中に歌われた鎮魂歌 1章「過去の清算」 コンコン…。 俺は家のドアをノックする。 『彼』とラクスが住んでいるいる家。 かなり簡素なつくりの家になっている。 丸太の木で作ってようなこの家は自然で生まれたような家だと感じさせた。 ……恐らく、あえてそういう家にしたのだろうが。 この近くにある海……そしてこの丸太つくりの簡素な家。 これら全てが人間の太古からある自然と戯れることを求める心から作ったのだと思った。 なんとなくこういうのも『彼』を癒させるには効果的なのだろうと考えた。 ……ガチャ。 静かにドアが開く音。 「………ああ、アスラン様。」 「お久しぶりです。マルキオ導師………。」 盲目の初老の落ち着いた男性……というのがマルキオ導師の最初の印象だ。 普段はオーブ近海の孤島で孤児たちと共に暮らしている。 大戦の終結後は『彼』とラクスの2人を迎え入れ、一緒に暮らしているんだが……。 その穏やかな風貌と謙虚な姿勢では考えられないほどの信頼と権力を持っている方だな。 マルキオ導師本人はコーディネーターとナチュラル双方から信頼がある。 それに加えて、ジャンク屋ギルドを国際的な組織として認めさせるなど、その力はかなりのものだぞ……。 連合の外交官という肩書きも持っているな。ついでに言うと。 ………俺みたいな軍人で育った人間にとって、彼が本当に善良な方なのか利権で動いているのかあるいは両方か……そういう風で見てしまうな。 ……そういう利権で動いているのではないかという要素は少しはあるからな……。 何事にも注意を払っていいものだと思うが……。 「今日はどのような要件で……。」 「ラクスたちに会いに来て。」 「そうですか。『彼』は出かけておりますが、ラクス様ならいます。」 「そうですか……。では、ラクスと話しがしたいですね。」 「わかりました。それでは家にお上がりください。」 「ありがとうございます。」 今日はラクス一人か……。 まあ、ラクスと二人だったら両親の話もできるかもしれないなと思った。 ラクスだった俺を良い方向にアドバイスしてくれそうだし……。 昔は仲が良かったからな……親ぐるみで。 ……………………………。 ………………。 …………。 案内された部屋はリビングといえるような部屋。 中々シンプルで簡素な部屋になっているが、人を落ち着かせる雰囲気のある部屋だと思った。 観葉植物をおいたり……昔の暖炉まであるぞ。 宇宙に国家作るような時代の中では、自然と密着していてそれに準じた家具を置いている部屋だな。 それが多分落ち着かせる雰囲気を醸し出しているのだと思う。 『テヤンデエ!!』 ピンクの丸型のものがこちらに向かってきている。 そう思ったら、こちらの手の平に乗ってきた。 「懐かしいな……ハロ。」 ハロは俺が作った丸型のロボットだ。 重力のあるところでも転がったり跳ねたりして、また無重力下では球体上部の左右に付けられているカバー2枚を、羽根のように羽ばたかせたりして移動する事ができる。 会話機能もついている。 よく分からないが関西弁だ…………。 ちなみにこのハロの塗装はピンクだが色んなバリエーションを作った。 ハロを言葉で説明するとこんな感じなんだろうが………。 俺が作ったていうのもあるし……ラクスガ大事にしているっていうのもあって……結構愛着があるんだよな。 そういう風なつくりになっているし………馴染み深い。 やはりこういうのを作っておいて良かったな。 昔の楽しい記憶とか思い出してくれるからな……………。 ……今日はやけに感慨深いな。 「久しぶりだな……ハロ。」 『マイド!!』 ………一応喜んでくれているらしいな。 ラクスと同じで愛着が湧くと可愛いと思うものだな。 そう思い、俺はハロを撫でようとした。 パク。 「………パク?」 『マイド!!』 「…………………。」 噛んでいる。 ハロが。 ………ちょっとショックだぞ。 飼い犬に噛まれた気分だ………。 いや、本当にそうなのか? 「離れろ。ハロ。」 俺はハロを無理やり手で取ろうとした。 『ハロハロ!!』 「くううううううううううう…………。」 離れない。 さすが俺の作ったロボットだ。中々な根性を持っている。 俺の作ったロボットだったら根性があるのかどうかしらないが……。 「くおおおおおおおお………。」 あまりに離れようとしないので手を振り回してみる。 『ハロ!』 「離れろ………………!!」 そう念じてみてもハロは離れない。 流石俺の作ったロボットだ。 辛抱強いな。 「俺は製作者だぞ………………!!!!!!!!!!!」 思い切り振り回すとさすがのハロの離れていった。 その反動でハロは飛んでいった。 中空をさまよいながらハロは飛んでいく。 どこかしらあてもなく本当にさまよいながら………。 『ハロ!!』 ガチャ。 「お待たせしましたね。アスラン。」 ガゴン!!! ……………飛んでいったハロが部屋に入ってきたラクスに当たったぞ…………。 「…………………………。」 「…………………………。」 「それで?わざわざわたくしの愛用するハロで狼藉はたらくために来てくださったのですか?」 『テヤンデェ!!!』 「……ご……誤解だ…………。」 (続く) |
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