星の輝く中に歌われた鎮魂歌 1章「過去の清算」 ずずず〜〜〜〜。 「ふう………紅茶がうまいな」 「どうしたら、ハロをこちらに飛ばさないといけないことになるんでしょうかね?」 「茶の文化と大事だ。人に安らぎを与える文化というのは………どこの国でもあるんだな。」 『ハロ!!』 「同意しちゃいけませんよ……ピンクちゃん。」 「そういえば、俺のあげた他のハロはどうなったんだ?」 「…………………………。」 「………………………。」 「…………いいお天気ですねぇ。」 「…………ああ。」 「紅茶というのは人が作り出した一つの安らぎの文化ですね。」 「………………。」 「…………………。」 『マイド!!』 「…………しかし。」 「はい?」 「こうやってラクスと普通の会話するのも…………何だか久しぶりだな。」 「………そうですわね。」 ラクスを見る。 穏やかで安らぎのある笑顔だと思った。 こういう屈託のない安らぎのある顔を見るのは久しぶりだと思った。 戦争が始まる前は確かにこのような屈託のない笑顔をしていたように見える。 しかし、戦争が始まってからはお互い何だかぎこちない笑顔を浮かべて緊張していたように思える。 いつ死ぬか分からない。 そんな感情と世界を平和にするという信念が入り混じり緊張していたのだと思う。 それが戦争だと思うし、みんながみんなそうだった。 戦争が終わっても……ゴタゴタしてたし、1年たってようやくお互いにそういう穏やかな表情ができてきたのかもしれない。 こうして見るとラクスは普通だし、俺も普通に見えるのだろう。 ラクスは俺が見る限り、このひと時が一番幸せのように思える。 自然の中で静かに明るくのびのびとしているラクスが………。 だから、今のラクスは本当に幸せを噛み締めて生きているのだと思う。 ラクスが再び穏やかなラクスになって良かったと心から思う…………。 「マルキオ導師は良くしてくれるのか?」 「はい。それはもう………。」 「そうか……。」 「私たちが静かに過ごしていけれるよう動いてくれてますし……本当に良き方です。」 「それはよかった………。」 「アスランは何か含むところがあるとお考えですか?」 「そうじゃないが……ラクスや俺たちを『SEEDを持つ者』として考えているんじゃないかと思ってな………。」 「それはどうか……分かりませんが……。」 「『彼』やラクスを『SEEDを持つ者』と呼んだことは確かだしな。」 「そうやってアスランは疑ってかかる………。」 「『彼』やラクスが平穏に生きれるなら俺はいくらでも疑うさ………。」 「まあ………。」 「………マルキオ導師は『SEED』という学説を発表した人か?」 「多分違うと思います。」 「………………。」 「あまり深く考えても仕方ありません。」 「そうだな………。」 「世界情勢は緊迫していますが………まだ平穏なんですから。」 「…………………」 「ここでは…………休んでください。」 「………そうだな。」 「クッキー……どうぞ。」 テーブルにクッキーが用意されている。 こうして見ると昔ラクスの家に行ったときのことを思い出す。 あの時はラクスの所に行ってこうやって話しすることが何よりも平穏でいられるときだと思った。 クッキーを食べ紅茶を飲み………大切な人と話しをする。 ………それは今でも変わっていないか……。 ラクスが大切な人なのは変わりないし、関係が悪化したという訳ではない。 ………ラクスはクッキーを手に取り、俺の口元に寄せてくる。 「……………??」 「はい。あ〜〜〜ん。」 「おいおい………。」 「いいじゃないですか。昔みたいで。」 「………………。」 俺はラクスの差し出されたクッキーを食べる。 香ばしい匂いとサクサクする感触。 そして程よい甘さ。 甘いものは人のストレスをなくすと言うが………本当かもしれないな………。 「ほらほら、紅茶も…………。」 「ああ…………。」 紅茶をすすった。 暖かい舌触りとレモンの香り…………。 頭が程よくほぐれるような感じだ。 心が温まり…………そして緊張もほぐれるようだ………。 茶は人の心の穏やかにさせる。 それはあながち間違いではない。 今まで、戦場という凄惨な世界で生きてきた俺たちにとっては………こういうひと時の紅茶を味わうときもなかったように思える。 だからだろうか…………。 余計にこういうひと時は安息の日々だと思う。 このひと時が平穏であり、平和なのだと思う。 「紅茶…………おいしいな…………。」 「はい。」 (続く) |
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