星の輝く中に歌われた鎮魂歌

 1章「過去の清算」




「プラントに行く!?」
「ああ。」
 俺は家に帰り、カガリと話す機会があったのでそれとなしに言ってみた。
 カガリというのは……パートナー……みたいなものなのだろう。
 表現すると。同時にボディガードもやっているものだから公私混同になってどういう関係なのか表現しにくいのだが。

 プライベートが政治の分野まであらゆる面においてパートナー。

 うん。これだな。
「何、自分で頷いているんだ?」
「こっちの話しだ。気にしないでくれ。」
「……ああ、それはそうとプラントに行くって………。」
「ちょっとな………。」
「ちょっとってなんだ?」
 カガリは不満そうな顔をしている。
 怒っているわけではないが、真剣な表情をしている。
 言葉にも怒気が含まれているような気がした。

 ………当たり前と言えば当たり前なような気がするが。
 何の相談もなく、いきなりプラントに一人で行きたいって言っているんだ。
 相談ぐらいあれば違うのかもしれないが……唐突にそんなことを言えば誰だって不満になる。

 パートナーといのはのけ者されたら辛いものだからな………。

「お前はいつもそうだ。自分で勝手に決めて……自分で解決しようと……!!」

 …………カガリが言葉をいい終わる前に俺はカガリの服を掴む。

 ……………お互いの身体を寄せ合うように引き寄せる。

「…………お………おい…………。」
 カガリは少し恥ずかしそうな声をあげているように思えたが、俺はあまり気にしなかった。





 …………そのまま胸と胸が寄せ合う。





 …………身体全てが互いによって支えられる状態になる。





 ……………手を腰の方に回す。





 ………………強く身体を締めるような感じで抱きしめる。





「…………………………。」
「……………………むう。」





 抱きしめたからこそ分かる感触と匂い…………。





 …………金色にも近い髪から香るシャンプーの匂い。





 ………女性の割には引き締まった身体。





 ………ふくよかな胸の感触。





 …………カガリ……………。





 抱きしめるとやはりカガリだな…と思う。

 カガリの存在を感じることが俺の心を落ち着かせる。

 カガリというのは俺にとってそういう大切な存在だ。

 他には変えることが出来ない存在なんだ。

「………………そんなことしたって、プラントには行かせないぞ。」
「分かってる。」
 カガリは恥ずかしそうな声で小さく言った。
 抱きしめているから声が聞こえにくいというのもあるのかもしれない。
 くぐもった声が空間を響く……。
「……………だったら………。」
「カガリを抱きしめると俺の心が落ち着く………。」
「はあ?」
「落ち着いたら話すよ。」
「本当だろうな…………。」
「ああ…………。」
「………だったら………もう少しこのままでいてやる。」

 …………カガリは静かに身体を俺に預けた。

 …………俺は無言で抱きしめた。

 強く………強く。

「………………………。」
「………………………。」

 変わらないカガリの香り。

 そして、仕草。

 カガリの耳を見るとゆでだこのように赤くなっているのが分かる。
 まるで、愛するひとに初めて抱きしめられたようなぐらいカガリの耳は赤くなっている。

 カガリはこういうところでは女性なのだと思う。

 そして、いつまでたってもこういうことをすると赤くなるのはカガリなのだと思う。

 ………………きっと顔も赤らめているんだろうな。

 …………胸の鼓動は高くなって、緊張していっているのだな。

 そういうところは可愛らしい。

 ………………俺もあまり人のことを言えないがな。
 実際にラクスにクッキー食べさされたときは真っ赤になったし。

 ……………だけど、俺は逆に落ち着いているように思える。
 普段はこういうことをすると真っ赤になるし……緊張するんだけどな……。

 ………どういう表現をしたらいいのだろうな。

 今抱きしめている……というのは意味合いが違う。

 俺の存在を確かめる…………そして俺を思ってくれている人がいる。
 そうした意味合いが含まれているんだ。
 親から愛されていなかったわけではないが…それでも愛が育まれていたわけでもなかった。
 だから、自分は本当に愛されているのだろうかという不安。
 それを解消させてくれるカガリのぬくもり……仕草だ。

 だから、このカガリの存在とぬくもりを感じると俺は落ち着いてくるんだ。

「…………まだか?」
「まだ。」
「う〜〜〜〜〜〜。」
「いいじゃないか。」
「大体!!なんでお前は緊張していないんだ!!普段のアスランらしくないぞ。」
「………………そうかもしれないな。」
「…アスラン?」
「……もう少し…………な…………。」
「分かった。」

 俺は抱きしめる。

 強く………強く…………。

 自分を大切に思ってくれているということ感じるために。

 そうすることによって自分の居場所を感じたいから。

 自分が存在している価値を確かめるために…………。



 そして、それを感じ取れたら話そう…………。



                                               (続く)



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