アマジのチームZZ録

 番外編「簡単なので、頼むぞ」




 アマジはジュドーの家で寝ころんでいた。
「おーい、アマジ! 仕事だ、起きろ!」
 ジュドーが帰宅するなりアマジを揺り起こした。
「簡単なので、頼むぞ。リィナが帰ってくるまでさっさと終わらせたいのでな」
「お前が思っているほどリィナは短気じゃないぞ。ほら、俺達がこなす依頼だ」
 ジュドーはアマジに依頼書を突き付けた。
「何々?
 『ムーン・ムーン山にいる盗賊団を逮捕してほしい。
 ただし、武器を使わず一人ずつ精霊の力で全員捕まえるように。報酬は1万ハロ。依頼人不明』。
 よくわからない依頼だな」
 アマジは率直に感想を述べた。
「よく分からないって!? 盗賊を捕まえるんだぞ。そうすれば1万ハロ。お前の言葉で言えば10万円だぞ。依頼人が分からないのはよくあることだ」
「依頼書を見たらわかるけど手口を必要以上に制限されてるんだぞ。やり立てとはいえ、そんな依頼は今まで見た事あるかい?
 気味悪いぞ。引き受けるのはお前だけだら構わないけど?」
「いや、お前も引き受けることになっている。それにあの時オレと一緒に行動すると約束したから嫌とは言わないよな」
 ジュドーにそう言われて、流石にアマジも頷かざろう得なかった。



 ムーン・ムーン山はシャングリラ村から東20kmにある山である。
「うわァ、盗賊団というだけあってガザCもいるなあ」
 アマジが唯一持っていた双眼鏡で除いたジュドーの感想がこれ。
(ガザCってお偉いさんの護衛兵のはず。まさか…!)
「何か言ったか?」
 内心言ったはずが、思わず口にしたようでジュドーに質問された。
「な、何でもない。何か策はあるか? 倒さずに捕まえろとの依頼だぞ。しかもオレたち一人一人の精霊の技を使うことが条件だ」
 アマジが話をそらしたことに気付いたが、そう来られてはジュドーも作戦を練らざるを得ない。
「そうだな。お前が囮になって何人か誘き寄せ、オレが一掃する。次に盗賊の仲間に成りすまし、棟梁を油断させ、オレとお前の技で倒す」
「わかった、任せてくれ」
 アマジはそう言うと、門番の前に姿を現した。
「貴様、何者だ!」
「お前たちを退治しに来た! 来いよ」
 アマジが手招きするので、二人の門番は剣を振るって突進してきた。
「雷の精霊『ダブルゼータ』よ、悪しき者たちに雷撃を落とさん、『ダブルビームライフル』!」
 ジュドーが右手を天に向かって掲げ、叫ぶと門番二人に雷が落ち、気絶させた。
「よし、こいつらを縛った後でさっさと成り済ますぞ、アマジ」
「そうだな。できれば一人一人冒険者斡旋ギルドに渡したいがそんな贅沢も言ってられんか」
 二人が門番を縛った時に、交代しに来た二人の盗賊に見つかってしまった。
「敵襲ー! 門の前に敵がいるぞ!!」
「敵が穴から出てくる前に雷の精霊『ダブルゼータ』よ、彼らに大いなる雷撃を加えよ『ハイメガキャノン』!!」
 ジュドーが額に右の人差し指を当てて叫ぶと、ジュドーの額から大きな雷撃が放たれ、盗賊団の巣穴から大きな振動が聞こえた。
「敵は全滅したかな…」
「それはよく見てから言うんだな、お前ら」
 アマジの言葉に注意するかの如く茶色いガザCが大剣をもって現れた。
「ダメージは流石に受けるか…」
「オレの方は精霊の力使えるの、後一回だけどな」
 ジュドーが付け足した。
「わかった。こっちも精霊の力を格好だけとはいえ、使いますか」
 得物を持って自分たちに向かって襲い掛かってくる盗賊団の頭に向かって、アマジは右手を掲げて叫んだ。
「不死鳥の精霊『フェネクス』よ、 不死鳥の羽ばたきをもって彼の者を空へ浮かせん!」
 するとガザCがふわりと浮いた。
「今だ、ジュドー。格好良く決めてくれ」
「よっし! 雷の精霊『ダブルゼータ』よ、悪しき者に雷撃を落とさん、『ダブルビームライフル』!」
 ジュドーが右手を天に向かって掲げ、叫び、盗賊団の親分である茶色いガザCに雷を落とした。
 こうして盗賊団退治は捕まえた盗賊団全員を冒険者斡旋ギルドに引き渡すことで終わった。



 とある屋敷。
「どうでした、今回引き受けた連中の実力は?」
 盗賊団の親分であるガザCは10歳ぐらいの少女に尋ねた。
「連携・攻防共々合格点だ。ただアマジという奴が警戒したか、力を使いたがらないかどちらにしてもやる気だしていないからなあ。
 そこは私が調査しよう。盗賊団の真似事ご苦労だった」
 少女はガザCを下がらせると一人呟いた。
「姉さんを守れるのは私や衛兵だけじゃ心許ない状況なのに! 力を出すか成長のために怪物退治の依頼を受けてもらうとするか…」



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