CONNECT14.『最凶のドライヴ』


 勇治の新たなるドライヴ。その名はディル・ブラスト。
 ディル・ブラストを見た飛鳥が驚く。
「勇治の新型……また凄い武装だな……」
「凄いでしょ。あれだけの武装を使いこなせれば、歴代最強の『マグナム・カイザー』になれるわよ、うん」
 データを見る。その武装の多さは、例を見ない。
「これだけの武装、かなりのポイント使い込んだな、あいつ……」
「ディル・ブラストにパワーアップする時も相当使ったからね〜。一文無しに近いわよ」
「……今、優さんが食べたりしているケーキとかの支払い、できないと思うんですけど」
「大丈夫、大丈夫。今日勝てば、支払い分のポイントは貯まるから
「…………」
 鬼だった。



「それでは、コネクト・バトル……ファイトォォォッ!」
 審判が合図を出す。勇治が動いた。
 ディル・ブラストの両腕から銃が姿を見せる。
「フレアマグナム」
『狙撃の瞳』で狙いを定め、瞬時に撃つ。両腕の銃から轟音が発せられた。
 村瀬が動く。放たれた弾丸を全て撃ち落とした。
 が、それは遅かった。ディル・ブラストが腰の左右に装備しているガトリングを構えている。
『何!?』
 放たれる。村瀬は辛うじて回避した。レイ・マキシマムが空中へと飛び上がり、上空からディル・ブラストを狙う。
『レイニード・ショット』
 降り注ぐ雨のような弾丸が放たれる。勇治はふっと笑った。
 両肩、背中の砲門が開き、一斉に無数のミサイルとレーザーが放たれる。レイ・マキシマムの弾丸が掻き消された。
 ディル・ブラストの胸部が開く。
「終わりだ」
 胸部に内蔵されていた砲門から、高出力のビームが放たれる。



 ディル・ブラストの攻撃の早さ。パソコンで性能を調べた飛鳥は、さらに驚いた。
「……何だよ、この性能……あの武装の量で、ディル・ゼレイクの時より機動性は上!?
「驚きでしょ。作るの大変だったんだから」
 と、優が誇らしげに言う。
「珍しくゆうゆうが土下座までして頼んで来たから受けたんだけど、これがまた注文がうるさくてね……」
「勇治らしいと言えば勇治らしい……けど、土下座って……」
 あの勇治が、まさか土下座までするとは思わなかった。
「けど、あのドライヴまだ何か隠してますよね?」
「もちろん。多分、そろそろ見せてくれるんじゃない?」



 高出力のビームをどうにか回避し、村瀬がミサイルを撃ってそれを爆発させる。爆風がディル・ブラストを囲んだ。
 勇治の視界が遮られる。その隙を狙い、レイ・マキシマムが攻撃する。
 しかし、そこにディル・ブラストの姿はなかった。村瀬の目が見開かされる。
「その程度なら、軽く回避できる。ディル・ブラストの機動性ならな」
 両腕の銃を足元へ落とす。脚部から腕が姿を見せ、落とした銃を手にした。
 ディル・ブラストが左右のガトリングに取り付けてある二つの銃を取り出す。
「ブリューナク、ユニコーン」
 放つ。村瀬は『金剛の瞳』を発動させた。
 中心点を見極めて放つ。が、銃の性能の差に負けた。
「無駄だ。『レア・ウェポン』に普通の武器で勝てるわけがないだろう」
 そう言いながら、勇治が銃を構える。村瀬が舌打ちした。
 レイ・マキシマムが様々な場所に向けて銃を撃つ。そして、連続で撃った弾丸に対して撃ち続けた。
『ミラージュ・スペル』
「クリムゾン・ゴッドバースト」
 胸部、両肩、そして背中のツインゴッドランチャーの砲門が向けられ、放つ。
「マキシマム・フレア」
 ディル・ブラストの全砲門が開き、放たれる。



「『レア・ウェポン』!? それも二つ……」
「そ、光属性の弾丸を撃つ光銃ブリューナクとバリアを貫くビームを撃つ魔銃ユニコーン。どっちも最上級品よ」
 誰もが手に入れたいと言われる『レア・ウェポン』。それを勇治は持っている。二つも。
 そして隠し腕。ここまで来ると、相手が可哀相だ。
「……けど、全武装一斉射撃は弾数尽きて攻撃できなくなるだろ、あの馬鹿」
「そう思うでしょ? でもね、ディル・ブラストはそんな事がないのよ」
「え?」
 そう言っている矢先に、ディル・ブラストの弾数が尽きる。攻撃が止んだ。
 が、次の瞬間、弾丸を装填する音が複数、一斉に鳴る。飛鳥は驚いた。
 ディル・ブラストの弾数が全て補充されている。
「これって……!?」
「ファイアリング・セット。2回まで全武装の再装填を一瞬で出来るアクティブ・ウェポン」
「予め弾数を補充して準備しないといけないけどね」と優が付け足す。
 銃系のアクティブ・ウェポンにおける弱点、弾数の制限を補える武装。
 しかし、まだレイ・マキシマムは倒れていない。防げる弾丸は防ぎ、回避できる弾丸は回避している。
 流石は、元『ダーク・フォース』で勇治を苦しめたコネクターだ。
「村瀬将射も相当な実力だ……『ダーク・フォース』の時より強くなってる……」



 ディル・ブラストの攻撃をどうにか逃れる事のできた村瀬は、勝負に出る事にした。
 このままでは勝てない。そう、判断したのだ。
『……ドラウニプル』
 レイ・マキシムの両腕を前面へと稼動させ、脚部を真っ直ぐに伸ばして合わせる。
 機体全体が真横になり、大地に接する面からスラスターが出現し、宙へと浮いた。
 レイ・マキシマムの巨大な銃形態。ドラウニプル・モード。
『ナイン・ヘッド・ドラグーン』
 9つの砲門が開き、放つ。それを見た勇治は応じた。
「マキシマム・フレア」
 全砲門が開き、放たれる。二体の攻撃は互いの攻撃により相殺された。
 村瀬が笑みを浮かべる。そして、その感情を抑え込むかのように笑い出した。
『……面白い。それでこそ、マグナム・カイザーだ。これで本気を出せる』
「本気だと?」
『そうだ。お前に一度負けてから、俺はさらに強さを求めた』
 レイ・マキシマムの9つの砲門にエネルギーが集まる。巨大な球体が生成された。
 勇治が目を見開く。そう、それは勇治の誇る技に似ていたからだ。
「それは……!」
『そうだ。お前の技を研究させてもらった。そして、自壊しない程度でエネルギーを集め、撃つ事が出来る技だ』
「自壊しない程度、だと?」
『あの技の弱点は、相手を倒せなければ自壊する可能性が高過ぎる点だ。ならば、そのエネルギーを制御すれば良い。
 そして、それを9つ……これが、お前の力を超えた最強の技だ』
「甘いな」
『何……?』
 ディル・ブラストが脚部の腕に持たせていた銃を両手に戻す。そして構えた。
 エネルギーを集中させる。左右の銃それぞれに、巨大な赤熱の球体が発せられた。
「ファイナル・インフェルノは、自壊するリスクがあるからこそ最強を誇る。この技は、誰にも負けん」
『面白い……たった2つの銃口から放つ威力がどれほどのものか、試させてもらおう』
「それは俺の台詞だ」
 ディル・ブラストの左右の球体がさらに大きくなる。バトル・フィールドに震動が走った。
『ナイン・ヘッド・インフェルノ』
「クロス・インフェルノ・ジャッジメント……!」
 同時に放つ。勇治はこの時勝利を確信していた。
 ディル・ブラストの放った2つの赤熱の球体は互いを求めるかのように融合し、何倍もの大きさの物へと姿を変える。
 そして、レイ・マキシマムの放った9つの球体と激突――――は、しなかった。
 巨大な赤熱の球体はレイ・マキシマムの9つの球体を呑み込み、レイ・マキシマムを襲う。
『な……俺の技を呆気なく……!?』
「……言ったはずだ。この技は誰にも負けん。お前にも……そして、飛鳥にもな」
 巨大な赤熱の球体の呑み込まれ、レイ・マキシマムが爆発する。
「勝者、『マグナム・カイザー』荻原勇治ぃぃぃぃぃぃっ!」



 バトル終了。それと同時に飛鳥は立ち上がった。
 優が首を傾げながら訊く。
「勇治と話していかないの?」
「ええ。あいつと話してる場合じゃないですから」
 チーム戦はともかく、コンビ、シングルでの強敵は間違いなく勇治だ。
 ディル・ブラストと勇治は強い。だからこそ、今は自分の事に集中したい。
「優さん、俺からもお礼を言っておきます」
「何の?」
「勇治のドライヴをパワーアップしてくれて、ありがとうございます。あいつとのバトルが楽しみです」
「言うじゃない。下手したら、あの攻撃の嵐の前に負けるかもしれないのに」
 優の言葉に、飛鳥が鼻で笑った。
「全部避けてみせますよ。あの『レア・ウェポン』については、分かったら教えます」
「ん、よろしく」



 コクピットランサーから降りた村瀬は、真っ先に勇治の乗るコクピットランサーへと向かった。
 コクピットランサー内でぐったりとしている勇治の肩を掴み、立ち上がらせる。
「危険な技だな。一発で相当負担が掛かっている」
「……さい。俺の勝ちに変わりは無い」
「……ああ。流石は、チームの主戦力だ」
 その言葉に勇治がふっと笑みを浮かべる。そして、そのまま眠りに入った。
 村瀬が驚く。無理もない、あれほど強力な技を放てば、嫌でもこうなるだろう。
 勇治の肩を取り、近くのベンチに座らせる。
「お兄ちゃん!」
 その時、亜美がタイミング良く駆けつけて来た。ベンチに座る勇治を見つけ、揺する。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんってば!」
「心配するな。疲れて眠っているだけだ」
「それはそうですけど、ここで寝るのは……」
「寝かせておけ。それより、問題はトーナメントを勝ち進む為のメンバーだ」
「え!?」
 村瀬が亜美に向って頭を下げる。
「エースより弱いが、これからよろしく頼む」
「もしかして、お兄ちゃん、村瀬さんをチームに?」
「そうだ」
「……! じゃあ、これから宜しくお願いします、将射さん!」
 満面の笑みを見せる亜美。その姿に村瀬が少しだけ口元を歪ませた。
 その時、勇治が「俺は許さんぞ」と寝言を発したのか、発していないのかは定かではない。



次回予告

 明日香「勇治君のドライヴ、飛鳥君のセルハーツみたいになってるね」
 飛鳥 「いや、そんな事ないだろ。俺はあんなに武器装備させてないし」
 明日香「でも、あの強さは飛鳥君と同じで誰も勝てないような……」
 飛鳥 「……そんな事はないと思うんだけどな……」
  ※強さの感覚が麻痺してる飛鳥と勇治です(笑)

  次回、CONNECT15.『マリアに挑戦状!?』

 マリア「仕方ない。それじゃ、バトルしてあげますか」

 明日香「次回の主役はマリアさん! そして、新キャラ登場!」
 飛鳥 「……久々に新キャラが出るような気がする」
 明日香「そう言えば……」
  ※そこ、そんな事言わない!(汗)



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