病院。待合室で飛鳥が目を覚ますのを待つ明日香は、明日奈と合流した。 「飛鳥はまだみたいね」 「うん……怪我とかはそこまで酷くないんだけど……」 ただ、頭を強打している為、まだ眠っている。明日奈が明日香の手を握った。 「だったら大丈夫でしょう。問題は、その後だと思うわ」 「その後……?」 「あのドクター・ググロって言う男が、動き出したらしいわ。下手をすれば、ドライヴは二度と使えなくなるそうよ」 「そんな……それじゃ、飛鳥君が……」 「しばらく、落ち込むでしょうね」 ドライヴの事になると、誰よりも夢中になる飛鳥からドライヴを取り上げれば、間違いなく落ち込む。 それも、今まで見た事がない以上に。そう思うと、明日香は手を合わせて強く祈った。 「飛鳥君……」 「いたか!?」 「いえ、どこにも……」 声が聞こえる。見れば、病院内で数人の医者と看護師が慌てふためいていた。 明日香と明日奈が顔を見合わせる。その時、一人の医師が話し掛けて来た。先代『ソード・マスター』が。 「明日香ちゃん、飛鳥を見なかったか!?」 「輝凰さん……見てませんけど、飛鳥君がいないんですか……!?」 「ああ。様子を見に行ったら、姿を消していた。飛鳥の奴、いつの間に抜け出したのか……!」 輝凰の言葉に、二人がまさか、とお互いを見る。 「もしかして飛鳥君……」 「……行くわよ、明日香」 明日奈が明日香の手を取って立ち上がる。 「行くって、どこに?」 「この近くのショップよ。飛鳥の事だから、絶対にいるはずよ」 アンブロットに取り囲まれた三人。勇治がふん、とアルティメット・ギャリオを睨む。 「すぐに片付けてやる」 「ちょっと待った、勇治。オーバー・ドライヴ・システムを使う気でしょ?」 「当然だ。まだ、奴には見せていないからな」 「却下よ却下! それで倒せなかったら、この大群を晃鉄と二人で倒さないといけないんだから」 マリアに止められる。勇治は舌打ちした。 晃鉄が考える。この状況をどうすれば解決できるかを。 「向こうには、こちらの戦い方が全て解析されている。だとすれば、戦い方を変えれば……」 「戦い方を変える?」 「例えば、俺やマリアは射撃中心で、勇治は接近戦を行うとか、だ」 「なるほど……でも、肝心の武器が少なくない? ほとんどが固有装備になってる感じだし。 そもそも、エイルはバイク運転できないと難しいけど?」 「確かに……」 早くも手詰まりだった。痺れを切らした勇治がサタン・オブ・マグナムを構える。 「俺のファイナル・インフェルノだけで十分だ」 「だから、レガリアじゃ下手したら『ドライヴ・マスター』を壊しかねないでしょ」 「それに、あの数で防御されたら攻撃は届かない」 「…………」 『おやおや、どうやた手も足も出ないようだねぇ』 ドクター・ググロが笑う。アルティメット・ギャリオの右手が動いた。 三人に向けられ、エネルギーが集中される。 『手始めだ。アルティメット・ギャリオの性能を見せてあげよう』 「――――二人とも、俺の後ろへ! アルティメットシールドで防御する!」 「その必要は無い。あの右手を破壊すれば良い」 「だから、それが出来ないから困ってるんでしょうが、勇治」 そう言って、マリアが勇治を無理矢理動かす。アルティメット・ギャリオの右手から、強大なビームが放たれた。 ヴィオ・ガ・ルーンが防御する。それを見たドクター・ググロが目を細めた。 『やはり、アルティメットシールドは厄介だね。君達を倒すには、やはりその盾が邪魔だ。アンブロット』 周囲を取り囲んでいたアンブロット達が、両腕を三人へと向ける。 『しかし、その盾は一方向しか防げない。攻撃されている間は、真の姿にはなれないからね』 「くっ……」 『ふふふ……レガリアは、君達を倒してから手に入れれば良い。ここで消えてもらおう』 アンブロット達の両腕にエネルギーが集中される――――刹那、一気に爆発した。 ドクター・ググロが目を見開く。マリアが『空の瞳』で見る。 「……誰かが攻撃した? でも、今戦えるのって……」 「来たか」 勇治が上を見る。そこから、三つの何かが降って来た。 三人の目の前に降って来た、四輪バギー、戦闘機、蟹型のメカ。 そして、さらにその前に一体のドライヴが姿を見せる。 飛鳥のセルハーツだ。三人が目を見開く。 「飛鳥、大丈夫なの!?」 「……多分。それに、大人しく寝てる訳にもいかないからな……」 「セルハーツの”それ”と、この三体はドライヴなのか?」 晃鉄が訊く。セルハーツの”それ”は、マリアのセイレント・クイーンと同じバイクだった。 飛鳥が首を横に振る。 「全部アクティブ・ウェポンだ。三人とも、今データを転送したから、すぐに使え!」 「使えって……私は蟹!?」 「…………」 「俺は戦闘機か……これは?」 「戦闘スタイルを変更して戦う為のアクティブ・ウェポン。テスト出来ていないから、ぶっつけ本番だけど」 「戦闘スタイルの変更? じゃあ、飛鳥のバイクって接近戦用じゃないって事?」 「ああ。こいつは……ブルーペガサスは、射撃武器搭載のバイクだ!」 そう言って、セルハーツが駆ける。ブルーペガサスと呼んだバイクの後方から、無数のミサイルが放たれた。 アンブロット達が回避する。間髪入れずに、飛鳥が攻撃を仕掛ける。 バイク前方から二門の砲筒が出現し、巨大なビームを放った。それを見たマリアが「ひゅー」と感心する。 「フルミサイルにツインゴッドランチャーじゃない。飛鳥は射撃型に戦闘スタイル変更したわけね」 「……何だ、これは」 勇治がぼやく。飛鳥が持って来たバギー型のアクティブ・ウェポンに乗り込んだ直後、巨大な腕が出現した。 それを見たマリアが笑う。 「何それ? 腕だけプラディ・ラ・グーンっぽい」 「飛鳥の奴……!」 「どうやら、勇治の方は防御型のようだな。戦闘機と言う事は、俺は空か」 「じゃあ、私は接近戦って事ね。何で蟹かはともかく」 そう言って、三人が攻撃を開始する。それを見ていたドクター・ググロは小さく笑っていた。 飛鳥が取った作戦は、解析できていない戦い方でかく乱すると言う作戦。 しかし、それすら読んでいる。だからこそ、彼は笑う。 『甘い、甘いねぇ……。アンブロット達は即時解析できるのだよ』 「だろうな」 『何?』 「4つのアクティブ・ウェポンを作ったのは、確かにアンブロットって言うドライヴの解析完了前に破壊する事だ」 セルハーツがバイクを降りる。そして、ファルシオンセイバーを構えた。 「お前を……アルティメット・ギャリオを倒すのは、この技だ!」 セルハーツの全身が凄まじき闘気に覆われ、ファルシオンセイバーが”究極の光剣”へと姿を変える。 それを見たドクター・ググロが目を見開く。 『その剣……まさか!?』 「天翔蒼破ッ! 絶・靭・斬ぁぁぁぁぁぁんッッッ!」 振り下ろす。一直線に伸びる波動がアルティメット・ギャリオを襲った。 瞬間、アンブロット達がアルティメット・ギャリオの前に立ち、巨大なバリアを形成する。波動が無力化された。 飛鳥が目を見開く。ドクター・ググロが高々と笑った。 『そうか、君が彼女の息子だったか……』 「天翔蒼破絶靭斬を……無力化した……!?」 『残念だったねぇ。その技は、17年前に解析済みなのだよ』 「……!?」 『あの時、この技で私のドライヴは破壊された。その時に解析していたのだよ、二度と破壊されないようにね』 「そんな……」 セルハーツがクールダウンに入り、行動不能に陥る。アンブロット達が四人の戦い方を瞬時に解析した。 飛鳥を除く三人の攻撃を全て回避し、再び取り囲む。ドクター・ググロが笑みを浮かべる。 『君達の負けだ。私の目的は、ようやく果されるのだ』 「くそっ……!」 飛鳥が歯を噛み締める。アルティメット・ギャリオが右手をセルハーツへと向ける。 『まずは、君からレガリアを頂こう』 「……くそっ、頼む……動いてくれ、セルハーツ……!」 しかし、セルハーツは動かない。 「……ググロを止めるんだ……! だから……だから、セルハーツッ! 頼むよ……動いてくれよ!」 『終わりだ』 アルティメット・ギャリオの右手から、巨大なビームが放たれる。飛鳥が悲痛の叫びを上げた。 それは、何が起きたのか、誰にも分からなかった。 放たれた攻撃が何かによって無力化され、四人のドライヴ――――否、レガリアが眩い光を放った。 「……これは……!?」 四人の前に現れた四つの光。光の中に見える物を見て、目を見開いた。 ドライヴだ。光が少しずつ消えていき、四体のドライヴが姿を見せる。 そして、表示されるドライヴの名前。 「……ブルーアリア、ガンブラスター、ラーズグリフ、アルフェイス……?」 見た事も、聞いた事もないドライヴ。ドライヴの名を聞いたドクター・ググロが声を上げる。 『馬鹿な……!? なぜ、あの四体のドライヴが……!?』 「……一体、このドライヴは……!? 何で、ググロはあそこまで……?」 『お前達に邪魔はさせん! アルティメット・ギャリオッ!』 アルティメット・ギャリオが巨大なビームを撃つ。その時、盾を持ったドライヴ――――ラーズグリフが動いた。 巨大なビームを盾で受け止めながら、そのまま殴るかのようにビームを無力化する。それを見た晃鉄の目が見開く。 「あの一撃を防御……いや、粉砕した……!?」 そして、今度は銃を持つドライヴが動く。勇治の眉がピクリと動いた。 銃口にエネルギーが集中し、獅子のような姿をしたビームが放たれ、 そして意思を持つかのように動きながら、アンブロットの大群を呑み込んでいく。 「ふん、俺のファイナル・インフェルノの方がまだ威力が高い」 「張り合ってどうするのよ、勇治。あ、今度は翼のドライヴが指を鳴らした」 マリアの言うとおり、翼を持つドライヴが指をパチンと鳴らす。 すると、いつの間にかアルティメット・ギャリオの周囲に張り廻られた光の軌跡に一閃のビームが放たれ、 その軌跡にまるで鏡のように反射し、無数のビームと化してアルティメット・ギャリオに降り注がれる。 「いつの間に色々と準備してたんでしょね……と言うか、あれはお姉さまでも無理だわ」 そもそも、突如出現したドライヴ達は何なのか。その疑問がまだ解決していない。 ドクター・ググロが歯を噛み締める。 『その技はやはり……! なぜ、初代のドライヴがぁぁぁ!?』 「初代のドライヴ? まさか……!?」 飛鳥が目の前に立つ女剣士のドライヴを見る。 「ブルーアリア……まさか、母さんの……!?」 「初代『フォース・コネクター』のドライヴ……これが、初代だと?」 晃鉄が驚く。初代のドライヴの性能は、間違いなく今よりも低いはず。 しかし、目の前で戦い四体のドライヴの強さは、完全に桁違いだった。 「でも、何で母さん達のドライヴが……まさか……!?」 飛鳥がレガリアを見る。四人の持つ『ドライヴ=レガリア』は、まだ光を放っていた。 まさかとは思うが、『ドライヴ=レガリア』が初代のドライヴを出現させた。 そう思った飛鳥が「そうか」と笑みを浮かべる。 「レガリアは……母さん達は、俺達と同じでググロを倒す為に……!」 「心強い助っ人が登場してくれたし、反撃開始と行きますか」 「そうだな。このまま畳み掛けるぞ」 「ふん、俺の方が強い事を証明してやる」 勇治、マリア、晃鉄の三人が動く。飛鳥はすぐにセルハーツの状態を確認した。 まだ、クールダウンの時間は残っている。 「くそっ、クールダウンが終わらない限り、俺はどうしようも――――!?」 『Limiter release, Completion. Sel-Hreats, Maximum Power!』 突如、セルハーツが光り輝く。飛鳥は目を見開いた。 セルハーツの装甲や形状が変わっていく。クリスタル状の装甲に、背中の巨大スラスターが姿を現した。 『Sel-Hreats, End of reconstruction ... Wake up, Final-Hearts!』 「ファイナルハーツ……どうして……!?」 セルハーツの真の姿であるファイナルハーツ。 両手に持つ剣を見て、飛鳥がさらに驚いた。 「フラムベルジュにヴォーパルソード……そうか、明日香と明日奈か……!」 二人がどこかで、ドライヴをコネクトした。だからこそ、ファイナルハーツが姿を現した。 飛鳥が「ありがとう」と小さく呟く。 「これなら勝てる……! 力を貸してくれ、ファイナルハーツ!」 ファイナルハーツのカメラアイが一瞬だけ強い輝きを見せた。 次回予告 飛鳥 「心配掛けたな、明日香、明日奈」 明日香「飛鳥君! 良かった……良かったよぉ……」 明日奈「大丈夫なの?」 飛鳥 「大丈夫。今は、ググロを倒すんだ……!」 明日香「そうだね! 初代の『フォース・コネクター』のドライヴも登場して……奇跡が起きたんだね!」 飛鳥 「母さん達が力を貸してくれる……それにファイナルハーツなら、ググロを倒せる……!」 明日奈「この展開、どこかで見た事がある気がするのだけれど……」 ※明日奈、しーっ! しーっ! 次回、CONNECT-FINAL.『全ての決着』 明日香「次回は、エピソード最終回!」 明日奈「結末は……『Drive-Connect! - ULTIMATE EPISODE -』があるから意味ないわね」 飛鳥 「それを言ったらダメだって……」 |
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