突如現れた明日奈の乗るハデスハーツ。その両手に持つ剣が明日香のシルフィーナディアに襲い掛かる。 『フレイムヴァイパー!』 炎の剣から鞭状の炎が伸び、放たれる。シルフィーナディアのリアクターウイングが防いだ。 その防御力の高さに、明日奈の顔が少しだけ歪む。 『……レア・ウェポンによる攻撃を防げるなんて、良い物を作ってもらったわね』 「明日奈、バトルじゃなくて話し合おうよ!」 『黙りなさい! あなたは私から飛鳥を奪い、そして飛鳥を独り占めしている……それが許せないのよ!』 ハデスハーツが氷の魔剣を振り上げる。 『アイシクルエッジ!』 振り落とし、氷の刃がいくつも放たれる。明日香は「明日奈!」と叫んだ。 リアクターウイングの自動迎撃が行われ、氷の刃を撃ち落とす。 それを見て、静かに明日奈が笑みを浮かべる。 『自動迎撃……強いわね、そのドライヴ』 「明日奈、私の話を聞いて!」 『黙りなさいって言ったはずよ、明日香!』 ハデスハーツが炎の魔剣を大きく振り落とし、シルフィーナディアの回りに炎を描く。 同時刻、別のショップにて。『ストーム・クラウン』である彼女――――マリアはついに追い詰めた。 巧みに雷系の攻撃を繰り出してくる『ダーク・コネクター幹部』と激しいバトルを繰り出す。 「そうやって逃げてないで、攻撃して来なさい、”ヴォルト・デュラハン”!」 『逃げていませんよ。なにせ、あなたは罠に掛かったのですから』 不敵に笑う。突然、バトル・フィールドに乱入が入った。 マリアが舌打ちする。「罠って、こう言う事ね」と呟きながら。 ラフレシアのような形態の巨大ドライヴ。その中心には、エネルギーがかなり集中している。 『さあ、私の大切なお花さん、仕留めなさい』 ラフレシアの中心に込められたエネルギーが放出される。マリアはドライヴを変形させた。 女性型であるムササビ丸が竜型へと変形。口内にエネルギーを込め、ラフレシアに対抗する。 放たれたのは、レガリアである『ワイヴァーン・ウイング』の力を持つワイヴァーン・フレア。 ラフレシアのエネルギー放出を食い止め、ついでに破壊する。 「罠ってこれだけ? そろそろ、本気出すけど、どうするのかな、ヴォルト・デュラハンさん?」 『……私のラフレシアを、よくも……! あなたなど、私一人で十分です!』 ヴォルト・デュラハンが攻撃を仕掛ける。ムササビ丸は空高く舞い上がった。 マリアが目を鋭くし、風の流れを読み取る。ワイヴァーン・ウイングが大きく広げられた。 「ワイヴァーン・レイ。甘く見ちゃダメよ?」 笑顔で言う。放たれた無数のビーム。ヴォルト・デュラハンはその攻撃を辛うじて避けた。 「あれ、意外と凄い」とマリアがワザとらしい関心を示す。 「でも、あなたじゃ私には勝てないって言うのは決まってるけどね」 『何を……このヴォルト・デュラハン、まだ負けは……!』 「じゃ、こっちも全力で相手してあげるから、逃げちゃダメよ?」 マリアの余裕な言葉が、ヴォルト・デュラハンを追い詰めていく。 飛鳥はようやく明日香がいるショップに到着した。 バトル・フィールドの状況を一人見ている女性――――紅葉に話し掛ける。 「紅葉!」 「『ソード・マスター』!? ……バトルなら、自分の負けです」 「んな事は分かってる! それより、明日香は!?」 「分かってる……!? 自分が、星川さんに負けると分かっていた……!?」 わなわなと身を震わせる紅葉。飛鳥は「それよりも!」と怒鳴りを上げた。 「何でお前はコネクト・アウトしているんだ!? 明日香が攻撃にあったなら、お前も一緒のはずじゃ……」 「自分がコネクト・アウトした直後に、こうなったのです。 ちなみに、コネクトしようにもロックが掛かっていて、こちらからはコネクトできません」 「コネクトロック!? 明日奈の奴、俺が来る事分かってたって事か……!」 空いているコクピット・ランサーの元に向かい、コンピュータを直接操作する。 ドライヴが強い反応を示している。間違いない、『アサシン・ブレード』は姿を現す。 その前に、急いでコネクトできるようにしないといけない。 「紅葉、ゴウさんに連絡してくれ!」 「リーダーに? ……と言いたいところですが、生憎、リーダーはバトル中の模様です」 「こんな時に……こうなったら、勇治に来てもらうか……」 片手でコンピュータのロックを外しつつ、ドライヴで連絡を取る。 『……誰だ』 「俺だ……って、お前、何か声死んでないか?」 『風邪を引いた。だから、もうかけてくるな』 ブツッ。その一言で電話を切られる。飛鳥は「……すぐに切るなよ」と愚痴った。 しかし、風邪なら文句は言えない。 「と言うか、出番少ないからって、『もうかけてくるな』はないだろ」 「何を言っているのですか、あなたは」 白い目で睨む紅葉の姿があった。 再び、別ショップにて。マリアがヴォルト・デュラハンを追い詰めた。 「さぁーて、これで終わりにしようね?」 『そうはなりません……このヴォルト・デュラハンに負けはないのですから!』 ヴォルト・デュラハンが地上からラフレシアを出す。どうやら、あれは一機だけじゃなかったらしい。 ラフレシアが6つの花弁を分離し、中心部がヴォルト・デュラハンの背中に合体する。 ワイヤーで繋がれているラフレシアの花弁から砲門が姿を見せた。 その姿を見て、マリアが「うわ……」と嫌な顔をする。 「悪趣味ー」 『さあ、覚悟してもらいますよ、ストーム・クラウン』 ラフレシアの花弁からミサイルが無数に放たれる。ムササビ丸は遥か上空が舞い上がる。 しかし、ミサイルは意思を持つかのように追って来た。どうやら、追尾型らしい。 「……仕方ないわね」 ムササビ丸の背中にある『ワイヴァーン・ウイング』が光を発する。 「ゴッドステルス・ワイヴァーン。ムササビ丸、本領発揮よ」 マリアの言葉にコンピュータが『OK!』の文字を表示する。 ワイヴァーン・ウイングの翼の上から、ビーム状の翼が生成され、ミサイルを全て叩き落す。 ヴォルト・デュラハンはそれを確認して攻撃しようとしたが、コンピュータには相手の反応がなかった。 『何……これは……!?』 「空の王のレガリア。その真の力は、目視できても、ステルスと同じ力を放つと言う事」 つまり、人間の目には見えても、コンピュータからすれば捉えられない状態。 ややこしいが、それが『ゴッドステルス・ワイバーン』と呼ばれる本当のレガリアの力。 ムササビ丸がドラゴンモードのまま、ヴォルト・デュラハンを睨む。 「私の勝ちって事で、これでフィニッシュね♪ ドラグニア・レディエンス・ワイヴァーン」 ムササビ丸の全身が光り輝き、光の竜となって体当たりを繰り出す。 刹那、巨大な手の平がそれを受け止めた。 ムササビ丸を一握りで潰せそうなほど巨大な手。その巨大さは、通常のドライヴの10倍以上ある。 ヴォルト・デュラハンは「助かりましたわ」と言った。 『ご無事でしょうか、お嬢様?』 『……ええ、大丈夫ですわ。相手が空の女王とは言え、甘く見ていましたわ』 「……大きなドライヴねぇ。あなたも『ダーク・コネクター幹部』ね?」 マリアの一言に、巨大なドライヴが目を光らせる。 『正解だ。俺はグレート・ビックフット。お嬢様、撤退です』 『そうですわね。アサシン・ブレードが真の力を引き出したそうですし』 「――――!? ちょっと、それってまさか……!?」 『ストーム・クラウン、レガリアの一つは我らの手中に収めました』 その一言を残して、二体のドライヴが姿を消す。マリアは舌打ちした。 『アサシン・ブレード』は飛鳥の宿敵とも言える相手。手中に収めたと言う事は、飛鳥は負けた事になる。 飛鳥が――――『ソード・マスター』が負けたと言う事は、相手はそれ以上に強いはず。 「一人じゃ無理かな……こうなったら、お姉さま達を呼ぶしかないかもね……!」 コネクト・アウトし、すぐに連絡を取るマリアだった。 ハデスハーツの攻撃は、シルフィーナディアの前では全く通用しなかった。 飛鳥の開発したリアクターウイングと言うアクティブ・ウェポンは、『レア・ウェポン』に匹敵していた。 「明日奈、もう戦うのは止めて! 私達が戦うのって間違ってるよ!」 『戦うのが間違ってる!? 私から飛鳥を奪っておいて、そんな事は言わせないわ!』 ハデスハーツが剣を振るう。 『どうして、飛鳥を好きなったりしたの!? どうして、私から好きな人を奪うの!? あなたはいつもそう! 私から全てを奪って、私の居場所をいつも奪うのよ!』 「そんな……そんな事しないよ!」 『だったら、どうして飛鳥を好きになるのよ!? どうして飛鳥はあなたを選ぶのよ!?』 同じ顔で、ただ性格が違うだけ。それなのに、好きな人はいつも見てくれない。 『答えなさい! あなたはどうして飛鳥を好きになったのよ!』 「……知ってる? 昔の飛鳥君、たまに寂しそうな感じだったって事」 ハデスハーツの剣をシルフィーナディアがプラズマセイバーで受け止める。 その力の差は圧倒的にシルフィーナディアが不利なのだが、それでも明日香は必死に受け止めた。 「飛鳥君、お母さんいなくて、お父さんも仕事でいないから寂しくて泣いていたって、知ってた?」 『……嘘よ、それ。だって、飛鳥はいつも明るい性格だったじゃない!』 「ううん。飛鳥君は私達に心配されたくなかったから、無理してたんだよ? 私、それが嫌だった。 だから、飛鳥君の側にいたいって思った。……それが、気づけば恋になってたの」 『…………』 「それに、私だって、飛鳥君のパートナーになりたくてドライヴを始めたんだもん」 大好きな人が夢中になったドライヴ。自分の居場所を見つけ、上を目指しているドライヴ。 その姿を見て、力になりたいと思った。だから、ドライヴを始めた。 「けれど、飛鳥君には勇治君って言うパートナーが出来てた。少しショックだったかな……」 『……じゃあ、なぜドライヴを続けているの?』 「約束したからだよ。いつかAランクになったら、コンビを組もうって約束したから……。 だから、私はドライヴを続けてるの。明日奈はどう?」 『私は……』 ハデスハーツが剣を下げる。 『……私は、飛鳥に見てもらいたかったから……私は、あなたの役に立ちたいって伝えたかったから……』 「…………」 『だから……だから、私はドライヴを続けてる……! ダーク・コネクターになった今でも……!』 「……ダーク・コネクターじゃなくても、飛鳥君は見てくれるよ」 それに、飛鳥はドライヴを始めたと話した時、嬉しそうにドライヴを作ってくれた。 明日奈もドライヴを始めたと知った時には、「ドライヴの楽しさが伝わるのって、良いな」と言っていた。 「飛鳥君は、明日奈の事もちゃんと見てくれるよ。だから……」 『……もう、無理よ』 「え……?」 『ダーク・コネクターを裏切る事は、死に繋がるのよ。もう普通のコネクターに戻る事なんてできないの』 「で、でも――――」 瞬間、爆発。二人は同時に爆発のした方角へ目を向ける。 灼熱に燃え上がるドライヴの姿。その手には、暗黒の剣の姿があった。 明日奈が目を見開く。 『アサシン・ブレード!?』 『うぉぉぉおおおおおおっ!』 灼熱のドライヴ――――『ダーク・フォース』である紫電が乗るレーヴァティンがシルフィーナディアを襲う。 『明日香! フレイムヴァイパーッ!』 シルフィーナディアの前に立ち、ハデスハーツが炎の鞭を振るう。 レーヴァティンはそれを避け、剣を大きく振り構える。 『熱月ゥゥゥッ!』 瞬間の斬撃。ハデスハーツはそれをどうにか受け止めた。 否、受け止め切れなかった。ハデスハーツなど簡単に上回るパワーで吹き飛ばされる。 レーヴァティンがハデスハーツを睨む。そして、剣に灼熱が絡みつく。 明日奈は恐怖を感じた。 『灼熱の終――――』 「ゴッドランチャー、シュートォォォッ!」 放たれる一閃の波動。レーヴァティンはそれを避けた。 ハデスハーツの前に立つ鮮やかな青い装甲のドライヴ。明日奈は目を見開いた。 『飛鳥……どうして……!?』 「明日奈、一つ聞いて良いか?」 『え……?』 「……お前は、『ダーク・コネクター』を裏切れるか?」 意外な質問。しかし、明日奈は首を横に振る。 『……無理よ。裏切ったら私は……』 「その事を考えなかったら、裏切れるか?」 『……そう、ね。何も考えないで良いんのなら、ダーク・コネクターを裏切れるわ』 「……そっか。それを聞いて安心した」 青い装甲のドライヴ――――セルハーツが剣を構える。 ハデスハーツがゆっくりと立ち上がる。飛鳥は微笑んだ。 「裏切れるなら、俺がお前を守る。……いや、お前を守る事が出来る」 『飛鳥……』 「安心しろ、イブリスとかに命を狙われても、俺が必ずお前を守り通す! 蓮杖飛鳥としてな!」 その言葉に、ファルシオンセイバーが眩い光を放つ。 主である『ソード・マスター』の言葉。その言葉に、レガリアが応えた。 レーヴァティンが立ち上がる。 『蓮杖ぉぉぉ……蓮杖飛鳥ぁぁぁぁぁぁっ!』 「……紫電、今すぐお前の憎しみを消し取ってやる! 覚悟しろ、アサシン・ブレード!」 『うぉぉぉおおおおおおっ!』 今、『ソード・マスター』と『アサシン・ブレード』の激突の幕が開かれた。 次回予告 はぁーい、『ストーム・クラウン』のマリアでーす♪ 次回は、いよいよ繰り広げられる飛鳥と紫電の最大バトル。 その時、厄介な奴がやっぱり現れて……? 次回、CONNECT18.『二人の力を一つに』 ドライヴ・コネクト♪ 次回予告したけど、次回出番ないのよ、実は……。 |
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