CONNECT18.『二人の力を一つに』


『ソード・マスター』と『アサシン・ブレード』がついに激突する。ハデスハーツは剣を構えた。
 セルハーツがレーヴァティンと距離を置いた瞬間を見計らい、炎の鞭を繰り出す。
『フレイムヴァイパー!』
『そうはいかん』
 伸びる炎の鞭を受け止める巨大な剣。明日奈は目を見開いた。
 幹部最強の存在であるイブリスの次に、その強さを秘めている”全てを悟りし者”。
『ガルノア……!』
『アサシン・ブレードの邪魔はさせん。アイス・ドール、お前の相手は私だ』
 ガルノアが巨大な剣を構える。
『ダーク・コネクター幹部、全てを悟りし者ガルノア。覚悟は良いな、アイス・ドール?』
『……望むところよ。私は星川明日奈。もうアイス・ドールじゃないんだから!』
 ハデスハーツが突撃する。炎の魔剣が激しく燃え上がった。
 炎がガルノアのドライヴ・オーガノスの周りを囲み、ハデスハーツがその上空に飛ぶ。
 フラムベルジュにオーガノスを囲む炎が伸び、そして集う。
『フレイム・ブレイド!』
『魔刻・零』
 フラムベルジュが巨大な炎の刀身を作り出して攻撃を仕掛ける。オーガノスは剣を大地へ振り落とした。
 剣による衝撃で大地が暴れ、衝撃波が炎の剣を受け止める。
 ハデスハーツが大地に降り、氷の剣を大きく振りかざした。
『アイシクルエッジ!』
 放たれる氷の刃。ガルノアはそれを瞬時に見切った。
 巨大な剣で凍りの刃を撃ち落し、その刃先をハデスハーツへと向ける。
『無駄だ。ソード・マスターと同じ資質を持つ私には、お前の攻撃は当たりもしない』
『……鷹の瞳ですって!? どうして、あなたが飛鳥と同じ力を……!?』
『それは違うぞ、アイス・ドール。少なくとも、彼――――ソード・マスターの瞳は私以上だ』
 そう、初めて自分を負かしたコネクターと同じ瞳を持つ少年。
 彼こそ、先代『ソード・マスター』を超える最強のコネクターだ。間違いない。
 オーガノスが剣を振り上げる。
『アイス・ドールよ、裏切りの罪だ、償え――――』
「レイブラスター!」
 刹那、オーガノスを二つのビームが襲う。ガルノアは『鷹の瞳』でそれを見切った。
 ビームが放たれてきた方角に、一体のドライヴがいる。シルフィーナディアだ。
 レイブラスターの砲身をオーガノスに向けたまま、明日香が明日奈の元に寄る。
『明日香、どうして……!?』
「私も一緒に戦う。だって、明日奈と私は二人だけの姉妹だもん。二人なら、きっと勝てるよ!」
『明日香……』
『二人か……良いだろう、このガルノア、二人相手とは言え、負けはせん』



 斬撃が繰り返される。飛鳥と紫電の戦いは、お互い、その剣の実力をぶつけ合っていた。
「フラッシングソード!」
『熱月ゥゥゥッ!』
 剣同士がぶつかり、その音が響き渡る。衝撃波が発生した。
 互角とも言えるドライヴの強さ。飛鳥は正直、紫電の強さに驚いていた。
 3年前――――『ソード・マスター』への挑戦権を賭けた時とは違い、憎悪による強さがある。
 その憎悪を強さに変えているのは、間違いなく『ダーク=レガリア』だ。
「……ラグレオスがやはり厄介か」
 未知数の力を秘める『ドライヴ=レガリア』を手に入れる為、それを模造して作られた闇のレガリア。
 そんなものを作っておきながら、なぜ『ダーク・コネクター』の総帥はレガリアを欲するのか分からない。
 紫電との決着は、レガリアなしでつけたい。その為には、ラグレオスセイバーを破壊するしかない。
「……いざとなったら、バスターファルシオンを使うか。そうなると、問題はガルノアだな」
 ガルノアの出現は予測していた。紫電が現れた時から。
 自分と同じ『鷹の瞳』を持つ幹部。明日奈でも勝つ可能性は低過ぎる。
「……明日香も一緒に戦うみたいだけど、ガルノアに勝てるかどうか……待てよ、明日香と明日奈……?」
 紫電と戦いながら、ある事を思い出す。「あれがあるか……!」と呟いた。
「データはSDカードに……あったあった」
 バトル中でありながらも、片手でデータを探し、即座にドライヴにセットする。
 データ内容を確認し、その場で作り直す。
「と言うか、バトル中にこんな事できないよな、普通」←こんな事やってる奴
 紫電の攻撃を余裕で受け止めながら、データの作り直しを終える。
 ある意味、超人すら上回っているような気がするが、気にしない方が身の為だったりするのは余談。
 明日香に通信を開き、すぐにデータの転送準備を行う。
「明日香、今からデータを送る。それを使って!」
『データって……飛鳥君!?』
「良いから! ガルノアを倒せるとすれば、それ位なんだ!」
 そう言ってデータを転送する。そのデータの内容を見た明日香は驚いた。
『これって……シルフィーナディアじゃ無理だよ!?』
「あのな……明日香、それを明日奈にも送って」
『明日奈にって……もしかして、あれ?』
「そ、あれ。それなら、ガルノアを倒せるはずだから。明日香、負けるな!」
『う、うん!』
 通信を切る。飛鳥はバトルに集中した。
 セルハーツが多き剣を振り上げる。光り輝き、そして大地に突き刺す。
「輝凰! 斬・王・陣!」
 大地から光の波動が溢れ、放たれる。



 ガルノアの前に、明日奈はただ苦戦させられるだけだった。
 同じランクとは言え、その実力の差はハッキリと出ている。間違いなく、ガルノアは強い。
 資質と言う面を除いても、ガルノアは『フォース・コネクター』に匹敵する。
『フレイムヴァイパー!』
『魔刻・刹』
 炎の鞭を巨大な剣が両断する。
『無駄だ。お前の技は全て見切っているのだからな』
『……まだよ、まだあなたを倒せる方法は……!』
 ハデスハーツが剣を構える。その時、シルフィーナディアが攻撃を仕掛けた。
 放たれる二つのビーム。オーガノスはそれを上手く避ける。
 明日香は明日奈にデータを送った。
「明日奈、飛鳥君がこれ!」
『飛鳥が……って、これは……!?』
 送られてきたデータを見て目を見開く。
『無理よ! だってこれは、あなたのドライヴには不向きなのよ!?』
「私もそう思ったけど、でも、私と明日奈なら……!」
『だからって……!』
「明日奈、やってみないと分からないよ! 私、ちゃんと合わせるから!」
『……分かったわ。でも、合わせるのは私の方よ。明日香はタイミングを作って』
「うん。明日奈、二人の力を合わせよう!」
『ええ!』
 ハデスハーツがヴォーパルソードから霧を発生させ、ガルノアの視界を奪う。
 そして、氷の刃が無数放たれる。ガルノアは寸前のところで『鷹の瞳』を使った。
 視界ゼロの状態でも、かならず近距離では敵の攻撃は見える。
 その瞬間、オーガノスの後ろから、ビームが放たれる。
『無駄だ』
 巨大な剣で受け止める。その時、霧が消えた。
 ガルノアが目を見開く。二体のドライヴが自分のドライヴに急接近していた事に。
『何……!?』
『明日香!』
 ハデスハーツがヴォーパルソードを投げ、シルフィーナディアがそれを受け取る。
 明日香は飛鳥から受け取ったデータを発動させた。
「『スキル・プログラム』発動!」
『轟きなさい、フラムベルジュ!』
「力を貸して、ヴォーパルソード!」

『斬王双裂牙!』

 二人の声が重なり、ハデスハーツとシルフィーナディアが同時に剣を振り落とす。
 そして斬撃が繰り返される。その時、二体のドライヴはまるで鏡の様に対照的に動いていた。
『ぐぉぉぉ……!?』
 オーガノスの全身が切り刻まれる。そして、倒れた。
 ハデスハーツがヴォーパルソードを受け取り、刃先を向ける。
『あなたの負けよ、ガルノア!』
『……まさか、スキル・プログラムを使うとはな』
 どんなに強い力を持っていても、誰もが予想できない『スキル・プログラム』。
 ふっと口元を歪ませ、「私の負けだ」と言葉を吐く。
『……しかし、アサシン・ブレードは、もう誰にも倒す事はできん』
『どう言う事!?』
『……アサシン・ブレードはすでに……ダーク=レガリアの力を引き出してしまった……』
 その瞬間、バトル・フィールド全体に巨大な衝撃波が巻き起こった。



『フレイムヴァイパァァァッ!』
「エアブレード!」
 炎の鞭と風の刃がぶつかり、打ち消しあう。
 互角とも言えるバトルがまだ続く。瞬間、紫電が動いた。
 炎の鞭がセルハーツの周りを囲む。
『フレア・ディユリートォォォッ!』
「させるか!」
 セルハーツの動きを封じようとする炎を宙に舞って避ける。
 そして、飛鳥は動いた。紫電のドライヴ・レーヴァティンが持つラグレオスセイバーに光の筋が走る。
「ミラージュ・ブレイド!」
 光の中心を斬る。ラグレオスセイバーが吹き飛んだ。
 飛鳥は狙っていた。『ダーク=レガリア』である剣だけを破壊する為に。
 刹那、紫電が咆哮を上げる。
『おぉぉぉぉぉぉっ!』
 吹き飛ばされたラグレオスセイバーがレーヴァティンの元に戻り、不気味な光を発する。
 刀身にいくつものリング状の光が現れ、バトル・フィールド全体に衝撃波が放たれた。
 セルハーツがバランスを崩す。飛鳥は立ち直し、レーヴァティンを見る。
「あれは……デスブレード・ラグレオス……!?」
 暗黒の剣を前に、飛鳥は驚愕するしかなかった。



次回予告

 明日奈よ。
 アサシン・ブレードがついにその力を解き放った。
 真の力を引き出す『ダーク=レガリア』。このままだと、飛鳥は負けてしまう……!

 次回、CONNECT19.『激突、二つのレガリア!』

 ドライヴ・コネクト。 飛鳥、どうする気なの……!?



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