飛鳥の『鷹の瞳』が相手の動きを見切り、セルハーツが敵の攻撃を阻止する。 敵との距離を置き、プラズマセイバーを構えて集中する。 「……くっ!?」 プラズマセイバーが光を放ちながら形状を変えようとした時に集中力が切れる。 「……まだ集中力が足りないのか……? よし、もう一度……」 『その位にしなさい、飛鳥。もう2時間も同じ事繰り返してるのよ』 『そうだ。無理をすればするほど、あの技のコツなど掴めぬぞ、ソード・マスターよ』 「分かったよ……流石に、俺も疲れてるし……」 二人の言葉に頷く。飛鳥はこの日、明日奈とガルノアに協力してもらって、必殺技を習得しようとしていた。 初代『ソード・マスター』だった母の残した必殺技。その威力は間違いなく最強だ。 シミュレート用のコクピットランサーから降りて一息つく。 「はい」 「ありがとう」 明日奈からペットボトルの水を受け取り、飲む。一気に喉の渇きが癒された。 「ふう……」 「それにしても驚いたわ。いきなり電話してくるんだもの」 「……悪いな。接近戦で練習相手頼めそうなのは、明日奈とガルノアだけだったから」 「別に良いわ。なにより、あなたの頼みだもの」 明日奈が微笑む。飛鳥はそんな彼女を見て、やや照れていた。 間違いなく、この場に明日香がいれば誤解するだろう。それ位、明日奈は可愛かった。 『アサシン・ブレード』の件以来、明日奈は少しずつ変わろうとしているようだ。 「しかし、奴らが裏切った二人に何もしないなんて、妙だな……?」 「おそらく、総帥が放っておくように言ったのだろう。私達は幹部とは言え、知らない事の方が多いからな」 「……それを聞くと、ますます妙だよ。幹部って言ったら、普通は……」 「ええ。普通のドラマとかなら組織について詳しいわ。でも、私達の場合は力を持った”駒”でしかないのよ」 ダーク・コネクターと言う組織では、いくら幹部とは言え、総帥の姿を見た人間はいない。 当然、イブリスは例外なのだが。 「……『ダーク・フォース』でも、総帥の事は知らないんだろ?」 「そうだ。『ダーク=レガリア』はイブリスが渡していた」 「イブリスが?」 イブリスについては先代から色々と聞かされているが、それでも謎は多い。 一番厄介な相手であり、総帥以上に不明な点が多い敵。 「ソード・マスターよ、『アサシン・ブレード』が倒れた今、奴はお前に狙いを定めるはずだ」 「分かっている。だからこそ、完璧に使えるようにしたい。母さんの技、天翔蒼破絶靭斬を……!」 あくまで最終手段ではあるが、天翔蒼破絶靭斬があれば心強い。 ガルノアが飛鳥の瞳を見て笑みを溢す。 「そう言えば飛鳥、『ソード&マグナム』を解消したって聞いたけど……」 「……その話はしないでくれ。正直、まだイラついてる」 「……そう。私で良ければ、いつでもパートナーになってあげるわよ?」 「ありがとう。けど、遠慮しておくよ、明日香との約束もあるしな……」 飛鳥の言葉に、明日奈は微笑んだ。 勇治は苦戦していた。間違いなく、相手の方が強い。 射撃の腕は互角。しかし、厄介なのは敵の持つ資質だった。 攻撃と言う攻撃全てを『金剛の瞳』で狙った場所を攻撃し、上手く撃ち落とされている。 そして、今は一体しか攻撃してこないが、二体になれば余計に危ない。 「…………」 『大人しくその銃を渡してもらおうか、マグナム・カイザー』 白銀のライフル――――レイ・スペル・ショットの銃口がディル・ゼレイクに向けられる。 その時、亜美の乗るエル・センティアがディル・ゼレイクの前に立ちはだかった。 「亜美、何でコネクト・アウトしていない? 危険だと言ったはずだ」 「お兄ちゃんは黙ってて!」 「…………」 勇治が黙る。やはり、妹には弱かった。 亜美がレイ・スペル・ショットを持つドライヴを睨む。 『どけ。俺の目的は、マグナム・カイザーの銃を手に入れる事だけだ』 「どかない! お兄ちゃんに攻撃しないで! お兄ちゃんは、私にとって大事なお兄ちゃんだから!」 『……どけ。さもなければ、お前も撃つ』 「どかない! お兄ちゃんには、絶対に攻撃させない!」 『…………』 レイ・スペル・ショットが下げられる。彼は攻撃を止めた。 『俺は、純粋な魂を持つ少女を撃つ事などしない。朧、退くぞ』 『撤退!? 何をお考えですか!』 『あの少女を前に、戦意を失くした。ここにいれば、他のフォース・コネクターも現れる』 『しかし!』 『闇夜の姫君、ここは、ダーク・フォースの指示に従いましょう』 姿を見せる一体のドライヴ。漆黒に染まった天使の翼を持つ、イブリスの駆るエヴィル・アスラフィルだ。 イブリスが静かに語る。 『探しましたよ、アサルト・ハンター。勝手な行動は控えて頂かないと』 『俺の勝手だ。どうでも良い事だろう』 『そうはなりません。我々幹部の役割は、あなたのサポート、そして監視です』 『……撤退だ。良いな?』 『ええ、構いませんよ。闇夜の姫君も、分かっていますね?』 『……はい。指示に従います』 アサルト・ハンターと呼ばれた『ダーク・フォース』が、静かに勇治を睨む。 『次出会いし時こそ、お前の持つ銃を渡してもらう』 「…………」 「朧さん!」 『……亜美ちゃん、私とあなたは敵なの。次会う時は、あなたを撃つしかないわ』 敵が姿を消す。勇治は静かに歯を噛み締めた。 あの銃を持つ今度の敵は、自分より上の実力を持っていた。 「……ふざけやがって」 今までにない感情を見せる。そして、亜美はショックを受けていた。 一緒にバトルをしてくれた人は『ダーク・コネクター』と言う立場の人だった。 信じられない、信じたくないと言う気持ちがあった。 「……朧さん、良い人なのに……」 コクピットランサーから降りると、『ディフェンド・キング』であるゴウが来ていた。 いや、マリアとゴウのチーム『ランドライザー・コマンド』の参謀である晃鉄も一緒だ。 勇治の姿を見つけ、マリアが速攻で頬を引っ張る。 「人の助っ人依頼無視して、勝手に行かないでよ、勇治〜!」 「にゃをいう、ほっちのほうがゆうせんだ」(訳:何を言う、こっちの方が優先だ) 「で、間違いなく、『ダーク・フォース』だったわけ?」 「ほうだ。ひはも、へひははぐへんぎのようだ」(訳:そうだ。しかも、敵は白戦鬼のようだ) 「白戦鬼? 何、そんな姿のドライヴって事?」 「白戦鬼だと? まさか……!?」 晃鉄が目を見開く。ゴウが晃鉄の方を見た。 「知り合いか何かかい、晃鉄?」 「……白戦鬼は、俺の親友だった男が使っていたドライヴです」 「はんだと?」(訳:何だと?) 「……マリア、いい加減に勇治君の頬を放したらどうだい?」 「……あ、忘れてた」 マリアが勇治の頬から手を放す。勇治の頬はわずかに赤くなっていた。 晃鉄が話を続ける。 「あれは、まだ俺がチームに入る前の事です。俺は、一人の親友とドライヴを始めました。 親友とはコンビを組まずに、互いをライバルとして、互いに強くなっていったんです」 「その親友の名前って何なの?」 「……村瀬将射。あいつは、無口な奴で変な趣味を持ってはいたが、良いコネクターだ」 チームに入る前に、互いに『フォース・コネクター』の座を目指して腕を磨き合った親友。 互いにランクアップをしていったが、Bへのランクアップを決めるバトルで全てが変わった。 晃鉄との間に出来た差が、彼に焦りを生み出す結果となり、敗北し続けたのだ。 「村瀬は、俺との差を一秒でも早く縮める為に、強い力を求めていた……」 「なるほど、そこをイブリスに目を付けられたか」 「強い力、ね……。勇治、どうするの?」 「決まっている。俺は、奴の持つ『レイ・スペル・ショット』を破壊する」 自分一人では無理だった過去を思い出す。今度こそ、一人であの銃を破壊する。 たとえ、相手が知人の友人であったとしても、だ。 晃鉄が渋々と頷く。 「……村瀬を救ってくれとは言わない。逆に、あいつに間違っている事を教えてやってくれ」 「当然だ。あの銃を持つ男にも容赦はしない」 勇治の瞳が静かに鋭く、そして恐い雰囲気を見せる。 漆黒が広がる暗い部屋で、朧は激しい頭痛に悩まされていた。 なぜか、頭が痛い。何かが頭の中で動いているような。 「う……く……」 今まで、こんな事は一度もなかった。そう、一度も。 初めてだ。突然、こんな頭痛が起こると言うのは。 その様子を、イブリスが遠くから見て静かに呟く。「何かが影響したか」と。 「……早めに手を打っておく必要がありますね」 「イブリス」 ふと、一人の男に呼ばれる。イブリスは彼の方を向いた。 「『アサルト・ハンター』ですか。私に何か?」 「奴……『マグナム・カイザー』には『ソード・マスター』も一緒にいると聞いていたが、いなかったぞ」 「最近のニュースをご覧になっておりませんか? 決裂したそうです」 「…………」 「レガリアの一つ『サタン・オブ・マグナム』を手に入れるには好都合ですよ、アサルト・ハンター」 不敵にイブリスが笑みを浮かべた。 次回予告 美里「どもども、『チーム・アレス』のリーダー、大滝美里です!」 曜 「あ……どうも、『チーム・アレス』の黒石曜です」 美里「ん? 私達の事が分からないって? だったら、本編読み返しなさい!」 曜 「み、美里さん……(汗)」 次回、CONNECT27.『グロウファルコンでも強い奴』 美里「私のドライヴは、パーツを組み替えれば違ったドライヴになるの!」 曜 「でも、美里さん、そこまで活躍は……」 美里「何言ってるのよ! 私の活躍は結構大きいわよ!」 飛鳥「……つーか、そこの二人、次回予告しろって(汗)」 |
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