CONNECT35.『衝撃の再会』


 バトル・フィールドに存在する巨大なドライヴ。
 クリムゾン・ティアーズを握り締め、『ディフェンド・キング』を待っている。
『まだ来ないのか、ディフェンド・キングは……』
「俺ならここにいるぞ、”グレート・ビックフット”!」
 握る拳に衝撃を受ける。クリムゾン・ティアーズが手から離れた。
 落下するクリムゾン・ティアーズを受け止める一体のドライヴ。巨大なドライヴが睨む。
 一切の乱れがないほど美しい純白で仕上げられ、巨大な盾を持つプラディ・ラ・グーン。
 ゴウの鋭い瞳が敵を睨みつける。そして、クリムゾン・ティアーズの紅葉に声をかけた。
「紅葉、無事か?」
「リー……ダー……申し訳……ありません……」
「気にするな。相手が相手だった……ここは、俺に任せてコネクト・アウトをするんだ」
「はい……リーダー……」
 クリムゾン・ティアーズがコネクト・アウトする。
 巨大ドライヴ――――『ダーク・コネクター』幹部のグレート・ビックフットが口を開いた。
『盾の王のドライヴにしては、小さいものだな』
「何とでも言うが良い。メンバーの受けた痛み、許しはしない!」
 プラディ・ラ・グーンのカメラアイが一瞬だけ光を増す。
「『ディフェンド・キング』ゴウボーグ=レンダリム、参るッ!」
『面白い。ジャイアント・サイクロプスがどれほど通用するか試させてもらうぞ!』



 ショップの入り口。走り去る亜美の姿を見つけた飛鳥が、その姿に首を傾げる。
「……今の亜美ちゃんだよな……?」
 なんとなく、何が起きたか予想はできているが、今は時間がない。
 構わずバトル・フィールドの方へと向かう。その時、落ち込んでる勇治の姿は見えた
 思わず立ち止まり、深く肩を落とす。
「落ち込んでるし……つか、やっぱりか……」
「あ、飛鳥君……さっき、ゴウさんが急いでバトル・フィールドの方に行っていたけど……」
「うん、厄介な事が起きてね。ところで……」
 明日香に訊く。
「……これ、何で落ち込んでるんだ? やっぱり、さっきの亜美ちゃんと関係してる?」
「う、うん……。飛鳥君が亜美ちゃんにあげたアクティブ・ウェポンの事で……」
「俺はあげた……レオハルト・シールドか」
「うん。その武器見て、勇治君が『そんな物は使うな』って言って、そこからケンカになちゃって……。
 それで、怒った亜美ちゃんが『お兄ちゃんなんか大嫌い!』って言って……」
「……予想が当たったわけだ」
 つまり、勇治が落ち込んでいるのは、妹に「大嫌い!」と言われたから
 そんな勇治に呆れつつ、先を急ぐ事にする。
「明日奈、勇治の馬鹿に事情話しといて」
「ええ、分かったわ」
「あれ、そう言えばどうして明日奈と一緒なの……?」
「ゴウさんに会いに行ったら偶然ね。じゃ、先急ぐから」
 ちなみに、やや明日香が嫉妬していたのは言うまでもない



 バトル・フィールド。巨大ドライヴのジャイアント・サイクロプスがその拳を振り落とす。
 大地を殴る拳から衝撃波が生じ、プラディ・ラ・グーンに襲い掛かる。
「アルティメットシールドッ!」
 アルティメットシールドでプラディ・ラ・グーンの周囲をバリアで覆い、衝撃波を防ぐ。
 そして、砲身の長い銃を構えて撃つ。
『無駄だ』
 ジャイアント・サイクロプスが攻撃を防御する。しかし、どこも損傷していない。
 巨大なドライヴの防御力は、とても半端なものではなかった。
 アルティメットシールドから、巨大なビームアックスを取り出して構える。
 瞬間、背後から一体のドライヴが現れ、襲い掛かって来た。
 細身で腕と脚が異常などに長いドライヴ。両腕の爪がキラリと光る。
『ヒャーハッハッハッハッハァッ!』
「くっ、後ろからだと!?」
「フラッシングソードッ!」
 背後から襲い掛かるドライヴを、飛鳥のセルハーツが駆けつけて薙ぎ払う。
「飛鳥か……助かった」
「やはり、もう一体いましたか。このドライヴは、俺が相手します」
「頼む」
 プラディ・ラ・グーンとセルハーツが背中合わせに頷く。
 ジャイアント・サイクロプスが出現したドライヴを睨む。
『何しに現れた、アテ・デーモドコス!』
『ヒャハハハハハハッ! テメェだけの手柄じゃねぇって事だ、グレート・ビックフットさんよぉ!』
『何だと……?』
 途端、大地が揺れ、ジャイアント・サイクロプスの前に二体のドライヴが姿を見せる。
 全身をローブで覆い隠しているドライヴと、ヴォルト・デュラハンのドライヴ。
 飛鳥が舌打ちする。
「チッ、2対4……!」
ティシフォネの盾……なるほど、あのドライヴが『ダーク・フォース』か」
 ゴウが『ダーク・フォース』を睨みつける。
『お嬢様……それに、ナイトメア・クイーン様……』
『相手はソード・マスターとディフェンド・キング。どちらも最強の一角です』
『その為、クイーン様自ら動き出したと言う事ですわ、グレート・ビックフット』
 ヴォルト・デュラハンの言葉に、グレート・ビックフットが黙る。
「……どうしますか? 流石に、俺とゴウさんだけじゃ難しいですよ……」
「勇治とマリアは?」
「勇治はともかく、マリアは連絡がついてません。多分、バトル中だと思います」
「……そうか」
『広範囲の攻撃ができないドライヴだと、大変ですね。ディフェンド・キング』
 二人の会話に、『ナイトメア・クイーン』が割り込む。
『アルティメットシールドは手に入れさせて頂きます』
「……やれるものならやってみるが良い。この俺は、そう簡単には負けん!」
 プラディ・ラ・グーンが構える。飛鳥はやはり思い出せなかった。
 聞き覚えのある『ナイトメア・クイーン』の声。
(どこだっけ……どこで聞いたんだっけ……?)
『ヴォルト・デュラハンとアテ・デーモドコス、あなた達はソード・マスターを』
(誰だ……誰だっけ……?)
 必死に思い出す。

 ――――頑張ってね。きっと、飛鳥君なら良いコネクターになれるよ。

 瞬間、昔の出来事を思い出した。優しく微笑んでくれる人の顔が浮かび上がる。
「……っ! こよみ……こよみさん……!?」
 飛鳥の言葉に、ゴウが反応する。セルハーツが『ナイトメア・クイーン』の前に立つ。
 信じられないが、間違いない。この声は知っている人の声だ。
「こよみさん……こよみさんですよね!? こよみさんなんですよね!?」
『…………』
「……なぜ……なぜ、こよみさんが『ダーク・コネクター』に……!?
 なぜ、あなたが『ダーク・フォース』なんですか……!? 教えてください、こよみさん!」
『私はそのような名ではない』
 彼女が冷たい瞳で飛鳥を見る。
『私の名はスティア。ダーク・フォースが一人、ナイトメア・クイーン』
「そんなわけない! だって、こよみさんは……」
『そのような名ではありません、ソード・マスター』
「こよみさん!」
 ジャイアント・サイクロプスが左腕に装備しているものをセルハーツへ向ける。
 巨大な砲身が特徴的なグレートランチャー。グレート・ビックフットが言う。
『このお方は、お前が呼ぶ者ではない』
「違う! こよみさんだ! あの声はこよみさんだ!」
『黙れ、ソード・マスター』
 グレートランチャーが放たれる。瞬間、攻撃が上空へと軌道を変えた。
 空中に姿を見せる暗黒のドライヴ――――イブリスの駆るエヴィル・アスラフィルが現れた。
 飛鳥の様子を見つつ、口を開く。
『作戦は成功です。撤退をお願いします、ナイトメア・クイーン』
『撤退だと? イブリス、今ここで奴らのレガリアを奪う時ではないのか!?』
『ヒャハハハハハハッ! イブリスさんよぉ、悪い冗談はよしてくれよぉ!?』
 グレート・ビックフットとアテ・デーモドコスが言う。イブリスが鋭い瞳で二人を睨む。
『作戦は終了だ。命令を聞かないのならば、私自ら相手になろうか?』
 いつものイブリスの口調が変わり、二人を怯ませる。
 そして、『ナイトメア・クイーン』が命令した。
『作戦が終了であれば、ここで撤退します。よろしいですね?』
『ええ、了解ですわ、クイーン様』
『……了解しました』
『ヒャハハハッ! 命だけは惜しいからなぁ!』
『では、撤退します』
「こよみさん!」
 セルハーツが、飛鳥が『ナイトメア・クイーン』を止める。
 瞬間、『ナイトメア・クイーン』のドライヴが、セルハーツを攻撃した。
 放たれるビーム。飛鳥が直感的に避ける。
「――――!?」
『言ったはずです、そのような名ではないと』
 そして、『ダーク・コネクター』達は姿を消した。



次回予告

 明日香「こんにちは、明日香です」
 優  「やっほ〜、先代『マグナム・カイザー』の優です」
 郁美 「同じく、先代『ストーム・クラウン』の郁美です」
 明日香「え……先代のお二人が次回予告ですか?」
 優  「そ。よろしく」
 郁美 「と言っても、ナイトメア・クイーン編限定だけれど」
 明日香「そ、そうなんですか……」

  次回、CONNECT36.『こよみさん』

 優  「次回は、あすあすとこよちゃんの話」
 郁美 「そう言えば、明日香ちゃんは、こよみちゃんを知っていたかしら?」
 明日香「何度か会った事ありますけど、詳しくは……」
 優  「じゃ、あすあすとこよちゃんの深い関係も知らないと」
 明日香「え、ふ、深い関係……!?」
 郁美 「とりあえず、それは次回で分かるわ」
 明日香「うぅ……き、気になって仕方ないですよ、凄く……」(←気になると眠れないタイプ)



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