『ナイトメア・クイーン』の周囲のゴーレム達がアーク・ウィザリオに襲い掛かる。 余裕なのか、輝凰はふっと笑った。 「ブレード・オブ・ファスト!」 瞬間、ゴーレム数体が斬られる。アーク・ウィザリオが斬撃を繰り出していた。 一体のゴーレムが背後から攻撃してくるが、瞬時に察知し、右手に持つプラズマセイバーで防ぐ。 そして、空いている左拳を小さく引く。 「アーク・テンペスト!」 盾を篭手として装備した左拳で反撃する。殴られたゴーレムが吹き飛ばされ、爆発する。 左腕の内側の面に装備している黄金の弓を取り出し、狙いを定めて放つ。 放たれた光の矢が、直線に並ぶゴーレムを貫いた。 弓を元に戻し、今度は腰に装備しているバスターライフルを構える。 「まず狙うのは、頭部……」 集中して撃つ。オクス・メドゥサの頭部を狙うが、盾がそれを防いだ。 『無駄です。ティシフォネの盾には通用しません』 「だろうな。まぁ、俺もまだ慣らし中だけどな」 そう、輝凰は全力ではなかった。かなりの余力を残している。 流石に、3年ものブランクがある為、操作に少し苦戦する。 感覚を取り戻す必要がある。自分が『ソード・マスター』だった頃の感覚を。 「本気を出すまでに、このゴーレム達を全滅させてやる」 左腕の盾が飛び出し、柄となる。そこにプラズマセイバーを装着した。 黄金色のビームセイバーが姿を見せ、ゴーレム1体に急接近する。 「ジ・ハード・セイバーッ!」 両断する。 イブリスのエヴィル・アスラフィルが宙に浮かび上がる。飛鳥はただ睨むだけだった。 『状況が変わりましたので、実力行使でファルシオンセイバーを奪わせて頂きます』 「やれるものならやってみろ。もう、俺は騙されないぞ、イブリス!」 『そうですか』 エヴィル・アスラフィルの右手に光が集束し、巨大な光の槍を形成する。 『フォトン・ランサー』 放たれる。飛鳥は瞳を鋭くし、『鷹の瞳』で避ける。 イブリスの隙を狙って、剣を振り構える。 「エアブレード!」 『セルシウスキャリバー』 セルハーツの放つ風の刃を、氷の飛礫を集結させて生成した剣で叩き落す。 エヴィル・アスラフィルの両手に雷が発生する。 技の一つ、ボルト・プロディネンス。飛鳥はすぐに避けた。 瞬間、セルハーツが大地に屈する。 「――――ッ!?」 『重力制御。あなた程度のコネクターなど、簡単に倒せるのですよ』 「な……馬鹿な……」 イブリスが不敵に笑う。 『ふふふふ……さあ、ファルシオンセイバーを渡してもらいましょうか……』 「くそっ……セルハーツ……!」 飛鳥の呼びかけに、セルハーツのカメラアイが一瞬だけ強く光る。 重力が圧し掛かる状態から、ゆっくりと立ち上がる。飛鳥は歯を噛み締めて堪えた。 敵にファルシオンセイバーを渡してはいけない。セルハーツもそう言っているのが分かる。 「……くぅっ……! う……うぅ……うぉぉぉおおおおおおっ!」 セルハーツの周囲から凄まじき闘気が巻き起こる。圧し掛かる重力が掻き消された。 ファルシオンセイバーが眩い光に包まれ、”究極の光剣”へと姿を変える。 『光の剣……、アサシン・ブレードを倒した技か……!?』 飛鳥の瞳が鋭くなり、その集中力を増す。セルハーツが合図を送った。 光剣を大きく振り上げる。 「天翔蒼破ッ! 絶・靭・斬ぁぁぁぁぁぁんッッッ!」 振り下ろし、一直線に伸びる波動が放たれる。イブリスが目を見開いた。 エヴィル・アスラフィルが漆黒の翼を大きく広げ、空高くに舞い上がって回避する。 放たれた波動は、そのままバトル・フィールドの端まで向かい、そこで爆発を生んだ。 セルハーツがクールダウンを開始する。飛鳥は驚愕した。 「天翔蒼破絶靭斬が……避けられた……!?」 『あの威力……なるほど、恐ろしいものだ』 イブリスの口元が歪む。そして、エヴィル・アスラフィルが氷の剣を生み出した。 氷の剣を振り上げる。飛鳥が舌打ちする。 「くそっ……動けない……!」 「そんな技を使うからでしょ、あすあす」 瞬間、真っ直ぐに伸びる弾丸二発がエヴィル・アスラフィルを襲う。しかし、軌道が反れる。 セルハーツの前に立つ赤熱のドレスを纏ったドライヴ・獅王紅蓮姫。 「優……さん……」 「前にも見たけど、どうなってるの、その技?」 「……さあ、セルハーツに訊いてください……」 訊いても答えは返って来ないが。 『先代マグナム・カイザーに邪魔されましたか……』 「ま、あすあすを倒させるわけにはいかないからね。まだやるって言うなら、本気で相手しても良いけど? ちなみに、デス・ハンドによる攻撃できないよう、設定イジったから」 「イジったって……優さん……」 「大丈夫。上から許可もらってるし、終わったらちゃんと戻すから」 『なるほど、私の戦法を封じたと。しかし、必ずドライヴ=レガリアはこちらの物となります』 イブリスが不敵な笑みを浮かべる。 『こちらには究極のドライヴがある。もはや、あなた達の負けなのです』 「究極のドライヴ? 何、とんでもなく強いって事?」 『そうなります。時期に、その姿が見れると思いますよ……』 イブリスが姿を消す。 ゴーレムを相手しつつ、輝凰がふうっと一息吐く。 「そろそろ本気で行くか。ゴーレムの相手は飽きたしな」 それに、まだ数が残っている。まとめて倒した方が効率が良い。 プラズマセイバーを収め、アーク・ウィザリオが右手を前に出す。 「……アーク・ウィザリオ、輝凰形態! 輝凰剣、召・喚ッ!」 『Ready……』 コンピュータが応える。アーク・ウィザリオのカメラアイが緑から黄金に変わった。 黄金のボディに光の翼が生え、光が右手に集まり、剣を形成する。 鳳凰の翼をモチーフとした柄が特徴的な剣。 『ARK-SYSTEM, Complete!』 「まずはゴーレムの全滅……! 行くぞ、アーク・ウィザリオ!」 剣を構え、アーク・ウィザリオが突撃する。ゴーレムが集団で襲い掛かってきた。 両腕からビームが放たれ、アーク・ウィザリオへと迫る。アーク・ウィザリオの光の翼がビームを全て防いだ。 そのまま光の翼でゴーレムを何体か攻撃し、燃え上がらせる。 周囲に集まってきたゴーレムの数を確認する。 「数はこれで全部か」 剣を振り上げる。 「輝凰・斬王陣ッ!」 大地に突き刺し、剣を中心に光が大地へと注がれる。光の波動が大地から空へと放たれた。 アーク・ウィザリオの周囲に集まっていたゴーレムが一掃される。 「あとは、こよみを助けるだけ……! 狙い場所は唯一つ!」 『あなたに負けはしません。メドゥサ・ブラスト』 蛇の髪が全てアーク・ウィザリオへ向けられ、ビームが放たれる。 輝凰の瞳が鋭くなり、『鷹の瞳』で全て避ける。アーク・ウィザリオが空高く跳躍した。 剣にエネルギーを込め、狙いをオクス・メドゥサに定める。 「フェニックス・ハザァァァドッ!」 突撃する。剣を先端に、光に包まれて鳳凰の如き姿を見せる。 オクス・メドゥサがティシフォネの盾で防御するが、すぐに破られた。 アーク・ウィザリオがオクス・メドゥサを斬る。 上半身と下半身の二つに両断されたオクス・メドゥサ。光の鳳凰が刻まれる 『……な……!?』 「これで洗脳は解けるはずだ。コクピットランサーから降りたら、すぐに迎えに行ってやるからな」 優しい言葉をかける。そのまま、オクス・メドゥサが爆発した。 ゴウと郁美を相手に、ヴォルト・デュラハンが苦戦する。 『ナイトメア・クイーン』が倒された事に気づき、距離を取った。 『クイーン様が負けた……? それ以前に、レガリア以外で盾を貫くとは……!』 「『ダーク・フォース』が倒された今、お前の負けだ、ヴォルト・デュラハンッ!」 「覚悟なさい。私とゴウのコンビには勝てないわよ?」 ゴウと郁美が構える。ヴォルト・デュラハンは、なぜか可笑しそうに笑った。 『ダーク・フォースが倒された? いいえ、まだ倒されておりません。 なぜなら、クイーン様はただ操られていた存在に過ぎませんから』 「何だと……!?」 『グレート・ビックフット……いえ、サタン・ビックフット、出番ですよ』 ヴォルト・デュラハンの言葉に、ティシフォネの盾が反応する。 バトル・フィールドに闇の柱が昇る。ゴウがすぐに睨んだ。 爆発したはずのジャイアント・サイクロプスが再生し、ティシフォネの盾を呼び寄せる。 闇に染まる女神のレリーフを中心に盾が4つに展開し、そのシールドを巨大化させた。 暗黒のビームシールド。ヴォルト・デュラハンが不敵に笑う。 『あれこそ、ティシフォネ・ザ・ナイトメア。あなた方の負けですよ』 ヴォルト・デュラハンの姿が消える。ジャイアント・サイクロプスが大地を殴り、揺らす。 グレート・ビックフット――――『ダーク・フォース』サタン・ビックフット。 『――――』 声にもならない雄叫びを発し、本当の盾の所持者がゴウと郁美に襲い掛かる。 「システム、月影のムーンライト・コート」 シルバー=メルクリウスが機動性を上げ、ジャイアント・サイクロプスをかく乱する。 「ラ・グーン……クラッシャァァァーッ!」 そして、プラデュ・ラ・グーンが殴る。しかし、盾が防御した。 ジャイアント・サイクロプスが巨大な拳を振り上げる。 「ブレード・オブ・ファスト!」 ジャイアント・サイクロプスにアーク・ウィザリオが斬りかかる。 「クリムゾン・フレア」 そして、獅王紅蓮姫も攻撃する。ジャイアント・サイクロプスが若干怯んだ。 輝凰と優が隣り合わせで構える。 「優、こよみがどこでコネクトしてるのか分かってるんだろうな?」 「バッチリ。今は気を失ってると思うけど。きーが攻撃して倒したし」 「だと思う。あとで怒るだろうな、こよみの事だから」 「まぁ、そんな話は置いといて。どうする?」 敵を睨みながら、優が訊く。 「あの盾をどうにかするには、バスターファルシオンが必要だと思うけど? と言っても、肝心のあすあすは行動不能で動けないから無理だけど」 「おいおい、俺達は何だよ? 今の奴らにも劣らない最強の先代だぜ?」 輝凰がふっと余裕を浮かべる。 「久々にやるぞ。俺達、先代の強さを見せてやろうぜ」 「やれるの、きー? ブランクあるんでしょ?」 「それは優も同じでしょう? あまりバトルしてないんだから」 「俺はまだ現役だぞ、輝凰」 「とっとと引退しろ、お前は。晃鉄って言う後継者がもういるだろ」 ゴウの言葉に輝凰が呆れる。ゴウは苦笑した。 ジャイアント・サイクロプスが拳を振り上げる。それを見た輝凰が集中した。 アーク・ウィザリオの姿に、3人が思わず息を呑む。 集中した輝凰の存在感は、3年のブランクを思わせないほど大きい。 「……やるぞ、優。合わせろよ」 「オッケー。久々に熱くなってくるじゃない」 「ゴウ、やれるわね?」 「当然だ。行くぞ!」 4体のドライヴが、ジャイアント・サイクロプスに接近する。 次回予告 輝凰 「いよいよ攻撃と思ったら、次回に続くのか……」 優 「ま、良いんじゃない? この方が作者にとって都合が良いんだろうし」 郁美 「でも、久々に輝凰の本気は息を呑んでしまうわね」 ゴウ 「流石は、元最強のコネクターだな」 明日香「……あの、私の出番がないんですけど……」(←これでもヒロイン) 飛鳥 「……俺の出番も少ないような……」(←これでも主人公) 次回、CONNECT40.『ソード・マスターとして』 明日香「次回は決着! でも、まだまだ展開あり!?」 輝凰 「勝利の鍵は、俺達4人」 優 「ま、軽く倒しちゃうだけでしょ」 郁美 「今の子達に先代の恐ろしさを教えてあげましょうか」 ゴウ 「何度も言うが、俺はまだ現役だぞ」(←先代でまとめられてしまう人) 飛鳥 「……輝凰さん達、余裕過ぎ……」 明日香「あ、あははは……」(←もはや笑う事しかできない) |
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