CONNECT39.『輝く翼が勝利を刻む』


『ナイトメア・クイーン』の周囲のゴーレム達がアーク・ウィザリオに襲い掛かる。
 余裕なのか、輝凰はふっと笑った。
「ブレード・オブ・ファスト!」
 瞬間、ゴーレム数体が斬られる。アーク・ウィザリオが斬撃を繰り出していた。
 一体のゴーレムが背後から攻撃してくるが、瞬時に察知し、右手に持つプラズマセイバーで防ぐ。
 そして、空いている左拳を小さく引く。
「アーク・テンペスト!」
 盾を篭手として装備した左拳で反撃する。殴られたゴーレムが吹き飛ばされ、爆発する。
 左腕の内側の面に装備している黄金の弓を取り出し、狙いを定めて放つ。
 放たれた光の矢が、直線に並ぶゴーレムを貫いた。
 弓を元に戻し、今度は腰に装備しているバスターライフルを構える。
「まず狙うのは、頭部……」
 集中して撃つ。オクス・メドゥサの頭部を狙うが、盾がそれを防いだ。
『無駄です。ティシフォネの盾には通用しません』
「だろうな。まぁ、俺もまだ慣らし中だけどな」
 そう、輝凰は全力ではなかった。かなりの余力を残している。
 流石に、3年ものブランクがある為、操作に少し苦戦する。
 感覚を取り戻す必要がある。自分が『ソード・マスター』だった頃の感覚を。
「本気を出すまでに、このゴーレム達を全滅させてやる」
 左腕の盾が飛び出し、柄となる。そこにプラズマセイバーを装着した。
 黄金色のビームセイバーが姿を見せ、ゴーレム1体に急接近する。
「ジ・ハード・セイバーッ!」
 両断する。



 イブリスのエヴィル・アスラフィルが宙に浮かび上がる。飛鳥はただ睨むだけだった。
『状況が変わりましたので、実力行使でファルシオンセイバーを奪わせて頂きます』
「やれるものならやってみろ。もう、俺は騙されないぞ、イブリス!」
『そうですか』
 エヴィル・アスラフィルの右手に光が集束し、巨大な光の槍を形成する。
『フォトン・ランサー』
 放たれる。飛鳥は瞳を鋭くし、『鷹の瞳』で避ける。
 イブリスの隙を狙って、剣を振り構える。
「エアブレード!」
『セルシウスキャリバー』
 セルハーツの放つ風の刃を、氷の飛礫を集結させて生成した剣で叩き落す。
 エヴィル・アスラフィルの両手に雷が発生する。
 技の一つ、ボルト・プロディネンス。飛鳥はすぐに避けた。
 瞬間、セルハーツが大地に屈する。
「――――ッ!?」
『重力制御。あなた程度のコネクターなど、簡単に倒せるのですよ』
「な……馬鹿な……」
 イブリスが不敵に笑う。
『ふふふふ……さあ、ファルシオンセイバーを渡してもらいましょうか……』
「くそっ……セルハーツ……!」
 飛鳥の呼びかけに、セルハーツのカメラアイが一瞬だけ強く光る。
 重力が圧し掛かる状態から、ゆっくりと立ち上がる。飛鳥は歯を噛み締めて堪えた。
 敵にファルシオンセイバーを渡してはいけない。セルハーツもそう言っているのが分かる。
「……くぅっ……! う……うぅ……うぉぉぉおおおおおおっ!」
 セルハーツの周囲から凄まじき闘気が巻き起こる。圧し掛かる重力が掻き消された。
 ファルシオンセイバーが眩い光に包まれ、”究極の光剣”へと姿を変える。
『光の剣……、アサシン・ブレードを倒した技か……!?』
 飛鳥の瞳が鋭くなり、その集中力を増す。セルハーツが合図を送った。
 光剣を大きく振り上げる。
「天翔蒼破ッ! 絶・靭・斬ぁぁぁぁぁぁんッッッ!」
 振り下ろし、一直線に伸びる波動が放たれる。イブリスが目を見開いた。
 エヴィル・アスラフィルが漆黒の翼を大きく広げ、空高くに舞い上がって回避する。
 放たれた波動は、そのままバトル・フィールドの端まで向かい、そこで爆発を生んだ。
 セルハーツがクールダウンを開始する。飛鳥は驚愕した。
「天翔蒼破絶靭斬が……避けられた……!?」
『あの威力……なるほど、恐ろしいものだ』
 イブリスの口元が歪む。そして、エヴィル・アスラフィルが氷の剣を生み出した。
 氷の剣を振り上げる。飛鳥が舌打ちする。
「くそっ……動けない……!」
「そんな技を使うからでしょ、あすあす」
 瞬間、真っ直ぐに伸びる弾丸二発がエヴィル・アスラフィルを襲う。しかし、軌道が反れる。
 セルハーツの前に立つ赤熱のドレスを纏ったドライヴ・獅王紅蓮姫。
「優……さん……」
「前にも見たけど、どうなってるの、その技?」
「……さあ、セルハーツに訊いてください……」
 訊いても答えは返って来ないが。
『先代マグナム・カイザーに邪魔されましたか……』
「ま、あすあすを倒させるわけにはいかないからね。まだやるって言うなら、本気で相手しても良いけど?
 ちなみに、デス・ハンドによる攻撃できないよう、設定イジったから」
「イジったって……優さん……」
「大丈夫。上から許可もらってるし、終わったらちゃんと戻すから」
『なるほど、私の戦法を封じたと。しかし、必ずドライヴ=レガリアはこちらの物となります』
 イブリスが不敵な笑みを浮かべる。
『こちらには究極のドライヴがある。もはや、あなた達の負けなのです』
「究極のドライヴ? 何、とんでもなく強いって事?」
『そうなります。時期に、その姿が見れると思いますよ……』
 イブリスが姿を消す。



 ゴーレムを相手しつつ、輝凰がふうっと一息吐く。
「そろそろ本気で行くか。ゴーレムの相手は飽きたしな」
 それに、まだ数が残っている。まとめて倒した方が効率が良い。
 プラズマセイバーを収め、アーク・ウィザリオが右手を前に出す。
「……アーク・ウィザリオ、輝凰形態! 輝凰剣、召・喚ッ!」
『Ready……』
 コンピュータが応える。アーク・ウィザリオのカメラアイが緑から黄金に変わった。
 黄金のボディに光の翼が生え、光が右手に集まり、剣を形成する。
 鳳凰の翼をモチーフとした柄が特徴的な剣。
『ARK-SYSTEM, Complete!』
「まずはゴーレムの全滅……! 行くぞ、アーク・ウィザリオ!」
 剣を構え、アーク・ウィザリオが突撃する。ゴーレムが集団で襲い掛かってきた。
 両腕からビームが放たれ、アーク・ウィザリオへと迫る。アーク・ウィザリオの光の翼がビームを全て防いだ。
 そのまま光の翼でゴーレムを何体か攻撃し、燃え上がらせる。
 周囲に集まってきたゴーレムの数を確認する。
「数はこれで全部か」
 剣を振り上げる。
「輝凰・斬王陣ッ!」
 大地に突き刺し、剣を中心に光が大地へと注がれる。光の波動が大地から空へと放たれた。
 アーク・ウィザリオの周囲に集まっていたゴーレムが一掃される。
「あとは、こよみを助けるだけ……! 狙い場所は唯一つ!」
『あなたに負けはしません。メドゥサ・ブラスト』
 蛇の髪が全てアーク・ウィザリオへ向けられ、ビームが放たれる。
 輝凰の瞳が鋭くなり、『鷹の瞳』で全て避ける。アーク・ウィザリオが空高く跳躍した。
 剣にエネルギーを込め、狙いをオクス・メドゥサに定める。
「フェニックス・ハザァァァドッ!」
 突撃する。剣を先端に、光に包まれて鳳凰の如き姿を見せる。
 オクス・メドゥサがティシフォネの盾で防御するが、すぐに破られた。
 アーク・ウィザリオがオクス・メドゥサを斬る。
 上半身と下半身の二つに両断されたオクス・メドゥサ。光の鳳凰が刻まれる
『……な……!?』
「これで洗脳は解けるはずだ。コクピットランサーから降りたら、すぐに迎えに行ってやるからな」
 優しい言葉をかける。そのまま、オクス・メドゥサが爆発した。



 ゴウと郁美を相手に、ヴォルト・デュラハンが苦戦する。
『ナイトメア・クイーン』が倒された事に気づき、距離を取った。
『クイーン様が負けた……? それ以前に、レガリア以外で盾を貫くとは……!』
「『ダーク・フォース』が倒された今、お前の負けだ、ヴォルト・デュラハンッ!」
「覚悟なさい。私とゴウのコンビには勝てないわよ?」
 ゴウと郁美が構える。ヴォルト・デュラハンは、なぜか可笑しそうに笑った。
『ダーク・フォースが倒された? いいえ、まだ倒されておりません。
 なぜなら、クイーン様はただ操られていた存在に過ぎませんから』
「何だと……!?」
『グレート・ビックフット……いえ、サタン・ビックフット、出番ですよ』
 ヴォルト・デュラハンの言葉に、ティシフォネの盾が反応する。
 バトル・フィールドに闇の柱が昇る。ゴウがすぐに睨んだ。
 爆発したはずのジャイアント・サイクロプスが再生し、ティシフォネの盾を呼び寄せる。
 闇に染まる女神のレリーフを中心に盾が4つに展開し、そのシールドを巨大化させた。
 暗黒のビームシールド。ヴォルト・デュラハンが不敵に笑う。
『あれこそ、ティシフォネ・ザ・ナイトメア。あなた方の負けですよ』
 ヴォルト・デュラハンの姿が消える。ジャイアント・サイクロプスが大地を殴り、揺らす。

 グレート・ビックフット――――『ダーク・フォース』サタン・ビックフット。

『――――』
 声にもならない雄叫びを発し、本当の盾の所持者がゴウと郁美に襲い掛かる。
「システム、月影のムーンライト・コート」
 シルバー=メルクリウスが機動性を上げ、ジャイアント・サイクロプスをかく乱する。
「ラ・グーン……クラッシャァァァーッ!」
 そして、プラデュ・ラ・グーンが殴る。しかし、盾が防御した。
 ジャイアント・サイクロプスが巨大な拳を振り上げる。
「ブレード・オブ・ファスト!」
 ジャイアント・サイクロプスにアーク・ウィザリオが斬りかかる。
「クリムゾン・フレア」
 そして、獅王紅蓮姫も攻撃する。ジャイアント・サイクロプスが若干怯んだ。
 輝凰と優が隣り合わせで構える。
「優、こよみがどこでコネクトしてるのか分かってるんだろうな?」
「バッチリ。今は気を失ってると思うけど。きーが攻撃して倒したし」
「だと思う。あとで怒るだろうな、こよみの事だから」
「まぁ、そんな話は置いといて。どうする?」
 敵を睨みながら、優が訊く。
「あの盾をどうにかするには、バスターファルシオンが必要だと思うけど?
 と言っても、肝心のあすあすは行動不能で動けないから無理だけど」
「おいおい、俺達は何だよ? 今の奴らにも劣らない最強の先代だぜ?」
 輝凰がふっと余裕を浮かべる。
「久々にやるぞ。俺達、先代の強さを見せてやろうぜ」
「やれるの、きー? ブランクあるんでしょ?」
「それは優も同じでしょう? あまりバトルしてないんだから」
「俺はまだ現役だぞ、輝凰」
「とっとと引退しろ、お前は。晃鉄って言う後継者がもういるだろ」
 ゴウの言葉に輝凰が呆れる。ゴウは苦笑した。
 ジャイアント・サイクロプスが拳を振り上げる。それを見た輝凰が集中した。
 アーク・ウィザリオの姿に、3人が思わず息を呑む。
 集中した輝凰の存在感は、3年のブランクを思わせないほど大きい。
「……やるぞ、優。合わせろよ」
「オッケー。久々に熱くなってくるじゃない」
「ゴウ、やれるわね?」
「当然だ。行くぞ!」
 4体のドライヴが、ジャイアント・サイクロプスに接近する。



次回予告

 輝凰 「いよいよ攻撃と思ったら、次回に続くのか……」
 優  「ま、良いんじゃない? この方が作者にとって都合が良いんだろうし」
 郁美 「でも、久々に輝凰の本気は息を呑んでしまうわね」
 ゴウ 「流石は、元最強のコネクターだな」
 明日香「……あの、私の出番がないんですけど……」(←これでもヒロイン)
 飛鳥 「……俺の出番も少ないような……」(←これでも主人公)

  次回、CONNECT40.『ソード・マスターとして』

 明日香「次回は決着! でも、まだまだ展開あり!?」
 輝凰 「勝利の鍵は、俺達4人」
 優  「ま、軽く倒しちゃうだけでしょ」
 郁美 「今の子達に先代の恐ろしさを教えてあげましょうか」
 ゴウ 「何度も言うが、俺はまだ現役だぞ」(←先代でまとめられてしまう人)
 飛鳥 「……輝凰さん達、余裕過ぎ……」
 明日香「あ、あははは……」(←もはや笑う事しかできない)



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